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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年7月7日(火)9時38分~10時01分)

【冒頭発言】

財務省及び金融庁幹部の人事異動につきまして、本日の閣議で内閣の承認を得られております。お手元に資料が配付してあると思いますが、主な幹部人事の内容につきまして、今回の財務省の本省の局長クラス以上の幹部人事ですけれども、まず、香川事務次官にはこのたび勇退をしてもらい、後任には田中主計局長を就任させます。田中主計局長の後任には福田大臣官房長を、福田大臣官房長の後任には岡本主計局次長をそれぞれ就任させます。

次に、山崎財務官にはこのたび勇退してもらい、後任には浅川国際局長を就任させます。浅川国際局長の後任には門間財務総合政策研究所長を、門間財務総合政策研究所長の後任には冨永近畿財務局長をそれぞれ就任させます。

次に、宮内関税局長はTPPを担当する内閣審議官として内閣官房へ出向してもらい、後任には佐川国税庁次長を就任させます。

また、林国税庁長官にも勇退をしてもらい、後任に中原理財局長を就任させます。中原理財局長の後任には迫田大臣官房総括審議官を就任させます。迫田大臣官房総括審議官の後任には太田主計局次長をそれぞれ就任させます。

財務省の人事異動につきましては以上です。

次に、金融庁の局長クラス以上の幹部人事については次のとおりです。

まず、細溝長官には勇退してもらい、後任には森監督局長を就任させます。森監督局長の後任には遠藤検査局長を、遠藤検査局長の後任には三井総括審議官を、三井総括審議官の後任には小野総務企画局審議官をそれぞれ就任させます。

大森証券取引等監視委員会事務局長にも勇退をしてもらい、後任に佐々木検査局審議官を就任させます。

河野金融国際審議官、池田総務企画局長はそれぞれ留任させます。

金融庁の人事異動については以上です。

【質疑応答】

問)

ギリシャ問題についてお尋ねします。財政緊縮策受け入れの賛否を問う国民投票で反対が6割を占めました。EU側とギリシャの交渉の出口が見えない状況で市場への影響も懸念されますけれども、日本政府としてはどのように対応されるお考えでしょうか。それと、今後のEU側とギリシャの交渉について、EU・ギリシャにどのような対応を期待されますでしょうか。

答)

国民投票の結果については承知していますけれども、チプラス首相は国民投票後の昨日、交渉のテーブルに戻ると述べておられます。ユーロ諸国としては国民投票の結果が出た後のギリシャ政府の対応を待っているところで、責任ある対応を求めるという立場なのだと承知しています。ユーロ圏の財務大臣会合を6月27日土曜日にやっていますが、その声明にもありますようにECB、欧州中央銀行とともにユーロ圏経済の安定のためにあらゆる方策を講ずる用意があると述べています。たしか5,000億ユーロの資金支援能力を持っておりますESM、欧州安定メカニズムなどのセーフティネットを使って整備もされているところでもありますので、これは見守っていかないといけないところだと思います。日本とギリシャの場合は直接の金融とか経済の関係というのは限定的でもありますが、ギリシャ問題の対応には遺漏がないようにしておかないと何が起きるかわからないとは思っています。昨日も政府・日銀関係当局、早朝より協議を行ったところでもありますので、緊密に連携をしてしっかり対応していきたいと思っています。いずれにしても世界経済というものが安定的に成長をしていくということのためにはこのユーロ圏やEUの経済の安定というものは極めて重要だと私共もそう思っております。

問)

今回の人事の狙いについてお伺いいたします。まず1つが田中次官ですけれども、戦後初めて主計局長と主税局長を歴任され、昔、安倍総理の秘書官をされていらっしゃったと思いますけれども、田中次官に期待されることをまず1つお伺いしたいのと、あと、全体の今回の財務省の人事の狙いについて大臣の意図があれば教えてください。

答)

基本的に経済の再生と財政の健全化の両立というのは、この内閣にとって最大の重要課題と思っていますので、それをきちんとやっていく意味におきましては的確に対応ができている人材を私共としてはきちんと整備をしていくという観点が一番肝心なところで、そういう意味から主税局長、主計局長、いろいろ経験してきている田中を次官に充てるということにさせていただいたということです。

問)

先週の金曜日の午後に発表された決算ですけれども、2014年度、税収53兆9,707億円と1993年度以来21年ぶりの高い水準ではありますが、消費税分を除くとリーマンショックの直前にも及ばない水準です。まずこの53兆9,707億円という、前年度より7兆円高い水準なのですけれども、それについての評価をお聞かせください。あと、1.6兆円の剰余金について、これからその歳出、支出の拡大を求めるような圧力というのも出てくるのではないかと思うのですが、それについてのお考えを改めてお聞かせください。

答)

まず基本的には、この内閣になってからトータルで、最初は42兆円だったと思いますが、54兆円というのは12兆円プラス。それだけ増えているということですよね。だから12兆円増えているということだと思いますので、少なくともそのうちの消費税が約6兆円ぐらいですから、そういった意味からいったら、間違いなく景気とか経済というものが良くなっていなければ税収がそんなに伸びるはずがありませんから、経済政策はそれなりに功を奏していると考えてしかるべき。消費税はそのうち約6兆円くらいですから、それ以外のものが法人税、所得税等の税収で入っていることを意味しますから、経済は間違いなくそういう方向になっているのだと思っています。そして予算について、余りが出るではないかという意見が出ますけれども、これは御存じのように法律によって半分以上は国債の返済、償却に充てなければならないとルールが決まっていますので、そういった意味ではそこに充てるということですけれども、残りが出た場合につきまして、何に使うかというのは今の段階でまだ言える段階ではありません。

問)

本日発表された人事のことでお伺いいたします。今度次官に昇格される田中さんは1979年の入省で、そうすると木下前次官、香川現次官、田中次期次官、3代連続で同じ期から出ることになります。霞が関の慣例ですと次官というのは大体同期に1人という形の人事が続いてきたわけですけれども、同期から3人目ということについて大臣はどのようにお考えか。それから同期から3人次官が出るというのは、これは初めてではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

答)

まず初めてではないです。賀屋興宣、あの世代で3回やっているでしょう。そういった意味では昭和の代に賀屋興宣先生をはじめ、そういった時代があります。あの方がやられて、次に1人挟んで、その次にあとまた2代出てきていますので、そういった意味では3人出られたことは過去にあります。それから2回が、杉本と丹呉の時が2回だったと記憶します。今回3回目ということで、先程述べましたように今の時代において主税局長をやり、主計局長をやり、総理秘書官もやったという経験なり見識なり、そういったようなものは極めて今の時代に適切だと思っていますので、適材適所を配置するという意味からも今回の次官の人事につきましては、主計局長にする時からそういう方向というように考えていましたから。

問)

ギリシャの問題について再度お尋ねします。ECBの方は理事会を開いてELAは引き続きすると。ただ条件は厳格化するということで、少し資本規制をギリシャ側は続けていかざるを得なくなっている、8日までは資本規制は、銀行の口座から下ろせる量というのは限定的になっていると。こういったことというのはギリシャの経済にとってあまり良くないというふうには指摘されています。一方で7日にEUの首脳会議があって、ここでギリシャ側が新提案をすると。今後、大臣としてこの問題について注視していかなければいけないポイントというのはどこにあるのでしょうか。7日の新提案がどういった形で受け入れられるのか、または否か、または今後債権、ギリシャのサムライ債もありますので、次にどういったことを注視していかなくてはいけないのか、お聞かせください。

答)

日本にとってはどうかということなのだろうけれども、極めて限定的ではありますけれども、ギリシャ自体のEUの中でのGDP比率で2%あるかな、そんなものでしょう。だから、10%も20%もあるような話ではないので、限定的だとは思いますけれども、これはやはり何が起きるかわからない。ギリシャがこれまで発行しているギリシャの国債、何十兆円とあると思いますけれども、それをどこが持っているのかといえば、大きな国は持っているわけで、仮に破綻ということになるとそれが全部取りっぱぐれということになりますから、結構大きな債権が、何兆円という債権の穴が開くことになりますので、それは結構な騒ぎと考えないといけないのだと思いますけれどもね。ギリシャとして、ユーロから離脱するという話も出ていますが、イギリスみたいにEUから離脱するのと訳が違いますからね。よく混線して書いている人が多いけれども、EUとユーロときちんと分けて考えておかないといけないところだとは思います。いずれにしてもギリシャにとってこれは、財務大臣が辞められたり、いろいろしていますけれども、内容としてはこれに対応していくのは極めて財務的にはきつい仕事になるのだと思いますけれどもね。少なくとも銀行があと何日間動くのだか、ATMが動かなかったらとか、いろいろなところでいろいろ騒ぎが出ているのは海外の報道で出ているとおりです。そういった意味では対応策として何がといえば、結束は守りたいという意識は財務大臣会合でも首脳会議でも一致しているみたいですから、そこは落としどころをいろいろ研究されるのだとは思いますけれども、これ以上ELAなんかを無制限に出していくなんていうことはもうないということだけは、そう思っておかないといけないと思いますけれどもね。対応をどうしていくか、詳しく見えてこないところですね、そこはまだ。もうしばらく時間がかかります。

問)

金融庁の人事についてお伺いします。今回、金融庁長官、細溝前長官から1年で交代ということになりました。1年で交代になった理由をお聞かせください。2つ目は森新長官のもとで期待される金融行政、あるいは金融行政の課題について教えてください。

答)

1年半で交代した森さんなんかの例もありますので、普通2年ぐらいで、この前の3年が珍しかったのだと思いますけれども、1年半という例もありますので、財務省は毎年1年ですし、そういった意味では別に特にそれに問題があるから辞めてもらったとかというわけでも何でもないことだけは確かです。それから、ここでは逆に河野の方が次官より年が上でもそのまま留任していますから、今、金融庁の中で国際金融に関して少なくとも日銀といろいろ連絡が密にとれて、インターナショナルの世界で一番顔のきいているのはまず河野であることは万人認めるところだと思いますので、そういった意味では適材適所でさせていただいているというふうに御理解いただければと思います。

問)

再び税収のお話についてお尋ねします。去年の一般会計の税収の伸びは15%だったわけですけれども、このうちの法人税についてお尋ねします。法人税は11兆円で前の年より5,000億円増えたわけですけれども、このうち2,000億円は日銀の保有する外貨建ての資産の引当金の積み増しに伴う税金だと主税局から説明を受けていますので、差し引くと企業が払う法人税は3,000億円ぐらいで、伸び率にして3%も伸びていないわけです。これはつまり企業業績が好調と伝えられる中でこういう実態ということは何を意味するのかということと、これは今後税収増によってプライマリーバランスの赤字を縮小させようという経済財政諮問会議の主な論調は間違っていると言えるのでしょうか。

答)

今の中で税収を払うという時にいろいろなやり方があったのだと思いますけれども、例えば円が安くなっているから輸出というのであれば、輸出は額をそのまま据え置いて、輸出額ですよ、値段をそのまま据え置いてやれば、シェアは伸びないけれども利益は増える。これは1つの選択肢です。逆に収益を抑えてシェアを取るという方向にとれば今言ったように利益は減ります。そのかわりシェアは増えるということになります。だけど、海外の利益が順調だからといって、それをそのままこちらの利益に、国内の利益に反映されるというわけにはいかない部分もある。それだけではありませんけれども、基本的な姿勢として今シェアを伸ばしていこうという方向であれば、これは今度は逆に日本の中における利益は減りますから、当然税収は減るということになるのだと思いますので、少なくとも企業は去年9月まで、今年のものはまだ出ていませんから、1年間で、おととし9月から去年9月まで約24兆円の内部留保が増えていますから、月割り2兆円、だから極めて大きな利益が出ていた分を何に使われたかといえば、設備投資に使われてみたり、いろいろな形で国内でも使っていただいたのだと思いますが、それでも増えている。今年9月はどういう数字が出てくるかわかりませんけれども、そういった意味では企業として、我々としては長い間のデフレというマインドからきちんと体制を整え直して、少なくとも国内で消費が増えるためには給与を上げてもらう、配当金を上げてもらう、設備投資をしてもらう、GDP成長にはこれですから、その3つを主にやっていただきたいというお願いはずっとしてきております。そういった方向になっているのか、これはもう少し数字をよく見てみないとわからないところですけれども、今申し上げたような感じになってきているのかなとは思っています。

問)

人事の話に戻ります。財務官人事のことについてお伺いいたします。先程大臣は大体1年で幹部は代わるというふうにおっしゃられましたけれども、財務官はここ近年、去年の古澤さんは1年3カ月と短かったのですが、2年ぐらいやられるケースが多くて、やはり通貨マフィアと呼ばれる財務官は大臣会合のお膳立てをするという意味では関係各国との関係、すぐころころ代わるよりは長くしっかりやった方がいいというお考えで多分2年という任期が続いてきたと思うのですけれども、今回、山崎財務官は去年7月に就任して1年で退任されるわけですが、財務官人事も今後は1年というお考えなのか、それとも今回1年になった理由をお伺いできればと思います。

答)

特にそういった理由、主に山崎だからとか何とかだからという意識はありませんね。少なくとも浅川の場合も国際局長をしていますし、山崎の場合もそれまでに国際局長をしていますので、国際局長と財務官といったら海外における立場というのは、財務官の方が偉いですけれども、基本的には顔が売れているという点に関してはほとんど同じような感じだと思っていますので、今言ったような意識はありません。

(以上)

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