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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年10月23日(金)11時10分~11時29分)

【冒頭発言】

ワシントンDCで、現地時間の22日に開催されたGEF、地球環境ファシリティの評議会において、石井菜穂子氏がCEOに選挙で再任されることになりました。任期は4年ということになります。日本人では石井氏が最初なのですけれども、これまでの業績や日本の地球環境問題への貢献というのが高く評価された結果なのだと思っています。GEFが石井菜穂子氏のリーダーシップの下、開発途上国の地球環境問題に対する取組への支援に対して、引き続き着実にこの仕事を進めていくということを期待しています。

【質疑応答】

問)

軽減税率の対象品目についてなのですけれども、与党協議が来週から始まります。財務省の還付制度案では対象はお酒類以外の飲食料品ということでしたけれども、大臣は望ましい対象品目についてどのようにお考えでしょうか。

答)

消費税の軽減税率制度については、平成27年度の与党税制改正大綱において、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入するという話と、平成29年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、それから安定財源について早急に具体的な検討を進めるとされておりますので、これを踏まえて与党で検討されていくのだと思っています。対象品目については、まぎれがないようにしっかりと線引きがされないといけないのだと思いますし、これまでの与党の議論においては、これを扱う事業者が異なる税率ごとに商品を管理し、経理・納税を行うという必要が生じますので、こうした事業者の手間のことも念頭に置いて検討していただかなければならないのだと思っています。また、安倍政権の新3本の矢の中の1つは、「安心につながる社会保障の構築」。消費税率の引き上げは、まさにこれを実現するためのもので、社会保障を充実させるという意味ですから、軽減税率によって税収が減り、その分だけ社会保障の充実・強化ができなくなっていくということになっては元も子もありませんから、社会保障と税の一体改革の枠の中で安定的な恒久財源を確保するということは不可欠ということを申し上げております。対象品目の範囲というものもこれを念頭に決めておく必要があるのではないかということです。また、与党においてもこうした観点や低所得者対策、これは一律にやれば高所得者も同じになりますから、低所得者対策という趣旨を踏まえて検討が行われる方がよろしいのではないかと思っております。いずれにしても財務省としては与党の検討が円滑に進むよう対応していかなければならないと思っていますので、与党における議論を今後見守っていきたいと思っております。

問)

先日NTTドコモが携帯電話の販売店で、生命保険を売り出すという方針を発表しました。携帯の販売店は、契約についてはプランがわかりにくいとか、契約期間の説明が曖昧だとか、消費者保護の観点からいろいろ問題も指摘されているわけですけれども、そういう場所で生命保険というリスク商品を売ることについて、金融担当大臣としてはどのようにお考えかということをお聞かせください。例えば2年契約だったはずが自動的に延長されているとか、料金のプランが必要のないものを契約されているとかオプションをつけられているとか、そういうことが巷で非常に指摘されている状況ですので、そういうところで売る商品として生命保険というものがふさわしいのかどうかという点について、どのようにお考えでしょうか。

答)

携帯電話の契約内容について、いろいろな意見が出ているということは、総務大臣からも話があったし、安倍総理の方からも1回意見があったと思いますので知らないわけではありません。質問の意味がよく分からないのだけれども、電話販売会社は、電話のそういった契約のことすらあまりよく説明ができないのに、ましてや難しい生命保険の説明をできるはずがないじゃないかということでしょうか。

問)

消費者にとってわかりにくいことになりませんかねという懸念がないでしょうかという個人的に思う質問です。

答)

個別の案件についてコメントすることはないです。一般論でしか答えられないのですが、保険商品の募集を行うというものは保険業法に基づいていろいろ登録を受けて教育を受けて管理やら何やらいろいろなことをやる必要があるのですね。したがって、保険会社と保険募集人においては、顧客に対して保険の商品に関して内容等を十分かつ丁寧に説明をするというような、保険募集をやるためにいろいろな条件がありますから、それをやらなければいけないということになっています。金融庁として、各保険会社において保険の募集が管理されて、保険募集人において適切な募集が行われるように指導、監督していくというような一般的な答え以上のものはありません。

問)

10月末の金融政策決定会合で追加緩和が行われるかどうかということで市場関係者の間では話題になっているのですが、先週金曜日、テレビのインタビューに出られた際に、多分今すぐ金融緩和というのはないというような御発言があったのですが、改めて、現段階で追加緩和の必要性についてどのようにお考えか、御所見をお願いできますでしょうか。

答)

主に日銀の黒田総裁のところで決まる話なので、基本的にはその判断は日銀に委ねられるべきものなのだと思います。今かなり大胆な金融緩和というものを実施してきておられますので、2%の物価安定目標というものを実現することを期待しているのですけれども。原油は今日40何ドルですか。WTIは45~46ドルですかね。以前は100何十ドルでしたから、そういったものが下がっていますので、経済全体にとって良いことははっきりしていますけれども、物価を上げるという点からすると原油の値段が半分以下になるということは、それはかなりのもので、そういった意味では状況としては難しいと思います。このような状況下で物価を上げる、インフレターゲットをするために、金融でやれる範囲というものは限られていると思いますね。以前、竹中平蔵大臣のときに当座預金残高の目標をやって、結果としてあのときは、正確な記憶ではないけれども30兆円ぐらいだったと思うのですが、結果的に物価は上がらなかった。なぜ上がらなかったかというと需要がないからです。今世の中にはお金がないのではなくて需要がないのだから。だから物価が上がらない。そういった意味では黒田総裁の方もそこらのところをいろいろ考えて、需要というものがもう少し出てくるようにするためには、今例えば企業の内部留保が賞与や給与に回ることによって、働いている人の可処分所得が増え、それによって消費が増えるということを期待する部分はおありになるかと思いますし、また我々もそれはそう思いますから、いろいろ話して働きかけてもいるわけですけれども、そういったものが両方相まっていくということだと思っていますので、今すぐ日本銀行の金融緩和だけによって本来の目的というのはなかなか行きにくい状況にあると、我々にはそう見えます。

問)

私も個別企業のことについてお尋ねしたいのですが、ぜひ一般論ではないお答えをいただきたいと思います。横浜市のマンションで基礎工事のデータが偽装されて建物が傾いた問題、これが連日大きく取り上げられています。国土交通省では省内で連絡会議をつくり、菅官房長官は一昨日の会見で重大な問題だと受け止めていると厳しく言われています。昨日になってこの工事の担当者がほかに40件あまりの物件を担当していたことや工事を請け負った旭化成建材が全国の3,040件についてデータを調べるということも公表され、不安は広がっています。こうしたことがGDPの構成要素の1つであるマンション販売などを含む民間住宅投資に影響を与えるものなのか、あるいはそうでもないものなのか、今大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

一概にその種の話は、個別の案件で、それこそ言える話ではありませんし、国土交通大臣に聞かれた方がより正確な答えが出てくるのだと、適切に対応していただけるものだと考えていますけれども。今のことに関して、きちんとした対応がなされるのが当たり前なのであって、なされていない方が問題なのだと思いますので、そういった意味では、GDPに影響があるかといえば、よりきちんとした商品なりマンションができ上がるということが確実になるということは間違いなく良いことですから、そういったものができ上がるということになるという方が、より消費する側、購入する側にとって、大丈夫かなと思って物を買うよりは安心して物が買えることの方が消費は伸びやすくなるという面もあると思いますね。

問)

税制改正の進め方について大臣のお考えをお伺いしたいのですけれども、今回、軽減税率の制度設計の途中で総理からの指示というのが出ました。税制改正というのは非常に専門性があって、しかも国民に負担を求めるという、非常に難しい制度設計が求められると思うのですけれども、そういった中でこれまで与党税制協議会と財務省の方で制度設計に当たってきたと思いますけれども、今後そういう決定過程というのは変わってくるとお考えでしょうか。

答)

変わってくるという定義をもう1回教えてください。何をもって変わってくるというわけですか。

問)

これまでですと与党税制協議会と財務省、総務省で具体的な制度設計が進んできたと思うのですけれども、これからは、例えば制度設計の途中で総理官邸からの意見が出てきたり、もしくはほかの、今いろいろな政府の会議等ありますけれども、そういったところの議論も含めて今後制度設計の中で加わってくるのかというところを大臣のお考えとしてお聞きしたいのですけれども。

答)

これまでも最終的に与党税制協議会で決められた話と財務省との間で最終的にはきちんとした調整がなされて、この何十年間か決まっていたと記憶しますので、そういった意味では今回も党の総裁としてぜひという話を宮沢税制調査会長に指示され、その内容がその直後に私どもも聞かされて、財務省としてはその方針というものは伺っていますので、そういった方向に沿うよう、与党もいろいろ検討されると思います。我々としては少なくとも低所得者等に対する配慮、高所得者とは別にするというふうなことをやれるような方式ということを考えて我々の案というものを過日出しましたけれども、そうではないという御意見が公明党やら何やら出されたそうですから、それだったらそういったものに沿う案を公明党で考えられるのだと思いますので、そういったものを受けて我々としては宮沢税制調査会長がリーダーシップを発揮されてやっていかれると思います。そういうことに関して言えば、落ち着くところは与党税制協議会と政府というか、財務省との間で齟齬が起きるというようなことはない。その点に関して今までと同じだと思います。

問)

先程の金融政策の質問で確認なのですけれども、これまで、政府・日銀は2%目標を目指してやってきたわけですが、現在のCPIを見ると原油価格の下落もあって非常に低迷しております。2%目標自体の妥当性について、例えば2%目標自体を見直す必要性があるかどうか、引き続き2%目標を目指して日銀は金融政策を運営するべきなのかどうか、大臣は先程、金融でやれる範囲は限られるというお話がありましたけれども、それでもやはり2%を目指すべきなのか、大臣の御所見をお願いします。

答)

基本的に大体先進国は2%ぐらいのものですが、8%、10%のものを2%とかに抑える方で、日本みたいにマイナスをプラスにして2%ということを掲げている国は他にありませんから。デフレーションで不況をやっているのは世界中で今日本だけですから、そういった意味ではこの20年間、日本の場合はかなり特殊であったことははっきりしています。そういった中で2%のインフレターゲットというものを結んで、オープンエンドでここまで進んできましたので、我々としてはその方向は基本的に間違っていないと思っていますから、2%の目標を今この場で変える必要は、私は感じませんけれどもね。

(以上)

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