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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成28年6月14日(火)9時38分~9時57分)

【冒頭発言】

本日は、私より2点御報告申し上げます。

まず、財務省及び金融庁の人事異動について、本日の閣議で内閣の承認が得られておりますので、主な幹部人事の内容についてお伝えします。

財務省の本省局長クラス以上の幹部人事については次のとおりです。発令は6月17日金曜日を予定しています。まず、田中事務次官にはこの度勇退をしてもらい、後任には佐藤主税局長を就任させます。佐藤主税局長の後任には星野国税庁次長を就任させます。次に、中原国税庁長官にはこの度勇退をしてもらい、後任には迫田理財局長を就任させます。迫田理財局長の後任には佐川関税局長を、佐川関税局長の後任には梶川IMF理事をそれぞれ就任させます。次に、門間国際局長はこの度勇退をしてもらい、後任には武内近畿財務局長を就任させます。冨永財務総合政策研究所長は国土交通省に出向してもらい、後任には根本前・AMRO事務局長を就任させます。財務省の人事異動については以上です。

次に金融庁の局長クラス以上の幹部人事については次のとおりです。まず、7月1日付で、河野金融国際審議官には勇退をしてもらい、後任には氷見野国際担当審議官を就任させます。また、6月17日付けで、小野総務企画局総括審議官を関東財務局長に就任させ、後任には森田開示担当審議官を就任させます。森長官、池田総務企画局長、三井検査局長、遠藤監督局長及び佐々木証券取引等監視委員会事務局長は留任させます。金融庁の人事については以上です。

もう1点、熊本地震復旧予備費の第2弾として、590億円を使用することについて閣議決定しております。その内訳は、自衛隊の災害派遣活動や被災した自衛隊施設等の復旧のための経費として469億円、道路などの公共土木施設の復旧や地すべり対策等のための経費として111億円、治山・森林整備関係の災害復旧のための経費として10億円を計上しております。引き続き、準備が整ったものから、順次、予備費を使用できるよう対応してまいります。

【質疑応答】

問)

金融市場の動向についてお尋ねしたいと思います。昨日、1カ月ぶりに1ドル105円台をつけるなど、このところまた円を買う動きが強まっております。株価のほうも今日1万6,000円割れからスタートしております。背景にはイギリスの国民投票をにらんだ世界的なリスク回避、リスクオフの姿勢があると言われ、来週の投票で、もし離脱派が支持されれば、さらに円高株安が加速するとの観測もあります。大臣は最近の市場の動きをどう見られていますでしょうか。

答)

足元の為替の水準等についてコメントすることはありません。6月23日に予定されている英国のEUの残留・離脱に係る国民投票が金融市場に及ぼす影響については、いろいろ思惑等がありますので、その動向を注視していかなければならないところだと思っております。最近の為替市場については、一時急激な投機的な動きも見られていますけれども、御存じのように、急激な変動は決して望ましいわけではありませんので、為替の安定が極めて重要なものだと考えております。どのような状況が為替の過度で無秩序な動きに該当するかということについては、いろいろ言われるのですけれども、これについての具体的なコメントは差し控えさせていただきます。いずれにしても、投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向に対してはいろいろ緊張感を持って注視をしておかねばならず、必要なときにはG7やG20の合意の内容に沿ってしっかりと対応してまいりたいと考えております。

問)

消費税増税の延期に伴う社会保障の充実策について改めてお伺いしたいのですけれども、自民党や公明党の公約が公表され、10%増税で実施が予定されていた社会保障の充実策がのせられています。これについて大臣は財源や実施時期、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

答)

我々としては消費税を10%に上げるということを前提にして予算等を考えていたものに関しましては、消費税が10%に上がりませんから、物理的にできることは限られ、そういったものに関しては給付と負担のバランスを考えて、引き上げた場合と同じことを全て行うということはできないということははっきりしているのだと思います。一方、総理の方では保育の受け皿を29年度末までに50万人確保するとの話とか、介護の受け皿を2020年初頭までに50万人確保するということについては約束どおりに実施していくと述べておられます。いずれにしましてもこういった具体的な対応については総理の御発言もありますので、優先順位というものを考えながら安定財源の確保をきちんとしておかないと一時的なことになりかねませんから、そういったものを考えながら検討していかなければいけないだろうなと思っています。

問)

昨日、アメリカの大手格付け会社フィッチレーティングスが日本国債の格付けについて、格付けは維持した上で見通しを、アウトルックを安定的からネガティブに弱含みということで下げました。その理由として消費増税を延期したものの、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化目標を達成するための埋め合わせをする具体的な策が公表されていないということを要因に挙げています。海外から日本の財政に厳しい目が向けられていることについてどのように受け止めていらっしゃるのかを教えてください。

答)

民間の格付け会社、フィッチとかスタンダード&プアーズ、いろいろな会社がありますけれども、そういった格付け会社の分析とか評価の内容について一々コメントするということはありません。格付けが下がったら、金利は上がらなくてはおかしいのですけれども、金利が下がるのはどうしてですか。そんなに信用されていないのか、この話はよくわからないです。昔、ボツワナより低いとされたときがあったけれども、結果としては御存じのとおりなので。国債の信認というのは、我々としては基本的には財政健全化の旗をきちんとして、2020年度までのプライマリーバランス、基礎的財政収支の黒字化をしっかり堅持していきたいということだけははっきりさせておかなければいけないところだと思っています。

問)

幹部人事についてお伺いします。佐藤次官が今回就任されるということなのですけれども、主税局長から直接次官になるのは35年ぶりということで、佐藤氏を起用した理由と大臣が佐藤次官に期待されていることを教えてください。

答)

主税局長から国税庁長官になって次官になったのは尾崎さんがいますけれども、私が代議士になってすぐだった、56年の高橋元さん以来ですかね。少なくともこういった人事というのはそれぞれの適材適所というのを考えますので、私共としては今の役所の抱えている人材の中から佐藤が適切というふうに判断をしたというように理解してもらえればいいのではないかと思います。

問)

総理が演説で昨日、アベノミクスの果実について13兆円というふうに発言をされたのですけれども、恐らくこれは税収増21兆円から消費税の増えた分8兆円を引いた13兆円なのかなというふうに思ったのですけれども、麻生大臣としてこのアベノミクスの果実について13兆円という認識でおられるのか。

答)

果実の定義、総理の使われた定義の背景を知りませんから、私共でいけば、税収という点からいけば、税収21兆円は、国税でいけば消費税を含めて15兆円、消費税率引上げ分6兆円を引くと、それが税収増というのは理解していますけれども。それを果実という表現をするのかどうかについてはよくわかりません。

問)

金融庁の人事で金融国際審議官と総括審議官が、新たに氷見野審議官、森田審議官を充てられましたけれども、この人事の狙いについてお聞かせください。

答)

適材適所としか言いようがありませんけれども、氷見野審議官は国際金融が長かったですから、国際機関に長いこと行っていましたし、各国の国際金融機関からの信頼も厚いのははっきりしていると思いますので、本人の能力を考えて適材適所だと思います。

問)

森田審議官は東芝問題等で企業開示を御担当されていましたけれども、その点の実績を評価されて総括審議官ということなのでしょうか。

答)

全体の取りまとめ役をやるのが総括審議官というところなのですけれども、森田審議官は、それまでも長いこと、監督局やら総務企画局やら長いことやっていますし、そういった意味では、これはどう考えても適材だと思いました。

問)

三菱東京UFJ銀行が国債のプライマリー・ディーラーの資格を返上ということを財務省に伝えたというふうに報じられていますけれども、その事実関係についてと、実際にメガバンクの一角がプライマリー・ディーラーの資格を返上するということについて大臣の所感を教えてください。

答)

報道されたことは知っていますけれども、直接話があったということは聞いていません。プライマリー・ディーラーの資格を返上というのは各行、自分でお考えになることなので、損得計算をいろいろされた上での話だと思いますので、逐一コメントすることはありません。

問)

国債についてお尋ねします。昨日、財務省で「国の債務管理の在り方に関する懇談会」が開かれて、そこで財務省が行ってきた海外の国債のセールス活動、IRについての資料が配布されました。ここでは海外の投資家の関心事として満期が100年の100年債や永久債の発行について、この可能性にも関心があるというふうに記述されています。これは一般的によく言われているヘリコプターマネーという概念にも一部通じるものだと思っています。大臣はこれまで、国会では常々、このヘリコプターマネーの議論が出るたびに、かつて小泉政権時に議論されていた経済財政担当大臣の竹中平蔵さんとの議論を引き合いに出されて、否定的なお立場をずっととられてきました。しかしながら今、金利のイールドカーブがフラットになっていますし、流通市場では、ほとんど市場が縮小しているという状況では、このヘリコプターマネーを容認するような環境が整っているのではないかという意見もあります。大臣はこの環境変化についてはどのようにお考えですか。

答)

昨日開かれた「国の債務管理の在り方に関する懇談会」が開かれたということは、民間の有識者の方々で構成されている懇談会でいろいろ御意見があったということは知っていますけれども、今言われたようにヘリコプターマネーというのが一時期、いつ頃でしたか、中川秀直先生や竹中平蔵先生を含めていろいろ言っておられましたし、あの頃も日本銀行が30兆円のお金を出しましたが、市中銀行までお金は行くのですけれども、そこから先、市中からお金が広がらないということは既に証明済みですし、今現在でも問題なのは、お金があるないという話ではなく、実体経済における需要の絶対量が不足しているところが問題なのですから、そういった意味で金利を安くしたからといって特に需要がなければ、そのお金は生きてこないというのは、これまでで既に証明は終わっていると思いますけれども。

(以上)

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