麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年2月13日(金)10時31分~10時45分)

【質疑応答】

問)

首相が昨日の施政方針演説でこれまでの経済再生と財政再建の両立に加えて社会保障改革の3つを同時に達成していくというふうに述べられました。社会保障改革では低所得者の医療費負担軽減などの充実策も昨日紹介されましたが、厳しい財政状況の中では社会保障費全体の縮減というのは避けられないと思っております。今後の社会保障改革の道筋などについてお考えをお聞かせください。

答)

総予算の中に占める社会保障のパーセントは約30%というように、最大のシェアを占めているのが社会保障ですから、これまでの3カ年の予算編成の中においてやってきたのは生活保護の見直し、診療報酬の改定、そして今年は介護報酬の改定、大きく分ければその3つと言えるのだと思いますが、社会保障の自然増が年間約1兆円と結構よく言われるところで、小泉内閣の時に毎年度2,200億円抑制だったかな、あの時は。ずっと5カ年にわたってとにかく2,200という数字で決めてやっていったのですけれども、歪がいろいろ出ましたので、そういった意味でそれを見直して、歳出の重点化とか、また効率化を進めてきたということだと思いますね。これがこの3カ年で見て、その結果、2015年度のプライマリーバランスの半減目標が一応見込めるところまで来たということなのだと思います。いずれにしても今年夏までに策定する予定になっている財政健全化計画において、歳出の全般にわたっていろいろ見直していかなければいけないという中で、社会保障の分野というのは非常に大きな部分なので、引き続いて自然増を含めて歳出の重点化、中でも社会保障関係費の重点化を進めていく、効率化を図っていくということだと思いますね。やっぱり大きいですよ、30%というのは。

問)

今日から与党の安保法制協議が始まります。ISILによる邦人殺害でありますとか、ISIL掃討へ向けて米国政府が地上作戦に踏み出すのではないかとも見られている中ですが、日本の安全保障でありますとか国際協力のあり方についてお考えをお聞かせください。

答)

シリアにおける邦人テロ事件等を含めて、テロの脅威というのは拡大しているし、ISILというのは今までのテロ事件と違ってかなり組織化されているし、大きいし、資金もあるし、いろいろな意味で与えている脅威に対する不安感というのは、フランスのテロ事件に限らずあちらこちらで、ヨーロッパの中で起きているという意味においてはテロに対する不安、脅威というのは極めて大きいと思います。こういったものは別に遠い国の話ではなくて、その遠い国に日本から参加しようという人もいたり、またそういったところに今旅行客でいて、たまたま巻き込まれる人もいるだろうし、危機管理とかいろいろな意味でこういったものはきちんとやっておかなければいけないのははっきりしていますので、そういったものを奪還するとか取り返すというのもできないし、いろいろな意味で法制上の問題はいっぱいあるのだと思いますね。私の記憶が正確ではないかもしれないが、イラン・イラク侵攻があった時に現地にいた邦人救出というのは、自衛隊は行けない、法律的に。そこであの時は民間の航空機を送ろうとしましたが、日本の航空会社は危険だからといって行くのを拒否したのだよね、たしか。結果的に邦人救出はトルコ航空がやってくれたのだな。トルコ航空の人がやってくれたおかげで日本は邦人救出ができたというのがあの時の例だと思いますけれども、あの後トルコ航空の人には勲章を日本として贈って、たしか一昨年亡くなったと思いますけれども、その人の話も1つの例ですけれども、いろいろそういった事件に巻き込まれるようなものを含めて、テロに屈しないというのは大事なところだと思って、こういう問題に全力で取り組んでいくという姿勢をきちんと示さなければいけないと思います。こういうものに関しては確実に資金がないとそういう大規模なテロというのはできませんので、そういったテロに対して資金が流れていくようなことは、この間のイスタンブールのG20でも、いわゆるテロ資金対策について国際的な取組みというものが必要なので、これを強力に進めていく必要があるのではないですかとこちらから発言して、昨日国連の安保理でも似たような結論が出てきていますので、こういったようなものというのは、昔はあまり考えなくても良かったような話なのでしょうけれども、現実問題、ここ何年かの間こういった話があちらこちらで頻発するような事態ですから、それに対して邦人の安全を確保するためには、法律の上で整備ができていないというのであればきちんとしたことを考えなければいけないということなのだと思いますね。今まであまり考えなくてもいいような話だったのですけれども、今はもうこれだけ外国人が来て、これだけ日本から海外に人が行く時代になりましたから、こんなところまで日本人が行くという時代になりましたので、何が起きるか分からないということなのだと思いますね。

問)

2月16日から確定申告が始まります。今年は消費税が5%から8%に上がり、株式の譲渡や配当金の軽減税が廃止されて初めての確定申告になります。そこでこの季節で国税庁が宣伝しているe-Taxというパソコンを使った申告についてお尋ねします。国税庁はスポーツ選手や著名人を使ってe-Taxがいかに易しいかというのを宣伝していますけれども、この3年間で東京では1万5,000人ぐらいしか全てe-Taxで送信までできる人は増えていなくて、一方で市販のソフトを使っている人は3年間で40万人ほど増えているので、むしろ電子申告を普及させるための力の入れ方というのはe-Taxよりも一般ソフトの方に注力すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

答)

納税する人の立場に立てば、納税しやすいということの方が当然優先してくるのは当たり前の話なので、e-Taxに決してこだわる必要も感じませんけれども、きちんとした形で納税をそのソフトによって納税しやすくできて、かつ簡単にできるというのなら、それは間違いなく一番いいのを使った方がいい。

問)

昨日の経済財政諮問会議で財政健全化について議論が始まったと思うのですけれども、民間議員の方から財政健全化の進展状況を測る指標としてプライマリーバランスを対GDP比で3.3%程度改善するべきだという話が出ました。具体的には2017年4月の消費税率の10%でたしかプライマリーバランスのGDP比が1%改善すると。例えば歳出削減と経済再生、デフレ脱却によって年間で対GDP比0.5%程度のプライマリーバランスの赤字が改善するという話にたしかなっていたと思います。大臣はこの民間議員の提案についてどのようにお受け止めか、もう1つはあのペーパーの中には一言も黒字化という文字が入っていないのですけれども、黒字化という目標は堅持ということでもちろん変わりないのかどうか、その点を確認させてください。

答)

昨日も同じ話が出ましたので、私の方から質問して、3.3%改善とプライマリーバランス黒字化とは全く同意語ですねということを確認して、そうですと。同じ意味でしょうと。目的は同じことで表現の仕方が違うとしても、この表現を勝手に使われると、プライマリーバランスを2020年度に黒字化します、バランスさせますと言ってきたこれまでの総理や甘利大臣や私達が言ってきた話をいかにもこれに変更したかのごとく言われる。この3.3%とプライマリーバランスがバランスするという話と、やることは同じなのだけれども言っていることが違う、いかにも目的を変更したかのごとく誤解されるようなところだけ避けてもらいたいという話を私の方からしたら、それは当然ですという話がその時ありました。それが昨日の段階で申し上げたことなので、学者の先生方の話は難しく聞こえ過ぎていけないなと、それも言ったけれども、別にそれだけの話です。

問)

消費税で1%改善して、歳出削減と経済再生で年間0.5%という目標は実現可能だとお考えですか。

答)

3.3%とプライマリーバランス黒字化とは行き着く先は同じですから、我々としてはそれにどうやって行き着くか、どうやってそれを達成させられるかということについては、これを夏までに出しますという中でいろいろ考えていくのだと思いますけれども、今言っておられる数字というのは、一挙にとはいかないから、少しずつ、毎年0.5%ずつという表現でもいいでしょうし、少しずつ国債の発行が減っていくとか、経済成長によって対GDPの比率が落ちるとか、いろいろな表現はあると思いますけれども、やることは同じことですから、私共としては少しずつ確実にやっていく。今年の夏までに出す次の財政健全化計画でそのところを説明していくのだと思います。

(以上)

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