麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年8月21日(金)9時45分~10時00分)

【質疑応答】

問)

政府税制調査会についてお尋ねします。現在、所得税改革に向けて有識者からのヒアリングが進められていますけれども、今後、財務省としてはどのような議論を期待されますでしょうか。秋には中間取りまとめが予定されていますが、来年度の税制改正に反映できるように取りまとめてほしいとお考えなのか、それとも中期答申は来年夏なので、来年度以降に反映できればいいというふうにお考えなのか、いかがでしょうか。

答)

政府税制調査会において今、世の中随分いろいろなことが変わってきていますので、例えば高齢化しているとか、人口構成が大きく変わってきているとか、家計とか再配分の話とか配偶者の話とかいろいろ出ていますので、データ分析を含めまして有識者からのヒアリングなど、今、積極的に議論を進めてもらっている段階であると聞いています。私共としては誰が負担を負うべきかといった個別の制度論に入る前に、まずは様々なデータ分析をしておいて、経済社会の構造が今どう変化しているかの実像というものの把握に向けて丁寧に議論を進めていただくということを期待しているというのが一番大きな背景です。

問)

少し時間がたってしまったのですが、先週、中国が人民元の基準値を引き下げました。中国側は市場の実勢にレートを合わせたというふうな言い分なのですが、輸出を下支えるための政策というふうにも見て取れると思います。大臣としてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

答)

中国の為替制度というものに関してということですけれども、基本的に中国の為替、元の話が市場で決まる相場システムに移行していくという流れを引き続き進めようとしているのであれば、中国のマクロ経済の安定にとっては重要なことなのだと思っています。いずれにしても日中関係というのは経済関係が極めて密接なので、為替制度のあり方というものを含めて予断を持たずに注視していかないと、ある日突然に政府が介入するということが頻繁に起こると、なかなか我々としても難しい対応を迫られることになりますので、市場のメカニズムがよりよく働くような方向というのを期待していますね。

問)

大臣というお立場ではなくて自民党の議員として総理・総裁御経験者としてお尋ねしたいことがあります。9月に予定されている自民党の総裁選ですけれども、現在、安倍候補の無投票再選の流れが強いという報道があり、弊社もそう伝えています。麻生さんは2006年9月の総裁選に出馬される時には、この時は第1次安倍政権でしたけれども、安倍候補独走とか当選確実だから不満があるけれども出馬しないというのはいかがなものかと立候補の理由を語っておられました。

答)

それは、福田さんの時ではないかな。福田さんの時に8派閥まとまって福田支持で、総裁選挙がなくなるという話だったので、あの時幹事長をしていたと思いますけれども、少なくとも8派閥ぱっと決まって幕が上がった時にはもう芝居が終わっていたというのはいかがなものかというふうなことを言って、8派閥対うちだけでしたから1対8でやった、あの時に言ったせりふではないですかね。

問)

今の無投票再選の流れについての御意見を伺わせていただきたい。

答)

総裁選挙というのは、僕は基本的には3年に1度いろいろな形でいろいろな方々が御意見を言われるというのは良い機会だと思っていますから、何もなくというよりは、きちんとした形の総裁選挙が行われた方がいいのだと、私はそう思っていますけれどもね。

問)

今国会に提出されているマイナンバー法改正案についてお伺いしたいのですが、預貯金口座への付番というのを柱とするこの法案ですけれども、当初6月に成立するという見通しだったのが年金機構問題で大幅に遅れて、ただ、今は与野党との調整も済んで今国会で成立する見通しだとも報じられています。税と社会保障の分野での適正な業務の執行という意味で、あるいは今後のマイナンバーの利用範囲の拡大という面において、非常に重要な節目になる法案ではないかと思うのですが、改めて今国会での成立に向けて、マイナンバー法案の改正案についての御所見をお聞かせください。

答)

昔、グリーンカードというのがあったのを覚えていますか。竹下大蔵大臣の時ではないかな。あれは通ったのだよね。

問)

たしか1回通って、ただ、反対が強くて撤回になったという理解ですが。

答)

法律は通ったんですよ。だけど、現実にはならなかった。あの時にはいろいろ反対が出たんです。今回はどうですか。

問)

今回もまだマイナンバーへの国民、あるいは特にセキュリティー対策とか安全面での不安というのは完全に払拭されていないと思います。ただ、今回の改正法案は直接、あくまで預貯金口座への付番とか健康情報の引き継ぎとか、あくまで今回は利用分野を拡大するという改正法案なので、もともとのマイナンバー法案というのは当然通っているわけですから、今回の預貯金口座への付番を対象とする改正案ということが今国会で成立するということについての御所見を伺えればと思います。

答)

僕は基本的にはこの種の話は公平ということを旨として話をする場合には、これは間違いなくマイナンバーという1つの技術の進歩によって、いろいろな形で、税制の話にしても、資産とか所得とかという話でいくとフローとストックの話になりますけれども、そのストックを含めていろいろな形できちんとした対応ができるようになり得る可能性が、このマイナンバーというのはあると思っていますから、その意味においては良い方向になるのだと僕はそう思っています。

問)

株式市場についてお尋ねします。今日の日経平均は前日にアメリカの株価が下げたこともあって約5週間ぶりに2万円を下回りました。背景には中国の景気減速に対する懸念が広がったとの見方もあると思うのですけれども、これについて大臣のお考えを聞かせてください。

答)

中国の場合は、落ち方が昨日おとといの話ではなくて、その前の話があり2つ重なってきているので、少なくとも下落しているというのは大きな要素だったろうと思います。原油がウエスト・テキサス・インターミディエイトでは41ドルぐらいですか。WTIがつい1年ぐらいまで約100ドルでしたから、それが41ドルということは間違いなくその種の意味では経済に及ぼす影響というのは、良い影響が出るのだと思っています。しかしながら少なくとも景気に減速懸念が出てきたというのが大きな理由だと思います。株価が上がったり下がったりすることはいちいちコメントすることはありませんが、流れとして今言われたように中国の部分というのは大きな要素になっていることは間違いないので、何となく7.0%増というGDPの数字も、本当に7.0%までいっていますかという話になってきているのでしょう。だからそういった意味では李克強指数やらいろいろな指標が出始めましたから、そういった動向というのは引き続き注視して見ておかないといけないという感じはしますね。

問)

麻生派に属されていた武藤議員についてお伺いします。一連、御本人はまだ説明されていない、フェイスブックで書き込みはあるのですけれども、派閥の長として何らかの説明であるとかこれまで受けていらっしゃったのかどうかと、今回の金銭トラブルについて御感想があれば。

答)

一昨日でしたか、離党届を提出したという話を党から連絡があって、それを受理したということも承知していますし、政府として申し上げるというような事柄ではないということははっきりしていると思っています。武藤貴也氏個人から、やはり一昨日でしたか、来られて、プライベートな問題で迷惑をかけていることに関するお詫びと、それから離党届を提出したということだったので、基本的には個人に関わる話なのだから行動としては、判断としては正しいと。ただ、今後は法的な立場というものがきちんと出てくるので、その事実関係を明らかにするようにした方がいいという話と、本人は自分も向こうの、最初に言った人に対して訴えている立場でもありますので、法的な場所できちんとしていきたいという話だったので、その方向でやってくださいという話はしてあります。

問)

政治家として未公開株というものを売買するという行為に関してはどうお感じですか。

答)

未公開株イコール悪という話ももちろんあるのでしょうけれども、僕は事実関係がはっきりわかりませんけれども、少なくとも小さな会社をスタートする時に、俺の会社に投資してくれと。その株が上がったら、それも未公開株と同じ扱いになるわけで。明日上場するのに当たって未公開株を渡された話と。未公開株の定義というのは難しいのだと思います。未公開株という定義が極めて難しいので、ちょっといい加減なことは言えない。ただ、基本的には今言ったようなことはきちんと個人で説明できるようにしないといけないということだけは、はっきりしています。

(以上)

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