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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年7月25日(金)11時13分~11時27分)

【冒頭発言】

本日の閣議において、「平成27年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」が了解をされたところです。この概算要求基準は、昨年度に引き続き、中期財政計画に基づいて民需主導の経済成長と財政健全化目標、この双方の達成を目指すメリハリのついた予算を策定するということを基本的な考え方としております。このため、昨年度と同様の考え方に基づき、12月までの予算編成過程の中で税収や歳出見直しの状況を見て、国・地方のプライマリーバランスの赤字半減目標を達成するよう、予算の総額を定める仕組みをとっております。また、要求では裁量的経費を削減しつつ、骨太の方針や日本再興戦略などの諸課題に対応するための新しい日本のための優先課題推進枠を設定し、別途、要望できる仕組みとしております。こうした仕組みにより、弾力的な要求・要望を可能とする一方、予算編成におきましては施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化していくということとしております。詳しくはこの後、事務方より説明させます。

【質疑応答】

問)

概算要求基準の関係ですけれども、来年度の予算編成においては、社会保障費の伸びをどのように抑制していくかということが大きなポイントになってくるかと思います。具体的にどのように抑制していくのか現時点での大臣のお考えをお聞かせください。

答)

日本の社会保障制度というものは、いわゆる社会保険方式をとっていますけれども、保険料だけでは給付を賄い切れていません。したがって公費負担に相当程度、約4割程度を公費負担、つまり税金に依存しているということです。その上、この公費負担の財源も税財源だけでは不足しており、特例公債の発行を通じて将来世代に先送りし続けているという状況というのは皆さんも御存じのとおりです。したがって持続可能な社会保障制度というものにしていくためには、このような状態から脱却して給付と負担をバランスさせるということが基本になります。今般の概算要求基準でも示したとおり、社会保障に係る経費について、自然増の内容を厳しく精査していくことを含め、その合理化・効率化に最大限取り組んでまいりたいと考えています。毎年1兆円ずつ自然増があるというのでは、とてもではありませんが財政はもちませんから。

問)

本日、内閣官房にいわゆる地方創生本部の準備室ができるということで、地方の活性化ですとか、あるいは人口減対策についての予算の増額を求める声が高まることも予想されます。一方で厳しい財政事情ということもあると思いますが、地方対策を来年度予算の中でどのように位置付けていくかという点についてのお考えをお願いします。

答)

人口の急減や超高齢化社会の進展というものに対して、これをいかに克服するか、これは日本が直面する中長期的な最大の問題だと思っています。同時に骨太の方針や日本再興戦略の中心的な課題でもあります。今回の概算要求基準でも新しい日本のための優先課題推進枠には、18日の閣僚懇で総理から御指示のあった地方の創生と人口減少の克服に向けた取組が含まれることを明確にしております。各省大臣において、施策の優先順位を洗い直し、この課題に立ち向かうための要求・要望が行われるものと思っております。また、地方財政につきましては、平時モードへの切り替えを進めていく必要があります。地方財政計画の計上の見直しを行いつつ、地方活性化対策を含め、メリハリを効かせて歳出の重点化・効率化を図っていただくということが重要だろうと思っています。いずれにせよ、地方活性化対策については、予算編成過程において、真にニーズが必要なものに応えるための精査を行い、要望の対象外である地方交付税、また消費税増収分を活用する少子化対策を含めて重点化していくことが重要なのではないかと考えているところです。まだまだ、これは今から年末に向けての話です。

問)

ロシアへの制裁に関する質問ですが、アメリカとカナダが対ロシア制裁の一環として、世界銀行のロシア向け融資プロジェクトに対して反対する意向を表明しました。欧州もその方向で議論しているということですが、日本としては各国と足並みを揃えるのか、大臣の見解をお聞かせください。

答)

報道は承知しています。ただ、EUやその他の動向を踏まえて、今後どうやっていくか検討することになると思います。

問)

内閣府が今日公表した財政の中長期試算についてお尋ねします。1点目が今後10年平均で実質成長率2%を維持したということの妥当性についてどうお考えか。また、2015年度のプライマリーバランスの赤字半減目標は達成が視野に入ってきたという認識でいるようですが、0.1%の余裕しかなく、SNAベースでは相当厳しいため、補正を打てば飛ぶような数字ではないかとも思われます。大臣の御認識、御見解をお聞かせください。

答)

基本的に今回の試算では、中長期的な経済・財政の姿は前回の試算(平成26年1月)の結果と大きな違いはないのですが、2015年度の国・地方の基礎的財政収支赤字対GDP比はマイナス3.2%程度となっていましたので、赤字半減目標は達成される見込みだと思っています。しかし、その差0.1%というのは、約7,000億円程ですから、そういった意味では楽観ができるという状況にはありませんので、歳入・歳出面を引き続き厳しくやっていかなければいけないと思っています。実質2%の経済成長というのは、目標としては適当な線かなとは思いますけれども。

問)

本日の概算要求に当たっての基本的な方針を拝見しますと、要求の総額が一般会計で初めて100兆円を超えるのではないかと見られています。これについての御所見をお伺いします。

答)

100兆円があれば楽ですが、100兆円はありません。それをいかに削減するかという話ですから、なかなか、いろいろな要求には応えづらいという状況にあることははっきりしていますね。

問)

甘利大臣が昨日、経団連の夏季フォーラムでの講演で、後期高齢者という呼び方について、熟年高齢者にしたらどうかと厚生労働大臣と相談しているという発言をされました。大臣はこの熟年高齢者という呼び方について何かお考えがあればお教えください。

答)

特にないですね。若い人は何と呼ぶのですか。65歳は何と呼ぶのでしょうか。

問)

75歳未満が若年高齢者で、75歳以上が熟年高齢者です。

答)

そうすると若い人は若年者ということになるのでしょうか。そういう言葉の遊びにはあまり興味がないです。ただ、言われてどちらが気持ちいいかとか悪いかという話は本人の気持ちの持ち方でしょう。昔は偉い方はみんな大老とか老中とか若年寄と言ったのであって、後期であろうと前期であろうとあまり私の感性には響きません。熟年と言い換えたからといってどうでしょうか。

問)

財政再建の試算ですけれども、内閣府が今日公表した試算では、やはりプライマリーバランスは2020年度で11兆円の赤字ということになっております。対GDP比でも1.8%の赤字になっております。赤字半減目標自体は達成するメドが立ったということかもしれませんけれども、そうすると財政再建はうまくいっているということで、やはり財政再建に対する取組が少し後退してしまうのではないかという懸念もあると思います。大臣は2020年度までに黒字化するメドが立たない現状でどういった方法が一番この目標を達成するために必要だとお考えでしょうか。

答)

それは一言で、これが答えですというものがあれば苦労しません。ただ、基本的にこの計画を最初に立てたときに、2015年度に赤字が半減すると予想されてはいなかったと思います。予想は外れたわけです。だから今回もいい方向で予想が外れるかもしれない。やってみないと分かりません。経済は生き物なのであって、役所が決めたとおりに経済が動くほど単純なものではありませんから、きちんとしたものをやって、GDPが増えるということは、マル1個人消費が伸びるか、マル2民間設備投資が増えるか、マル3政府支出が増えるか、この3つがGDPの基本です。そのうちの2つが止まっているため、財政支出だけでやってきたのですけれども、幸いにしてこの1年半の間、流れが変わってきてデフレーションという状況ではなくなりつつあるというところまでは来たのだと思います。それが今後どういった方向にさらに進んでいくかは、第3の矢と言われる民間の経営者、もしくは民間の意識がどう変わっていくかにかかっているところが極めて大きいのだと思います。1番目と2番目は、第1の矢、第2の矢がそれぞれきちんと方向を出して、それなりの成果を得ていますから、それに応えて第3の矢と言われる民間の意識がどう変わっていくか。法人税を下げてもらい、下げた分で利益が出る、その利益は何に回すのでしょうか。また内部留保ですか。

(以上)

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