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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年7月11日(金)10時45分~11時04分)

【質疑応答】

問)

来年度の概算要求基準、いわゆるシーリングを決める時期が近づいていると思いますが、成長戦略、あるいは地方活性化に向けた特別枠を設定するというような報道もあります。現時点でのシーリングに関しての大臣の御見解をお聞かせください。

答)

地方活性化に向けた特別枠を設定するという事実はありません。また、プライマリーバランスを皆さんすぐに忘れているのですけれども、来年度の税制の場合、何が何でもプライマリーバランスの赤字半減達成は、優先順位の一丁目一番地ですから、税収とか歳出の見直しの状況を見極めた上で予算の重点化を進めていく必要があると思っています。その概算要求のどこを重点化するとか具体的な内容については、今検討している最中です。

問)

先般、幹部人事が発令され、経産省、あるいは厚労省などとの交流人事をかなり積極的に行ったというのが今回の特徴の1つだと思いますが、この交流人事の狙いと期待される効果についての大臣のお考えをお聞かせください。

答)

厚生労働省に谷内社会・援護等担当審議官を転籍させたことが一番です。7月4日の閣議後記者会見でも申し上げたと思いますが、一体となって社会保障の推進を進めるということになると、谷内審議官の場合は、厚生労働省に勤務の経験があり、主計局においても厚生労働関係の予算を担当したことがありますので、今回、厚生労働省審議官に転籍ということにさせていただきました。それからもう1人、経済産業省より三田審議官を財務省の副財務官として受け入れています。また、財務省からはIMFの黒沢審議役を経済産業省へ出向させました。その他課長級でも、若いうちからいろいろやっておくというのが大事なのではないかということを前から言っておりました。課長級で主計局と経済産業省の経済産業政策局との間での人事交流を行うということで、是非こういった形で若いうちから双方に人が行き来するということをしていないと、徐々に縦割りが強くなっていきますから、横の動きというのがよりよく交換できるようにしていかないと駄目だと思います。また、厚生労働省の保育園担当課長と文部科学省の幼稚園担当課長が交流した結果、認定こども園ができました。絶対できないと言われていたものができました。

問)

日本郵政の上場についてお伺いします。先日みんなの党から上場前にゆうちょ銀行の減資を行うべきとの提案が菅官房長官の方にありましたが、株主の財務省としてこの提案をどのように受け止められているかをお聞かせください。

答)

そういう御意見があるということは知らないわけではありません。しかし、保有している株は国有財産ですから、この国有財産ができるだけ高く売れるということを考える、それが我々の仕事です。

問)

昨日、与党の整備新幹線のプロジェクトチームが政府への申し入れ案をまとめました。北海道、北陸で5年、3年の前倒しと、九州新幹線の可能な限りの前倒しを求めるということでしたが、その中でJRの使用料といいますか、貸付料を前倒しで活用して、北海道で2年、北陸で1年は前倒しできると聞いています。それ以上となると国・地方で年間210億円の増額が必要だということですが、以前大臣はこの件については財源が確保できるのであれば前倒ししてもいいのではないかとおっしゃっていたと思います。仮に国費の持ち出しが今より多くなると厳しい財政状況の中、そういったことは少し難しいのではないかと思いますが、申し入れ案についてはどのように考えられますか。

答)

整備新幹線については、これまでも整備新幹線というものの採算だけしか話をしない方が多いですが、整備新幹線が通ったことによって起きる波及効果も大きい。例えばそれに乗って旅行が増える。さらにグリーン車の方から予約が埋まっていったりしています。高齢者の夫婦で旅行に行かれる方が多く見受けられます。いいことですよ。その方達が買われるお土産、宿泊費等の分で消費が起きている。それがGDPに与える影響です。新幹線自体よりはるかに大きい経済効果を考えていくことは、極めてGDPの観点では大きいですから、新幹線の経営だけを見ればそういうことになるかもしれません。国全体として見た場合に波及効果は極めて大きいと私共は思います。ただ、ある程度財源の確保というのができずに、進めた場合、現実問題として予想を下回る可能性もあります。東北の場合は八戸まで延ばして、乗車率は増えたと思います。そういった意味では、青森県だけで負担されるのではなく、通過している駅の県も負担してもいいのではないかと思います。いずれにしてもこれは安定的な財源の見通しというものができない上ではなかなか難しいのが1点です。また、フリーゲージのところがあります。長崎ルートの話です。フリーゲージになる技術がいま一つというところがありますから、前倒ししたのはいいけれども、できなかった場合どうするのかという話も含めて、いろいろな問題がまだ残っているということもすこし頭に入れておいて、我々としてはこういったようなものは効果としては大きいものだと思っていますから、やれればやれた方がいいなとは思っています。しかし、財源というのは先程の質問にもあったように、2020年までにプライマリーバランスの黒字化というのが一番ですが、目先は来年2015年のプライマリーバランスの赤字半減達成が一番なので、それらを考えた上で検討させていただければと思っています。

問)

東京の国際金融センターとしての地位の向上を目指すということは、成長戦略にも書かれています。有識者会合などでは、プロボンド市場の拡充だとかというのが提言されていますけれども、大臣としては、東京の国際金融センターの地位の向上のために何が必要だと考えるか、教えていただければと思います。

答)

これは、いろいろなものが考えられるので、記者会見でこれとこれ、と言えるようなそんな簡単な話ではありません。これは、ものすごく細かい話がいっぱいありますので。ただ、これだけ金融の中において1,630兆円の個人金融資産を持ち、そのうち860兆円強が現預金で、企業は、内部留保のうち200何十兆円の現預金を持ち、合計1,000何百兆円の現預金が、じっとしているだけ。どれくらいのお金が余っているのかというところを見ていかないと、お金というのは積んでおくものではないので、回して幾らのものです。そういった意味のところをきちんと考えると、東京は、金利は安いし、治安はいいし、いろいろな意味でこの国は、十分にアジアの金融センターになり得る要素というものが、他の国には難しい部分というのがこの国ではかなりの部分、治安がいいとか、それは、簡単に直らない話だから、優秀な人が来ても、ボディーガードを連れて歩かなくてもいいとか、子どもが誘拐されないとか、いろいろ我々にとっていい条件というのは、この東京にあるのだと思います。そういったような条件を、さらに、今、アベノミクスのおかげで金融が伸びていますし、株価も間違いなく確実に上がってきていますし、下がる下がる、という皆の予想を裏切って、上がって、止まって、また上がって、そこからずっとまた上がって、前の最低レベルを割りません。今も1万4,000円から5,000円に上がったところで、割るぞ割るぞ、と言って1万5,000円を割らずに、金利は0.54%か、そちらの方が異常ですけれども、下がっていますので、やはり日本のマーケットができたら、そこは儲かる、稼ぐ力がある、ということのメッセージが国際マーケットにとっては大きいので、何となく動くのがあまり簡単過ぎて、ケイマン諸島みたいな話になってしまうと駄目なのですけれども、日本としては、きちんとした信頼できる通貨マーケットというのを背景に、日本は自由かつ稼ぐ力、成長力、そういったものが期待できるということになるのであれば、それは間違いなくマーケットは、放っておいても日本に移ってきます。あと、問題は、それを止めているレギュレーションというもので、どれを取り払えばどうなるかというのは、別の問題として残っているとは思いますけれども、まず、そういった方向で事は進んでいく。マーケットがセンターになるというのは、決して悪いことではありません。

問)

足元の海外発の問題でお伺いしますが、ポルトガルの大手金融機関の信用不安問題で、欧米の株が少し値下がりしています。欧州の債務問題自体は落ち着きある方向だと思いますが、金融問題が今後世界経済、金融市場に与える影響について、御見解をお願いします。

答)

バンコ・エスピリト・サントの話だと思いますが、これはポルトガルの上場している銀行の親会社の経営が不安定になって、短期債務の返済を延期したことでマーケットが動揺しているということだとは思いますが、こういったものに関して、私達の立場で他国の話、他国の銀行の話をコメントするというのはいろいろ与える影響がありますので、それ以上コメントすることはありません。

(以上)

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