英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年9月8日(火)10時21分~10時40分)

【質疑応答】

問)

軽減税率制度について伺います。大臣は先日の外遊先で、複数の税率を入れるのは大変だということで対象品目は、酒類を除く飲食料品の案で検討していることに言及されました。改めて酒類を除く飲食料品の案を指示している理由についてお聞かせください。

答)

これは前々から与党からこの種の話についていろいろご意見があったのでそちらの方、すなわち財務省の方で案はないのか、知恵を絞れという要請に基づいて考えています。こちらは要請されて出します。従って、私の言っているのは、同じ種類の品目の中で、例えばイクラはいいけれどもキャビアは駄目だとか、何とかはいいけれどもあれは駄目だとか、線引きを行う場合には、これは消費者にとってものすごくわかりづらいですし、事業者、インボイスを書く方にとっても線引きの判断というものが迫られるので、そういったものが面倒くさいのではないですかと、一般的に言われていることを申し上げたのです。いずれにしても今財務省において軽減税率制度の課題をどう克服するかということへの方策を検討しているところというのが基本的な趣旨です。

問)

今検討されている案ですが、買い物をする際にはいったん一律10%の税率を払うと。マイナンバーカードで情報を蓄積していって後から差額分の2%分を振り込むという還付方式をとる場合、逆進性を緩和するという観点では還付する額に年間の上限額を設定する方法も有効だと思いますが、その辺り大臣のお考えはいかがでしょうか。

答)

思いますがというのはそちらの意見ですね。基本的にはいろいろな案が考えられるので、今の段階で我々としては何を考えているかというと、与党からは、いわゆる軽減税率制度の課題を乗り越えるべく知恵を絞ってほしいという案を受けて我々がやっているのであって、軽減税率という名に値する案でなければ、与党の要請に応えたことにならないのではないですか。私は基本的にそう思っていますので、低所得者に消費税負担の軽減を味わってもらえるということなのであって、報道であったような給付金では成し得ないのではないかと思っています。軽減税率制度になると、いろいろよく言われているように、この品目がいいとか、新聞はいいけれども雑誌は駄目だとか、いろいろな話がいっぱい出てきますから、対象品目の設定は極めて難しいという話や、インボイスをやる業者は大変な手間がかかるという話や、高所得者にも恩恵があるとか、いろいろな話を受けると、これらを克服するための工夫というものが必要なのではないのかということを申し上げているのであって、軽減税率制度の基本的な特徴を兼ね備えつつ、軽減税率制度の課題を克服するというのが中核的なコンセプトなのだと思っていますので、我々の案というのを今後、提示させていただいて、それを与党でご議論いただくということではないでしょうか。

問)

今提示するというふうにおっしゃっていましたが、今回財務省で検討している還付方式ですと公明党が主張してきた軽減税率制度とは若干異なるわけですが、今週、与党税制協議会が再開されるのに際して、自民党も含めて公明党にどのように説明していくおつもりでしょうか。

答)

今申し上げたような趣旨をそのまま説明する予定です。

問)

酒を除く飲食料品を対象にした場合に税収減が非常に大きいことが問題だと思いますが、そこについてどのような形で制限をかけていくのかということをお聞かせください。

答)

軽減税率によってどれくらいの税収減が起きるかはどういうところに線引きをするかによって変わりますので、はっきりした額を今これぐらいと言うことは難しいと思いますけれども、酒類が入るということになると大きなものになるだろうと思います。私共としては酒類を除く食品ということを申し上げているのであって、その額がどれくらいになるか、正確なことは今の段階でわかっているわけではありません。

問)

マイナンバー、あるいは個人番号カードを使うということになると国民の消費行動とか事業者の流通過程のいろいろな物の流れとかがかなり広範にマイナンバーカードで把握されるようなことになるのではないかという、その点については相当懸念もありますし、プライバシーの観点からの懸念もこれから出てくるのではないかと思うのですが、それについて現時点でのお考えをお聞かせください。

答)

消費税の軽減税率制度にマイナンバーという話ですけれども、軽減税率の趣旨とかその意義というのを体しつつ、制度の課題を克服するというのが我々に与えられている中核的なコンセプトなのだと私共は理解していますので、具体案がだんだんできつつあるのだと思いますけれども、その内容を今お答えする段階にはないということだと思います。

問)

大臣は先程、軽減税率の名に値するような案でなければ与党の期待に応えたことにはならないというふうにおっしゃいました。もう1つは、軽減税率は基本的な特徴を兼ね備えつつ課題を克服するものにするというお話なのですけれども、大臣が考える基本的な特徴というのはどういうものになるのでしょうか。ヨーロッパですと、買い物をする時点で複数税率が存在して、その時点で消費者が恩恵を受けられる。仮に後日還付するという方式、日本型であるとすると、それはやはりヨーロッパとは違う形になると思うのですが、大臣が考える軽減税率の基本的な特徴というのはどういうところになるのでしょうか。

答)

低所得者への配慮だと思います。それが一番大きなところなのではないですか。軽減税率の基本的な特徴は、そうだと思いますけれども。

問)

東芝の不正会計問題についてお伺いします。昨日、東芝が決算と有価証券報告書を提出しました。有価証券報告書の中で、証券取引等監視委員会からの有価証券の虚偽記載で課徴金を受けることを前提に、84億円超の引当金を計上していますけれども、これは東芝が独自に試算したものだと思いますが、この数字というのはこれから出てくるであろう証券取引等監視委員会の課徴金の目安ととらえていいのでしょうか。

答)

個別の事案について、今この場で知っている情報は限られていますので、答えは差し控えさせてもらいます。

問)

再び軽減税率についてお尋ねします。先程の質問で財源についてありましたけれども、これまで与党の税制協議会などで主税局が示した税収減の大きさについて、お酒を除く全ての飲食料品を2%軽減した場合は、1兆3,000億円というふうに試算されていたと思います。いずれにしろ日本型軽減税率制度を導入すると、税収減の分の財源を確保して社会保障制度の充実に使うべきだと考えますが、財源の確保というのは今回の新制度の導入に並行して確保されるのでしょうか。それとも少し後から考えることになるのでしょうか。つまり今は制度設計が優先されて、財源の確保は後回しになりますか。

答)

どれくらいこれで税収減になるかというのは確定していません。それに対してどうやって財源を確保するかということに関しては、額がまだ見えていない段階では、目下検討中としか今は答えようがありません。

問)

これだけの新たな制度を財務省が知恵を絞って出されるということになりますと、与党の受け止めもそうですし、総理も大変関心をお持ちになっていると思いますので、これまで大臣は総理との間でこの軽減税率制度に対してお話になられたと推察しますが、総理はどのようなお答えというか、受け止めをされているのでしょうか。

答)

総理とどのような内容を話したか、今日も30分ぐらい話していましたけれども、いまだかつてぶら下がりでもしたこともない話をこの会見で話すことはありません。

問)

軽減税率の関係でお伺いします。今回財務省が検討されているような還付方式ということになりますと、買い物の際に、例えば10%へ上がった時ですと、10%はかかってしまうことになるのですけれども、そういった意味では消費者にとっては痛税感といいますか、買う時の痛税感というのは残ってしまうと思うのですけれども、これについては大臣どうお考えでしょうか。

答)

その段階で引いて渡すとかいろいろな方法がありますけれども、その人の所得が幾らでとか、例えば所得制限をするとかという話に、仮になったとした場合、その時にはその段階で対応はできません。従って、我々としては最終的に年度末なり年末なり、そういった話で金が戻ってくるとかというような還付というものをやるのであって、いわゆるばらまきで一律幾ら還付しますとかという話ではなくて、物を買われた額に応じて限度額を決めてやりますという話をするということになるのだと思いますけれど。その点は、買った段階での痛税感というものに関しては減じないのではないかという指摘は間違っていないと思います。

問)

軽減税率のことで確認したいことがあるのですけれども、一部報道で軽減税率に関して大臣が見送るような意向だと、軽減税率を見送る意向が大臣にあるといった趣旨の報道があったのですけれども、今考えられている還付の方式というのはあくまで軽減税率の制度の範囲内で行われるものだという認識なのかどうか確認したいんですけれども。

答)

軽減税率制度で一番不満が出てきたというのは、事業者にとってインボイス等の制度が新たに加わるというところが一番大きくて、消費税免除になっている零細業者に関しても同様なインボイスを求められることになるので、事業者の事務負担が大きく増える点というのが最大の問題だったのだと私共はそう思っています。どこでどう仕分けるかというような話より、具体的な事務手続きの増大というのが大きな問題だったと思っていますから、私的にはそのことを申し上げたのであって、いずれにしても財務省においては基本的な方針に変わりがあるわけではありません。少なくとも与党の要請に沿って課題を克服するための検討を今しています。我々の案はこれですということを申し上げるのであって、今から12月まで与党でいろいろまた検討されるのだと思いますから、そこで答えが出てくるのだと思います。要請に基づいて出すのが我々の案ですから。

問)

この制度に関して、インボイスは煩雑、事業者にかなり事務的な負担を強いるというお話がありましたけれども、今回の新たな案では消費者にカードを持ち歩く必要があったり、店舗にカード読み取り機をつけたり、あるいは年末か年度末に差額を戻したりというシステム構築ですとか、かえって消費者にとっては煩雑だったり、店舗にとっては設備などの煩雑さを強いることにはなりませんでしょうか。

答)

見解が違うのだと思いますけれども、少なくともカードを持っていくことに関して、クレジットカードを持って歩くことと同じではないですか。クレジットカードを持っていくのは煩雑ですか。今の時代、顔パスでお願いしますと言うと、ツケが後から回ってくるというほどですか。みんなクレジットカードを持って歩いているのと同じことだと思いますので。少なくとも我々としては、今だんだん具体案が出てくる。もっと現場を歩いておられる国会議員の先生方は、その中でいろいろな案をいろいろなところから聞いてこられて、我々の出した案からいろいろ修正されていかれるのだと思いますけれども。少なくともカードを持っていきたくなければ持っていかないでいいのです。その代わり、その分だけの減税はないということで、我々としては、別に忘れたからどうということではありませんし、少なくとも今言われたようにそのカードを持って歩き、減税を受けるわけですから、それによって煩雑だと言われるような話はなかなか。何もなくて全て顔パスでいけるというような時代ではないと思いますけれども。全てツケで、後でできるという時代ではないのではないですか、今は。そんな感じがしますけれども。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る