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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年12月13日(金)10時08分~10時27分)

【冒頭発言】

本日、金融・資本市場活性化有識者会合の提言、及び二国間通貨スワップについて申し上げます。まず金融・資本市場活性化有識者会合ですが、先ほどの会合において金融・資本市場活性化に向けての提言を頂戴しております。この提言は、(1)日本が持っている資産の有効活用、海外との一体的成長、個人・企業の生産性向上を進めることが必要、(2)アベノミクスによるインフレ期待の醸成や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの招致決定等により現在は好機、(3)ものづくりをはじめとした実体経済と金融部門が車の両輪として好循環を実現することが重要といった観点に立ち、1.家計資産等が成長マネーに向かう循環を確立し、2.アジアの潜在力の発揮と日本との一体的な成長、3.企業の競争力の強化と起業の促進、4.人材育成・ビジネス環境の整備の4つの柱で、2020年の姿を想定した上で、それまでの7年間で取り組む施策につき、具体的な御提案をいただいております。金融庁・財務省は、本提言を受け止め、金融・資本市場の活性化のため、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

二国間通貨スワップについて申し上げます。今年5月に日・ASEAN財務大臣・中央銀行総裁会議、これはインドで開催されたのですが、それ以来二国間金融協力を強化してきましたが、今般、インドネシア、フィリピン、シンガポールの3カ国と、二国間通貨スワップの拡充や再締結の協議が進展をしております。具体的には、インドネシアとは、規模をこれまでの約2倍の227.6億ドルとし、危機予防機能を導入する契約書を昨日12日に締結をし、同日発効いたしております。フィリピンとは、規模をこれまでの2倍の120億ドルとし、危機予防機能を導入することで基本合意しました。シンガポールとは、これまでと同額の30億ドルの規模にて再締結することで基本合意しました。これらは二国間首脳会合において話題として取り上げられると思っており、日・ASEAN特別首脳会議においても取り上げられると思っております。こうした金融協力の強化が、地域の金融市場の安定に貢献し、拡大する両国関係の経済・貿易環境を一層発展させるということを期待いたしております。

【質疑応答】

問)

金融・資本市場活性化に向けての提言において、2020年の中でいろいろ提言があったと思うのですけれども、大臣として注目されている、ここは力を入れてやりたいというところがありましたら教えてください。

答)

人材の育成というところがありますけれども、実体経済とか金融、特に国際金融等々が発展していくためには、それを支える人材育成というのが大事なのだと思っていますので、すごくここは大事なところかなと思います。ものづくりというのは前々からですが、シカゴの商品取引所は1848年にできたと思うのですが、日本の場合は、それより100年ぐらい前に既に大阪では米相場をやっています。あの時代、日本中で取り扱われた米の石高約200万石ということぐらいなのだそうですが、その時代は一刻、一刻というのは約2時間のことですけど、約2時間の間に125万石ぐらいの取引があったと記録があるんだそうで、やはり125万石の信用取引が18世紀には既にできていたということはすごいですね。まだなかなかそんなものは、アメリカにもイギリスにもない頃にそんなものができ上がっているわけですから、そういったDNAというのは日本にちゃんとあるのだと思いますので、ものづくりのDNAというのを大事にしていくのはもちろんですけれども、そういった部分にも日本の場合は基本としてそういうものが昔からあるのだということも頭に入れておかないといけないのかなと思います。

問)

今朝、田村大臣と官邸でお会いになったということを伺いましたけれども、会談の中身を教えていただけないでしょうか。

答)

言えません。先方が話せば別ですよ。先方のところへ行って聞いてください。自分の方から話すことはありません。

問)

閣議前に診療報酬について会合があったとお聞きしました。これまでにも大臣は引上げについては国民の負担増につながるということで、そういうお考えを示しておられますけれども、今日の会合はどういう位置づけで行われて、また大臣からはどのような考えを示されたのかお伺いできますでしょうか。

答)

内容を言うことはありません。先方が話されるならともかく、自分の方から話すことはありませんが、いわゆる診療報酬について、意見の調整をしたということです。

問)

これまで引上げについて大臣は否定的なお考えを示していたと思われますけれども、今は積極的にマイナス改定すべきだとお考えでしょうか。もしそうであれば、その理由をお聞かせください。

答)

基本的に社会保障の充実として、社会保障と税の一体改革という形で、消費税を引き上げさせていただいていますから、そういった時に診療報酬の改定ということは、いわゆる国民の負担が増えるということと同じことですから、そういった意味では改定を安易に行うのはいかがなものかというのが基本的な考え方です。前回、前々回、上がっているのではなかったですか、民主党内閣のもとで。物価が下がっているにも関わらず、どうして上げたのでしょう。

問)

二国間通貨スワップの強化が市場の安定に貢献すると仰られましたけれども、東南アジア地域の金融安定が日本経済とかアベノミクスに資する意義について改めて伺いたいのですが。

答)

例えばアメリカの金融緩和について、いきなりドルが新興金融市場に流れ込んでいきますと言って大騒ぎをし、締めると言ったら今ある外貨が引き上げられると言って大騒ぎをし、どっちが正しいのですか。分からないでしょう、言ってくる話が。落ち着いていないから、金融市場がきちんと確立していないから、ちょっとした噂だけで、ドルが引き上げられるといって騒ぎ、ドルが流れ込んでくるといって大騒ぎし、そういった意味では、きちんとしたものを持っていないと、と思います。ASEANという地域は人口6億人を超え、欧州連合を超えた人口になっており、その人口でこの10年間で経済力から言いますと大変な勢いで伸びているわけです。そういったところと日本との関係から言いましたら、極めて友好な関係の、経済関係に限らずその他友好関係にある国の通貨が不安定になるということは、経済の面においても不安定になり、また経済が不安定になりますと社会情勢も政治も不安定になる要素が多いので、基本的には通貨が安定するということは、日本の国益にも資するということだと思います。

問)

診療報酬の関係で、引上げを求める声が大きく分けて2つあるのではないかと思っております。1つは小泉政権下における骨太の方針で、年2,000億円の削減をした時に、地方医療の崩壊が起きました。プラス改定をしないと、医療崩壊が再び起こるのではないかということです。診療報酬をプラス改定にしないと医療崩壊が起こるのかどうかについて、大臣のお考えをお伺いさせてください。また、大臣は、消費税という絡みで国民のさらなる追加負担というのはというお話をされたと思います。一方において、社会保障の充実のための消費税ですので、診療報酬はプラスにならないとおかしいのではないかという主張も、与党を中心にまた別途あるのではないかと思います。それについての大臣のお考えをお伺いさせてください。

答)

小泉内閣の時に、4年間、毎年2,200億円を強引に下げていったということによって、結果として医療の情勢にとってはかなり厳しいものになったというのは事実だと思います。そこは間違いないと思います。しかし医療の崩壊という現場からいくと、いろいろな改定で毎年自然増が1兆円ありますというのを放置したまま、消費税をあと何%上げるつもりですか。毎年1兆円伸びるのですよ。そんな話はついていけません。伸びる自然増というのがあたかも当然のごとくマスコミは書いていますけれども、7対1入院基本料の話を見ても分かるように、どうして7対1入院基本料の分だけあんなに巨大に膨れ上がるのですか。これは明らかに商売にしている部分というのが、そこだけ重体の患者が多いのか、いや、そんなに急激に重体の患者が増えているはずはありませんので、そういった意味では7対1の比率を減らしていただきますというような話をしますと、それだけで3,500億円程度の差が出てきます。はっきりしていると思います。そういった話をよく見れば、自然増と言われていますけれども、当然増とは違うと思います。きちんとそういったところを詰めなければ、幾らでも考え方としては出てくるでしょうし、ジェネリックの話にしてもそうでしょうし、ジェネリックをやると研究開発費が減りますと言いますけれども、研究開発が一番進んでいるアメリカのジェネリックの割合は90%、日本は40%、日本よりアメリカの研究開発の方が多いじゃないですか。絶対額は違いますよ。額でいくと違います、比率だけでは言えないところは確かですけれども。いろいろな意味で、きちんとやってもらわなければいけないという部分は間違いなく、自然増が当然増のごとく言われる話には乗れませんので、是非その点はきちんとした対応を厚生労働省や医療側にもやっていただかない限りは、何年かに一度、社会保障をきちんとしたものにするためだけに、毎回何%か消費税を上げていくなんてことは、そんな長続きできるはずがありませんから、そういった意味ではきちんとした体制を作っていただきます。やりますと必ず言われるでしょうけれども、結果を見せてもらいたいです。その方向がきちんと見えてこない限りは、そんなに安易にその話に乗るわけにはいかないと思います。

また、診療報酬だけが社会保障の充実とは限りません。ですからそういった意味では、あの診療報酬というものの改定イコール社会保障の充実とは限りません。お医者さんは充実するかもしれませんが、しかしそれが社会保障の充実と直結しているかといえば、なかなか直結していません。受診者側にしてみれば、それが社会保障の充実につながっているという保証はありません。医者の所得充実にはなるでしょうけれども。そう簡単に言えない話ですので、地域差もありますし、いろいろな問題がありますから、十分考えないと過疎地で、医療の過疎というところもありますし、そういったところが現実問題あるわけです。そういったものにどう対処なさるのですかという話等、厚生労働省も詰めなければいけないところ、医者が集中して多過ぎるところもあれば少ないところもあります、一方、医者が足りないと言いますけれども新しい学部を作るのは反対とか、いろいろ話があるでしょう。そういったものを全部まとめて考えませんと、なかなかこの種の話というのは、将来の方向性等を含めて考えていただかないといけないのではないかと思います。

(以上)

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