麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年1月24日(金)9時50分~10時13分)

【冒頭発言】

平成25年度補正予算及び平成26年度予算につきましては、先月、概算の決定をしたところですが、その後、計数整理等を完了し、先ほど閣議において国会に提出することを決定しております。本年4月に実施する消費税率引上げについて万全の対応を期するため、また、目下の景気回復に向けた動きやデフレ不況からの脱却への期待を確実な成長軌道につなげるため、これらの予算の一日も早い成立に向けて尽力をしてまいりたいと考えております。

【質疑応答】

問)

本日から国会が始まり、予算案や経済成長に向けた論戦が始まると思うのですが、大臣の所感をお聞かせください。

答)

今般の通常国会については、いわゆる好循環実現国会であると安倍総理も述べておられますので、それを現実問題として経済の好循環を図っていくということを目指すわけです。したがって、我々としてはデフレ不況からの脱却を確実にするということであって、昨年これを目指してやってきて、ほぼデフレという状況ではなくなったところだとは思っています。これを持続的な経済成長としてつなげていくということを図る、同時に財政の健全化を図るということも2つ目の大きな目標として実現していくというのが、この通常国会における大きな課題だろうと思っています。したがって、これらを実現するために今日提出させていただきました25年度補正予算や26年度本予算、さらには26年度税制改正法案を一日も早く成立させていくということが我々の考えているところです。

問)

かんぽ生命の学資保険の認可の状況について、どのような状況か、現在の御見解をお願いします。

答)

かんぽ生命の学資保険の改定という話ですが、これはかねてから懸案だったのですけれども、保険金の支払管理態勢の充実等々が満たされたということだろうと思いますが、本日認可を行おうと思っておる予定です。いわゆる業務の適正な実施の確保というものが一番大事なので、今後ともその方向で努めていただきたいと思っております。

問)

昨日、みずほ銀行の佐藤頭取が反社会的勢力への融資問題を受けて、グループの管理態勢を強化するとして、頭取を退任することを発表しましたが、みずほ銀行の発表について、大臣の御所感をお願いします。

答)

金融機関において判断されたことに対して、コメントするということはないです。個別銀行の話でもありますので、毎度の御質問で恐縮ですけれども、毎度のお答えにしかなりません。

問)

かんぽ生命の関係で、大臣は、昨年4月の会見で、日米協議を踏まえてがん保険などの申請があった場合には、適正な競争環境が整うまでは認可しないというお考えを示されていますけれども、そのお考えは今も変わりはないということですか。

答)

はい。

問)

ちなみに今回の学資保険の認可に当たっては、そうした競争環境というのは、適正であるという御判断だということでしょうか。

答)

今回の学資保険にかかる認識というものは、少なくとも、昨年の発言は、がん保険とか、他の単品がいろいろありましたけれども、それについての認識を述べたんだと思いますが、今回の学資保険にかかる認可について、改めてこの認識が変わるものではないということです。

問)

大臣もかねがね仰っていますけれども、当然一日も早い予算成立というのがいの一番だと思うのですが、成立した後でもしっかり執行されていかなければ効果を発揮しないわけです。入札不調ということがずっと言われ続けていますけれども、ここに来てようやく国土交通省も対策に乗り出しました。当然、財務省を含めていかにしっかり執行していくかということがこれから問われると思うのですが、その点についての大臣のお考えをお聞かせください。

答)

これはものすごく大事なところで、補正予算を組んだところで3月までに消化できない、昨年もありましたけれども、そういった時に我々として、きちんとしてもらうためには3月でできなかった分を4月以後に繰り越す際には、繰越しをきちんとやってもらわなければいけません。従来のやり方ですとそれに伴っていろいろ書類が多く必要であったものが、極めて簡素なものでというお話をさせていただいたのが昨年でした。今年も引き続いて同じような状況になるということが予想されるのであれば、その段階においては、そういった方法をもう1回行うなり、また資材が上がった、輸入物価が上がった等々に伴うものと、いわゆる人材が不足してきていまして、例えば、この20年間全部とは言いませんけれども、多くの人達が建設現場からタクシーの運転手に職業を変えていきました。ところが現実問題として、鉄筋の曲げ工とか型枠工とか、そういった現場の仕事が急激に増えてきていますので、今はタクシーの運転手さんの人数が逆に減ってきました。人が結構足りないのです。ですからタクシーも結構拾えなくなっているでしょう、今。現実問題として、何も大都会に限った話ではなくて、地方の都市でも似たような現象が起きてきているのですが、工事現場に人が戻ってきているということなのですけれども、それでも足りないという現実があります。仕事がそこにあっても、それを消化できるだけ、入札してもそれを納期までに仕事が完了できるというだけの人がいないという問題から、その仕事は応札したくても取れない、仮に入札してそれを落札したとしても、その仕事をきちんと納期までに納めることができないと思えば、みんな応札しません。それが地方の仕事の現場で起きていまして、それは人の足りない面と、もう1つは落札しても、それによって利益が出ないというものと両方の面から、なかなか応札がなかったという状況があります。それに合わせて、少なくとも入札価格の見直しを行うとか、いろいろな形での対応をしない限りは仕事にはつながらない、すなわち政府の予算の消化とか、また景気対策にはつながらないというのが、複合的にこの1年間起きてきた結果、いろいろな話で今までとは状況が全く違ったことになっているということに、対応してやっていかないといけないのではないですかというお話を、去年の春ぐらいからずっと申し上げてきました。だんだんそれが現実的になってきて、人がという話になっているのだと思いますけれども、きちんとしたそういったようなものに対して価格の見直しをするとか、いろいろな形のものが国土交通省で、主にそういったものが行われているのですが、国土交通省だけの仕事ではありませんから、この種の仕事は。農林水産省でも似たような仕事があり、同じようなことになっていると思いますので、きちんとした対応をしていかなければいけないところなのだと、私はそう思っています。

問)

人材の面で、外国人の活用ということにつきましては、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

外国人の人材というのは、季節労務者、移民、いろいろな形での労働人口の移入というのは世界中どこでも起きる話です。日本に関しましても、3年なら3年に限ってとか、5年なら5年に限ってとか、いろいろなことが今後検討されていくことになる可能性は極めて高いだろうなと、私自身はそう思います。

問)

先日のダボス会議で安倍総理が法人税の改革について基調講演でお話しされ、法人にかかる税金の体系も国際相場に照らして競争的なものにしなければならないという御発言をされて、今年、更なる法人税改革に着手するとダボス会議で仰いました。先日の経済財政諮問会議でも、法人税の実効税率について、民間議員から現在の35%から25%に引き下げることを目指して検討すべきだという提言が出ています。これについて、改めて税制改革について、総理が仰ったようにどのように今年進めていかれるのか、大臣のお考えを聞かせてください。

答)

法人課税の件については、既に与党において議論が始められているところでもあるのですが、法人税実効税率を引き下げた時の政策効果の検証と課税ベースの拡大や、他税目での増収策の検討を行いつつ、引き続き検討するということが、与党税制改正大綱に書かれていたと思います。基本的には、今月の経済財政諮問会議において、法人課税について議論を行ったのですが、法人課税のあり方については、目先の35%から25%にという話をよく簡単にしますけれども、それはその他のそういった国々において、例えばヨーロッパで消費税は幾らですかというと20%を超えています。日本も法人税を下げて消費税を20%にするのですか、そんな議論になりますか。私はそんな簡単な話にはならないと思います。ですから、一概にこの種の話をする場合には、もっと大局的なことを考えませんと、税の競争ということで法人税の引下げ競争というようなことは、これは通貨安競争と似たようなことになりかねません。そういった意味では、いわゆる直間比率はどうするのですか、直接税と間接税の比率をどうするのですか。経済構造が日本とは随分違うようですが、日本もそのようにするのですか、どっちにするのですかというような話ですとか、いろいろなものを考えて行いませんと、いわゆる産業を一律に考えて税率を引き下げるのですかというような話は、これは産業政策全体の中で取捨選択していかないと、極めて乱暴な話になりかねません。ただ、税金を下げれば税収が下がるだけで全然効果がないというような気持ちはありません。下げたら意外と経済が刺激されて、そこで伸びる部分がありますから、税率を下げたから税収が直ちに減るわけではなく、税率を下げたことによって税収がそれほど思ったより減らなかったとか、もっと伸びたとかということも十分にあり得る話ですから、よくよく検討していかなければいけないところだと思っています。今よく言われますように、引き下げる話が出ますけれども、例えば今年、法人税率は2.4%下がったでしょう。しかし、下がった下がったと書いたマスコミはありませんでした。財界で、下げていただきましてありがとうございましたと言った人は、1人もいらっしゃいません。法人税は納めている企業の方が少ないのですから、2.4%下がっても、ありがとうございましたとかということは出ませんし、それによって税収が上がったかといえばそうでもないですし、1%と簡単に仰いますけれども4,700億円ですよ、1%違うだけで。2%で約1兆円近く違ってしまうという話ですから、それに見合うだけの税収をどこかで確保しませんと、財政再建も行わなければいけませんので。経済成長しながら財政再建も行い、二兎を追うということは、去年のG20での合意ですから、そういった意味で、このバランスは非常に上手にとらなければいけないところです。私としては、経済成長というものが大事ですと、こっちの方がより大きく比重があるのだと思っています。ですから、その方向で少なくとも設備投資減税とか、設備投資を国内でしていただいた場合は即時償却を認めますとか、いろいろな形で、国内でいわゆる設備投資、機械受注等々いろいろなものが起きてくるような形の税制というものの方が即効性があります。デフレ不況から脱却するためには、そっちの方が即効性があるのだと、私自身はそう思います。これはいろいろ意見の分かれるところだろうと思いますので、今後、税制調査会とかで、国内でそういったものとか、国外でとかいろいろな話が出てきます。海外からの投資を呼ぶためには、より税金の安いところの方にいくという話は必ず皆さんされますけれども、日本はそういったものに対してどう対応していくかというのは、今後、経済財政諮問会議等々いろいろなところで議論されていく大きな課題の1つだと理解しています。

問)

確か今年度の税制改正でも、法人税の実効税率については、長期的な課題というようなことで書いてあったと思います。大臣も今のような話、検討していかなければいけないという話だと思いますが、一方でなぜこうした法人税改革を急ごうというような話が出ているのでしょうか。確かに海外からの投資を呼び込むとか、今も大臣からお話がありましたけれども、これだけいろいろ話が出てくるというところの背景には、どのようなことがあると感じられているのでしょうか。

答)

日本にある約400万社弱の企業の中で、どれだけの企業が国際競争というものを直接やっていますか。日本のように輸出依存度が15%前後、ほかの韓国とか中国とかヨーロッパの国のような比率じゃなくて、日本は貿易立国というより内需の方が圧倒的に大きいです。GDPの約85%が内需ですから。ドル安になった方が、輸入物を買う側にとってはそっちの方が良いわけです、円高の方が。しかし円安になりますと、輸出比率が急激に増えますという話で、10%の方がより大きな効果があるように見えますけれども、現実問題として先ほど資材の話をしましたけれども、資材は高くなったわけです。そういった意味で、こういったものはよくよくバランスを見ておかないと危ない話だと思います。何となく国際的に見てとか何とかという話をしますけれども、グローバライゼーションというのは世界統一基準ということですから。世の中というのは各国、各地域別にそれぞれの基準があるので、インターナショナルになっているとは思いますけれども、グローバルになっていますかと言いますと、この20年間見ましても、その結果どういうことになったのかというのは、それぞれみんな各国いろいろ思い当たるところがあるはずなので、その国にとって、その国の長い間の産業構造とか、また伝統とか、そういったものに伴って自国の経済というものの体制に見合った税制、そういったものをきちんと組まないと大変なことになるという意識は、これは自分で経営した人なら誰でも分かる話で、かなりきっちりしたビジョンからこういうものを始めないといけないものだと私自身は思っています。シンガポールみたいに17%ですとか言えば、そちらに行けば税金を払わなくて済むというのでしたら、それだけのことを考えたら、また別の対策の仕方もあると思いますけれども、もっと違うものがあるような気がします。

問)

日本郵政グループからは、かんぽ生命の新学資保険以外に、ゆうちょ銀行の住宅ローン・大企業向け融資も申請されていると思いますが、こちらの審査状況についてお聞かせください。

答)

これについては、全く新しい新規業務ということになろうと思いますので、ゆうちょ銀行が仮に個人融資をしたとして回収をどうするんですか。回収の経験がどれだけおありですか。私は、聞いたことがないですね。全くの新規業務ということになるので、そういった意味では、私共から見ると、これは新しい新規業務ですから、今、審査を行っているという段階であって、今それをいつやるとかという判断をするという状況にはありません。

(以上)

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