麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年10月30日(金)11時28分~11時41分)

【質疑応答】

問)

財務省は少子化に対応しまして、全国の公立小中学校の教職員定数を2024年度までに原則として3万7,000人以下に削減するように文部科学省に求めています。一方で文部科学省は現場の実態を分かっていないのではないかというような反発も出ているのですけれども、大臣はこの教職員数のあり方についてどのようにお考えでしょうか。

答)

今、日本の義務教育、小中学校の教員が、いわゆるいじめの話や事務作業等で極めて忙しいことになっているという事実は我々もよく理解しているところです。こうした問題というのは、文部科学省が言うように教師の数さえ増やせばいいのか。それよりも事務職員を増やしたほうがよっぽど良いのではないか。教員より、そういったいじめの話であればカウンセラー、部活で言えばコーチとか、そういった方を増やした方がより教員本来の業務というものをきちんとできるようになるのではないですか。今、教室というのは10クラスあたりで18人ぐらい先生がいますかね。我々の子どものときに比べればはるかに多いですからね。財政制度等審議会では、そういったものから考えていくとどうだという問題提起をされたのだと思いますが、いずれにしてもこの種の問題を真剣に考えておかなければいけません。その子どもたちが将来の国債という名の借金のツケを払っていくということになりますので、次世代にツケを回しているその対象者が子どもの話になりますので、そういった意味では教育現場としてもう少し議論を深めて、文部科学省とも議論を深めていかなければならないところなのかなという感じです。

問)

個人消費の現状についてお伺いします。今日発表の9月の家計調査で実質消費支出が0.4%のマイナスになりました。民間の予測ですと1.2%のプラスに比べるとかなり悪い数字が出てきたというふうに思います。大臣の今の足元の個人消費の認識についてお願いします。

答)

総務省が発表した実質消費支出の話ですけれども、前年比マイナス0.4%となった話は知っていますし、勤労者世帯の実質実収入というのが前年比マイナス1.6%になったということで、収入は昨年と比べてマイナスになっていると言うけれども、実質賃金は毎月勤労統計を見ると2カ月連続でプラスになっています。それに、賃金引上げ率は17年ぶりの高水準になったと発表しているわけだから、この数字は少し実感と違っているのではないかという違和感があります。

家計調査のサンプルバイアスについては、小売業販売額は好調な一方、家計調査が伸びていない。この乖離は何で起きているのか総務省で検討してもらわなければいけないという話を、この前、諮問会議で私の方からしてきたのだと記憶しています。いずれにしても、今日発表されていた有効求人倍率1.24倍とか、失業率が3.4%とかいう話になっていますので、日本全体として雇用とかいわゆる所得環境の改善というのは、確実に進んでいきつつあるのだというように理解していますので、これは急激ではないかもしれませんけれども、確実に回復基調にあるのだと私どもはそう理解しています。

問)

物価目標についてなのですが、2%の物価目標を後ろ倒しにするのではないかという観測が出ているのですが、物価目標が後ろ倒しになった場合、景気への影響というのは、大臣どのように考えますでしょうか。

答)

今開催されている日銀の政策決定会合において、議論されるのだと思いますけれども、この金融政策というものについては、これは日本銀行に委ねられているわけですから、我々としてこれがどうなるかというのは、今の段階でこういう方法にしますとか、言う段階にはないのだと思っています。経済物価情勢というものを見ながら日本銀行として物価目標を実現するというのは引き続き努力をされていかれるということだと思います。これはちょっと日本銀行の話なので、私どもとして直接これにどうこう言うつもりはありません。

問)

今の質問に重複するところもありますし、これも日本銀行の政策判断とおっしゃられるかもしれません。1年前に日本銀行は追加緩和をされました。最初の追加緩和は一昨年の4月でしたけれども、日本のこうした日銀の質的・量的緩和政策は過去2回を見るとマーケットに対して驚き、サプライズ効果を含めた判断をされてきました。一方でアメリカのFRBはこの10月の引上げはしませんでしたけれども、今後次のFOMCまでの間に各委員が各地で講演をするなど、マーケットにその判断をなるべく浸透させてからというような動きをしています。この日米で随分金融緩和、あるいは金融政策の判断のアプローチの仕方に違いがあるようですけれども、大臣はこのマーケットにサプライズを伴うような政策というものについては、どのような受け止めをされていますでしょうか。

答)

日本銀行の黒田総裁とFRBのイエレン議長、そんなに違いがあるとも思いませんけれども。FRBは最初、上げるということを結構サプライズの話で言ったのだから。そして上げないようにしたわけでしょう。あの時、私は上げないと言った方がよほど驚きました。G20出席の際にアメリカの都合だけではいけないと、アジアや新興国からキャピタルフライトが起きるぞというような話などがいろいろ出て、多分延期したわけでしょう。今回も昨日だったかな、最終的に決めているのですけれども、これは双方とも連絡を密に取り合っておられますから。他国に対して与える経済効果が大きいですから、自国の都合だけでやるのはやめた方が良いという話は、もうこの2年間、何回かアメリカと話をしていますし、アメリカも事実与えた影響やら何やら考え、昨今の中国、アジア、ドイツ、ヨーロッパ等の状況を見ながら、アメリカもここは自国の都合だけではなくて慎重にやっていかなければいけないと思って、今回の金利の値上げを見送ったのだと思います。慎重に考えているという態度なので、それは黒田総裁と基本的に違っているところはないと思います。

問)

先程の教職員定数の問題ですけれども、先生が忙しいという他に子どもの学力向上という観点から教職員が多い方がいいのではないかという提起も文部科学省側からあると思うのですが、子どもの学力という点から教職員の定数を大臣はどうお考えでしょうか。

答)

世界の中で日本の義務教育の水準は極めて高いと思いますけれどもね。日本の大学が高いという話はあまり聞いたことがないけど、少なくとも小中学校においては、勉強のやり方の問題、教え方の問題等いろいろあるのかもしれませんけれども、間違いなく日本の学習能力、また教育水準、知識水準は高いと思います。その意味においては、日本は教職員の数が増えたら、レベルが上がるという話とは直接的な関係はあまり感じられません。

(以上)

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