英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年9月1日(火)10時44分~11時02分)

【冒頭発言】

9月4日から5日にかけてトルコのアンカラで開催されるG20の財務大臣・中央銀行総裁会議に出席する予定です。この会議で世界経済についての議論が行われる見込みですが、私からは中国経済について発言をしたいと思っています。上海株式市場に端を発した最近の金融市場というものの変動に注目が集まっているのは御存じのとおりですが、私としては、これは表面的な市場の動きだけにとらわれるのではなくて、その背景にある中国の構造的な課題というものを見極めることが重要だと思っています。そのために中国経済に何が起こっているかということについてG20で率直な議論が行われることが有益であろうと考えています。

【質疑応答】

問)

2016年度の各省の概算要求が、昨日提出が終わりまして、要求総額が102兆円台と過去最大規模に膨らんだと我々の方では推計しているのですけれども、来年の参院選を控えて与党内からも各事業の増額要求が、去年より増やしてくれという声がさらに強まって削減が進まないのではないかという懸念があると思うのですが、財政健全化とどう両立を図られるのかということを重要な問題なので改めて予算編成に向けた考え方をお聞かせ願えますでしょうか。

答)

概算要求というのはこの3年間どんなことになっていますか。

問)

伸びています。増えていますよね、前年と比べて。

答)

何も今年だけ増えたわけではないですよ。ずっと3年間増えているのだから。今年だけ増えたわけではなく、去年も過去一番、その前も過去一番。概算要求というのは御存じのように昨日8月31日に締め切られて、財務省において提出されたものの内容を今いろいろと作業が行われているところです。そのため、この総額について現段階でのお答えは差し控えます。いずれにしてもこれから始まる予算編成において、今からいろいろ要求内容を精査していくことになるのですが、最終的な予算額を少なくとも経済・財政再生計画の目安を踏まえたものにしていかなければならないということに関してははっきりしているのだと思います。27年度、今年度の概算要求は101兆7,000億円だったのですが、最終的に歳出総額は96兆3,000億円になりました。PB赤字、いわゆる基礎的財政収支の半減目標の達成が見込めるということで経済再生と財政健全化の両立が可能であるという予算とさせていただいたところです。こうした実績の上に基づいて今年度も引き続き手を緩めず本格的な歳出改革に取り組むということで、経済・財政計画の初年度になりますけれども、計画をしっかりと具体化をして我々の経済再生と財政健全化の目標という、2018年、2020年の目標につながる予算としていくような予算編成にしていかなくてはいけないなと、基本的にはそう思っています。

問)

昨日、税制改正要望が締め切られたと思うのですけれども、各省庁からはベビーシッター代の控除とか、子育て支援ですとか企業活動を支えるための20%台への実現を来年度にも達成してほしいというような減税の要求があったと思うのですが、財政難の中で減税の余地というのも限られるので優先度をどうつけていくかということが課題になるのではないかと思うのですが、それについての現時点での大臣の御所見をお聞かせください。

答)

子育て支援の話は、昨年もありましたが、税制改正要望は8月末に出されることになっているので、具体的なお答えをするというのは今この段階では不可能なのですけれども、これまでの全体の流れとして、税制優遇が高齢者の方に偏って若年層に対する配慮が足りなかったのではないかという感じが私はしていますし、そういった流れというのは皆同じような考え方だと思いますので、そういったものを十分配慮したものに考えていかなければいけないなとは思っています。

問)

ベビーシッター代の控除というのが内閣府と厚生労働省から目玉の要求として掲げられているのですけれども、これについてはもし実現されたとしても高所得者が中心になって、本当に必要な人に届くのかどうかとか様々な論点があると思うのですが、まだまだこれから検討ということだとは思いますが、現時点でのお考えをお聞かせください。

答)

報道があることは知っていますし、厚労省からもその種の話が来ているのは知っていますけれども、それは今から検討されるという話の内容の1つです。

問)

冒頭にお話がございましたG20で中国経済について御発言するということですが、この内容について現段階で可能な限りで結構なのですが、どういった内容についてお話しされるか、もう少し詳細をお話しいただけないでしょうか。

答)

現段階で具体的に申し上げることはないです。これだけ言えばメディアから発信されて、向こうは一生懸命考えるでしょう。この話は向こうから持ち出してきた話ですからね。この間、日本と中国との財務大臣会合をやったでしょう。あの時に来年議長国なのでG20で何をやりたいかということに関してはBEPSを大いにやったらいいよということは言いました。中国語でいろいろ発信されていますよ。英語の記事にもなっているし。考えていると思いますよ。

問)

東芝の不正会計問題でお伺いします。昨日、東芝は有価証券報告書の提出期限だったのですけれども、昨日は出せないということで、再び提出期限の延長を申請して承認されました。投資家にとっては、東芝の過年度決算も含めて不正会計の全容がまだわからない状態が続いているわけですけれども、この状況を麻生大臣はどのように御覧になっていますでしょうか。

答)

少なくとも、提出期間を8月31日と切ってあった後、7日間延長したというのは間違いない事実です。これは、金商法によってルールが決まっていますから、やむを得ない事情にあった場合何とかと書いてある、そのとおり実行しただけなのです。内容を知らないわけではありませんけれども、早くこういったことはやらないと、という感じはしますから、きちんとできなかったということは、誠に遺憾です。少なくとも、7日間ということでもありますので、こういったものが速やかに正確な情報が開示できるということを我々としても期待しています。

問)

概算要求についてなのですけれども、個別の概算、防衛省の予算なのですが、防衛費の要求額が5兆円超ということで、4年連続で過去最大の要求額となりました。参院での安保法制の議論では、安保法案が成立することで防衛費が今後増えていくのではないかという質問が数回ありましたけれども、それに対して総理は、装備の大増強が必要にもならないし、防衛費が増えるということはないというふうにおっしゃっています。中期防衛力整備計画で2018年度までの計画は決まっていますが、その先は決まっていないと。大臣も常々おっしゃっているようにその先については安保環境を勘案して決めていくということです。改めて安保法制が成立して自衛隊の活動範囲に制限がなくなれば、訓練とか油の購入代など防衛費というのは増えざるを得ないのではないかという意見がやはり一部では強いですけれども、これについて大臣はどうお考えでしょうか。

答)

これは総理が言われたとおり、中期防衛力整備計画で0.8%というのは決まっていますから、それに合わせて確実に防衛力の整備を図る、これは当然のことだと思っています。加えてこの問題については総体的な話というか、日本を取り巻く環境が厳しいものになれば、それだけ防衛費が増えざるを得ない、当然のことだと思います。そういった意味では我々としては今中期防衛力整備計画、あれは5カ年計画なのだと思いますけれども、予算総額が決まっていますので、これが変更されるということはちょっとないのだと思っています。その他いろいろな状況に関しては、それは陸の部分が海に回ったり、いろいろな形が考えられるのであって、ガソリンの話が出ましたけれども、石油代金は安くなっていますし、その意味では大分違ったものになってきたり、いろいろこういったものは事象において変化するのですけれども、今、急激に防衛費の予算が増えるというわけではありません。

問)

先程G20の話がありましたけれども、世界経済について議論があると思います。中国経済が弱くなっているという見方から新興国を中心に今後経済が厳しくなるのではないかという見方が広がっていますけれども、大臣の世界経済の現状認識について教えていただけますでしょうか。

答)

世界経済全体、中国の場合が我々日本にとっては世界の193カ国で見ますと最大の貿易相手国、いわゆる輸出入の相手国としては今中国が一番ですから、その経済がどうなるかというのは日本の経済にとって大きな影響があるということは確かです。ただ、よく経済記事を見ていると日本は貿易立国と書いてありますが、日本のGDPの中に占める貿易というのは今すごく大きくなったと言って15%程度だからね。ついこの間まで10%だから。残りの90%は内需ですよ。30%、40%いっているドイツとか中国とかというのは貿易立国と言われるのかもしれないけれども、日本の場合はそれに当たらないという大前提を置いておかないと中国との付き合いで具合が悪くなった途端に日本の経済が具合悪くなるなんていう構造では日本の場合はない。だからそこのところをまず大前提に置いた上で、日本の場合はヨーロッパの経済が少なくとも今のギリシャの話でふらふらしてみたり、いろいろ状況が影響しているとは思いますけれども、ドイツがかなりの部分で中国経済と関係を深めていますから、中国の具合が悪くなったらドイツに影響が出てくると。それは、ひいてはヨーロッパ経済に大きな影響を与える確率は極めて高くなってくるのだと思いますね。アメリカの場合は雇用やら何やら確実に今良くなってきてはいるというように数字の上ではそうなっていますけれども、簡単にそれほどいくかなという感じはします。ただ、労働賃金等、良くなってきて確実に増えてきていますから、そこのところはアメリカの経済の方がヨーロッパに比べれば緩やかながら回復傾向にあるのだと思いますので、日本の場合は少なくとも、4-6月期の数字を見ても、この間、過去最高の経常利益を出していますし、いろいろな意味で日本の場合は確実に内容が良くなってきているということは確かだと思います。こういったようなものにどれぐらいの影響が出てくるかというのは、常に他国のことを気にしておかなければいけないとは思います。日本の場合は、この間まで328兆円と言われていた内部留保がさらに増えていますが、増えてきている内容が今までと違って、304兆円から328兆円まで24兆円増えたという去年に比べれば、少なくとも設備投資も比例して増えている、給与も増えている、従ってそういった意味では今回の方が前回に比べれば、企業は得た利益を確実に賃金もしくは設備投資に回しているというのは数字としては良い傾向だと思っています。しかし、間違いなく内部留保がさらに増えてきているという状況というのはまだまだ経営者の意識として給与とか設備投資等にもっと積極性が出てきてもおかしくないのではないかなと思っています。そういう積極性が出てくれば、日本が経済というものにきちんと対応しているというのを示せる形にはなると思います。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る