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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年7月1日(火)10時48分~11時03分)

【冒頭発言】

平成26年度の予算執行調査につきましては、4月に対象事案を公表し、75件の調査を実施しておりますが、そのうち調査の終了した58件について、今般その調査結果を取りまとめました。本日の閣僚懇談会におきまして、私から各大臣に対し、今回の調査結果につきましては平成27年度の概算要求や今後の予算執行に確実に反映していただきたいという旨をお願いしております。

【質疑応答】

問)

予算執行調査の件ですが、例えば調査の中では理化学研究所の物品調達の件ですとか予算執行の効率化が徹底されていないという現状も見られますけれども、こうした結果を受けまして、改めて財政健全化についての課題について大臣の御所見を伺えればと思っています。

答)

きちんとした調査をやらせていただいておりますので、これに基づいて来年度の予算編成にあたり、こういったきちんとしたことを申し上げていますので、それを反映しているということがなければ、予算を査定する段階でそれを考慮させていただくということになります。

問)

こうした現状を踏まえて、財政健全化に向けてはどういったことが今後必要になっていくかという点について、大臣の御見解をお伺いさせてください。

答)

来年度は2010年度と対比して、赤字を対GDP比で50%にするという目標がありますので、毎年4兆円ずつプライマリーバランスの改善ということをやらせていただいています。今年度少しうまくいきまして、5兆円ぐらい赤字を改善できたことになるのですが、残りまだ3兆円あります。そういったものをきちんと目標どおりやらせていただく、上回るならば上回った分だけ2020年度にそれが影響していきますので、できるだけ早くきちんとそれをやっていくという部分と、基本的には経済成長、景気等々のことを考えて、いわゆる予算というものが確実に執行されていく、無駄のないように景気対策等々を考えて執行していく、いわゆる経済成長と財政再建の両方を考えながらやっていくということになります。

問)

7月1日ですので消費税引上げから3カ月になるのですけれども、先ほど発表されました日銀の短観では、DIが3月の前回調査よりは悪化しましたけれども、先行きでは改善も見られている数字が出ています。こうした結果を受けまして、景気の現状と先行きについて、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

答)

基本的に3カ月先の予測が一番のミソなので、今回の内容につきましても3カ月先の予測でいきますと、前回が大企業で言いますと8になる予測が結果的には12になったという点と、この次の先行きの9月の予測は15になっていますので、3カ月先の予測が8から15に増えているということだと思います。そういった意味では、景気は緩やかな回復基調が続いているというように、消費税の影響を最小限に食い止めて、そこそこ緩やかに経済の回復軌道が続いているというように判断すべきなのではないかなと思います。

問)

集団的自衛権の話でお伺いしたいのですが、今朝、自民と公明両党で集団的自衛権、部分的に行使を容認するということで一致しました。戦後自民党政権が長らくとってきた解釈が変わることについての受止めと、憲法改正ではなくて解釈という方向であることについて、大臣のお考えをお伺いさせてください。

答)

事ここに至って、改めて何も言うことはないです。随分長くかかったと思いますが、少なくとも閣議決定にこれだけ時間と手間をかけてやった閣議決定は過去ありますか。是非それも検証してもらいたいです。また、憲法改正というのはよく皆さん使われますけれども、憲法第96条を読めば3分の2以上の賛成が要りますので、3分の2がない段階で憲法改正ということを言いましても憲法改正できません。発議することが憲法上できないことになっていますので、憲法改正というのは今の状況においては現実的ではありません。ただ我々は憲法改正をずっと自民党の党是として掲げてきていますが、衆議院・参議院においては残念ながら憲法改正ができるような状況にはないということなのだと思います。現状の日本において、国民の安全や安心や財産、そういったものを考えたときに、今の状況においては憲法解釈でできる範囲で、日本がきちんと対応できるようなものにしていくということ以外、他に方法がないということなのだと思います。

問)

甘利大臣が、NISAの非課税枠のことに関して、現在年間100万円を、例えば200万円程度に引き上げられないかというような発言をされました。また、今朝の一部の報道で、対象年齢を20歳以上から18歳以上に下げることを検討するといった趣旨の報道がありましたが、大臣の御見解を教えてください。

答)

今の状況で、NISAを始めて、集まり具合を見ましても、これの需要が多かったです。一番大事なことは、今、個人で860兆円という現預金が寝ている。その現預金が、企業もそうですけれども、現預金からいわゆる投資の方に金が回っていくということが、景気とか経済ということを考えた時に一番大事です。NISAは、その手段の1つです。仮に、日本の現預金が企業やら何やら含めて1,000何百兆円あると思いますけれども、その現預金が、仮に1割、100兆円が投資に回ったとします。金利だったら0.6%とか何とかしかつかない金利に変わって、それが、仮に当期でリターンが1割あったとすると、100兆円の1割・10兆円ということは、GDPの2%ということになりますので、そういった意味では、現預金が投資に回っていくような方法に導いていくというのは、すごく大きな要素で、NISAは、そのうちの1つです。今、100万円を200万円にということを言っておられますけれども、あれは、何となくみんな自分でやったことがない人が多いからよく分かっていないのだろうけれども、払っておられる方々は、だいたい毎月10万円ずつというふうな積立預金みたいな感覚で、まずはそういうものだと、NISAに移っておられる方が多いので、だったら毎月10万円にして年間120万円でスタート、次にやるなら毎月20万円で年間240万円とか、そういうような感じにしないと、100万円にすると12ヶ月で割って月8万何千円というふうな話になりますと、結果的に割り算が面倒くさいから、12カ月掛ける5万円で年間60万円の口座が非常に多くなっているというのは、そういう理由ではないかと思います。次を考えるなら、年間240万円とか、そういった感じの方が、より現場に合った感覚かなとは思います。

問)

対象年齢を20歳から18歳に下げるという点については、いかがですか。

答)

これは、今、考えているわけではありません。投票を18歳にするとか、国民投票法の話とか、いろいろ出てきていますので、それに伴って、民法関係全部、関係してくる法律が多いので、そのうちの1つですけれども、18歳でもおかしくないと、私自身は思います。大学生ぐらいになっているし、高卒で働き始めている方もおられますから、そういった方のことを考えれば、ちっともおかしくないとは思います。けれども、他の法律が、例えば、刑法にしても、刑事訴訟法にしても、民法にしても、みんな18歳というのは、軒並みずらっと関係してきますから、パチンコ屋に入れるとか、たばこが吸えるとか、酒が飲めるとか、これ全部関係しますので、そういった意味では、今から各省が抱えております法律を全部18歳に切り換えていくのかどうかを見た上で判断しなければいけないと思っています。

問)

集団的自衛権に関連してこれから予算編成が本格化するかと思うのですが、集団的自衛権というのは防衛予算や日本の予算にとってどういう意味を持ってくる話なのでしょうか。

答)

予算というものを見た場合に、基本的には防衛力というのは、抑止力、英語で言えばディターレンスということになるのですが、ディターレンスというのは基本的に3つの要素があります。1つは力があること、はっきりしています。その力をもって、それを国の安全のために使うという国民的合意が要ります。国民的合意を得た上で、かつ我々は力もあります、その力を国家安全保障のために使うという用意もありますということを相手に知らせておく、その3つが抑止力になりますので、私共としてはその抑止力というものを十分に効果あらしめるように予算を組むということだと思います。

問)

自民党の貸金業法の改正案が、一部で報じられていまして、認定業者に限っては、融資の上限金利を29.2%に戻して、個人の総借入額を年収の3分の1に制限している総量規制からも除外するという内容になっていました。大臣もこの案を御覧になったと思いますが、大臣の御見解をお伺いさせてください。

答)

今、自民党とかいろいろなところで、そういう話があるということは知らないわけではありません。現実問題として、ヤミ金融が多くなっているのではないかとか、いろいろな意見がありますから、少なくとも、今、状況を詳しく知っているわけではありませんけれども、政府として、この話を受けて、今、直ちにこの点を検討しているというようなところではないですが、現実どんなことになっているのかということに関しては、フォローするようにと指示しています。

(以上)

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