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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年12月24日(火)12時33分~13時03分)

【冒頭発言】

先ほどの閣議において、平成26年度予算の概算を決定しておりますので、その概要を申し上げます。平成26年度の予算については、デフレ脱却・経済再生と財政健全化を合わせて目指すという予算であり、日本の競争力の強化につながる未来への投資や、また生活の基盤を守る暮らしの安全・安心といった事項に予算を重点化するとともに、歳出の効率化を図っております。また、社会保障・税一体改革を実現する最初の予算であり、消費税増収分を活用し、社会保障の充実と安定化を図っております。金額で申し上げますと、基礎的財政収支対象経費については、総額72兆6,121億円となっております。これに国債費23兆2,702億円を加えた一般会計歳出の規模は、総額で95兆8,823億円となっております。歳入につきましては、租税及び印紙収入は50兆10億円、また、その他収入は、4兆6,313億円となっております。この結果、公債発行額は41兆2,500億円となり、第1次安倍政権以来となりますが前年度比1兆6,010億円の減となっております。また、国の一般会計のプライマリー・バランスにつきましては、中期財政計画における平成26年度及び27年度の各年度4兆円程度の改善との目標を大きく上回って、第1次安倍政権以来となる5兆2,407億円という改善が実現されました。

また、平成26年度の税制改正の大綱についても閣議決定をいたしております。本年10月に決定をした投資減税等に加えて、デフレ脱却・経済再生に向けた税制上の手当や、税制抜本改革を着実に実施するための車体課税の見直しなども講じるということにしております。

【質疑応答】

問)

一般会計の総額は96兆円近くと当初予算としては最大となりました。来年度は景気の回復や消費税増税などで税収が増える見込みではありますけれども、財政は依然厳しい状況にあります。こうした中、歳出が増えたことについて、大臣はどうお考えでしょうか。

答)

平成26年度の予算については、歳出総額は過去最大となっていますが、消費税率引上げを受けた社会保障4経費の充実分に約4,000億円、また主に公共工事ですが、特別会計改革により特会予算を一般会計に統合、これが約8,000億円などの特別な要因があります。その一方、社会保障、また地方交付税をはじめとした歳出の効率化や、経済成長に伴う税収の自然増がありますので、国債発行額については、第1次安倍内閣以来となります1.6兆円減額、去年が42.9兆円ですから、それから1.6兆円引くと41.3兆円ということになります。それだけ減額ができました。また、プライマリー・バランスにつきましても、各年度4兆円程度の減額ということが目標とされておりましたけれども、これも第1次安倍政権以来となります5.2兆円の改善が実現しております。少なくとも、昨年は23.2兆円、今年が18兆円ちょうどですから、そういったことを踏まえますと、来年度の予算は、経済成長のための政策に重点化しつつ、2015年度のプライマリー・バランス対GDP比を半減するということに対しては、着実な一歩を踏み出せた予算ではないかと思っております。絶対額が増えていることに関しては、取り立てて問題ではなく、昨年に比べては、はるかに内容が良くなったものになっていると思っています。

問)

新規国債の発行額は41兆円台で、確かに今年度より減らしたのですけれども、依然高い水準にあることは変わりなく、税収が増えた分をもっと国債を減らすことに回すべきだったという指摘もございますが、これについてはどうお考えでしょうか。

答)

平成26年度の予算では、平成25年度に比べて約7兆円の増収があるということになっておりますが、年金の国庫負担2分の1、これがこの中から使われますので3兆円、それから社会保障関係の4経費の増が約1兆円、それから国債費を含めましてやむを得ない歳出増等々いろいろありますので、これが約1兆、合計で約5兆円ぐらいになるのですが、そういった要因を除けば、1.6兆円が公債金の減額ということになっております。その他の部分は、社会保障をはじめとした歳出の効率化により公債金の増は回避できたと考えております。この結果、プライマリー・バランスに関しましては、5.2兆円の改善が実現したところです。2015年の目標に向かって大きな前進、まずは一歩ということだと思いますけれども、絶対額、そういった意味からいきますと、増えてもその分だけ、増えた分で払わなくてはいけないということにしている分について、極めて大きい部分がありますので、5兆円はなくなることになりますから、そういった意味では条件はかなり限られていたと思います。

問)

財務省が今回、諮問会議で出されている資料などを拝見していても、大きく分けて3つの個別テーマがあったのかなと思っております。1つは診療報酬の問題、1つは公共工事、もう1つは交付税です。それぞれ診療報酬については本体もマイナス、薬価と本体を切り離した上で本体もマイナスにしますと、公共工事は実質的にマイナスにしますと、交付税は別枠加算廃止と仰っていたと思います。結果を見てみるといずれも、そもそも財務省が主張していたところまでは削れていないという結果になっているのですが、それについて大臣はどのように考えておられるか伺えればと思います。

答)

自分でものを交渉した経験があればお分かりいただけると思いますが、少なくともこういったようなものに関して言わせていただければ、診療報酬というものについて、約100億円の増額ということで決着をしております。マスコミの予想では1,300億円とか1,500億円とか書いてあったではないですか。それに比べたら100億円で済んだのですよ。それから公共事業関係費については、前年度比で6,832億円の増加となっていますけれども、これが一番増えた要因というのは、社会資本整備特別会計を一般会計に統合させたからです。その影響が6,167億円ですから、そういった意味からいきますと、これはほとんど実質は増えていないという形になるのではないですかね。そういうことを知って聞いているのでしょうけれども。知って聞いているのですから、それはほとんど増えていないということでしょう。ですから、そういった意味からいくと、地方交付税はどうかと言いますと、地方交付税というものは、今までは、地方交付税の赤字の部分を埋めていくのは、麻生内閣の時までは地方と国で半分半分で負担していたものが、リーマンショックの後でとてもじゃないということで、国が6割、地方が4割という状況が続いていたのだと思います。今年度は、少なくとも地方は地方税増収分が、消費税を含めた地方税の増収分が2兆円となるはずですから、少なくともこれまであった別枠加算1兆円は減額します。ただ、一挙に減額すると増収があまり大きくないところもあり、ある程度激変緩和みたいな形とさせていただいたので、ああいう形になっています。形としては収まりの良いところに収まっていったように思っています。

問)

公共工事の話、実質横ばいという話であったと思うのですが、公共工事の増額から社会資本整備特別会計による要因を除きますと、大体1,000億円残る形になりまして、消費増税によるいわゆる公経済負担に相当する部分なのかなと思います。ただ一方で、民間議員ペーパーなどを拝見していても、公共工事については、消費税の公経済負担を加味した実質マイナスということをずっと諮問会議でも議論されていたのかなと思います。やはり実質マイナスにできなかったということについては、計画通りにいかなかったのかなというふうに思うのですけれども、大臣のお考えをお伺いさせてください。

答)

少なくとも安心・安全ということを皆さん考えてスタートしてきています。これまでの中で言わせていただければ、安心・安全の部分で間違いなく公共工事は悪だというマスコミによって、公共工事はどんどん減らし続けてきたわけでしょう。小渕内閣から麻生内閣までで、もしくは今の内閣までの間に補正を含めて一番大きい時で14兆9,000億円ぐらいじゃなかったですか、補正込みで。それが、今は補正込みで6兆円程度というところまで落ちて、半分以下まで公共工事というのは減った結果、地方でいわゆる老朽化という問題が起きてきて、少なくとも50年以上たった公共施設、例えば東京でいえば首都高の1号線ですとかそういったものは、オリンピック以前にできたものが皆50年の年数を超えたものになってくれば、それに対するメンテナンス等々は早急にやらねばいけません。特にこの3年間は、ほとんどできていなかったということによって、笹子トンネルの天井の落下等々のかなり痛ましい事件も起きました。原因は、メンテナンスの手を抜いたわけでしょう。手抜き工事ではありませんよ。メンテナンスの手を抜いたわけでしょう。きちんと調べれば、トントンとたたいて、きちんとやっていたところは落ちていないわけです。だからそういったものの手を抜けば、ああいったことになりかねません。橋も同じです。そういったようなことを考えれば、安心・安全というものは3・11以降、間違いなく多くの国民の最大関心事と言ってもいいようなものなのですから、そういったものに関して、いわゆる社会資本メンテナンス元年という言葉を国土交通省は使っておられますけれども、そういった方向で少なくとも今ある施設を安心に安全に使えるように、橋も安全に渡れます、トンネルも安心に通行できますというものにしておくという観点から考えれば、今言ったような事業というものは必要です。したがって、新しく土地を買うのではありませんよ、新しくというのではなくて、こういったものを主に考えていただきますという話でスタートさせていただいて、その方向で予算を作っていただいたと思っていますので、そのことに関して、経済財政諮問会議で、公共工事がマイナスにならなかったことはけしからんというような御意見はありませんでした。

問)

麻生大臣が総理でいらっしゃった2009年の頃、麻生大臣は、当面3年間は景気を優先してやっていくけれども、その後財政再建を本格的にやっていくんだと、おそらく附則104条も含めてそういうお話をされておられたと思います。そこから3年間ですともう2013年ですので、既に来年度予算が2014年となりますと、当時の想定からすれば本格的な財政再建を進めなければいけない時期に入っているのかなという印象を受けております。経済再生と財政再建の両立という意味では、まだなかなか財政再建というのは景気対策というところも同じように力点をという状況だと思うのですけれども、当時の見立てと比べて今何が変わっているのかについて、お話を伺えればと思います。

答)

私の後の内閣の3年間は民主党ですが、民主党がその時どうしたのですか。私の政策とは全然違ったことをやったのではないですか。少なくともデフレ不況からの脱却の例は、1931年に犬養内閣の時の高橋是清大蔵大臣以来、あの時に高橋是清は、現実問題としてデフレ脱却のために日銀の金融緩和から金の兌換禁止から公共工事から必要対策からずらっと社会資本を出していったのですけれども、約3年でデフレ不況から脱却するのに成功しています。時のウォールストリート・ジャーナルにも、今次不況を世界最初に日本が脱出するに成功せりと書かれるほどだったのですから、よほど目新しいことだったのだと思います。そういった点からいけば、今回の日本の場合もあの頃と違って、少なくとも国内資産が大きいですし、対外純資産も群を抜いて大きいですし、いろいろな意味で日本の持っている個人金融資産等々を含めて大きいですから、あの時よりはもう少し外資に頼らずやれる可能性があると私は思っています。その意味から言えばできると思っていましたけれども、残念ながらマスコミのおかげとは言いませんけれども、民主党政権になって、公共工事反対だと言い続けて、そしてその結果どうなったかと言いましたら、今のようになったではないですか。ですから、そういった意味では、今年の1月もこれだけ国債を発行したら国債が大暴落すると報道されていたではないですか。金利は暴騰しますと、3倍になり1.8%になりますと、今どうですか。全然逆でした。ほとんど日本のマスコミは間違えましたから。財務省だってそんなに言えたことではないです。財務省も金利はもっと上がると思っていましたから。まさか0.6%とか0.7%とかになるとは全く予想していませんでした。ですから、それはみんなそう思いました。なぜなら、やったことがないのですから。ですからそのことに関しては、私はあの時、今のような政策、あの時から3年続けていたら今頃終わっていますよ。私はそう思います。ただ、海外の情勢というものもこちらにある程度有利に働いた点は確かです。それが安倍内閣としては、運が良かったと喜ぶべきところはあると思います。アメリカの事情が良くなったとか、中国がくちゃくちゃになるということまで行っていないとか、今度来るのかも知れませんよ、これは他の国のことだからよく分かりません。ですが、厳しい状態にあり、いきなりこの間オーバーナイトコールが8%まで上がったでしょう。銀行間オーバーナイトコールが上海で8%に上がるのですよ。考えられません。そういうことが起きているという事態は、それは少し待ってくださいと言いたくなるような事態が起きていますから、そういった意味では、今回の状況を見ましても、今から3年かけてきちっと今のような政策を続けていくという条件かつ世界の市場もそこそこという条件であれば、それは3年かけていくぐらいでいけないはずはないと思います。

問)

公共工事で今回増額になったところで、人手不足ですとか賃金が高騰しているということも理由の1つだったのではないかと思うのですが、こういった状況というのは今後も続いていくと、大臣はお考えでしょうか。

答)

人手不足に関して言わせてもらえれば、間違いなく今鉄筋の曲げ工から型枠工、鉄筋コンクリートを作る時、建物を建てる時に鉄筋を曲げたりするのが鉄筋の曲げ工です。型枠工というのは、固めた鉄筋の枠に木枠をずっとはめていくのを型枠工と言うのですけれども、曲げ工、型枠工に至るまで数が足りません。間違いなく足りません。今、4月まで仕事は取るなと言われ、また各地で入札が成立しません。なぜなら、値段が合わないからです。資材が上がった、人件費も上がった等々で、基本的に物が高くなって人件費が高くなれば、工事は納期が決まっていますから、その納期を確実にそれまでにできるという保証が持てません。ですから契約が成立しないというのがどれぐらい起きていると思いますか。東京にいると分からないでしょう。ですからこの辺は駄目なのです。地方に行って聞くと良いです。どれくらい成立していないかという数字を、各県とか市が持っています。場所によって違いますけれども、本当にできないのです。それが今起きている現実です。したがって、公共工事をどんどん増やせと言っても、それを消化できるのですかと。今から1年して、きちんとできるという保証が持てないのです。それぐらい人が足りなくなってきているというのが現実です。ですから、そこは良いところを突いているのですよ。それに対してどうするか。資材を上げる、納期を延ばす、いろいろな形で労働者を、短期で外国人労働者に助けに来てもらう、いろいろなことが考えられます。アメリカはそれでやったわけですから。ですからそういった意味では、いろいろなやり方が考えられると思いますけれども、現実問題としましては、公共工事は消化できません。それが現実です。かなり厳しい状況になってきているのであって、賃金の日給の値段もとてもではないですけれども、今の賃金じゃ払えません。1日8,000円、9,000円ではとてもできませんとか、そういった話のところまで来るのです、技術屋にとっては。1級建築士が10人集まっても家は建たないんです。当たり前の話でしょう。大工がいなければ、左官がいなければ家は建ちません。1級建築士が10人集まっても家は建たないのです。そういった現実というものが、少しずつ今、我々としては、地方においてこういうことになってきますと、人口減は結構大きな問題になってきていますと、私共はそう思っています。ですから結構厳しいのです、この話は。

問)

来年度予算は、確かに今年度と比べますとかなり良い格好になっていますし、中期財政計画もクリアしていますし、またそれ以上にいっていると思います。ただ、言わずもがなと思いますけれども、2015年の半減目標はこれで視野に入ってきたと思いますが、やはり2020年の黒字というのを達成しなければ、この国は、最悪立ち行かなくなるおそれもあると思います。ただ、2020年の目標を達成するには、今のままやっていった場合、本当にこれで達成できるのか、そういう危惧をやはり感じざるを得ません。改めて2020年の目標をどう達成していくのかということについて、大臣のお考えを伺わせてください。

答)

ものすごく良い指摘です。2015年までは今年の初めからそこそこの自信がありましたけれども、2020年に関してはそんなに自信があったわけではありません。今になれば、今年の初めに比べれば今の方がまだ自信があるのは事実ですけれども、まだ2020年に関してはもう少し待たないとよく見えてきていない点が1つあります。例えば、今、社会保障やら何やらで進めようとしている予防の話とかいろいろな話が現実問題になってくるとか、公共工事のところでいろいろな形でコストが下がってくるとか、いろいろな意味で絶対値が下がってきます。また税収が伸びる可能性等々、いろいろなものが考えられますので、そういったものを考えた上でないと、今の段階でそのことに関して、大丈夫ですかと言われれば、2015年の方がまだ、1年先の話ですからそこそこ自信がないわけではありませんけれども、2015年度を達成できる自信ほど2020年に関しては自信があるわけではありません。

問)

2020年の目標は、何が何でもこの国のことを考えると達成しなければならない、そういうふうにお考えでしょうか。

答)

景気回復の方が優先します。景気回復を優先させないと、また同じような話になりますので、景気回復をきちっとしたものにしていくという状況を続けながら考える、そちらの方が優先順位が高いです。財政健全化と景気回復の優先順位は、どちらが高いかと言えば、二者択一というなら経済成長の方が高いです。はっきりしています。

(以上)

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