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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年7月22日(火)12時13分~12時34分)

【質疑応答】

問)

本日、経済財政諮問会議が開かれ、27年度予算の基本方針等の案が示されました。その中で内閣府の年央試算も示され、今年度の実質GDPの成長率が1.2%のプラスということで前回の試算よりも0.2ポイント下方修正された形となりました。輸出の伸び悩みや消費税率の引上げの反動減が大きかったということだと思いますが、大臣の受止めについてお聞かせください。

答)

消費税率の引上げ前の駆け込みの影響も多かったと思いますが、やはり外需が下がったのが大きかったのではないでしょうか。外需寄与度が0.1%下がっています。外需に関しては新興国の経済等の回復が遅れていること、輸出が想定より伸びていないということだと思います。また、企業活動が活発化していますから、当然のこととして輸入の伸びが見込まれます。そういった意味では寄与度が低下しているということなのだと思います。いずれにしても緩やかな回復に伴って輸出が伸びていくだろうと思います。そういう基本的な考え方に変わりはありません。

問)

民間金融機関が払っています預金保険料の引下げを、政府として検討しているという報道がありました。また、当事者の預金保険機構の方でも、検討会を設置して議論していると思います。最終的には、財務大臣の認可が必要な事項と思いますが、大臣として、このタイミングで引下げを行うということについて、いかがお考えでしょうか。

答)

あの方針を決定したという事実はありません。ただ、27年度以降の預金保険料のあり方については、7月4日に、預金保険機構が設置している預金保険料率に関する検討会で検討されているということで、一時期ざっと預金保険を食っていましたので、その分の返済が終わって、0.08%かそこのところを引き下げた方がいいのではないかというところを話し合っています。他方、きちんとした準備金までいっているかといえば、そこまではまだ達してはいないと思いますので、意見の分かれるところだと思います。

問)

今日の経済財政諮問会議で来年度の概算要求に関する基本方針についての骨子案が示されたわけですけれども、その中で年金医療、社会保障費の自然増につきまして内容を厳しく精査していくことを含め合理化、効率化に最大限取り組むと明記されています。このことを明記された意味につきまして、大臣のご所見をお伺いしたいと思います。

答)

今、社会保障関係費総額が約30兆円、毎年1兆円ずつ自然増があります。これから団塊の世代が高齢化していくというような状況になってくると、このまま放置していれば毎年、社会保障関係費の比率が上がっていきます。今、90兆円の予算のうち約30兆円が社会保障関係費となっておりますので、持続可能な社会保障制度を考える際には、きちんと内容を検討していく必要があります。今までと同じような状況で毎年1兆円ずつ伸びていくことを放置しておくというわけにはいかないというのが、今置かれている状況です。

問)

経済財政諮問会議において、民間議員から新規国債の発行総額を前年比で抑制していくという提言がありました。これはこういう考えでやっていきたいということであるのかというのが1点目の質問です。もう1つは、同じ提言ですが、アベノミクスが来年で3年目ということもあり、民間の自律的な成長をしっかり実現してほしいという話がありました。一方で外需が厳しいという状況の中でどうやってそれを実現していくお考えでしょうか。

答)

基本的には今言われたように、国債発行額に関しては今年度も引き下げさせていただきましたが、財政再建という意味からも、来年度もできる限り引き下げ、2015年までにPBの赤字を半分にすることが優先順位の1番として考えていかなければいけません。国債の新規発行額をできるだけ減らしたい、それは私共も同じ意見です。また、我々は安倍内閣がスタートするときに資産のデフレーションによる不況からの脱却ということを基本として目指してきました。これまではデフレーションに対応するような不況対策はできていませんでした。未経験の分野でもあったので、この不況対策を行うためには、どう考えても経済を活性化しない限りは財政再建もないという大前提に立ちましたので、第1、第2、第3の矢というのをやらせていただきました。1年7カ月ぐらいでそういった目標でデフレではないという状況までは来たと思っていますが、さらに財政をきちんと立て直しつつも景気が回復していくという状況に持っていくためにはまだしばらく続けていかなければいけないと思います。今の状況は、デフレ脱却できるところまではいっていませんので、今しばらくこの状況が続かなければ、経営者の気持ちの問題として、お金を借りて投資をしようというところまではいかないと思います。内閣府の出した資料を見ても設備投資が+4.4%の予想が+4.9%に上方修正されていますけれども、それだけ設備投資が増えたから銀行からの貸し出しやマネーサプライが増えたかといえばそうではないと思います。実質、企業はまだお金を借りないで預金しているのだと思います。したがって、まだ景気の回復は本物じゃないということでしょう。設備投資を即時償却しますとか、財務省でも珍しい取組みをやっていますが、やはり20年間デフレが続いていますから、そんなに簡単に直るものじゃないと思います。これが基本的にマネタリーベースではなくてマネーサプライに回っていくまでには、市中企業に金が回るまで、もっと言えば市中金融から外に金が回るまでにまだ至っていないという状況がありますので、私共としてはこの予算の作り方というのは極めてセンシティブなのだと思います。

問)

今日の経済財政諮問会議において、民間議員から法人税収についての分析が提示されました。13年度の税収について11年度に決めた税率引下げを加味しても前年度比で7,000億円のプラスとなっております。また、GDPが構造的に回復して、法人税収もこれに連動するとされています。したがって14年度以降も構造的な法人税収の増加が期待されるというような資料になっておりました。おそらく、法人税収の上振れを使って法人実効税率を引き下げるという議論の土台としていきたいのだと思いますけれども、この資料についての大臣のご所見をお願いいたします。

答)

法人税収を引き下げるということは、過日の経済財政諮問会議や骨太の方針の中で既に書き込まれている話なので、今さら言うことではありませんし、この問題は年末に向けて財務省なり、党の税制調査会等で議論をしていくことになります。ただ、そこにも書かれているように、財源については、恒久財源を見つけなくてはいけないというのが一番の仕事ですが、民間議員の方は財源について何かおっしゃっていましたでしょうか。

問)

税収の上振れということを念頭に置いているようですが。

答)

税収の上振れは恒久財源ではありません。

恒久財源として民間の議員は何を探してくれるのですか。

問)

アベノミクスの構造的なもので税収が上振れている分は、これを恒久的な財源とみなして、税率を引き下げるべきだという論をとっていらっしゃいます。

答)

そうしたら、下振れした場合は法人税率をあげてもいいのですか。

問)

民間議員の方々は、そこについては回答されておりません。

答)

それが本当に恒久的なものか疑問です。民間議員の方には、我々が納得できるような恒久財源を是非探されることを期待します。法人税を下げれば民間は利益が増えます。その増えた利益で何をするかが大事だと思います。今、企業の内部留保は昨年末までで304兆円もあります。配当もしない、設備投資もしない、給料も上げないでそれをまたさらにためて何をするのですか。そこのところは、コーポレートガバナンスはしっかりさせていただけるのでしょうか。いずれにしても、経済再生に予算を重点化するということですが、どういうところに重点化していくというのは今からまた考えていかなければいけないところだと思っています。新しい財源を見つけるという意味で今までのベースをさらに広めていくとか、応益負担をしていただきますとか、いろいろな表現がありますけれども、そういったものを含めて考えていかなければいけないと思っています。同時に財界側というか、経営者側も儲けたお金で何をするのか。今回は政府から言われて給与を上げておられますけれども、あれは政府のする仕事ではなくて労働組合のする仕事です。組合と経営者側が労使で話をして給料なり何なりは決まるのが普通なのだと思います。そういった意味で、法人税率を下げるというのだったら、下げた分でこうしたい、さらに給与を上げたい、設備投資をこうしたい、いろいろな案が出てきてもおかしくないのですけれども。また、それに当たって代わりになる財源は何かという話を検討していただかないとなかなか簡単にはいきません。

(以上)

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