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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣繰上げ閣議後記者会見の概要

(平成25年12月26日(木)10時02分~10時27分)

【質疑応答】

問)

昨年の12月26日に財務大臣に就任されて、今日でちょうど1年となりました。この間、円相場は1ドル84円台から104円台に、株価は1万100円前後から昨日は1万6,000円台をつけました。そして10月には消費税増税、8%への引上げが決まりまして、先般は概算要求から初めての予算の編成を終えまして、この1年間を振り返って、大臣はどのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。また、来年の目標や抱負もお聞かせください。

答)

この1年間で言えば、一部のマスコミの予測として、債券は暴落、金利は暴騰すると書いてあったのではないかと思います。結果としては、日銀の金融緩和によって国債が暴落することもなく、金利が急騰することもなく、今日で0.7%で終わりつつあるというようなことになっていますので、随分予想というものとは違ったのだと思います。やはりアベノミクスとしてはデフレ不況、正確には資産デフレ不況からの脱却、経済再生ということをうたって、これまでかれこれ20年継続していたデフレ不況からの脱却というものに、一番に重点を置いたのだと思います。それがいわゆる3本の矢というものに代表されますけれども、その結果として、国民総生産から見れば、去年の7-9月期でマイナス3.2%、今年の7-9月期が1.1%です。合計4四半期、1年間は間違いなくプラス3%、4%という数字にいきましたので、少なくとも経済成長率をマイナスからプラスに変えていくことに成功しました。デフレに関しては、物価という点でいえばデフレという言葉が、先日の月例経済報告の関係閣僚会議でも、デフレ状況ではないということになっていました。日銀の報告でもそうなっていたと記憶しておりますから、デフレ不況ではなくなりつつあります。有効求人倍率が一番よく言われるところですけれども、これも0.98倍まで来ていますので、いろいろな意味で、10月分ではリーマンショック以前の数字までほぼ戻ったということかなと思います。ただ、こういった数字を言いますと、デフレ脱却、経済再生ということを、それで達成できたかといえば、それはそんな簡単ではありませんので、デフレ不況の状況からまだまだ経営者が前向きに設備投資を再開し、積極的に機械を受注し、発注し、いろいろな形で伸びていくためには、もうしばらく、企業家のマインドが変わりつつあるとはいえ、完全にデフレ不況で20年やってきておられますから、そんな簡単に変わらないと思います。来年度も基本的にそういった経済というものの優先、最優先ということは続けていきませんと、大都会と違って地方中小都市においては、まだそういったようなアベノミクスの効果が実感できるところまでには至っていないと、私はそう思います。今後ともこういったいわゆる景気の好循環というものを達成するためには、経済政策を引き続き続けていく必要があるということを考えた上での予算編成というものも考えて行ったのが今回の予算の編成です。少なくとも経済成長というものを、来年4月消費税の増税の結果どれくらい成長率が落ちるかというのをいかになだらかにするか、元の経済成長路線に乗せるかというところを考えて予算というのを考え、補正予算を組んでいますので、そういった意味ではそれなりのものができ上がりつつあるのだと思います。いずれにしても、来年も経済再生と財政再建、この2つをきちんとやっていくためには、我々としては注意深く景気の動向やら何やらを見守っていかないといけません、来年の方がむしろ舵取りが難しいかなという感じがします。

問)

みずほ銀行に対する追加検査が進捗しているかと思いますけれども、行政処分の考え方について、改めて教えてください。

答)

これは、今まだ調査中ですから、途中において、今の時点でコメントするということはありません。

問)

安倍総理は、先日10%への消費税の引上げ判断について、7-9月期の経済状況を見てから判断したいということを仰ったのですけれども、7-9月期のGDPが出るのが、1次速報が11月、2次速報だと12月ということで、予算編成もかなり大詰めの時期になってくるかと思うのですけれども、予算編成作業と10%への引上げの判断というのは、どのような感じを持っておられるのでしょうか。

答)

基本的に、もう2%上げさせていただくというのは、来年4月以降1年半後ということに3党合意の文書でなっています。しかし1年半という、その半年のずれは再来年度の予算と関係します。再来年の10月からということになれば、再来年度の後半には2%上がっているのかいないのかによっては、予算の編成の仕方が全く変わりますので、そういった意味では来年12月、再来年度の予算をやる時までにそれなりの答えを出しておかないと再来年度の予算編成に支障を来すということなのだと思います。したがって、来年度消費税が上がった結果、4-6月期の数字が落ちたのを7-9月期、1四半期で戻るかと言えば少々難しいところだと思いますけれども、附則第18条第3項に、その時の経済指標を考えて判断をするということが書いてあるわけです。そういった意味からいきますと予算を編成する12月には10-12月期の数字がまだ出ていませんから、7-9月期の数字が非常に大きな要素になると思いますが、7-9月期だけが数字かと言えば、その数字だけで決めるわけではなく、附則第18条第3項の中に書いてありますけれども、ああいったようなものを全て総合的に考えてどうするという判断は、来年の今ぐらいの時期のもう少し前ぐらいですかね、それぐらいまでには何らかの方向を考えなければいけないというところです。その数字の見方が、なかなか難しいところが、来年の2%引き上げるということに関して言わせていただければ、一番難しいところです。

問)

為替相場ですが、アメリカの金融緩和の影響で金利差が拡大し、円は売られやすくなっているかと思うのですけれども、一方で日本の景気も好調で輸入も拡大しやすい状況で貿易赤字が膨らみ、必ずしも良いことばかりではないのかなと思うのですが、基本的には為替相場はどちらに振れても相場に任せておくというこれまでのスタンスどおりという理解でよろしいでしょうか。

答)

まず基本的に、何回も申し上げていますように、この種のことに関して立場上発言することはありません。今の話で介入することはないのかと問われれば、介入権というものはきちんと持って、有用な時には介入するということは腹におさめておかねばいけません。少なくとも今の状況というのを考えると円安ということが善かと言えば、なかなか一概にはそう言えないのであって、円安、加えて石油高、ガス・石油の値段が上がる傍ら、原発が止まっている分だけ急遽輸入することによって、スポット価格の市場が上がっていますから、そういった意味では日本の貿易収支の赤字幅が増大するという状況になっています。これは我々としては、輸入する側からいえば非常に円安になった方がマイナスということになりますから、円安であればずっと良いのかというとそういうわけではないのだと思います。ただ、今の状況として我々としては、今直ちに104円になったのが良いとか悪いとかと言うつもりもありませんし、リーマンショックの前に戻ったというのであれば、その意味から言いましたら、今の状況が良い悪いというような話ではなくて、株価が好調に1万6,000円台を迎え、1万4,000円からなかなかいかなかった1万5,000円台に11月になり、今月末に1万6,000円台まで上げてきているということは、間違いなくドル高円安による影響というのが心理的には影響しているという点は確かだと思います。ただ、その分だけ金利も0.7%になりましたか、10年もの国債の金利が。0.5幾つまで下がったのが0.6%台になり、今0.7%になっていると思います。いろいろな意味でこういったものは全て相関関係がありますので、これが良いからこれが悪いというような世界でもないと思います。

問)

今、国の借金を含めて1,000兆円ある状況です。今回も借り換え債を含めると国債の発行総額は180兆円になります。おそらく来年度も減るような方向ではないと思います。そういった中で、経済の再生を優先ということになれば、もうしばらくこの1,000兆円という数字がどんどん膨らんでいくと思いますけれども、果たしてこのまま放っておくような状況なのかどうか、この1,000兆円ある借金について大臣のお考えをお聞かせてください。

答)

1,000兆円という額は大きいですけれども、同時に日本という国の経済力も大きいです。町工場の経営者が10億円の借金があるといえば大変だなと思いますけれども、大企業が10億円の借金と言いましても、どれほどのものだということになるでしょう。問題はそれを借りている主体、母体の力の問題、評価が大きいのです。ですから、バランスシートの貸方・借方で言いますと、少なくとも借りるだけの資産がありますということを見ておきませんと。預貯金総額が幾らとか現預金が幾らとかそんな話ではなく、国が持っている、正確に言えば政府が借金しているわけですから、その政府の持っている資産というものに対してどれだけ貸せるかというのをみんな見ているわけであって、それに対して日本の景気の良さから見ても借金の返済というのは、増税をさせていただいたこともこれあり、増収があったこともこれありで、結果として我々としては4兆円改善のところが5.2兆円の改善が可能になりましたというのが来年度予算の結果です。そういった意味では、間違いなく方向としてはきちんとした方向を出しています。我々全体としては、プライマリーバランスを5.2兆円改善させていただいたとはいえ、公債金の発行が減ったとはいえ、前年度に比べて国債の総額は増えています。前年度と比べて今年度はそれを下回った、来年はもっと下回りますということで、方向としてはきちんとやりながら経済も成長させているというところが大事なところです。借金は減りましたが、経済成長も縮小均衡となりましたでは、この20年間のデフレと同じことになります。きちんと経済を成長させながら借入金返済もやっていくというのであって、経済再生と財政再建は両立し得るというのがG20の合意ですから、日本としてはその方向で我々としてはきちんとやっていかねばならんと思います。そんなに簡単に、20年とは言いませんね、もっと長い時間をかけて、大平大臣以来からずっと増えてきた借金の額が、そんな簡単に1日で返せるわけはないのであって、しばらく時間をかけて財政というものも十分に頭に置きながら経済再生、経済を成長させていくという方向を模索する、それがこの1年間の方向であったと思います。今までのところ、その方向には行っていますけれども、それは我々に運も味方しましたし、アメリカの景気も少なくとも良くなりましたし、中国の経済成長率が大きく落ちたとはいえそれなりのものになっている等々、いろいろなものが我々の経済に味方したことも確かだと思います。そういったところも考えながら、今後とも少しずつ確実に財政再建ということを頭に置きながらやっていかないといけないということだと思います。

問)

消費税10%への引上げの判断についてですが、大臣は常々再来年度の予算編成にはある程度税収を確定させる必要があると仰っておられました。おそらく1兆円強の違いがあると思うのですけれども、それで年末までに決断してほしいと仰っていて、総理は、適宜適切な時期にということを仰っていたのですが、先日に7-9月期の判断を見るというふうに、大臣の方に歩調を合わせてきたような感じがあるのですけれども、何かここに打ち合わせですとかすり合わせみたいなものがあったのかどうかという点について教えていただけますでしょうか。

答)

予算の関係があるというのは、これは予算を編成するという我々財務省にとってのテクニカル、技術的な話が非常に大きいです。我々としては、確実にそれが7-9月期で数字がいま一つ、10-12月期の数字まで待って決めるということになりましたら、それはそれなりに方針を変えて、半年ずらして行うとか、いろいろなことを考えなければいけないと、それはそう思っています。経済がきちんとした方向になるのだという気持ち、確信を国民に持っていただいてからでないと、この種のことは、無理やり行うと疑心暗鬼を生みます。いずれにしましても、この判断はやはり消費税が10%になるという、10%にするという前提で、税と社会保障の一体改革という計画も全て消費税が10%になるという前提ででき上がっています。10%にできるようにするために、今年は財政規律が緩んだとか何とかわんわん言われながらも、10%にするためには経済の、景気の景況感というものは落とせないと思っていますので今回みたいな予算編成をしているわけですから、その意味でいくときちんとしたものを出さねばいけないという確信が出せない限り、もう2%というのはなかなか難しいので、財務省のテクニカルな話だけで全てを決めるということはありません。

問)

経済の話でなくて恐縮ですけれども、市場の方で、本日、安倍総理が靖国を参拝されるのではないかというような噂が出ているという話なのですが、何か聞かれていますでしょうか。

答)

伺っていません。

(以上)

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