III  主要行等監督上の評価項目

III -2 財務の健全性等

III -2-1 自己資本の充実

III -2-1-1 自己資本の適切性・十分性

III -2-1-1-1 意義

主要行等が、預金者等の信認を確保するため、自己資本の充実を図り、リスクに応じた十分な財務基盤を保有することは極めて重要である。そのため、主要行等は、リスク特性に照らした全体的な自己資本の充実の程度を評価するプロセスを有し、質・量ともに十分な自己資本を維持するための適切な方策を講じる必要がある。

III -2-1-1-2 主な着眼点

III -2-1-1-2-1 取締役及び取締役会

  • (1)取締役は、銀行が取っているリスクの性質及び水準並びにリスクと適切な自己資本の水準との関係について理解しているか。

  • (2)取締役及び取締役会は、戦略目標を達成するためには、それに見合う資本計画が不可欠な要素であることを理解し、戦略目標に照らして適切な資本計画を策定しているか。

  • (3)取締役会は、経営計画の策定に当たって、現在及び将来において必要となる自己資本の額を戦略目標と関連付けて分析し、同計画において、戦略目標に照らして望ましい自己資本の水準、必要となる資本調達額及び適切な資本調達方法等についての概要を示しているか。

  • (4)取締役は、リスク特性に照らした全体的な自己資本の充実の程度を評価するプロセス及び質・量ともに十分な自己資本を維持するための適切な方策を講じることに十分に関与しているか。

  • (5)国際統一基準行については、取締役及び取締役会は、資本計画の策定に当たり、バーゼル銀行監督委員会「バーゼルIII:より強靭な銀行および銀行システムのための世界的な規制の枠組み」(2010年12月)(以下「バーゼルIII」という。)及びバーゼル銀行監督委員会「グローバルにシステム上重要な銀行に対する評価手法と追加的な損失吸収力の要件」(2011年7月)(以下これらの文書を含むバーゼル銀行監督委員会における合意を「バーゼル合意」と総称する。)に従い、平成28年以降に段階的に積立てが求められる資本バッファーを十分に勘案しているか。

III -2-1-1-2-2 自己資本の充実度の評価

  • (1)銀行がリスク特性に照らした全体的な自己資本の充実の程度を評価する態勢は、以下の内容を含む適切なものとなっているか。

    • マル1あらゆるリスクを確実に認識し、評価・計測し、報告するための方針と手続き

    • マル2上記マル1において認識し、評価・計測したリスクとの対比において自己資本の充実の程度を評価するプロセス

    • マル3戦略目標及び経営計画を考慮した上で、リスクとの対比での自己資本の目標を設定するためのプロセス

    • マル4銀行のリスク管理プロセス全体が適切なものであることを確保するための内部監査部門による検証を含む内部統制のプロセス

  • (2)国際統一基準行については、バーゼル合意の趣旨を踏まえて告示により、告示に定める水準以上の普通株式等Tier1資本、Tier1資本及び総自己資本を自己資本として保有することが求められる。また、国内基準行についても、告示に定める水準以上の自己資本を保有することが求められる。これら国際統一基準行又は国内基準行は、自己資本の充実度を評価するに当たっては、自己資本の量のみならず、少なくとも以下の点を含む自己資本の質について分析を行っているか。

    • マル1普通株式等Tier1資本(国内基準行については、自己資本)は、普通株式に係る株主資本が中心の資本構成となっており、普通株式に係る資本金、資本剰余金及び利益剰余金がその主要な部分を占めているか。

    • マル2国際統一基準行については、普通株式等Tier1資本がその他有価証券評価差額金等のその他の包括利益累計額に過度に依存することにより、普通株式等Tier1比率が大きく変動するリスクが存在していないか。

    • マル3普通株式、その他Tier1資本調達手段及びTier2資本調達手段(国内基準行については、普通株式及び強制転換条項付優先株式)は、告示に規定する要件を全て満たしており、バーゼル合意の趣旨を十分に踏まえた内容となっているか。

    • マル4普通株式、その他Tier1資本調達手段及びTier2資本調達手段(国内基準行については、普通株式及び強制転換条項付優先株式)は、告示に規定する要件を全て満たしており、バーゼル合意の趣旨を十分に踏まえた内容となっているか。

    • マル5銀行がその資本調達手段の保有者に対して取得に必要な資金を直接又は間接に融通しておらず、また、当該資本調達手段を当該銀行の子法人等又は関連法人等が取得していないか。

    • マル6資本調達手段が金銭以外の財産によって払い込まれる場合には、現物出資財産の価額は適切に算定されており、かつ、かかる払込みがなされることについて監督当局の承認を得ているか。

  • (3)繰延税金資産

    自己資本の質と関連する事項として、繰延税金資産の額又はその自己資本に対する割合が大きいことは銀行の健全性の観点から問題となり得ることから、以下の点にも留意するものとする。

    • マル1繰延税金資産について、その資産性が将来の課税所得に依存していること等の脆弱性にかんがみ、税効果会計に関する会計基準等の趣旨を踏まえ適正に計上されているか。

    • マル2繰延税金資産の算入根拠と計算手続きに関して、繰延税金資産の計上額に対する信頼性を高めるために、決算短信(中間決算を含む。)の公表時に下記イ.~へ.の項目について開示するとともに、開示する計数等を基に計算手続き等に即した分かりやすい説明を行っているか。

      • イ.繰延税金資産の算入根拠(過去の業績等の状況を主たる判断基準とした場合には実務指針(注)の例示区分(4号但書の場合には非経常的な特別な原因を含む。))及び将来の課税所得の見積り期間(X年間)。

      • ロ.過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)。

      • ハ.見積りの前提とした実質業務純益の見込み額(X年間の合計値)。

      • ニ.見積りの前提とした税引前当期純利益の見込み額(X年間の合計値)。

      • ホ.調整前課税所得の見積り額(X年間の合計値)。

      • へ.繰延税金資産・負債の主な発生原因について、共通に開示すべき項目。

        • a.繰延税金資産:貸倒引当金、有価証券有税償却、その他有価証券評価差額金、退職給付引当金、繰越欠損金、その他。

        • b.繰延税金負債:退職給付信託設定益、その他有価証券評価差額金、リース取引に係る未実現利益、その他。

      • (注)「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(平成11年11月9日、日本公認会計士協会)

  • (4)国際統一基準行については、バーゼル合意を踏まえて、告示に定める水準以上の資本保全バッファー、カウンター・シクリカル・バッファーに係る普通株式等Tier1資本を、自己資本として追加的に保有することが求められる。また、告示に指定されたG-SIBs又は告示第2条の2第5項第2号若しくは持株自己資本比率告示第2条の2第5項第2号の規定に基づき指定された銀行等(以下「告示に指定されたD-SIBs」という。)については、G-SIBsバッファー又はD-SIBsバッファーとして、告示に定める水準以上の普通株式等Tier1資本を自己資本として追加的に保有することが求められる。

    資本保全バッファーとは、金融及び経済のストレス期において損失の吸収に使用できる資本のバッファーをいう。

    カウンター・シクリカル・バッファーとは、金融市場における信用の供与が過剰な場合に、将来の景気の変動によって生じるおそれのある損失に対するバッファーであり、各国又は各地域の金融当局が定める比率に当該国又は地域に係る信用リスク・アセットの額の合計額を保有する信用リスク・アセットの額の合計額で除して得た割合を乗じ、国又は地域に応じて得られた値を合計して算出する。告示第2条の2第4項第1号又は持株自己資本比率告示第2条の2第4項第1号における金融庁長官が別に指定した比率(以下「カウンター・シクリカル・バッファー比率」という。)については、金融庁が適切と認める指標(例えば、総与信・GDP比率、金融機関の貸出態度DIなど)等を参考にしつつ、日本銀行との協議を踏まえ、総合判断を行い、カウンター・シクリカル・バッファー比率を決定する。カウンター・シクリカル・バッファー比率の引上げを行う場合、当該比率を公にした日から1年以内にその適用を開始する。カウンター・シクリカル・バッファー比率の引下げを行う場合には、当該比率を公にした日からその適用を開始する。

    G-SIBsバッファー、D-SIBsバッファーとは、それぞれ、告示に指定されたG-SIBs、告示に指定されたD-SIBsに対し、当該銀行等のシステム上の重要性に鑑み、破綻の可能性を低減させる目的で損失の吸収のため資本を増強させるものであり、これらのバッファー水準は、システム上の重要性を勘案した上で告示に定める。

    国内のシステム上重要な銀行(Domestic Systemically Important Banks; D-SIBs)の選定に係るシステム上の重要性評価は、各国当局によって行われる。我が国におけるシステム上の重要性評価に際しては、まず、連結ベース総資産が十五兆円以上の国内の銀行等が評価対象とされ、マル1「規模」、マル2「相互連関性」、マル3「代替可能性/金融インフラ」、マル4「複雑性」の4つの基準に関連する12指標を用いて、各銀行等のスコアを算出する。次に、これら銀行等に含まれる国際統一基準の適用を受ける者(最終指定親会社を含む。)のうち、当該スコアに加え、特定の市場における重要性等、各銀行等の特性も踏まえた総合的判断を行い、システム上重要と評価された銀行等をD-SIBsに選定し、うち銀行及び持株会社については告示又は持株自己資本比率告示で指定する。

    なお、4つの基準に関連する12指標と各指標のスコア算出上のウェイトは下の表のとおり。

    評価基準 評価指標 ウェイト
    規模 バーゼルIIIレバレッジ比率のエクスポージャー合計額 25%
    相互関連性 金融機関等向け与信に関する以下の残高の合計額
    • 金融機関等向け預金及び貸出金の額(コミットメントの未引出額を含む。)
    • 金融機関等が発行した有価証券(担保付社債、一般無担保社債、劣後債、短期社債、譲渡性預金及び株式)の保有額
    • 金融機関等とのレポ形式の取引のカレント・エクスポージャーの額(法的に有効な相対ネッティング契約の効果を勘案できるものとし、ゼロを下回らないものに限る。)
    • 金融商品市場等によらないで行う金融機関等との派生商品取引及び長期決済期間取引に係る公正価値評価額及びカレント・エクスポージャー方式で計算したアドオンの額(法的に有効な相対ネッティング契約の効果を勘案できるものとし、ゼロを下回らないものに限る。)
    5%
    金融機関等に対する債務に関する以下の残高の合計額
    • 金融機関等からの預金及び借入金の額(コミットメントの未引出額を含む。)
    • 金融機関等とのレポ形式の取引のカレント・エクスポージャーの額(法的に有効な相対ネッティング契約の効果を勘案できるものとし、ゼロを上回らないものに限る。)
    • 金融商品市場等によらないで行う金融機関等との派生商品取引及び長期決済期間取引に係る公正価値評価額及びカレント・エクスポージャー方式で計算したアドオンの額(法的に有効な相対ネッティング契約の効果を勘案できるものとし、ゼロを上回らないものに限る。)
    5%
    発行済有価証券(担保付社債、一般無担保社債、劣後債、短期社債、譲渡性預金及び株式)の残高 5%
    時価のあるその他有価証券のうち株式の額 5%
    一般預貯金等のうち、残高が1,000万円を超える場合のその超過する部分の額 5%
    代替可能性
    /金融インフラ
    直近に終了した事業年度における日本銀行金融ネットワークシステム、全国銀行資金決済ネットワークその他これらに類する決済システムを通じた決済の年間の合計額(日本円での決済分に限る。) 8.33%
    信託財産及びこれに類する資産の残高(国内居住者からの預り分に限る。) 8.33%
    直近に終了した事業年度における債券及び株式に係る引受けの年間の合計額(国内の債券市場及び株式市場における引受けに限る。) 8.33%
    複雑性 金融商品市場等によらないで行う金融機関等との派生商品取引及び長期決済期間取引に係る想定元本の額の残高 8.33%
    対外与信の残高 8.33%
    対外債務の残高 8.33%

III -2-1-1-2-3 十分な自己資本維持のための方策

  • (1)銀行は、上記の自己資本の充実度の評価を踏まえて、 III -2-3に示される適切なリスク管理を行うとともに、質・量ともに十分な自己資本を維持するための適切な方策を講じているか。

  • (2)銀行は、仮に自己資本が不足した場合の資本調達手段と調達可能額について、資本市場における自行の評価、予想外の損失が発生し業績が悪化する局面等において通常よりも調達が困難になる可能性等も踏まえた上での評価・検討をあらかじめ行っているか。

III -2-1-1-3 監督手法・対応

  • (1)オフサイト・モニタリング

    • マル1半期毎の決算ヒアリングにおいて、自己資本の充実の状況を確認するとともに、繰延税金資産の算入根拠と計算手続きに関する情報開示の内容を確認する。また、国際統一基準行については、当該決算ヒアリングにおいて、直近の連続する二つの四半期のレバレッジ比率も確認する。

    • マル2総合的なヒアリング及び必要に応じ随時行われるトップヒアリング等の機会において、上記 III -2-1-1-2の着眼点を踏まえ、自己資本の評価態勢、質量両面にわたる充実度に関する銀行自身の分析、今後の資本政策等について確認する。

  • (2)資本調達手段の自己資本比率規制上の自己資本としての適格性の確認

    自己資本の充実度の評価に関連して、以下の資本調達手段について、発行等の届出があった場合等において、これらが自己資本比率規制上の自己資本として適格であるかについて、告示及びバーゼル合意の趣旨を十分に踏まえ、以下の点に留意して確認する。

    • マル1その他Tier1資本調達手段としての適格性(国際統一基準)

      その他Tier1資本調達手段に係る法第53条第1項第4号に規定する資本金の額の増額の届出、施行規則第35条第1項第2号に規定する新株予約権又は新株予約権付社債の発行の届出、同項第22号に規定する劣後特約付金銭消費貸借(以下「劣後ローン」という。)による借入れ若しくは劣後特約付社債(以下「劣後債」という。)の発行の届出又は同項第30号に規定する専ら銀行の資本調達を行うことを目的として設立された連結子法人等(以下「特別目的会社等」という。)による資本調達の届出があった場合等において、これがその他Tier1資本調達手段として適格であるかについて確認するためには、以下の点に留意するものとする。

      • イ.その他Tier1資本調達手段に係る剰余金の配当又は利息の支払が、法令の規定に基づき算定された分配可能額を超えない範囲内で行われるものとするために、その他Tier1資本調達手段のうち会社法上の株式に該当しないものについては、当該その他Tier1資本調達手段及びこれと同順位の利息の受領権を有する当該銀行の他の資本調達手段に係る利息の支払額並びに当該銀行の株式に係る剰余金の配当額(剰余金の額から減じられている額を除く。)の合計額が、当該資本調達手段に係る利息の支払を行う日における会社法の規定に基づき算定された分配可能額を超えない旨の契約内容になっているか。

        • (注)なお、銀行は、その株式(その他Tier1資本調達手段又はTier2資本調達手段に該当するものを含む。)に対する剰余金の配当額の決定に際し、その他Tier1資本調達手段のうち会社法上の株式に該当しないものに係る利息の支払額につき、その調達スキームの特性を勘案の上、会社法の規定に基づき算定される当該銀行の分配可能額の計算において実質的に考慮すべきことに留意する。

      • ロ.告示第6条第4項第5号に従い償還に関する契約内容を定める場合、かかる銀行の任意(オプション)による償還についての事前確認に当たっては、告示及び下記(3)に留意するものとする。

      • ハ.その他Tier1資本調達手段が、告示第6条第4項第11号の負債性資本調達手段に該当する場合、連結普通株式等Tier1比率が一定の水準(以下「ゴーイング・コンサーン水準」という。)を下回ったときに連結普通株式等Tier1比率が当該水準を上回るために必要な額又はその全額の元本の削減又は普通株式への転換(以下「元本の削減等」という。)が行われる特約その他これに類する特約が定められていることが必要となるが、当該その他Tier1資本調達手段に係る特約は、以下の内容を全て満たしているか。

        なお、当該その他Tier1資本調達手段の額のうち、その他Tier1資本に係る基礎項目の額に算入可能な額は、その元本の全額につき元本の削減等が生じたと仮定した場合に少なくとも生じると合理的に考えられる連結普通株式等Tier1資本の額に限られることに留意する。

        • a.ゴーイング・コンサーン水準として、連結普通株式等Tier1比率で5.125%以上の水準が定められているか。なお、ゴーイング・コンサーン水準を下回ったか否かの判断は次の連結普通株式等Tier1比率によるものとし、銀行は、連結普通株式等Tier1比率がゴーイング・コンサーン水準を下回ったことにより元本の削減等が生じる場合、直ちにその旨の公表及び保有者に対する通知を行う内容になっているか。

          • (i)決算状況表(中間期にあっては中間決算状況表)により報告された連結普通株式等Tier1比率

          • (ii)業務報告書(中間期にあっては中間業務報告書)により報告された連結普通株式等Tier1比率

          • (iii)法令又は金融商品取引所の規則に基づき連結普通株式等Tier1比率を公表している場合には、これにより報告された連結普通株式等Tier1比率

          • (iv)上記(i)から(iii)までの報告がされた時期以外に、当局の検査結果等を踏まえた銀行と監査法人等との協議の後、当該銀行から報告された連結普通株式等Tier1比率

          ただし、上記(i)から(iii)までの報告によって当該銀行の連結普通株式等Tier1比率が報告されるまでの間に、元本の削減等がなくても連結普通株式等Tier1比率につきゴーイング・コンサーン水準を上回らせるものとするために合理的と認められる計画が銀行から当局に提出され、当局の承認が得られた場合には、元本の削減等の効果を生じさせないことができるものとする。

          (注)なお、単体自己資本比率におけるその他Tier1資本調達手段の要件を満たすためには、告示第18条第4項第11号のゴーイング・コンサーン水準として単体普通株式等Tier1比率で5.125%以上の水準が定められていることが必要となる。

        • b.元本の削減に係る特約が定められている場合、以下の事項を全て満たしているか。

          • 元本の削減が行われる場合、当該削減がなされる部分に係る残余財産の分配請求権の額又は元本金額、償還金額及び剰余金の配当額又は利息の支払額が減少するものであること。
          • 元本の削減が行われた後に一定の事由を満たすことを条件として当該削減された部分の元本の全部又は一部の回復が可能な内容とする場合には、当該元本の回復がなされた直後においても十分に高い水準の連結普通株式等Tier1比率が維持されることが、その条件に含まれていること。
        • c.普通株式への転換に係る特約が定められている場合、以下の事項を全て満たしているか。

          • ゴーイング・コンサーン水準を下回った場合に、普通株式への転換が必要な額その他の転換に関する事項を確定の上、適用ある法令に従い、直ちに当該必要な額又はその全額のその他Tier1資本調達手段が普通株式に転換されるものであること。
          • ゴーイング・コンサーン水準を下回った場合に発行又は交付される普通株式が定款の発行可能株式総数を上回ることのないように、適切な転換下限価額が設定されており、かつ、定款において必要な発行可能株式総数が確保されていること。
      • ニ.告示第6条第4項第15号本文等に従い、元本の削減等又は公的機関による資金援助がなければ銀行が存続できないと認められる場合(以下「実質破綻事由」という。)において、これらの措置が講ぜられる必要があると認められるときに、元本の削減等が行われる内容の特約を定める場合には、バーゼル銀行監督委員会「実質的な破綻状態において損失吸収力を確保するための最低要件」(2011年1月)を踏まえ、以下の事項を全て満たさなければならないことに留意するものとする。

        • a.実質破綻事由が発生した場合に銀行の普通株式への転換がなされる内容である場合には、実質破綻事由が発生した際に、適用ある法令に従い直ちにその保有者に対して当該銀行の普通株式が交付されるために必要な事前の手続が全て履践されていること。なお、公的機関による資金の援助その他これに類する措置が必要と認められる場合においては、かかる普通株式の交付は、これらの措置が実施される前に行われなければならない。

        • b.銀行の海外子会社(特別目的会社等を除く。)が資本調達手段を発行する場合であって、当該資本調達手段を当該銀行の連結自己資本比率算定上のその他Tier1資本に係る基礎項目の額に算入するためには、当該海外子会社の所在地国の監督当局及び我が国当局のいずれか一方又は双方が、当該資本調達手段の元本の削減等又は当該海外子会社への公的機関による資金援助がなければ当該海外子会社が存続できないとして当該資本調達手段の元本の削減等又は当該海外子会社への公的機関による資金援助が必要と判断した場合に、当該資本調達手段の元本の削減等が、適用ある法令に従い直ちに行われる旨の内容となっていること。なお、この場合、当該海外子会社の普通株式に代えて、当該銀行の普通株式を当該資本調達手段の保有者に交付することを妨げない。

        なお、告示第6条第4項第15号ただし書等の適用により同号に定める特約が定められない場合には、法令の規定に基づいて元本の削減等を行う措置が講ぜられること又は公的機関による資金の援助その他これに類する措置が講ぜられる前に、当該銀行に生じる損失が当該資本調達手段において完全に負担されることが、当該資本調達手段の発行に際し開示されなければならないことに留意する。

      • ホ.銀行が特別目的会社等を通じてその他Tier1資本調達手段の発行を行う場合、当該特別目的会社等が発行する資本調達手段及びその発行代り金を利用するために発行される資本調達手段の双方について、上記イ.からニ.までに従い、その他Tier1資本調達手段としての適格性を確認すべきことに留意する。

        • (注)例えば、特別目的会社等が発行する資本調達手段に関する上記ニ.の判断に際しては、当該資本調達手段における実質破綻事由として、その親法人等である銀行の実質破綻事由が定められなければならない。

    • マル2Tier2資本調達手段としての適格性(国際統一基準)

      銀行が発行するTier2資本に係る法第53条第1項第4号に規定する資本金の額の増額の届出、施行規則第35条第1項第2号に規定する新株予約権又は新株予約権付社債の発行の届出、同項第22号に規定する劣後ローンによる借入れ若しくは劣後債の発行の届出又は同項第30号に規定する特別目的会社等による資本調達の届出があった場合等において、これらが自己資本比率規制上のTier2資本調達手段として適格であるかについて確認するためには、以下の点に留意するものとする。

      • イ.劣後債権者の支払請求権について、破産手続における配当の順位は、破産法に規定する劣後的破産債権に後れるものとする旨の定めがあるか。これに加えて、少なくとも会社更生、民事再生等の劣後状態が生じた場合には、劣後債権者の支払請求権が一旦停止し、上位債権者が全額の支払を受けることを条件に劣後債権者の支払請求権の効力が発生するという条件付債権として法律構成することにより、結果的に利払い、配当を含め上位債権者を優先させる内容となっているか。

      • ロ.上位債権者に不利益となる変更、劣後特約に反する支払を無効とする契約内容がある旨の記載があるか。

      • ハ.告示第7条第4項第5号に従い償還等に関する契約内容を定める場合、かかる銀行の任意(オプション)による償還等についての事前確認に当たっては、告示及び下記(3)に留意するものとする。

      • ニ. 告示第7条第4項第10号等に定める特約その他の定めを付す場合、上記(2)マル1ニ.に記載された点に留意するものとする。

      • ホ.銀行が特別目的会社等を通じてTier2資本調達手段の発行を行う場合には、当該特別目的会社が発行する資本調達手段及びその発行代り金を利用するために発行される資本調達手段の双方について、上記(2)マル1イ.からニ.まで又は上記マル2イ.からニ.までに従い、その他Tier1資本調達手段としての適格性又はTier2資本調達手段としての適格性を確認すべきことに留意する。

        • (注)例えば、特別目的会社等が発行する資本調達手段に関する上記(2)マル1ニ.又は上記マル2ニ.の判断に際しては、当該資本調達手段における実質破綻事由として、その親法人等である銀行の実質破綻事由が定められなければならない。

    • マル3旧告示における資本調達手段としての適格性

      国際統一基準行が平成25年3月30日までに発行した資本調達手段のうち、その他Tier1資本調達手段若しくはTier2資本調達手段に該当しないもの、又は国内基準行が平成26年3月30日までに発行した資本調達手段のうち、普通株式若しくは強制転換条項付優先株式に該当しないものについて、それぞれ自己資本比率規制上の適格旧Tier1資本調達手段若しくは適格旧Tier2資本調達手段又は適格旧非累積的永久優先株若しくは適格旧資本調達手段として適格であるかについて確認するためには、平成24年8月7日付で金融庁により公表された『「主要行等向け監督指針」の一部改正』による改正前の本監督指針のIII-2-1-1-3(2)にも留意して行うものとする。

  • (3)銀行の任意による償還等又は買戻し等に際しての自己資本の充実についての確認

    • マル1施行規則第35条第1項第2号の2に規定する新株予約権付社債の期限前償還に係る届出、同項第23号に規定する劣後ローンの期限前弁済若しくは劣後債の期限前償還に係る届出、同項第24号に規定する自己の株式の取得に係る届出、同項第24号の2に規定する取得条項付株式の取得に係る届出、同項第24 号の3に規定する全部取得条項付種類株式の取得に係る届出又は同項第31号に規定する特別目的会社等の発行する資本調達手段の期限前弁済若しくは期限前償還に係る届出を受理しようとする時は、告示及びバーゼル合意の趣旨を十分に踏まえるとともに、当該銀行における期限前弁済若しくは期限前償還(期限のないものについての弁済又は償還を含む。)又は株式取得後の自己資本比率がなお十分な水準を維持しているかどうか、特に留意するものとする。

    • マル2その他Tier1資本調達手段又はTier2資本調達手段(国内基準行については、強制転換条項付優先株式)の償還等又は買戻しを行う場合の「発行者の収益性に照らして適切と認められる条件により、当該償還等又は買戻しのための資本調達(当該償還等又は買戻しが行われるものと同等以上の質が確保されるものに限る。)が当該償還等又は買戻しの時以前に行われること」への該当の有無を判断するに当たっては、以下の点に留意するものとする。

      • イ.当該資本調達手段の償還等又は買戻しを行うための資本調達(再調達)が当該償還等若しくは買戻し以前に行われているか、又は当該償還等若しくは買戻し以前に行われることが確実に見込まれるか。また、当該資本調達が行われた後に、銀行が十分な水準の自己資本比率を維持できないと見込まれるような事態が生じていないか。なお、その他Tier1資本調達手段(国内基準行については、強制転換条項付優先株式)の償還等又は買戻しを行うために資本調達(再調達)を行う場合、当該資本調達が行われた時点以降償還日又は買戻し日までの間は、当該資本調達により払込みを受けた金額のうち償還予定額相当額以下の部分については自己資本への算入が認められないことに留意する。

      • ロ.当該償還等が、専ら当該資本調達手段の保有者の償還等への期待に応えるためだけに行われるものではないか。例えば、資本調達(再調達)のために発行される資本調達手段の適用金利が当該償還等される資本調達手段の適用金利よりも実質的に高いものとなる場合、かかる銀行の金利負担の増加にも拘わらず当該資本調達を行う合理的な理由が認められるか。

      • ハ.資本調達(再調達)のために発行される資本調達手段の適用金利が、当該銀行の今後の収益見通し等に照らして、自己資本の健全性を維持しつつ十分に支払可能なものとなっているか。

    • マル3国際統一基準行が平成25年3月30日までに発行した資本調達手段のうち、その他Tier1資本調達手段若しくはTier2資本調達手段に該当しないもの、又は国内基準行が平成26年3月30日までに発行した資本調達手段のうち、普通株式若しくは強制転換条項付優先株式に該当しないものに関する期限前償還等の届出受理に際しての確認については、平成24年8月7日付で金融庁により公表された『「主要行等向けの総合的な監督指針」の一部改正』による改正前の本監督指針のIII-2-1-1-3(3)に留意して行うものとする。

  • (4)自己資本の質の維持・資本政策の確認

    資本充実の原則の遵守及び資本の質の維持の観点から、少なくとも、増資時(その他Tier1資本調達手段及びTier2資本調達手段の発行時を含む。)において、以下に関する資料の提出を求めることとする。

    • イ.他の資本調達手段との比較において当該資本調達手段を選択した理由

    • ロ.払込みが金銭以外の財産によってなされる場合には、当該財産の価額算定の適切性

    • ハ.今後の資本政策の予定(代替調達計画を含む。)

    • (注) なお、増資(その他Tier1資本調達手段及びTier2資本調達手段の発行を含む。)のコンプライアンスについては、III-3-1-5を参照。

  • (5)監督上の対応

    上記(1)~(4)のヒアリング、確認等において、改善が必要と認められる銀行に関しては、必要に応じて法第24条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出する等の対応を行う(自己資本の充実の状況によって必要があると認めるときは、法第26条第2項に基づく早期是正措置( III -2-1-3)による。)ものとする。

  • (6)金融機能の強化のための特別措置に関する法律に関する留意事項

    主要行等における、金融機能の強化のための特別措置に関する法律の適用の際の取扱いは「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に準じるものとする。

III -2-1-2 自己資本比率の正確性

III -2-1-2-1 意義

自己資本比率については、銀行の財務の健全性を示す基本的指標であることから、正確に計算されることが何よりも重要である。

自己資本比率の計算の正確性等については、告示及びバーゼル合意の趣旨を十分に踏まえる必要がある。

III ―2-1-2-2 留意事項

自己資本比率の計算の正確性については、自己資本比率が(連結)財務諸表に基づき算出規則に従って算出されるものであり、当該(連結)財務諸表は(連結)財務諸表規則等に基づくことに加えて、特に以下の点に留意してチェックするものとする。

  • (1)自己資本比率の算定に関する外部監査(「自己資本比率の算定に関する合意された手続による調査業務を実施する場合の取扱い」(日本公認会計士協会業種別委員会実務指針第三十号)に準拠した外部監査等をいう。)を受けているか。

  • (2)意図的に保有している他の金融機関等の資本調達手段についての該当性判断

    金融システム内で自己資本比率向上のために資本調達手段を相互に意図的に保有することは、銀行及び他の金融機関等の双方において実体の伴わない資本が計上されることとなり、金融システムを脆弱なものにすることから、バーゼル合意に従い、告示第8条第6項又は第29条第4項等において、銀行及び他の金融機関等との間で相互に自己資本を向上させるため、意図的に当該他の金融機関等の資本調達手段を保有していると認められ、かつ、当該他の金融機関等が意図的に当該銀行又は連結子法人等の資本調達手段を保有していると認められる場合(以下「意図的持合」という。)、銀行又は連結子法人等が保有する資本調達手段については、その全額を自己資本の調整項目として自己資本から控除しなければならないものとしている。この意図的持合については、具体的に以下のような場合を指すこととするが、これに該当しているか。

    • イ.銀行又は連結子法人等が、平成9年7月31日以降、我が国の預金取扱い金融機関との間で、相互に資本増強に協力することを主たる目的の一つとして互いに資本調達手段を保有することを約し、これに従い、銀行又は連結子法人等が当該預金取扱い金融機関の資本調達手段を保有し、かつ、当該預金取扱い金融機関も銀行又は連結子法人等の資本調達手段を保有している場合

    • ロ.銀行又は連結子法人等が、平成22年12月17日(国内基準行については、平成24年12月12日)以降、他の金融機関等(我が国の預金取扱金融機関を除く。)との間で、相互に資本増強に協力することを主たる目的の一つとして互いに資本調達手段を保有することを約し、これに従い、銀行又は連結子法人等が当該他の金融機関等の資本調達手段を保有し、かつ、当該他の金融機関等が銀行又は連結子法人等の資本調達手段を保有している場合

      • したがって、他の金融機関等が当該銀行又は連結子法人等の資本調達手段を保有していない場合は、意図的持合には該当しない。また、他の金融機関等との間で相互に資本調達手段を保有している場合であっても、相互に資本増強に協力することを主たる目的の一つとして資本調達手段を互いに保有することが約されているとは認められない場合(例えば、専ら純投資目的等により流通市場等において他の金融機関等の資本調達手段を取得及び保有している場合や、専ら業務提携を行う目的で他の金融機関等の資本調達手段を相互に保有している場合、また、証券子会社がマーケット・メイキング等の目的で一時的に他の金融機関等の資本調達手段を保有している場合等)は、意図的持合には該当しない。

      • ※※なお、国内基準行については、上記の意図的に保有している他の金融機関等の対象資本調達手段の額のほか、同じくコア資本に係る調整項目の額に含まれる少数出資金融機関等の対象普通株式等の額、特定項目に係る10パーセント基準超過額又は特定項目に係る15パーセント基準超過額の算出に際して、時価評価差額がその他有価証券評価差額金としてその他の包括利益累計額又は評価・換算差額等の項目として計上される対象普通株式等又は対象資本調達手段については、時価による評価替えを行わない場合の額をもってその額とする必要があることに留意する。

  • (2-2)他の金融機関等向け出資の調整項目に係る除外事由該当性のチェック

    告示第8条第12項第1号若しくは第20条第9項第1号又は第29条第9項第1号若しくは第41条第8項第1号では、「その存続が極めて困難であると認められる者の救済又は処理のための資金の援助を行うことを目的として保有することとなった資本調達手段」については、当該資本調達手段の保有に係る特殊事情その他の事情を勘案して金融庁長官が承認した場合に限り、当該承認において認められた期間、普通株式等Tier1資本に係る調整項目の額、その他Tier1資本に係る調整項目の額若しくはTier2資本に係る調整項目の額又はコア資本に係る調整項目の額を算出する場合における当該算出の対象から除外することができるものとされている。

    この場合において、その存続が極めて困難であると認められるか否かは、銀行による資本調達手段の取得時点における当該資本調達手段の発行者の財政状態及び経営成績並びに経済情勢及び経営環境その他の事情を総合的に勘案して判断するものとし、例えば、業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれのある金融機関又は預金等の払戻しを停止した金融機関が含まれる。

    (注)したがって、かかる資本調達手段には、預金保険法第65条に規定する適格性の認定等に係る同法第59条第2項に規定する合併等の際に保有することとなった同条第1項に規定する救済金融機関及び救済銀行持株会社等の資本調達手段も含まれる。

    また、上記取扱いが認められる期間は、上記事情に加えて、当該資本調達手段の発行者の規模及び金融システムにおける重要性、当該資本調達手段の種類及び保有額、銀行の資本の状況、銀行が当該資本調達手段を保有することとなった経緯及び目的その他の背景事情並びに当該発行者と銀行の関係その他の当該資本調達手段の保有に係る事情を総合的に勘案して、当該資本調達手段を取得した日から10年を基本としつつ、期間の伸長・縮減や、激変緩和措置としての対象範囲の段階的縮減を認めるなど、金融システムの安定に鑑み合理的に必要と認められる期間を定めるものとする。

    なお、銀行による承認の申請については、原則として、対象となる資本調達手段の取得と同時又はその直後までに行うことが求められる。

  • (3)リスクアセットの計算方法

    • マル1資産の流動化が行われた場合には、法形式上の譲渡に該当する場合であっても、リスクの移転が譲受者に完全に行われている等、実質的な譲渡が行われているか。

    • マル2買戻し権利付債権譲渡については、原則としてリスクアセットの削減効果を認める。

      ただし、決算期を跨いで買戻し権利付債権譲渡を行った場合、当該決算期以降1年以内に当該権利を行使して買戻しを行うインセンティブを与えるような契約を結んでいるものについては、リスクアセットの削減効果を認めない。

      なお、一時的な自己資本比率の引上げを行う意図をもって買戻し権利付債権譲渡を行っている場合には、上記にかかわらずリスクアセットの削減効果を認めない。

    • マル3決算期を跨いで又は決算期日に保有債権に銀行保証等を付している場合には、原則、当該債権の残存期間と保証等の期間が等しい場合にのみリスクアセットの削減効果を認める。

      ただし、保証等の残存期間が債権の残存期間を下回っている場合であっても、当該保証等につき正当な理由があり、かつ、継続して信用リスクの削減が期待できる場合(注)にはリスクアセットの削減効果を認める。

      なお、一時的な自己資本比率の引上げを行う意図をもって保証契約等を結んでいる場合は、上記にかかわらずリスクアセットの削減効果を認めない。

      (注) 当面、保証等の残存期間が1年以上の場合を目途とする(ただし、保証等の残存期間が1年以上のものでも、実質的に1年以内に保証契約等を解除するインセンティブを与えるような契約を結んでいるものについては、リスクアセットの削減効果を認めない。)。

    • マル4マーケット・リスク相当額算出時における外国為替リスクの算出対象ポジションについて、当面、次の取扱いとするが、これに対応しているか。

      • 別表第3、 II -2-(3)中、金及び外国為替のポジションのうち、外国為替リスクの対象から除くことができるとされていた、円投別枠ポジション等については、今後も除いてよい。
  • (4)連結自己資本比率を算出する際の比例連結の方法の使用に関するチェック

    • マル1連結自己資本比率を算出する際に金融業務を営む関連法人等について比例連結の方法の使用の届出があった場合においては、以下の点に留意するものとする。

      • イ.告示第9条第1項第2号イ又は第32条第1項第2号イに規定する投資及び事業に関する契約(以下「合弁契約」という。)については、以下の点についてチェックする。

        • a.契約当事者に全ての共同支配会社が含まれているか。また、共同支配会社以外の法人等が含まれていないか。

        • b.合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等の設立、株式の発行等、共同支配会社の保有議決権割合(告示第9条第1項第1号に規定する保有議決権割合をいう。以下 III -2-1-2において同じ。)、共同支配会社からの役員派遣その他の役員の選任に関する事項、共同支配会社による経営への関与に関する事項(株主総会の決議方法等に関する事項並びに取締役会等の構成及び決議方法等に関する事項を含む。)などが契約内容に含まれているか。

      • ロ.告示第9条第1項第2号ロ又は第32条第1項第2号ロに規定する、合弁契約に基づき保有議決権割合に応じて共同でその事業の支配及び運営を行う体制がとられているかどうかについては、以下の点についてチェックする。

        • a.合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等の株主総会その他これに準ずる機関(以下 III -2-1-2において「意思決定機関」という。)において、共同支配会社は保有議決権割合と同一の割合の議決権を与えられているか。

        • b.各共同支配会社の合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等への取締役派遣割合(合弁契約上、取締役を指名又は任免することが認められる取締役の数が全取締役数に占める割合をいう。)は保有議決権割合と同一となっているか。それらが同一でない場合には、代表取締役、社長、会長その他の役員の派遣状況等に照らして、実質的に保有議決権割合が同一であるのと同視できるか。

        • c.合弁契約において定められている保有議決権割合が、当該合弁契約の変更を伴うことなく変更され得ることとなっていないか(下記ニ.の場合を除く。)。

        • d.意思決定機関及び取締役会の決議事項及び決議方法は、法令及び定款に基づいているか。

        • e.合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等に対する各共同支配会社の追加出資並びに各共同支配会社(その子会社、子法人等及び関連法人等を含む。)の融資、債務保証その他のリスク負担行為が保有議決権割合に応じて行われることとされ、又はこれに反する内容となっていないか。

        • f.合弁契約に係る金融業務を営む関連法人等について、新設、既存企業からの事業譲受け等、その設立態様の如何を問わず、合弁契約に定められている事業の遂行に必要な免許、許認可等所要の手続きを経て、銀行が自己資本比率を算定する日において現に事業が行われているか。

        • g.その他合弁契約に基づき保有議決権割合に応じて共同でその事業の支配及び運営が行われていないと認められる点はないか。

      • ハ.告示第9条第1項第1号若しくは第2号ニ又は第32条第1項第1号若しくは第2号ニに規定する、当該銀行が保有議決権割合を超えてその事業に関して責任を負うべきことを約する契約等(以下 III -2-1-2において、「過大負担契約等」という。)は、書面又は口頭、明示又は黙示のいずれによるかを問わないものとする。

      • ニ.合弁契約において一定の事由を停止条件として保有議決権割合の変更を認めることとされている場合には、停止条件の内容が明確かつ合理的なものであり、かつ、当該停止条件が成就していないことが明らかである限りにおいては、過大負担契約等に該当しないものとする。

      • ホ.告示第9条第2項及び第32条第2項については、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第4条第1項第4号に規定する継続適用の原則に照らして判断することに留意する。

    • マル2金融業務を営む関連法人等について比例連結の方法を適用するに当たっては、その資産、負債、収益及び費用のうち、投資をしている銀行及び連結子法人等に帰属する部分のみを対象として連結の範囲に含める点を除き、子会社の全部連結に準じて行うものとする。ただし、我が国の会計制度上比例連結が採用されておらずなじみがないことや、会計上の事務負担が増加することに鑑み、以下の簡便法によっている場合には、当分の間、比例連結の方法によっているものとして取り扱って差し支えない。

      • イ.簡便法は、当該金融業務を営む関連法人等の資本調達手段(意図的持合として保有している他の金融機関等の資本調達手段を除く。以下マル2において同じ。)を、国際統一基準行については告示第6条第2項第4号に規定するその他金融機関等のその他Tier1資本調達手段の額、告示第7条第2項第4号に規定するその他金融機関等のTier2資本調達手段の額及び告示第8条第9項第1号又は第10項第1号に掲げる額を算出する場合におけるその他金融機関等に係る対象資本調達手段の額並びに告示第76条の3又は第178条の3の規定による信用リスク・アセットの額の算出の対象に含めず、また、国内基準行については告示第29条第6項第1号又は第7項第1号に掲げる額を算出する場合におけるその他金融機関等に係る対象普通株式等の額及び告示第76条の2の3、第76条の4、第178条の2の3又は第178条の4の規定による信用リスク・アセットの額の算出の対象に含めず、告示第9条第1項本文後段又は第32条第1項本文後段の規定にかかわらず持分法を適用し、かつ、連結自己資本比率に係る算式における分母の額(信用リスク・アセットの額、マーケット・リスク相当額を8%で除して得た額(当該算式における分母にマーケット・リスク相当額に係る額を算入する場合に限る。)及びオペレーショナル・リスク相当額を8%で除して得た額の合計額をいう。以下マル2において同じ。)に調整を加えることにより行うものとする。

        • (注1) 簡便法において持分法を適用するのは、持分法の適用に当たって、当期純損益の認識、のれん相当額の調整、未実現損益の消去、配当金の消去等の会計処理が行われることによる。

        • (注2) 連結自己資本比率に係る算式における分子の額(国際統一基準行については普通株式等Tier1資本の額、Tier1資本の額及び総自己資本の額をいい、国内基準行については自己資本の額をいう。)には調整を行わない。

      • ロ.連結自己資本比率に係る算式における分母の額は、当該金融業務を営む関連法人等を連結の範囲に含めないで算出した連結自己資本比率に係る算式における分母の額から次のa.に掲げる額を控除し、b.に掲げる額を加算した額とする。

        • a.当該金融業務を営む関連法人等の資本調達手段の額(株主資本勘定に属するものに限る。)

        • b.毎決算期(中間期を含む。)の末日における当該金融業務を営む関連法人等の貸借対照表に基づいて算出した以下に掲げる額の合計額に保有議決権割合を乗じて得た額

          • i) 告示第10条から第12条まで又は告示第33条から第35条までの規定を適用して得た当該金融業務を営む関連法人等に係る分母の額

          • ii) 国際統一基準行について告示第5条第2項、第6条第2項若しくは第7条第2項の規定による普通株式等Tier1資本に係る調整項目の額、その他Tier1資本に係る調整項目の額若しくはTier2資本に係る調整項目の額の算出の対象となるものの額の合計額に1,250%を乗じて得た額、又は国内基準行について告示第28条第2項の規定によるコア資本に係る調整項目の額の算出の対象となるものの額に1,250%を乗じて得た額

      • ハ.上記ロ.b.において、当該銀行と当該金融業務を営む関連法人等の間の債権・債務については、相殺消去を行わないこととして差し支えない。なお、相殺消去を行う場合には、当該銀行又は当該金融業務を営む関連法人等の有する債権を資産等から除いて上記ロ.b.の分母の額を算定する。

      • ニ.上記ロ.b.i)において、当該金融業務を営む関連法人等に係る信用リスク・アセットの額の算定上、告示第10条に定める信用リスク・アセットの額よりも大きい額を用いても差し支えない。

      • ホ.上記ロ.b.ii)において、当該ii)に規定する額よりも大きいと合理的に認められる額を用いても差し支えない。

      • ヘ.その他、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従っているか。

  • (5)自己資本比率の計算方法の一貫性

    例えば告示上の経過措置の適用等、自己資本比率の計算方法に関して銀行に一定の裁量が認められている場合、合理的な理由に基づく変更の場合を除き、一貫した計算方法を採用しているか。

III -2-1-2-3 マーケット・リスク規制の適用対象取引に関する内部管理等(19年3月期より適用)

マーケット・リスク規制の適用対象取引は告示第10条第2項第2号に規定する特定取引等であり、施行規則第13条の6の3第2項に規定する特定取引がその主たる内容となる。特定取引は、銀行が金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る短期的な変動、市場間の格差等を利用して利益を得る目的又は当該目的で行う取引により生じ得る損失を減少させる目的で行う取引等をいい、そのような特性を前提として、マーケット・リスク規制が適用される。よって、マーケット・リスク規制の適用対象取引を明確化し、不適当な取引(注)を排除するとともに、適用対象取引が適切に管理される必要がある。こうした観点から、以下の点について確認するものとする。

  • (1)特定取引勘定の対象取引及びその管理方法(想定される保有期間及び保有期間が想定を超える蓋然性などを踏まえ、取引の特性に応じて適切に価格を評価するための方法を含む。)を文書により明確化するとともに、当該勘定を当該文書により適切に運用していることが定期的な内部監査(価格評価の方法及びその運用の適切性については、内部監査及び会計監査)により確認されているか。

  • (2)特定取引等が特定取引勘定以外の勘定において行われている場合には、当該取引について、上記と同様の管理がなされているか。

  • (注)「トレーディング業務に対するバーゼル II の適用およびダブル・デフォルト効果の取扱い」(平成17年バーゼル銀行監督委員会)では、ヘッジされていないヘッジファンド持分や私募株式等が不適当なものとして例示されている(パラグラフ271)。

III -2-1-2-4 監督手法・対応

  • (1)オフサイト・モニタリング

    銀行からの照会を受けて検討したところ、自己資本比率の計算の正確性等に問題があることが判明した場合には、その内容を通知し、注意を喚起するものとする。

  • (2)検査結果により、自己資本比率の計算の正確性に問題があると認められたときは、法第24条に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すものとする。さらに重ねて、検査結果により、自己資本比率の計算の正確性に重大な問題があると認められる等、改善計画を確実に実行させる必要があると認められる場合には、法第26条第1項に基づき業務改善命令を発出するものとする。

III -2-1-3 早期是正措置

III -2-1-3-1 意義

財務の健全性を確保するためには、銀行が主体的に自己資本の充実を図り、リスクに応じた十分な財務基盤を保有することが極めて重要であるが、当局としても、銀行の取組みを補完する役割として、自己資本比率という客観的な基準を用い、必要な是正措置命令を迅速かつ適切に発動し、銀行の経営の早期是正を促していく必要がある。

III -2-1-3-2 監督手法・対応

「銀行法第二十六条第二項に規定する区分等を定める命令」(平成12年総理府・大蔵省令第39号。以下III-2-1-3及びIII-2-1-4において、「区分等を定める命令」という。)において具体的な措置内容等を規定する早期是正措置について、下記のとおり運用することとする。

  • (1)命令発動の前提となる自己資本比率

    「区分等を定める命令」第1条第1項第1号及び第2項第1号の表の区分(以下「早期是正措置区分」という。)に係る自己資本比率は、次の自己資本比率によるものとする。

    • マル1決算状況表(中間期にあっては中間決算状況表)により報告された自己資本比率(ただし、業務報告書(中間期にあっては中間業務報告書)の提出後は、これにより報告された自己資本比率)

    • マル2上記マル1が報告された時期以外に、当局の検査結果等を踏まえた銀行と監査法人等との協議の後、当該銀行から報告された自己資本比率

      • (注) 国際統一基準行の自己資本比率は、普通株式等Tier1比率、Tier1比率及び総自己資本比率の3つの比率並びに資本バッファー比率によって構成される。早期是正措置の命令発動の前提となる自己資本比率は、このうち普通株式等Tier1比率、Tier1比率及び総自己資本比率である。

  • (2)早期是正措置区分に基づく命令

    • マル1第1区分の命令、第2区分の命令及び第2区分の2の命令の相違

      第1区分の「経営の健全性を確保するための合理的と認められる改善計画(原則として資本の増強に係る措置を含むものとする。)の提出の求め及びその実行の命令」は、経営の健全性が確保されている基準として第1区分に係る自己資本比率の範囲を上回る水準の達成を着実に図るためのものである。したがって、計画全体として経営の健全性が確保されるものであることを重視し、その実行に当たっては、基本的に銀行の自主性を尊重することとする。

      第2区分の「次の各号に掲げる自己資本の充実に資する措置に係る命令」は、自己資本比率が、経営の健全性を確保する水準をかなり下回っており、これを早期に改善するためのものである。したがって、個々の措置は、当該銀行の経営実態を踏まえたものにする必要があることから当該銀行の意見は踏まえるものの、当局の判断によって措置内容を定めることとする。なお、銀行が当該措置を実行するに当たっては、基本的に個々の措置毎に命令を達成する必要がある。

      第2区分の2の「自己資本の充実、大幅な業務の縮小、合併又は銀行業の廃止等の措置のいずれかを選択した上当該選択に係る措置を実施することの命令」は、自己資本の充実の状況が特に著しい過小資本の状況にある銀行に対し、これを速やかに改善するか、銀行業務の継続を断念するかを迫るものである。

    • マル2改善までの期間

      自己資本比率を改善するための所要期間については、銀行が策定する経営改善のための計画等が、当該銀行に対する預金者、投資家、市場の信認を維持・回復するために十分なものでなければならないことは言うまでもない。

      このため、国際統一基準行であれば、当該銀行の市場との関係の程度等によっては、市場の信認を早急に回復する必要があるため、少なくとも1年以内(原則として翌決算期まで)に第1区分に係る自己資本比率の範囲を上回る水準を回復するための計画等であることが必要である。

      一方、国内基準行であれば、第1区分に係る改善計画は、原則として1年以内に自己資本比率が4%以上の水準を達成する内容の計画である必要があり、第2区分の「自己資本の充実に資する措置」、及び第2区分の2の「自己資本の充実、大幅な業務の縮小、合併又は銀行業の廃止等の措置のいずれか」のうち、当該銀行が合併(解散会社となる場合)、銀行業の廃止以外の措置を選択した場合にあっては、原則として1年以内に少なくとも自己資本比率が2%以上の水準を達成するための措置とする必要がある。

      また、銀行が預金保険法第105条の規定に基づき株式等の引受け等に係る申込みを行う場合にあっては、自己資本比率を改善するための所要期間については、同条第3項の規定に基づく経営健全化計画と同一でなければならない。

      なお、銀行が、「区分等を定める命令」第2条第1項の規定により、その自己資本比率を当該銀行が該当する早期是正措置区分に係る自己資本比率の範囲を超えて確実に改善するための合理的と認められる計画を提出した場合であって、当該銀行に対し、当該銀行が該当する同表の区分に係る自己資本比率の範囲を超える自己資本比率に係る同表の区分に掲げる命令を発出するときは、上記の自己資本比率を改善するための所要期間には、下記III-2-1-3-3(1)の自己資本比率を当該銀行が該当する同表の区分に係る自己資本比率の範囲を超えて確実に改善するための期間は含まないものとする。

    • マル3第2区分の2に係る措置

      「自己資本の充実、大幅な業務の縮小、合併又は銀行業の廃止等の措置のいずれか」のうち、当該銀行が合併等を選択した場合にあっては、例えば合併の場合には合併の相手方の意思が明確であるなど確実に実現する内容であることが必要である。

III -2-1-3-3 「区分等を定める命令」第2条第1項に規定する合理性の判断基準

「区分等を定める命令」第2条第1項の「自己資本比率の範囲を超えて確実に改善するための合理的と認められる計画」の合理性の判断基準は、次のとおりとする。

  • (1)銀行の業務の健全かつ適切な運営を図り当該銀行に対する預金者等の信頼をつなぎ止めることができる具体的な資本増強計画等を含み、自己資本比率が、原則として3か月以内に当該銀行が該当する早期是正措置区分に係る自己資本比率の範囲を超えて確実に改善する内容の計画であること。

    • (注) 増資等の場合は、出資予定者等の意思が明確であることが必要である。

  • (2)当該銀行が預金保険法第105条の規定に基づき株式等の引受け等に係る申込みを行う場合にあっては、同条第3項の規定に基づく経営健全化計画と整合的な内容であること。

III -2-1-3-4 命令区分の根拠となる自己資本比率

「区分等を定める命令」第2条第1項の適用に当たり「実施後に見込まれる当該銀行の自己資本比率以下の自己資本比率に係る同表の区分(非対象区分を除く。)に掲げる命令」は、原則として3か月後に確実に見込まれる自己資本比率の水準に係る区分(非対象区分を除く。)に掲げる命令とする。

III -2-1-3-5 計画の進捗状況の報告等

計画の進捗状況は、その実施完了までの間、毎期(中間期を含む。)報告させることとし、その後の実行状況が計画と大幅に乖離していない場合は、原則として計画期間中新たな命令は行わないものとする。ただし、第2区分の2の命令を行った銀行にあっては、その後、当該命令の区分の根拠となった自己資本比率が第1区分又は第2区分に係る自己資本比率の範囲に達したときは、当該時点における自己資本比率に係る区分に掲げる命令を行うことができるものとし、第2区分の命令を行った銀行にあっては、その後、当該命令の区分の根拠となった自己資本比率が第1区分に係る自己資本比率の範囲に達したときは、当該時点において第1区分の命令を行うことができるものとする。

また、銀行が、「区分等を定める命令」第2条第1項の規定により、その自己資本比率を当該銀行が該当する早期是正措置区分に係る自己資本比率の範囲を超えて確実に改善するための合理的と認められる計画を提出し、当該銀行に対し、当該銀行が該当する同表の区分に係る自己資本比率の範囲を超える自己資本比率に係る同表の区分に掲げる命令を発出した場合においては、原則として増資等の手続きに要する期間の経過後直ちに、当該銀行の自己資本比率が、当該銀行が発出を受けた命令が掲げられた同表の区分に係る自己資本比率以上の水準を達成していないときは、当該時点における自己資本比率に係る同表の区分に掲げる命令を発出するものとする。

III -2-1-3-6 「区分等を定める命令」第2条第2項に掲げる資産の評価基準

「区分等を定める命令」第2条第2項各号に掲げる資産のうち、次に掲げる資産については、それぞれに規定する方法により評価するものとする。

  • (1)第1号「有価証券」

    「区分等を定める命令」第2条第2項第1号の「公表されている最終価格」とは、取引所取引価格、基準気配値、基準価格等とする。また、「これに準ずるものとして合理的な方法により算出した価額」とは、金融商品取引業者等から算出日の時価情報として入手した評価額又は銀行の独自の評価方法によるもので合理的と認められるものとする。

    なお、算出に当たっては、以下の点に留意する。

    • マル1株式又は社債で発行会社が大幅な債務超過に陥っていること等により、償還等に重大な懸念があるものについては、実態に即して評価し算出する。

    • マル2外貨建有価証券は、円貨に換算することとし、算出日のTT仲値により算出する。

  • (2)第2号「動産不動産」

    • マル1土地

      鑑定評価額(1年以内に鑑定したもの。)又は直近の路線価、公示価格、基準地価格及び客観的な売買実例等を参考として算出した妥当と認められる評価額とする。

    • マル2建物及び動産

      原則、帳簿価格とする。

  • (3)第3号「前二号に掲げる資産以外の資産」

    金銭の信託(有価証券運用を主目的とする単独運用のものに限る。)において信託財産として運用されている有価証券(外国有価証券を含む。)の評価は、「区分等を定める命令」第2条第2項第1号及び上記(1)に準ずるものとする。なお、デリバティブ取引を組み入れている金銭の信託については、当該取引に係る未決済の評価損益も加え算出する。

III -2-1-3-7 その他

  • (1)「区分等を定める命令」第1条第1項第1号及び第2項第1号並びに第2条の規定に係る命令を行う場合は、行政手続法等の規定に従うこととし、同法第13条第1項第2号に基づく弁明の機会の付与等の適正な手続きを取る必要があることに留意する。

  • (2)第1区分に係る自己資本比率の範囲を下回る銀行に対しては、原則として「区分等を定める命令」第2条第2項各号に掲げる資産について当該各号に定める方法により算出し、これにより修正した貸借対照表(様式は任意で可。)を提出させるものとする。

  • (3)早期是正措置は、自己資本比率が銀行の財務状況を適切に表していることを前提に発動されるものであることから、いやしくも早期是正措置の発動を免れるための意図的な自己資本比率の操作を行うといったことがないよう銀行に十分留意させることとする。

III -2-1-4 社外流出制限措置

III -2-1-4-1 意義

金融システムにおける景気循環増幅効果又はシステミック・リスクの緩和を図るため、当局としては、国際統一基準行に対し、資本バッファー比率という客観的な基準を用い、状況に応じた社外流出制限措置命令を迅速かつ適切に発動することにより、銀行の信用供与の機能の維持を促していく必要がある。

III -2-1-4-2 監督手法・対応

「区分等を定める命令」(III-2-1-3-2において定義される。)において具体的な措置内容等を規定する社外流出制限措置について、以下のとおり運用することとする。

  • (1)命令発動の前提となる資本バッファー比率

    「区分等を定める命令」第1条第1項第2号及び第2項第2号の表の区分(以下「社外流出制限措置区分」という。)に係る資本バッファー比率(単体資本バッファー比率又は連結資本バッファー比率をいう。以下同じ。)は、次の資本バッファー比率によるものとする。

    • マル1決算状況表(中間期にあっては中間決算状況表)により報告された資本バッファー比率(ただし、業務報告書(中間期にあっては中間業務報告書)の提出後は、これにより報告された資本バッファー比率)

    • マル2上記マル1が報告された時期以外に、当局の検査結果等を踏まえた銀行と監査法人等との協議の後、当該銀行から報告された資本バッファー比率

  • (2)社外流出制限措置区分に基づく命令

    • マル1資本バッファー第1区分から資本バッファー第4区分までに係る措置

      「区分等を定める命令」第1条第1項第2号又は第2項第2号の表に掲げる「社外流出額の制限に係る内容を含む資本バッファー比率を回復するための合理的と認められる改善計画の提出及びその実行の命令」は、計画全体として資本バッファー比率の回復を着実に図るためのものであることを重視する。また、社外流出額の制限に係る内容については、社外流出額が各区分に掲げた命令に応じた社外流出可能額の範囲内に確実に制限されるものであることとし、その実行に当たって、制限の対象となる事由のうちいずれの事由を制限対象とするかについては、基本的に銀行の判断を尊重することとする。

    • マル2社外流出可能額

      「区分等を定める命令」第1条第10項等に規定する「特別な理由がある場合」とは、例えば、銀行が、社外流出制限計画の実行に係る事業年度において普通株式等Tier1比率を増加させる資本調達を新たに行った場合で、当該資本調達した額を上限として社外流出可能額を超過して支出するような場合が考えられる。

    • マル3調整税引後利益の算出方法

      「区分等を定める命令」第1条第11項等に規定する「当該相当する額が費用として計上されなかった場合に納付すべき税額に相当する額」の算出にあたっては、当該額の算出の簡便法として、実際に当該前事業年度において会計上の費用として計上された社外流出額(ただし、税務上の損金として算入されなかった額を除く。)に、納税単位における当該前事業年度末の法定実効税率を乗じて得られた額を、前事業年度の実際の税額に加えることにより算出することができるものとする。

    • マル4賞与の意義

      「区分等を定める命令」第1条第10項第5号に規定する「賞与」とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するものをいい、給与等が賞与の性質を有するかどうか明らかでない場合、次のようなものは賞与に該当するものとする。

      • イ.純利益を基準として支給されるもの

      • ロ.あらかじめ支給額又は支給基準の定めのないもの

      • ハ.あらかじめ支給期の定めのないもの。ただし、雇用契約そのものが臨時である場合のものを除く。

      • ニ.法人税法第34条第1項第2号に規定する給与(他に定期の給与を受けていない者に対して継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づき支給されるものを除く。)

      • ホ.法人税法第34条第1項第3号に規定する利益連動給与

        また、「賞与その他これに準ずる財産上の利益」とは、名目に関わらず、上記の性質を有する財産上の利益をいい、例えば、給与又は退職給付金等に上乗せして随時的に支給されるものも含まれるものとする。

    • マル5子会社等の意義

      「区分等を定める命令」第1条第15項第5号に規定する「子会社等」の該当性の判断に係る主要性の有無については、基本的に銀行の判断を尊重することとするが、グループ(本監督指針III-3-2-4-5(1)の「グループ」をいう。以下本号及び次号において同じ。)が形成されている場合、その財政状態又は経営状況に与える影響を勘案し、当該子会社等が重要な意義を有するか否かに留意するものとする。例えば、銀行の連結総資産に対する当該子会社等の総資産の割合が2%を超えない場合には、「子会社等」に該当しないものとするなど、具体的な基準を用いることが考えられる。ただし、当該子会社等の規模等が僅少であっても、グループの経営上重要な子会社等は「子会社等」に含めているかに留意するものとする。

    • マル6経営上重要な役員・従業員の意義

      「区分等を定める命令」第1条第15項第5号等に規定する「経営上重要な」役員及び従業員については、銀行又は子会社等から高額の報酬等を受ける者であって、銀行及び子会社等の業務の運営又は財産の状況に重要な影響を与える者を選定するものとする。選定にあたっては、本監督指針III-3-2-4-5(2)マル1ロ.b.及びc.に記載の基準も参考にするものとする。

      また、「役員」については、銀行の判断により、当該銀行の社外取締役及び社外監査役を除くことができるものとするが、当該社外取締役及び社外監査役が、銀行から高額の報酬等を受ける者であって、銀行及び子会社等の業務の運営又は財産の状況に重要な影響を与える者に該当する場合には、「役員」に含めるものとする。

III -2-1-4-3 計画の提出及び進捗状況の報告等

社外流出制限措置区分に基づく命令に係る計画は、毎期提出させるものとし、計画の進捗状況は、必要に応じて報告させることとする。

III -2-1-4-4 その他

  • (1)「区分等を定める命令」第1条第1項第2号及び第2項第2号並びに第2条の2の規定に係る命令を行う場合は、行政手続法等の規定に従うこととし、同法第13条第1項第2号に基づく弁明の機会の付与等の適正な手続きを取る必要があることに留意する。

  • (2)銀行の自己資本比率が、早期是正措置区分に基づく命令及び社外流出制限措置区分に基づく命令のいずれの区分にも該当する場合は、両者の区分に基づく命令を含む命令を発出するものとする。

III -2-2 収益性の改善

III -2-2-1 意義

  • (1)大規模かつ複雑なリスクを抱える主要行等は、当該リスクが顕在化した場合に対応するため、自己資本の充実のほか、リスクを勘案した収益管理等による一定の期間収益を確保し、リスクに応じた十分な財務基盤を保有することによって、金融機能を適切に発揮しつつ銀行としての持続可能性(サステイナビリティ)を図ることが重要である。

  • (2)現状、主要行等においては、スコアリングモデルに基づくミドルリスク・ミドルリターンの商品の開発・財務制限条項の活用等融資手法の転換、信用格付に基づく適正な信用リスク量を踏まえた金利体系の構築、手数料体系の見直し、証券化・シンジケートローン等の市場型間接金融の拡大といった金融機能の強化、及び、それに伴う収益源の多様化の動きもみられるところである。

  • (3)一定の収益を確保することにより、持続的に内部留保の蓄積が進むような体質になれば、銀行のリスク負担能力が高まり、より高次の金融サービスの提供が可能となるとともに、積極的な不良債権処理・借手の早期事業再生等にも資する結果が期待されるところである。

  • (4)逆に、収益性が低く恒常的に赤字体質であるような場合には、仮に足元の自己資本は充実していても次第に毀損していき、いずれ健全性の基準を下回ることとなる可能性がある。さらに、収益性の低い銀行の場合には、そのような状況に立ち至ってから増資を行おうとしても投資家の理解を得て円滑に実行することは困難である場合が多いと見込まれるので、早め早めに収益性(損益ベース:以下同じ。)の改善に向けた取組みを促していく必要がある。

III -2-2-2 収益性改善への取組みに係る主な着眼点

主要行等は、多様な顧客ニーズに対応したより良い商品・サービスを提供していく取組みや経費の節減等の効率的な業務運営等を通じて、収益力の向上を志向し、経営の健全性を確保していくことが期待されている。そのためには、収益管理態勢を整備し、その分析・評価に基づき業務再構築への取組みを行う等収益性改善に向けた態勢が整備されているか。例えば、

  • (1)経営陣は、業務純益、経常利益、当期利益等の量的指標、及び、利鞘、ROA、ROE、OHR等の効率を表す指標等を参考に、また、信用リスク、市場リスク等のリスク管理態勢を踏まえて、自行の収益性を総合的に分析・評価しているか。

  • (2)管理会計の整備等により、事業部門別・顧客セグメント別の収益性を的確に分析・評価しているか。特に、大口与信先については、各々の信用リスク状況や与信先との間の様々な取引の実態を踏まえ、取引の収益性を正確に把握し、合理的な経営判断が行える態勢となっているか。また、主要行等は大規模かつ複雑なリスクを抱えていることから、 III -2-3-1に示された適切なリスク管理(統合リスク管理)を行い、各事業部門毎のリスク考慮後の収益性を的確に分析・評価しているか。

  • (3)IT(情報通信技術)の戦略的活用により、販売チャネルの多様化等に伴う利便性の向上、事務コストの低減等を図ることを検討しているか。

  • (4)収益性の改善に組織的に取り組むため、役職員の権限と責任分担の明確化等が図られているか。

III -2-2-3 監督手法・対応(早期警戒制度等)

  • (1)基本的考え方

    銀行の経営の健全性を確保していくための手法としては、法第26条第2項に基づき、自己資本比率による「早期是正措置」が定められているところであるが、本措置の対象とはならない銀行であっても、その健全性の維持及び一層の向上を図るため、継続的な経営改善への取組みがなされる必要がある。特に、収益性の改善の意義( III -2-2-1)にかんがみ、早め早めの行政上の予防的措置(早期警戒制度)を講ずることとする。

  • (2)ヒアリング

    • マル1半年毎の決算ヒアリングや総合的なヒアリング等により、収益性や収益管理態勢等の状況を常時把握し、分析等を行う。

    • マル2必要に応じ随時行うトップヒアリングにおいて、銀行の経営者に対し、収益性の改善に向けた経営戦略や業務再構築に向けた取組み方針等について確認する。

    • マル3銀行の「中期経営計画」等が策定されたときは、随時のヒアリングを行い、経営戦略や業務再構築にむけた取組み内容等を検証する。

  • (3)早期警戒制度

    基本的な収益指標を基準として、収益性の改善が必要と認められる銀行に関しては、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを行い、必要な場合には法第24条に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すものとする。また、改善計画を確実に実行させる必要があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする(収益性改善措置)。

III -2-2-4 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に関する金融機関の留意事項

産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(以下「産活法」という。)等に定める事業再構築に関する計画(以下「事業再構築計画」という。)、経営資源再活用に関する計画(以下「経営資源再活用計画」という。)及び資源生産性革新に関する計画(以下「資源生産性革新計画」という。)の記載事項については、金融機関の計算書類等の記載方法に則し、以下の点に留意するものとする。

  • (1)産活法第2条第4項第2号及び産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の施行に係る指針(以下「施行指針」という。)第6条、第8条、第9条の事業革新の定義

    • マル1施行指針第6条の「当該新たな役務の売上高の合計額を全ての事業の売上高の1%以上とすること」は、例えば、当該新たな役務の業務収益(資金運用収益、役務取引等収益及びその他業務収益)の合計額を全ての事業の業務収益の1%以上とすることをいう。

    • マル2施行指針第8条の「当該役務に係る1単位当たりの販売費を5%以上低減させること」は、例えば、業務収益又は業務粗利益の1単位当たりの経費を5%以上低減させることをいう。

    • マル3施行指針第9条の「事業再構築又は経営資源融合の実施期間中の当該役務の国内における売上高の伸び率を百分率で表した値を、過去3事業年度における当該役務に係る業種の売上高の伸び率の実績値を百分率で表した値から5以上上回るものとすること」は、例えば、事業再構築期間中の当該役務の業務収益の伸び率を百分率で表した値を、過去3事業年度における当該役務に係る業種の業務収益の伸び率の実績値を百分率で表した値から5%ポイント以上上回るものとすることをいう。

  • (2)産活法第5条第6項第1号及び我が国の産業活力の再生及び産業活動の革新に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)二.イ.の事業再構築の認定の基準

    • マル1基本指針二.イ.1.マル1の「事業再構築終了後の自己資本当期純利益率-事業再構築開始前の自己資本当期純利益率≧2」は、例えば、自己資本当期利益率が2%ポイント以上上昇する場合をいう。

    • マル2基本指針二.イ.1.マル2の「(事業再構築終了後の有形固定資産回転率/事業再構築開始前の有形固定資産回転率)×100≧105」は、例えば、業務収益を有形固定資産の帳簿価額で除した値が5%以上上昇する場合をいう。

    • マル3基本指針二.イ.1.マル3の「(事業再構築終了後の従業員1人当たり付加価値額/事業再構築開始前の従業員1人当たり付加価値額)×100≧106」は、例えば、従業員1人当たりの付加価値額(業務純益、人件費及び減価償却費の和)が6%以上上昇する場合をいう。

  • (3)産活法第3条第2項第2号及び基本指針二.イ.2の財務内容の健全性の向上に関する目標の定義

    • マル1基本指針二.イ.2.マル1の「有利子負債合計額」は、例えば、預金を含む負債性の資金調達手段の全てを指し、「運転資金」は、例えば、不良債権を除く貸付債権等を指す。

    • マル2基本指針二.イ.2.マル2の「経常収入」は、例えば、経常収益を指し、「経常支出」は、例えば、経常費用を指す。

  • (4)産活法第4条第1項第1号及び基本指針十一.イ.の過剰供給構造にある業種等の基準に関する事項の定義

    基本指針十一.イ.2.の「売上高」は、例えば、業務収益を指し、「営業利益」は、例えば、業務純益を指す。

  • (5)産活法第7条第4項第1号及び基本指針三.イ.の経営資源再活用の認定の基準

    基本指針三.イ.1.、2.及び3.については、それぞれ上記(4)、上記(2)マル2及び上記(2)マル3を準用する。

III -2-3 リスク管理

III -2-3-1 リスク管理共通編及び統合リスク管理

III -2-3-1-1 リスク管理の意義

銀行は、財務の健全性の確保及び収益性の改善を図るため、それぞれの経営戦略及びリスク特性等に応じ、信用リスク、市場リスク、流動性リスクはもとより事務リスク、システムリスク等についても、適切なリスク管理を組織的・総合的に行うことが必要である。

特に複雑なリスクを抱える金融商品等のリスク管理においては、経営陣が十分な資質・能力を備え、各事業部門等が抱える多種多様なリスクについて、担当部門等より適時適切に報告を受け、以下で述べる「統合リスク管理」の態勢を整えた上で、指導的・横断的見地から、迅速・的確な経営判断を行う態勢を整えることが求められる。

III -2-3-1-2 統合リスク管理の意義

  • (1)大規模かつ複雑なリスクを抱える主要行等は、各事業部門等が内包する種々のリスクを、信用リスク、市場リスク等の各リスクカテゴリー毎に適切に管理することは当然のこととして、これらのリスクを統合して管理することができる態勢を整備することがより一層重要である。こうした「統合リスク管理」の枠組みはまだ完全に確立されてはいないが、主要行等においては、これまで相当の取組みが行われてきているところである。

  • (2)自己資本によるリスクの制御

    まず、各事業部門等のリスク量を、例えばVaRなど共通の尺度で、可能な限り計量的に把握した上で、各リスクカテゴリー・各事業部門等に対しそのリスク量(自己資本でカバーされるべき部分)に応じた資本(リスク資本(注))を自己資本の範囲内で配賦する。これを受け、各事業部門等がポジション枠等を設定し、リスク量がリスク資本を超過しないような業務管理を行うことにより、銀行の負うリスク量全体を常時、経営体力(自己資本)でカバーできる範囲内に制御することが期待されている。

    • (注) 「リスク資本」「割当資本」「配賦資本」等と呼ばれていることがある。

  • (3)リスクを考慮した収益管理等

    各事業部門等のリスク調整後の収益という量的指標や、例えばRAROC等の比率指標により、各事業部門等のリスク考慮後の収益性が把握できる。

    これによって、各事業部門等のパフォーマンスを評価することにより、リスクを考慮した収益管理が可能となり、経営の効率化と収益性の向上につながることも期待される。

    • (注1) 量的指標の例

      「リスク調整後収益(業務純益-予想損失)」

      (RAR、RACAR)

      「株主資本コスト控除後収益(リスク調整後収益-リスク資本×資本コスト率)」 (EP)

    • (注2) 比率指標の例

      「リスク調整後資本利益率(リスク調整後収益/リスク資本」(RAROC)

III -2-3-1-3 リスク管理に共通する主な着眼点

  • (1)取締役会は、銀行全体の経営方針に沿った戦略目標を踏まえたリスク管理の方針を明確に定めているか。加えて、取締役会は、リスク管理の方針が組織内で周知されるよう、適切な方策を講じているか。

  • (2)取締役会は、リスク管理部門を整備し、その各リスク管理部門のリスクを統合し管理できる体制を整備しているか。また、その体制においては、相互けん制等の機能が十分発揮されるものとなっているか。

  • (3)取締役会等は、定期的にリスクの状況の報告を受け、必要な意思決定を行うなど、把握されたリスク情報を業務の執行及び管理体制の整備等に活用しているか。

  • (4)リスク管理に当たっては、海外拠点を含む、営業店及び連結対象子会社に所在する各種リスクを、法令等に抵触しない範囲で、それぞれが管理するとともに、リスク管理部門が総合的に管理しているか。また、各リスク管理部門が管理しているリスクを統合して管理しているか。

  • (5)取締役会は、内部監査部門が機能を十分発揮できる態勢を構築しているか。また、取締役会は、内部監査部門が有効に機能しているかを定期的に確認しているか。

  • (6)内部管理態勢(リスク管理態勢を含む。)の有効性等について、年1回以上会計監査人等による外部監査を受けているか。また、国際統一基準適用金融機関においては、海外の各拠点毎に各国の事情に応じた外部監査を実施しているか。

III -2-3-1-4 統合リスク管理に関する主な着眼点

  • (1)多様なリスクを総合的に把握するため、全てのリスクを認識した上で、計量的な統合リスク管理の対象となるリスクカテゴリーを適切に決定しているか。

  • (2)対象となる全てのリスクを共通の基準の下で計量化しているか。また、計量化の基準については、客観性、適切性を確保しているか。例えば、VaRを用いる場合の信頼区間及び保有期間の設定の考え方は明確になっているか。

  • (3)計量化の精度をより向上させるための検討を行っているか。例えば、異なる種類のリスクの間における相関(分散効果)について、適切性を確保すべく検討を行っているか。

  • (4)リスク資本の配賦及びその見直しのプロセスは適切か。

  • (5)主要なリスクについて、国際統一基準行の場合は普通株式等Tier1資本でカバーし、また、国内基準行の場合は自己資本比率規制上の自己資本(適格旧資本調達手段のうち補完的項目に該当していたものを除く。)でカバーする等、自己資本の損失吸収力の程度も適切に勘案したものとなっているか。

  • (6)各事業部門等へのリスク資本の配賦は、業務計画、収益計画等と整合性がとれているか。

  • (7)各事業部門等のリスク量がリスク資本を超過しないような業務管理が適切に行われているか。

  • (8)国内基準行については、例えば、リスク資本の配賦等に当たり、その他有価証券評価差額金による影響も適切に勘案する等、自らが抱えるリスクや自己資本の特性等を十分に踏まえた対応を行っているか。

  • (注) 上記 III -2-3-1-3及び III -2-3-1-4の着眼点の詳細については、必要に応じ、金融検査マニュアルを参照。

III -2-3-1-5 監督手法・対応

  • (1)基本的考え方

    銀行の経営の健全性を確保していくための手法としては、法第26条第2項に基づき、自己資本比率による「早期是正措置」が定められているところであるが、本措置の対象とはならない銀行であっても、その健全性の維持及び一層の向上を図るため、継続的な経営改善への取組みがなされる必要がある。

  • (2)オフサイト・モニタリング

    • マル1リスク管理ヒアリング及び統合リスク管理に関するオフサイトモニタリングデータの分析等により、統合リスク管理態勢の機能について、常時把握し、必要に応じ実効性等について分析・検証等を行う。

    • マル2必要に応じ随時行うトップヒアリングにおいて、必要に応じ統合リスク管理態勢等についてヒアリングを行う。

    • マル3銀行が各事業部門等への資本配賦の見直しを行ったときをはじめ、企業業績の悪化、金利又は資産価格の変動等の経済情勢の変化等に対応して、必要に応じ随時のヒアリングを実施し、統合リスク管理態勢の実効性等を検証する。

  • (3)検査結果やリスク管理ヒアリング等のオフサイト・モニタリングにより、リスク管理態勢・統合リスク管理態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じ、法第24条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。

  • (4)早期警戒制度の活用

    主要行等におけるリスク管理は、上記の着眼点等を踏まえた、統合リスク管理に向けた自発的取組みをベースとしつつ、上記(2)、(3)に基づく当局の検証等を通じ、適切な態勢の構築を促すこととする。

    一方で、個々のリスク等についても、例えば管理態勢の不備等により、結果としてリスクが顕在化し、金融機関の健全性に影響を与えることのないよう、 III -2-2-3(3)(収益性)、 III -2-3-2-5(1)マル3(信用リスク)、 III -2-3-3-3(1)マル3(市場リスク)、 III -2-3-4-3(1)マル3(流動性リスク)のそれぞれにおける早期警戒の枠組みを活用する。あらかじめ設定した個々のリスク等に関する基準に該当することとなった銀行に対しては、ヒアリングや報告徴求等を行い、該当する個々のリスク等の実態を当該銀行のビジネスモデルや統合リスク管理の状況に照らして的確に把握するとともに、各銀行の自発的なリスク管理を補完する形で、より的確なリスク管理を促すこととする。

    • (注) 早期警戒制度の枠組みの下では、個々のリスク等の基準に該当する銀行に対しヒアリング等の監督上の対応を実施していくこととなるが、そうした場合であっても、当該銀行の経営が不健全であると自動的にみなされるものではなく、当局としても、必ずしも直ちに経営改善を求めるものではない。

      また、改善が必要とされる場合でも、金融市場への影響や中小企業金融の動向等に十分配慮し、改善手法や時期等が適切に選択されるよう、特に留意して監督を行うものとする。

III -2-3-2 信用リスク管理

III -2-3-2-1 信用リスク管理・総論

III -2-3-2-1-1 意義

信用リスクとは、信用供与先の財務状況の悪化等により、保有する資産(オフバランス資産を含む。)の価値が減少ないし消失し、銀行が損失を被るリスクをいうが、銀行は当該リスクに係る内部管理態勢を適切に整備し、財務の健全性の確保に努める必要がある。

特に、近時の急激な信用リスク顕在化の過程では、与信集中の弊害、厳格な資産査定やグループとしての信用リスク管理の必要性などの問題が明らかになっており、的確な与信ポートフォリオ管理や信用リスク管理手法を選択することにより、再度、不良債権問題を引き起こさないような態勢を整備すべきである。

III -2-3-2-1-2 主な着眼点

  • (1)取締役会は、銀行全体の経営方針に沿った戦略目標を踏まえた信用リスク管理の方針を定めているか。また、信用リスク管理の方針に基づき、融資の対象、信用格付の基準、ポートフォリオ管理方針、決裁権限などが規定されたクレジット・ポリシーを定めているか。

  • (2)取締役会は、営業推進部門と審査管理部門の分離、あるいは、与信監査部門及びリスク管理部門の設置等、適切な与信管理・審査管理体制を整備しているか。例えば、事業再生や問題債権処理に当たって、当該スキームが回収の極大化に偏重していないか、などの観点から、監査部門が適正なけん制機能を果たしているか。

  • (3)取締役会等は、定期的に信用リスクの状況の報告を受け、信用リスク管理の方針の遵守状況の検証や信用リスク量の軽減の指示を行う等、リスク管理のために活用しているか。また、信用リスクに係る規定・組織等の整備・見直しに当たっては、例えば、必要に応じ外部の有識者等を活用するなど、その妥当性・公正性を確保するための方策を講じているか。

  • (4)信用リスク管理に当たっては、銀行と連結対象子会社及び持分法適用会社とを、法令等に抵触しない範囲で、一体として管理する体制となっているか。特に、自行貸出について、子会社が保証している場合に、連結ベースで適切な引当処理が行われているか。

  • (5)審査管理部門は、与信先の財務状況、資金使途、返済財源等が的確に把握され、これに基づき信用格付の正確性が検証される等、適切な審査管理を行っているか。例えば、債務者企業グループ全体の実態を的確に把握し、リスク制御できる管理態勢が構築されているか。

  • (6)与信先の業況推移等の状況等について、適切に与信管理が行われる体制となっているか。また、例えば、不良債権の新規発生を極力防止する観点から、問題債権に陥ることを未然に防止するための取組み、取引先企業に対する経営相談・支援機能強化への取組み、事業再生への取組み等が図られているか。なお、ある程度の不良債権の発生を前提としたビジネスモデルの場合は、それに見合ったリスク管理態勢が構築されているか。

  • (7)株式を取得・保有する場合、保有時における株価下落リスクや減損リスク、処分時における売却損リスクがあることや、特に大口の株式や非上場株式を保有している場合については売却が困難となるリスクがあることに留意し、適切にリスク(注1・2)を管理しているか。

    特に、銀行等による資本性資金の供給をより柔軟に行い得るようにするため、平成25年の銀行法改正により議決権保有規制の見直しが行われたことを踏まえ、基準議決権数を超えて議決権を取得・保有する場合には、以下のような点にも留意する必要がある。

    • マル1法第16条の2第1項第12号の2又は第52条の23第1項第11号の2に規定する「経営の向上に相当程度寄与すると認められる新たな事業活動を行う会社として内閣府令で定める会社」(いわゆる事業再生を行う会社)の株式を取得・保有する場合、事業再生計画を適切に審査するとともに、当該計画等の進捗状況等を的確に評価・分析する態勢を整備しているか。

      また、必要に応じて、対象企業の企業価値の向上に向けて、経営改善に関する支援、助言等を行う態勢を整備しているか。

    • マル2投資専門子会社を活用して、以下の会社の株式を取得・保有する場合、銀行本体からは一定のリスク遮断が図られているものと考えられるが、その場合も、当該子会社のリスク管理状況の把握・分析・管理等を行う態勢を整備しているか。

      • イ.法第16条の2第1項第12号又は第52条の23第1項第11号に規定する「新たな事業分野を開拓する会社として内閣府令で定める会社」(いわゆるベンチャービジネス会社)

      • ロ.法第16条の4第8項又は第52条の24第8項に規定する「地域の活性化に資すると認められる事業を行う会社として内閣府令で定める会社」(いわゆる地域経済の面的再生(再活性化)事業会社)

    • (注1)「III-2-3-3 市場リスク管理」も参照すること。

    • (注2)株式の取得・保有に係る、株主の立場と債権者としての立場における利益相反については、「V-5 顧客の利益の保護のための体制整備」も参照すること。

  • (8)信用格付に基づく適正な信用リスク量を踏まえた金利(適正な貸出金利)体系の構築については、銀行の信用リスク管理に係る重要課題であることを経営陣が認識し、顧客の理解を得つつ円滑に推進する体制が整備されているか。

  • (9)ABCPプログラム等のスポンサー業務等においては、契約に関わらず、レピュテーショナルリスク等により流動性補完等を求められる可能性があることも踏まえ、適切な管理を行っているか。

  • (10)デリバティブ取引等においては、主なカウンターパーティの信用リスクについて、以下の点も含め、適切に管理しているか。

    • マル1カウンターパーティ別及びカウンターパーティの類型別のエクスポージャーの管理

    • マル2デリバティブ取引の参照資産の時価の変化等によりエクスポージャーが拡大することによるリスクの把握

    • マル3担保その他の信用補完措置の有効性の確認

    • マル4市場流動性が低下する状況等も勘案した適切なストレステストの実施

  • (11)清算集中されたデリバティブ取引等に係る中央清算機関との間の取引に係るリスクについて、以下のものも含め、適切に管理しているか。

    • マル1中央清算機関との取引固有のリスク

    • マル2適格中央清算機関が服している規制・監督の枠組みに重大な欠陥がある場合に生じるリスク

    • マル3適格中央清算機関以外の中央清算機関について、当該中央清算機関の求めに応じて支払わなければならない未拠出の清算基金について、その全額が当該中央清算機関の損失補填に充てられるリスク

  • (12)主要行等(金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第10項第4号ロに該当する店頭デリバティブ取引に係る想定元本額の合計額の平均額が3,000億円未満の者を含む。)は、金融機関等を相手方とする非清算店頭デリバティブ取引において、変動証拠金の授受等、取引先リスク管理に係る態勢整備に努めているか。

    また、金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第21号の6の規定(当初証拠金)の対象となる主要行等は、同号で対象となる非清算店頭デリバティブ取引において、当初証拠金の授受等、取引先リスク管理に係る態勢整備に努めているか。

    具体的な監督上の着眼点については、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の「IV-2-4(4)非清算店頭デリバティブ取引」等を参照するものとする。

  • (注)着眼点の詳細については、必要に応じ、金融検査マニュアルを参照。

III -2-3-2-2 大口与信管理

III -2-3-2-2-1 意義

近時の急激な信用リスク顕在化の過程では、特定企業グループに集中して与信を実行した結果、当該債務者の不芳により、自らの存続可能性をも懸念される状況となった事例も認められており、大口与信先の財務・業務状況等についての早めの認知、早めの対応が大きな経営課題となっている。

III -2-3-2-2-2 主な着眼点

  • (1)取締役会等は、合理的な基準に基づき経営に対して大きな影響を及ぼす可能性のある大口与信先を抽出し、その信用状況や財務状況について、継続的なモニタリングを行うこととしているか。

  • (2)特定の業種、企業グループ、国、地域、融資商品などのリスク特性が相似した対象等、リスク管理上重要なセクターの内部定義が適切に行われているか。また、業種別、国別、地域別等のポジション及びリスクの内訳を適切に把握しているか。

  • (3)セクターの内部定義に従い、例えば、個々のポートフォリオ別の与信上限の設定や債権流動化など、信用リスクを分散化できるような管理態勢が構築されているか。

  • (4)信用リスクの早めの認知、早めの対応といった観点から、例えば、コベナンツ、シンジケートローンや債権流動化などの活用により、信用リスクに応じて与信量を制御できるような管理態勢が構築されているか。

  • (5)取締役会等は、大口与信先の取組みについて、厳格な自己査定の実施や事業再生に当たっての十分な検討・指示を行っているか。特に、大口与信先の再建計画の検証に当たっては、当該計画の妥当性・有効性等について、十分に慎重な検証を行う態勢が構築されているか。

  • (6)事業再生に資するためには債務者の状況の早期認知が必要との観点から、株価や格付の動向などの市場のシグナルを適時・的確に自行の信用格付に反映し、取組み方針(支援方針)を早期に明確化することとしているか。さらに、不良債権の開示認定に当たっても、当該支援意思を適切に反映できるような態勢となっているか。

  • (7)貸出のみにとどまらず、債券やDES(デット・エクイティ・スワップ)によって取得した優先株等についても、債務者の状況、市場実勢や格付を踏まえ適正に判断する態勢が構築されているか。

  • (8)ストレステストを実施しているか。また、信用リスクの計量において損失額が大きく発現するシナリオの分析を行っているか。

  • (注) 着眼点の詳細については、必要に応じ、金融検査マニュアルを参照。

III -2-3-2-3 不良債権処理と企業再生(産業と金融の一体的再生)

III -2-3-2-3-1 意義

金融仲介においてリスクテイクは不可欠な要素であり、景気変動や企業間の競争等に伴い、与信ポートフォリオの一部に不良債権は絶えず発生するものである。

銀行の財務の健全性にとって重要なことは、まずは適切な与信管理を行うとともに、厳格な資産査定の下で不良債権の発生を早期に認知し、そのリスクに応じ健全債権化を基本とした適切な対処を早期に行うこと等を通じて、不良債権の発生に伴う信用リスクを銀行のリスク負担能力の範囲内に適切に管理することである。特に銀行の財務面に大きな影響を与える大口債務者については、不良債権の厳格な管理等が不可欠である。

債務者企業の面から見ると、不良債権の存続は、問題企業に対していたずらに与信を継続し延命させることにつながりかねないものである。このため、我が国における資金の効率的な配分を実現する観点からも、問題企業の再生可能性等を厳正に判断し、抜本的かつ実現可能性の高い再建計画の策定・実施による速やかな再生等の措置を実施することが、極めて重要である。

不良債権問題の再発を防止するためにも、このように、不良債権への適切な対応がなされることによって、主要行全体としての不良債権比率が平成17年3月末時点の水準以下に維持されることが重要であり、各行において最善の努力が果たされることを期待する。

III -2-3-2-3-2 主な着眼点

  • (1)不良債権管理態勢等

    • マル1不良債権の発生が銀行の財務の健全性に与える影響を十分に認識した上で、不良債権の早期認知、健全債権化を含む早期対処を行うための適切な経営管理態勢が構築されているか。

    • マル2不良債権の管理方針が明確に定められているか。また、当該方針は、銀行の経営方針やビジネスモデル等との整合性が確保されているか。

    • マル3不良債権の管理方針に則った体制が整備されるとともに、担当部署において適切な不良債権の管理が実施されているか。また、その管理態勢の適切性、十分性について必要な内部監査が適時に実施されているか。

      特に、問題債権として特に管理が必要な不良債権については、その範囲が特定されるとともに、問題先に対する取組方針が明確にされた上で、その経営状況等を適切に把握し、十分な対応を行っているか。

  • (2)不良債権に係る厳正な自己査定及び償却・引当等

    • マル1不良債権に係る厳格な自己査定が実施されるとともに、適切な償却・引当処理が行われているか。

      特に、企業業績や市場のシグナルをタイムリーに反映した行内格付等が行われるとともに、最近の貸倒、倒産等の趨勢をも勘案した適正な債務者区分及び償却・引当が確保されているか。

    • マル2要管理先の大口債務者については、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法により引当が見積もられているか。

    • マル3危険債権以下の債権やDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法を採用する場合で担保評価額を利用する債権については、担保評価を勘案して償却・引当を行うため、適切な担保評価が行われることが重要である。このため、これらの債権に係る担保評価については、以下の取扱いを行っているか留意する必要がある。

      • イ.法定鑑定評価の運用の強化と法定鑑定の明確化

        • a.銀行から独立した(注)鑑定業者に依頼すること。

          • (注) 銀行が当該業者の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないこと。

        • b.金融機関では、合理的・客観的に担保評価額を求めることが難しい特殊な物件(ゴルフ場、野球場、マリーナ、サーキット場等)であって高額(50億円以上の担保評価額)の担保評価については、原則として1度は、担保評価見直し時において、法定鑑定を実施すること。

        • c.鑑定評価額が担保評価額として精度が十分に高いことを確保するため、その依頼に当たっては、担保不動産の類型、評価条件、依頼目的等についてその実態を踏まえ依頼すること。

        • d.鑑定評価の前提条件等や売買実例を検討するなどにより、必要な場合には、所要の修正を行うこと。

        • e.担保評価に係る社内ルールにこれらの内容を整備すること。

          • (参考) 法定鑑定については、検査マニュアルにおいて、「『鑑定評価額』とは、不動産鑑定評価基準(国土交通事務次官通知)に基づき評価を行ったものをいい、簡易な方法で評価を行ったものを含まない」とされたことに留意すること。

      • ロ.自行評価(子会社評価を含む。)の運用の強化

        • a.法定鑑定に準じた評価方法を整備し、その上で、実際の売却実例と評価額に大きな差が生じる場合には、適正な掛目を乗じるあるいは担保の評価方法を是正するなどの措置を講ずること。

        • b.担保評価の精度の検証を監査部署において定期的に実施すること。

        • c.担保評価に係る社内ルールにこれらの内容を整備すること。

  • (3)不良債権の健全債権化

    • マル1不良債権処理に当たっては、債務者の再生可能性を的確に見極め、再建可能な債務者については、極力、再生の方向で取り組むこととしているか。

    • マル2企業再生に当たっては、中小企業再生支援協議会、会社分割法制、DES(デット・エクイティ・スワップ)、DDS(デット・デット・スワップ)、企業再建ファンド等を有効活用し、市場に評価される再建計画の策定や、私的整理ガイドラインに沿った私的整理、法的手続きによる会社再建等による速やかな対応を実施しているか。

    • マル3債務者の再生可能性等の厳正な検証のため、以下のような取組みを行っているか。

      • イ.再建計画の進捗状況や妥当性の継続的かつ厳格な検証

      • ロ.要管理先の大口債務者についてのDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法による引当の実施

      • ハ.大口貸出先のDES(デット・エクイティ・スワップ)についての時価評価の適用

  • (4)不良債権の流動化

    • マル1不良債権の売却、証券化等により、その保有する不良債権をオフバランス化する場合には、流動化対象債権の信用リスクが明確に切り離されており、信用補完を行うなどによって実質的に当該債権の信用リスクを負担し続けていないか。

    • マル2流動化された不良債権を直接又は間接的に購入する場合には、銀行の経営方針やビジネスモデル等との整合性が確保されているか。

      購入する不良債権について、情報の非対称性、業種・地理的な集中等の観点を含め、新たに生じる信用リスクについての適切な評価が行われるとともに、リスクとリターンとの関係について十分な検討が行われ、採算が確保されることが十分に見込まれているか。また、購入後において適切な債権管理が実施されているか。

      不良債権を流動化する場合、対象債権を有する銀行は、原債務者の保護に十分配慮しているか。

      債務者等を圧迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような者に対して貸付債権を譲渡していないか。

  • (5)危険債権以下の債権に対する取組み

    • マル1危険債権以下の債権については、信用リスクが大幅に高まっている状況にあるため、そのような債権を早期に認知し、早期に不良債権処理を実施することは極めて重要である。このような観点に基づいた危険債権以下の債権についての早期認知、早期処理に関する方針が定められているか。

    • マル2銀行の経営に大きな影響を持つ貸出先で、破綻懸念先に区分されている債務者については、私的整理ガイドライン等による徹底的な再建計画策定や、民事再生法等の法的手続きによる会社再建、債権売却等の措置を講じ、速やかに処理されているか。

    • マル3オフバランス化等(注)に当たっては、以下の点に十分留意しているか。

      • イ.その判断が、各行の経営に与えるリスク、地域経済に与える影響等も含め経済合理性に基づき行われる必要があること。

      • ロ.債務者の再建可能性を的確に見極め、再建可能な債務者については、極力、再生の方向で取り組むこと。

      • ハ.特に、中小企業については、中小企業の特性や、各企業の実態等を十分に考慮し、再生可能性、健全債権化について、きめ細かく的確な判断を行うこと。

      • 二.債務者企業の取引先である健全な中小企業の連鎖的な破綻を招かないようにする必要があること。

    • マル4危険債権以下の債権の処理状況について、各行の財務状況を預金者等が適切に評価し得るよう、オフバランス化等の実績を毎期公表しているか。

      • (注) ここでいう「オフバランス化等」とは、いわゆる「オフバランス化」(危険債権以下の債権が、売却や回収、債権放棄、再建型処理等により、貸借対照表から落とされること、あるいは要管理債権以上の区分に上方遷移することをいう。)及び「オフバランス化につながる措置」をいう。

        なお、「オフバランス化につながる措置」とは以下に掲げる措置をいう。

        • イ.法的整理

          • (注) 破産、清算(特別清算を含む。)、会社整理、会社更生、民事再生手続き続行中の債権及び銀行取引停止処分を受けた債務者に対する債権

        • ロ.法的整理に準ずる措置

          • (注) 民事調停(特定調停を含む。)、裁判上の和解などの法的手続き中の債権及びこれらに基づいた弁済計画期間中の債権

        • ハ.いわゆるグッドカンパニー、バッドカンパニーへの会社分割

          • (注) 分割後、整理を予定しているバッドカンパニーについては、速やかに整理するものに限る。

        • 二.個人・中小企業向け小口の債権(10億円[元本ベース]未満)について、部分直接償却の実施

        • ホ.以下の要件を満たす株式会社整理回収機構への信託

          • a.株式会社整理回収機構の関与の下、企業の再生等を信託の目的とするもの

          • b.信託期間終了時までに、再生・売却等によりオフバランス化が図られるもの

          • (注) 「中小企業再生型信託スキーム」に係る債権は本件に該当する。

    • マル5再建計画策定中の債務者に対する融資(DIPファイナンス等)については、その円滑化について十分に配慮し、資金供給に前向きに取り組むよう努めているか。なお、DIPファイナンス等については、上記マル4イ.ロ.にかかわらず、採算可能性を十分に検証の上、積極的な対応を行うことは差し支えないことに留意する。

III -2-3-2-4 カントリーリスク管理

III -2-3-2-4-1 意義

カントリーリスク(トランスファーリスクも含む。)とは、国際的な与信・投資活動等を行うに当たっての取引先の母国の経済・社会・政治的環境に係るリスクである。国際的に活動する主要行等においては、当該リスクに係る内部管理態勢を適切に整備し、カントリーリスクを適切に管理していくことが重要である。

III -2-3-2-4-2 主な着眼点

  • (1)取締役会等は、カントリーリスクの重要性を認識し、当該リスクを的確に把握するための態勢を整備し、継続的なモニタリングを行っているか。

  • (2)取締役会等は、カントリーリスクの適切な評価に基づき、国際的な与信に対する適切な引当を行うための規定の整備など、カントリーリスクを管理し適切に対応するための態勢を構築しているか。

  • (3)カントリーリスクの管理に当たって、国際情勢の変化に応じた機動的な対応を行う態勢が構築されているか。

III -2-3-2-5 信用リスク削減手法

III -2-3-2-5-1 意義

告示第5節に規定する信用リスク削減手法は、一般的に、信用リスクを大きく削減することから、効果的なリスク管理手段として活用されている。一方で、当該信用リスク削減の枠組みにおいて、証券化エクスポージャーに対する信用リスク削減手法の活用を含め、潜在的な規制裁定行為のおそれがある。

特に、損益計算において、保証に伴う損失と費用の認識を遅らせるとともに、名目的なリスクの移転によって、保証対象のエクスポージャーのリスク・ウェイトを低減することで、自己資本比率計算上の利益を直ちに享受するような取引について規制裁定行為が認められる。例えば、信用保証に係るプレミアムや手数料その他の直接・間接に支払われる費用が、移転される信用リスク量と比較して著しく高い取引(以下「高コスト信用保証取引」という。)についてこうした行為が認められる。こうした高コスト信用保証取引は、実質的なリスク移転を伴わないまま、短期的に望ましい所要自己資本額計算上の取扱いを享受する一方で、長期間に亘り損失を先送りするという問題を有しているといえる。

III -2-3-2-5-2 主な着眼点

  • (1)上記の問題を踏まえ、告示第5節に規定する保証及びクレジット・デリバティブ(以下「信用保証取引」という。)を用いた信用リスク削減手法を評価するに当たり、銀行自身は以下の点を考慮すべきであり、また、当局は以下の点を踏まえ、信用リスク削減手法が適用可能であるか否かを判断する。

    • マル1自己資本比率の計算上、まだ認識されていないプレミアムや支払費用の現在価値と、様々なストレスシナリオの下で生じ得る保証対象となるエクスポージャーの期待損失の比較

    • マル2市場価格に対する取引価格の比較(金銭以外で支払われるプレミアムについても適切に勘案することを含む。)

    • マル3保証購入者によるプレミアム等の支払いのタイミング(保証購入者による保証対象エクスポージャーに対する引当てや減損のタイミングと、保証提供者による保証金支払のタイミングの潜在的な違いを含む。)

    • マル4潜在的な将来損失が発生し得るタイミングと信用保証の可能性の高いデュレーションとの関係を評価するための、将来の保証金支払日の分析

    • マル5保証購入者の保証提供者に対する依存度の増加と、保証提供者による支払義務の履行能力の低下が同時に起こり得るような特定の状況に係る分析

    • マル6保証購入者がその収益、資本及び財務状況等を踏まえ、適切にプレミアムの支払を行うことが可能であるか否かの分析

    • マル7保証取引の合理性や当該保証取引に伴う将来的な費用及び便益に係る保証購入者による分析内容を記した内部の記録の分析

  • (2)当局はまた、以下のような特徴を持つ信用保証取引について、より一層の注意を払う。

    • マル1保証対象エクスポージャーの額と比較して支払いプレミアムが高額な取引。例えば、保証に伴う費用の合計額が保証対象エクスポージャーの額と等しくなる又は超過するような取引や、保証対象エクスポージャーの価格変動やパフォーマンスに応じ、保証提供者が保証購入者にリベートという形で支払プレミアムを一部払い戻すことにより、結果として過大なプレミアムの支払となっているような取引。

    • マル2保証対象エクスポージャーが時価評価されておらず、当該保証対象エクスポージャーに係る損失が損益計算を通じて認識されない取引。

    • マル3信用保証取引の結果として、リスク・ウェイトや規制資本の額が大幅に低下するような取引。例えば、信用保証の対象となるエクスポージャーに対するリスク・ウェイトが150%を超えるような場合。

    • マル4保証に対するプレミアムの支払いが保証対象のエクスポージャー額と比例関係にない取引。例えば、保証対象エクスポージャーの減損やデフォルトの有無にかかわらずプレミアムの支払額が保障されている取引や、前払プレミアムや保証終了時に支払われる予定のプレミアムが損益計算を通じて費用として認識されない取引。

    • マル5信用リスク削減に係る費用の合計額を増加させるような取引。例えば、保証購入者にとって高コストな取引、保証提供者に対する追加担保提供義務を負う取引、取引満期時に追加的な支払いを行わなければならない取引、保証購入者が取引を途中で解約する権利を有する取引及び事前に定めた価額で将来のある時点において取引を中断することにつき保証提供者と保証購入者の間で予め合意している取引。

III -2-3-2-6 信用リスク管理に係る監督手法・対応

  • (1)オフサイト・モニタリング

    • マル1継続的なモニタリング

      信用リスク情報に関するオフサイトモニタリングデータ(四半期)及び中間決算、決算状況表等に基づき、信用リスクの状況を常時把握し、分析等を行う。

    • マル2随時のオフサイト・モニタリング

      大口先の経営再建計画と併せて金融支援策が発表された場合、債権の取立不能等のタイムリーディスクロージャーが行われた場合、銀行の業績予想修正発表が行われた場合等、必要に応じ随時ヒアリングを行い、信用リスクの状況を把握し、分析等を行う。

    • マル3オフサイト・モニタリングに基づく早期警戒

      不良債権比率、大口与信(国際統一基準行についてはTier1資本の額、国内基準行については自己資本の額(適格旧資本調達手段のうち補完的項目に該当していたものを除く。)の10%以上の与信先又は与信残高が上位一定数以上の先(国、地方公共団体、政府関係機関等向け与信を除く。)への与信合計額で大きい方)の比率、特定業種への集中度といった基本的な指標に加え、大口与信先に対するリスクが顕在化した場合の影響額(=大口先のうち要管理先以下の者に対する債権の非保全額(担保・保証及び引当金により保全されていない債権額)の一定割合が損失となったと仮定した場合の損失額)を勘案した自己資本比率を基準として、信用リスクの管理態勢について改善が必要と認められる銀行に関しては、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを行い、必要な場合には法第24条に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すものとする。また、改善計画を確実に実行させる必要があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする(信用リスク改善措置)。

  • (2)自己査定と検査結果の格差

    検査部局による検査結果通知後、法第24条に基づく報告を求め( II -1-3-3参照)、正当な理由がないにもかかわらず当該銀行の自己査定と検査結果の格差が大幅に認められる場合など当該銀行の自主的な改善努力に委ねたのでは当該銀行のリスク管理態勢の整備等に支障を来たすと認められる場合には、法第26条に基づき、業務改善命令を発出するものとする。

  • (3)上記(1)マル3及び(2)以外の場合であっても、検査結果やリスク管理ヒアリング等のオフサイト・モニタリングにより、銀行の信用リスク管理態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じ、法第24条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。

  • (4)なお、銀行の個別取引先に対する与信判断は、あくまでも当該銀行の経営判断で行われるものであることに留意する必要がある。即ち、銀行監督当局の職責は、銀行の検査・監督を通じてその財務の健全性を確保することにある。銀行監督当局として債務者区分や債権の自己査定結果を検証する際、債務者の経営改善計画等の実現可能性等を検証することがあるが(金融検査マニュアル参照)、その結果は銀行の不良債権額と償却・引当額に反映されるにとどまる。不良債権を売却するか否か、債務者をどのように再生させるか等については、銀行(及び債務者)の経営判断に属する事項であり、当局が指示・関与等することはなく、その権限もないことに留意する必要がある。

  • (5)大口信用供与

    • マル1法第13条第1項ただし書(同条第2項で準用する場合を含む。以下マル2において同じ。)の承認の申請があったときは、信用供与等限度額を超えることについて信用の供与等を受けている者が合併をし、又は事業を譲り受けたことその他銀行法施行令(以下「施行令」という。)及び施行規則で定めるやむを得ない理由があるかどうかを審査するものとする。

      当該承認に当たっては、原則として、今後の信用供与等限度額超過の解消に向けた計画を求めるとともに、決算期末(中間期末を含む。)までに解消される場合を除き、定期的に計画の履行状況を報告させるものとする。

    • マル2施行規則第14条の3第2項第3号の「その他金融庁長官が適当と認めるやむを得ない理由があること。」(施行規則第14条の6第1項で準用する場合を含む。)に該当し、法第13条第1項ただし書の承認をする場合としては、例えば、下記イからハまでに掲げるような事情があり、銀行の健全性に支障が生じないと認められる場合が考えられる。

      • イ.法令上の義務に基づき信用の供与等をする場合

      • ロ.告示第6章第5節に規定する信用リスク削減手法(施行規則第14条の2第1項により、信用の供与等の額から控除することが認められているものを除く。)を用いることにより、信用の供与等の額が信用供与等限度額を超過しない場合

      • ハ.金融グループの組織再編やビジネスモデルの再構築等を実施する場合であって、当該組織再編等の目的の実現のために必要であると認められる場合

      上記イからハまでのいずれかに該当し、法第13条第1項ただし書の承認をする場合には、上記マル1にかかわらず、信用供与等限度額超過の解消に向けた計画を求めないものとする。

III -2-3-3 市場リスク管理

III -2-3-3-1 意義

  • (1)市場リスクとは、金利、為替、株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動により、資産・負債及びオフバランス取引の価値が変動し、銀行が損失を被るリスク、資産・負債から生み出される収益が変動し、銀行が損失を被るリスクをいうが、銀行は、当該損失が自己資本比率規制上の自己資本に算入されるか否かにかかわらず、当該リスクに係る内部管理態勢を適切に整備し、財務の健全性の確保に努める必要がある。

  • (2)特に株式については、「我が国金融システムの構造改革を推進し、その安定性への信頼を高めていくためには、不良債権のオフバランス化促進策とあわせて、銀行の保有する株式の価格変動リスクを銀行のリスク管理能力の範囲内にとどめることにより、銀行経営の健全性が損なわれないことを担保するため」(平成13年4月緊急経済対策)、「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」に定める保有制限が設けられていることに留意する必要がある。

    • (注) 銀行の株式保有制限は、銀行の財務の健全性・リスク管理の問題以外に、株式持合いの縮小を通じて我が国株式市場の構造改革と活性化を促すとともに、コーポレートガバナンスの改善なども通じ、我が国経済の再生にも寄与するものと考えられる。

    • (参考) 金融審議会「銀行の株式保有に関する報告」(平成13年6月26日)

III -2-3-3-2 主な着眼点

  • (1)リスク管理体制

    • マル1取締役会は、銀行全体の経営方針に沿った戦略目標を踏まえた市場リスク管理の方針を定めているか。また、取締役会は、銀行の戦略目標、リスク管理方針に従い、かつ収益目標等に見合った適切な市場リスクの管理体制を整備しているか。

    • マル2市場リスク管理のための規程においては、市場部門(フロント・オフィス)、事務管理部門(バック・オフィス)及びリスク管理部門(ミドル・オフィス)について、各部門の管理者のそれぞれの役割と権限を明確にしているか。

    • マル3市場関連リスク管理に当たっては、特定取引(トレーディング)部門と非特定取引(バンキング)部門の双方がカバーされる体制をとっているか。

    • マル4経営陣は、幅広い視点から能動的かつ迅速に業務運営やリスク管理等の方針を決定しているか。

    • マル5内外の経済動向等を含め、保有資産の価格等に影響を与える情報を広く収集・分析するとともに、経営陣が適切かつ迅速に業務運営やリスク管理等の方針を決定できるよう、重要な情報を適時に経営陣等に報告を行う態勢が整備されているか。

    • マル6保有資産の種類等ごとに業務部門が相互の連携なく投資運用を行う場合、全体としてリスクの集中を招いたり、それぞれのポジションに固執し、全体として適切なタイミングで手仕舞いできない可能性があるなど効果的なリスク管理に支障が生じうることを認識し、ポートフォリオ全体の観点から、適切かつ迅速な投資判断を行える態勢が整備されているか。

    • マル7リスク管理部門は、各業務部門へのリスク資本の配賦や限度枠(ロスカット・ポイント、ウォーニング・ポイントなど)の機械的な設定にとどまらず、リスク管理に資する様々な情報を収集・分析し、主体的にリスクの把握を行い、日常的なリスク管理に活用しているか。

    • マル8リスク管理部門は、把握したリスクについて、定期的な報告にとどまらず、必要に応じて経営陣への報告を行っているか。

    • マル9リスク管理については、海外拠点を含めたグループレベルで実施し、グループ全体のリスク管理部署においては、グループ会社からの報告を単に受けるだけではなく、自らリスクを把握・分析・管理する態勢が整備されているか。この前提としてリスク管理上必要な情報については、海外拠点を含めたグループベースで迅速に把握できる態勢が整備されているか。

  • (2)リスク管理の内容・手法

    • マル1現在価値に換算したポジション、及びリスクの保有資産別・期日別等の内訳を適切に把握しているか。特に、特殊なリスク特性を有する保有資産のリスクを適切にとらえているか。

    • マル2市場リスク管理の方針の下で、内部モデルの高度化及び精緻化のための研究を随時行っているか。

    • マル3銀行勘定の金利リスクは、いわゆるコア預金(明確な金利改定間隔がなく、預金者の要求によって随時払い出される預金のうち、引き出されることなく長期間銀行に滞留する預金)の定義によって、計算されるリスク量が大きく変動することを理解し、コア預金の内部定義を適切に行い、バックテスト等による検証を行っているか。

    • マル4VaR値をリスク管理に用いる際は、商品の特性を踏まえて、観測期間、保有期間、信頼区間、計測手法及び投入するデータ等の適切な選択に努めるとともに、計測結果を検証し、妥当性の確保に努めているか。

    • マル5過去の実績が十分でない場合やデータの信頼性が乏しい場合等にはVaRの値が過少となる可能性があるなど、統計的なリスク計測手法には一定の限界があることを踏まえ、多様なリスク計測手法(例えば、想定元本などのグロス・ポジションの把握、ボラティリティの変化の把握など)を活用するとともに、ストレステストを含むリスク管理手法の充実を図っているか。なお、リスク管理に当たっては、経済動向等を踏まえてその前提条件を機動的に見直すこととしているか。

    • マル6ストレステストに際しては、ヒストリカルシナリオ(過去の主な危機のケースや最大損失事例の当てはめ)のみならず、仮想のストレスシナリオによる分析も行っているか。なお、仮想のストレスシナリオについては、内外の経済動向に関し、保有資産等に対し影響の大きいと考えられる状況を適切に想定しつつ、複数設定しているか。さらに、前提となっている保有資産間の価格の相関関係が崩れるような事態も含めて検討を行っているか。

    • マル7ポジション枠(金利感応度や想定元本等に対する限度枠)、リスク・リミット(VaR等の予想損失額の限度枠)、損失限度、ストレステストの設定に際しては、取締役会において、銀行におけるリスク管理の方針として、各設定に際しての基本的な考え方を明確に定めているか。また、取締役会等において、定期的に(最低限各期に1回)、各部門の業務の内容等を再検討し、設定内容を見直しているか。

    • マル8ポジション枠、リスク・リミット、損失限度を超過した場合、もしくは超過するおそれがある場合の管理者への報告体制、権限(方針及び手続き等)が明確に定められているか。

    • マル9ストレステストの結果については、経営陣により十分な検証・分析が行われ、リスク管理に関する具体的な判断に活用される態勢が整備されているか。

    • マル10「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」に定める株式等の保有の制限を踏まえ、適切に株式保有リスクを管理しているか。

  • (3)証券化商品等のクレジット投資のリスク管理

    証券化商品をはじめとする市場性のあるクレジット商品への投資では、以下のような点に留意して、リスク管理を行っているか。なお、市場性のあるローン(自行でオリジネートする場合、セカンダリー市場で取得する場合を問わない。)やCDS取引についても、同様の留意が必要となる。

    • マル1商品の適切な価格評価

      市場性のあるクレジット商品(市場性のあるローンやCDS取引も含む。)に関して、以下のような点を留意して、価格評価を行っているか。

      • イ.価格評価にあたっては、頻繁に取引されている価格が存在する場合は当該価格で評価し、このような価格が存在しない場合でも、類似商品の価格を用いて評価するなど、可能な限り客観的な価格評価を行っているか。また、価格評価モデルを用いる場合、モデルが一定の前提の上に作られていることを理解し、定期的にモデルの前提やロジックを見直し、適切性を検証しているか。

      • ロ.フロント部門において算出された商品の価格を、リスク管理上の時価評価額として使用する場合は、当該価格について、リスク管理部門等において、独立した立場から検証を行っているか。

      • ハ.ブローカーや外部ベンダーから価格評価を取得する場合は、可能な限り価格評価手法にかかる情報の提供を求め、当該価格評価の妥当性の検証に努めているか。また、外部ベンダー等が提供する価格評価モデルを用いる場合は、可能な限り詳細な情報の提供を当該ベンダー等に求め、モデルの前提・特性や限界の把握に努めているか。

      • ニ.価格評価モデルを用いるにあたって、流動性リスクや価格評価モデルの不確実性リスク等に重要性があると認められる場合には、これらが適切に考慮されているか。

    • マル2証券化商品等投資における商品内容の適切な把握

      • イ.証券化商品等への投資や期中管理にあたり、格付機関の格付手法や格付の意味を予め的確に理解した上で外部格付を利用する等、外部格付に過度に依存しないための態勢が整備されているか。

      • ロ.証券化商品等の投資において、裏付となる資産内容の把握、優先劣後構造(レバレッジの程度)や流動性補完、信用補完の状況、クレジットイベントの内容といったストラクチャーの分析及び価格変動の状況の把握等、自ら証券化商品等の内容把握に努めているか。

      • ハ.証券化商品投資では、原資産ポートフォリオの運用・管理をオリジネーター、マネージャー等の関係者に依存していることから、関係者の能力・資質、体制等の把握・監視に努めているか。

      • ニ.証券化商品については、オリジネーターによる原資産の組成において、その組成当初から当該原資産の全てを証券化ビークルに譲渡することを意図した場合、投資分析等が疎かになるなど不適切な原資産組成がなされ、その結果当該証券化商品の持分のリスクが高くなるおそれがある。そのため、当該証券化商品のリスクの一部を、オリジネーターが継続保有することが望まれる。これらを踏まえ、オリジネーターが証券化商品に係るリスクの一部を継続保有しているか確認しているか。また継続保有していない場合には、オリジネーターの原資産に対する関与状況や原資産の質についてより深度ある分析をしているか。

    • マル3市場流動性リスクの管理

      • イ.証券化商品等への投資や期中管理において、市場流動性を適切に検証しているか。なお、市場流動性を検証する方法としては、

        • a.市場規模と自己の投資額とを比較し、過大なシェアとなっていないかを確認すること

        • b.ヒアリング等を通じて、市場のビッド・オファー・スプレッドや実際に売却可能な価格水準を把握すること

        • c.各種指数等(証券化商品のインデックス等)の分析により市場環境の変化をモニターすること

        • d.市場流動性枯渇に関するストレスシナリオを作成し、証券化ポートフォリオの損益等を確認すること

        等が考えられる。

      • ロ.証券化商品等の市場流動性につき、懸念が認められた場合、適時に対応を検討する態勢が整備されているか。

    • マル4証券化商品の組成等に係るリスク管理

      • イ.証券化商品等を組成し、販売する(又は市場性のあるローンを売却する)までの過程において、市場環境が変化し、原資産にかかるリスク(又は当該ローンのリスク)を投資家に移転することが困難になる可能性(パイプラインリスク)について検討されているか。また、証券化商品等の販売後、買戻し特約等により再び原資産に係るリスクを負う可能性がある場合に、買戻し等を行った際の対応(新たな投資家の確保や自己のポートフォリオへの組込み等)があらかじめ検討されているか。証券化(シンジケーション)業務を行うに当たっては、以上のリスクも織り込んで、リスク・リターンの判断を行っているか。

      • ロ.非連結の特別目的会社等を用いて、証券化商品等を組成・販売する等により、原資産に係るリスクを投資家に移転した場合であっても、レピュテーショナルリスクなどから、市場環境の変化によっては、再び原資産に係るリスクを負う可能性について、ストレステストに織り込む等の方法によりあらかじめ検討されているか。証券化(シンジケーション)業務を行うに当たっては、以上のリスクも織り込んで、リスク・リターンの判断を行っているか。

      • (注) 着眼点の詳細については、必要に応じ、金融検査マニュアルを参照。

III -2-3-3-3 監督手法・対応

  • (1)オフサイト・モニタリング

    • マル1継続的なモニタリング(月次)

      市場リスク情報に関するオフサイトモニタリングデータ(月次)に基づき、市場リスク等の状況を常時把握し、分析等を行う。

    • マル2随時のオフサイト・モニタリング

      金利や資産価格の変動が発生した時など、必要に応じ随時ヒアリングを行い、市場リスクの状況を把握し、分析等を行う。

    • マル3オフサイト・モニタリングに基づく早期警戒

      以下のいずれかに該当する銀行に対しては、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを行い、必要な場合には法第24条に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すものとする。また、改善計画を確実に実行させる必要があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする(安定性改善措置)。

      • イ.有価証券の価格変動等による影響を基準として、市場リスク等の管理態勢について改善が必要と認められる銀行

      • ロ.アウトライヤー基準(銀行勘定の金利リスク量(標準的金利ショック(マル1上下200ベーシス・ポイントの平行移動による金利ショック又はマル2保有期間1年、最低5年の観測期間で計測される金利変動の1パーセンタイル値と99パーセンタイル値による金利ショック)によって計算される経済価値の低下額)が総自己資本の額(国内基準行については、自己資本の額)の20%を超えるもの)に該当する銀行

        • (注1) アウトライヤー基準の適用に際しては、以下の点に留意する。

          • 一.アウトライヤー基準の金利リスク量の算出における標準的金利ショック(上記マル1マル2の2種類の金利ショック)は銀行の選択に委ねられる。

          • 二.上述のように、金利リスク量はコア預金の定義によって大きく変動することとなる。そのため、コア預金について、以下のa.又はb.の定義を用いることとする。一度選択したコア預金の定義は合理的な理由がない限り継続して使用しなければならない。

            • a.マル1過去5年の最低残高、マル2過去5年の最大年間流出量を現残高から差し引いた残高、又はマル3現残高の50%相当額のうち、最小の額を上限とし、満期は5年以内(平均2.5年以内)として銀行が独自に定める。

            • b.銀行の内部管理上、合理的に預金者行動をモデル化し、コア預金額の認定と期日への振分けを適切に実施している場合は、その定義に従う。

          • 三.金利リスク量の算出に当たって、内部管理で使用しているモデルに基づく高度なリスク計算方法は、その合理性を当局に説明できる場合には使用することができることとする(例えば、契約上のキャッシュフローとは異なるキャッシュフローに基づくリスク計算や、市場金利と完全連動しない対顧客レートの予測推定に基づくリスク計算など。)。

        • (注2) アウトライヤー基準に該当する場合であっても、当該銀行の経営が不健全であると自動的にみなされるものではなく、当局としても、必ずしも直ちに経営改善を求めるものではない。また、改善が必要とされる場合でも、金融市場への影響等に十分配慮し、改善手法や時期等が適切に選択されるよう、特に留意して監督を行うものとする。

        • (注3) ゆうちょ銀行は、法令上、一部の資産について国債等の安全資産の保有が義務付けられているため、上記マル3ロに基づく監督上の対応をするに当たっては、当該特殊事情を適切に勘案することとする。

  • (2)上記マル3以外の場合であっても、検査結果やリスク管理ヒアリング等により、銀行の市場リスク管理態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じ、法第24条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。

III -2-3-4 流動性リスク管理

III -2-3-4-1 意義

流動性リスクとは、銀行の財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなくなり、資金繰りがつかなくなる場合や、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより銀行が被るリスク(資金繰りリスク)と、市場の混乱等により市場において取引できなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)からなる。銀行は当該リスクに係る内部管理態勢を適切に整備し、流動性リスクを適切に管理していくことが重要である。

III -2-3-4-2 主な着眼点

  • (1)取締役会は、銀行全体の経営方針に沿った戦略目標を定めるに当たり、資金繰りリスクを考慮しているか。また、取締役会は、資金繰りリスクの管理に当たり、例えば、資金繰り管理部門とリスク管理部門を分離するなど、適切なリスク管理を行うため、けん制機能が十分発揮される体制を整備しているか。

  • (2)国際統一基準行においては、取締役会は、バーゼル銀行監督委員会「バーゼルIII:流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」(2010年12月)に定められる流動性カバレッジ比率及び安定調達比率について、それぞれ平成27年又は平成30年から適用されることに向けた体制の整備を検討しているか。

  • (3)資金繰り管理部門及びリスク管理部門の管理者は、資金繰りの状況をその資金繰りの逼迫度に応じて区分(例えば、平常時、懸念時、危機時等)し、各区分時における管理手法、報告方法、決裁方法等の規定を取締役会等の承認を得た上で整備しているか。

  • (4)資金繰り管理部門は、国内外において即時売却可能あるいは担保として利用可能な資産(国債など)の保有や円投入、円転換等による調達可能時点・金額を常時把握するとともに、各中央銀行、市中金融機関から調達が行えるよう借入枠を設定するなど、危機時を想定した調達手段を確保しているか。

  • (5)主要行等の場合、内外の市場から流動性を調達していることが多いことを踏まえ、特に市場調達環境について注意深くモニタリングするとともに、危機対応態勢を構築しているか。

  • (6)国際統一基準行においては、流動性カバレッジ比率(銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその経営の健全性を判断するための基準として定める流動性に係る健全性を判断するための基準(以下「流動性カバレッジ比率告示」という。)第8条に定める単体流動性カバレッジ比率をいう。以下同じ。)が最低水準を満たしていることを早期に捕捉するため、流動性カバレッジ比率を基に作成した近似指標(以下「近似LCR」という。)について、以下に掲げるところにより、日次で算出する態勢を整備しているか(最初に流動性カバレッジ比率を算出し、当局へ報告した日の翌日より適用)。

    • マル1更新するデータの内容

      近似LCRを構成する分子及び分母は、流動性カバレッジ比率を適切に捕捉するために、少しでも多くのデータ項目について更新する取扱いとなっているか。なお、流動性カバレッジ比率に対する捕捉力を確保するために、例えば、分子については、流動性カバレッジ比率の分子に相当する資産の80パーセント以上(直近の流動性カバレッジ比率対比)を更新する等の対応を行っているか。

    • マル2近似LCRを算出する期限

      近似LCRは、算出の対象となる日から2営業日以内に算出しているか。

    • マル3当局への報告

      直近月の流動性カバレッジ比率が、最低水準より20%ポイント高い水準を下回った場合には、速やかに近似LCRの当局に対する日次の報告を開始することとしているか。当該日次の報告は、翌月以降の流動性カバレッジ比率が、最低水準より20%ポイント高い水準を上回るまで継続することとしているか。

    • マル4当局への報告期限

      マル3において、当局へ報告を行うこととなった場合は、近似LCRを算出した日の翌営業日以内に当局に報告しているか。

    • マル5文書化

      近似LCRの算出方法について文書化しているか。

    • (注) 着眼点の詳細については、必要に応じ、金融検査マニュアルを参照。

III -2-3-4-3 監督手法・対応

  • (1)オフサイト・モニタリング

    • マル1継続的なモニタリング(月次)

      流動性リスク情報に関するオフサイトモニタリングデータ(月次)に基づき、流動性リスク等の状況を常時把握し、分析等を行う。

    • マル2随時のオフサイト・モニタリング

      例えばジャパンプレミアムの発生等、市場調達環境が悪化した時などには必要に応じ、随時ヒアリングを行い、流動性リスクの状況を把握し、分析等を行う。

    • マル3オフサイト・モニタリングに基づく早期警戒

      預金動向や流動性準備の水準を基準として、流動性リスクの管理態勢について改善が必要と認められる銀行に関しては、預金や流動性準備の状況について、頻度の高い報告を求めるとともに、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを行い、必要な場合には法第24条に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すものとする。また、改善計画を確実に実行させる必要があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする(資金繰り改善措置)。

  • (2)上記(1)マル3以外の場合であっても、検査結果やリスク管理ヒアリング等により、銀行の流動性リスク管理態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じ、法第24条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。

III -2-3-4-4 流動性カバレッジ比率(国際統一基準行)

III -2-3-4-4-1 意義

財務の健全性を確保するためには、自己資本の充実を図るだけではなく、流動性リスクにも備える必要がある。流動性リスクに対する短期的な備えとしては、流動性リスクに応じた十分な流動性資産を保有することにより、資金調達が困難な状況に陥っても、業務の継続を可能とする強靭性を高めることが重要である。当局としても、銀行の流動性リスクを把握し、必要に応じて十分な流動性資産の保有を促していく必要がある。

こうした観点から、国際統一基準行に対しては、流動性カバレッジ比率という客観的な基準を用い、十分な流動性資産の保有を求めるものとする。

III -2-3-4-4-2 流動性カバレッジ比率の計算の正確性

III -2-3-4-4-2-1 意義

流動性カバレッジ比率については、銀行の流動性に係る健全性を示す基本的指標であることから、正確に計算されなければならない。

流動性カバレッジ比率の計算の正確性については、流動性カバレッジ比率告示及びバーゼル合意の趣旨を十分に踏まえる必要がある。

III -2-3-4-4-2-2 留意事項

流動性カバレッジ比率の計算の正確性については、流動性カバレッジ比率告示上の規定に則って正確に計算されているか。特に以下の点に留意してチェックするものとする。

  • (1)銀行が具体的な計算の方法を策定する場合の留意点

    流動性カバレッジ比率における資金流出項目のうち、流動性カバレッジ比率告示第29条に規定する適格オペレーショナル預金に係る特例及び同告示第38条に規定するシナリオ法による時価変動時所要追加担保額を使用する場合には、当該各条に規定する要件を満たす範囲で、銀行が具体的な計算方法を策定するものとされている。この場合には、次の点について、具体的な計算方法が告示を踏まえて適切に策定されているか、事前に確認するものとする。

    • マル1銀行が適格オペレーショナル預金に係る特例を用いようとする場合には、適格オペレーショナル預金の額の推計方法が適格業務要件、オペレーショナル預金要件、定量的基準及び定性的基準を満たす形で設定されているか。

    • マル2銀行がシナリオ法による時価変動時所要追加担保額を用いようとする場合には、そのストレスシナリオの設定及び金額の推計方法がストレスシナリオの選定基準、定量的基準及び定性的基準を満たす形で設定されているか。

  • (2)流動性カバレッジ比率の計算における計算対象の判定について

    流動性カバレッジ比率の計算においては、銀行における内部管理等も踏まえつつ計算対象の設定を行う事項があるが、具体的には以下の項目について、適切な取扱いを行っているか。

    • マル1「金融機関等」の定義における「流動性に係るリスク管理の観点から重要性が低いと認められる者」の判断

      流動性カバレッジ比率告示第1条第19号に規定する「金融機関等」については、「流動性に係るリスク管理の観点から重要性が低いと認められる者」を除くこととされている。この際、例えば、資金流出額を減少させることによって流動性カバレッジ比率を高めることを目的として、重要性が認められる者を意図的に「金融機関等」の定義から除外するなど不適当な取扱いを行っていないか。

    • マル2規模の小さな連結子法人等の取扱い

      連結流動性カバレッジ比率の水準への影響が極めて小さい小規模の連結子法人等については、算入可能適格流動資産をゼロとするなど保守的であることが担保される場合に限り、簡便的な計算をすることも可能である。この際、例えば、連結総資産(連結総負債)に占める資産(負債)の割合が非常に大きな金融機関に対して当該計算を適用したり、オフ・バランスシートにおいて多額の資金流出が見込まれるにも関わらず、これを考慮しないまま小規模の連結子法人等であるとして当該計算を適用するなど不適当な取扱いを行っていないか。

  • (3)過去の流動性ストレス期の判定

    「過去の流動性ストレス期」の判定においては、2007年以降(我が国においては、2008年以降)まで遡ることを基本としつつ、可能な範囲で1990年代後半のデータ等を参照することとされている。この際、データが入手可能であり、かつ過去の流動性ストレス期としての要件を満たしていた時期について、適切に判定の対象として含めているか。

  • (4)価格下落率等の確認

    流動性カバレッジ比率告示上のレベル2A資産及びレベル2B資産の判定においては、過去の市場流動性ストレス期における価格下落率若しくは担保掛目の下落幅を確認することが求められている。例えば、債券の格付及び残存期間について、十分に細分化した上で判定を行うなど適切に確認を行っているか。

  • (5)資金流出入項目の区分及び資金流出率の設定の適切性

    流動性カバレッジ比率告示上、資金流出入項目に係る区分の設定並びにそれらに係る資金流出率(額)又は資金流入額の設定を行う項目があるが、これらについては、銀行による適切な設定及び検証を求めることとしている。具体的には、以下の項目について留意することとする。

    • マル1流動性カバレッジ比率告示第21条に定める「準安定預金」について、内部管理として追加的な区分を設定する必要があるか否か検討し、必要があると認められる場合には適切な区分を行っているか。また、過去の流動性ストレス期における資金流出の割合の実績を踏まえた資金流出率の設定を行っているか。さらに、過去の資金流出率をそのまま適用することなく、現在の準安定預金の構成に当てはめた場合にも資金流出率が10%を超える蓋然性が十分に低いか等について検証を行っているか。

    • マル2流動性カバレッジ比率告示第53条に定める「その他偶発事象に係る資金流出額」について、内部管理を踏まえた適切な区分を行っているか。また、その適切性について定期的な検証を行っているか。

    • マル3流動性カバレッジ比率告示第60条に定める「その他契約に基づく資金流出額」及び同告示第73条に定める「その他契約に基づく資金流入額」について、流動性リスクの管理上の重要性を踏まえた適切な設定を行っているか。また、その適切性について定期的な検証を行っているか。

  • (6)流動性カバレッジ比率の計算方法の一貫性等

    例えば、流動性カバレッジ比率告示第35条第2項のネッティング(資金流出額及び資金流入額の計算過程において、一定の額との相殺を行うことをいう。)の取扱いや、同告示第29条に規定する適格オペレーショナル預金に係る特例及び同告示第38条に規定するシナリオ法を採用している場合にはそれらの取扱いなど、流動性カバレッジ比率の計算方法に関して銀行に一定の裁量が認められている場合、合理的な理由に基づく変更の場合を除き、一貫した、かつ保守的な計算方法を採用しているか。

III -2-3-4-4-2-3 監督手法・対応

  • (1)オフサイト・モニタリング

    流動性カバレッジ比率の計算の正確性等に問題があることが判明した場合には、詳細な報告を求め、必要に応じてヒアリングを行うものとする。

    また、流動性カバレッジ比率告示第29条に規定する適格オペレーショナル預金に係る特例及び同告示第38条に規定するシナリオ法を採用している銀行に対しては、これらの取扱いについて、定期的に報告を求め、同告示に定められた要件を充足しているか、前回から計算方法に変更がないか等について確認することとする。

  • (2)検査結果や(1)のオフサイト・モニタリングにより、流動性カバレッジ比率の計算の正確性に問題があると認められる場合には、法第24条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする。

III -2-3-4-4-3 流動性カバレッジ比率規制に関する監督上の措置

銀行の流動性リスク管理における取組みを補完する役割として、流動性カバレッジ比率という客観的な基準を用い、必要に応じた措置を迅速かつ適切に発動し、銀行の経営の改善を求めるものとする。

III -2-3-4-4-3-1 監督手法

  • (1)定期的なモニタリング(月次)

    月末日又は最終営業日を基準日とした流動性カバレッジ比率について、翌月の第10営業日までに指定された様式に基づく報告を求めることにより、流動性カバレッジ比率の状況を月次でモニタリングする。その際、流動性カバレッジ比率の水準や変動の傾向を確認するとともに、流動性カバレッジ比率の分子・分母の内訳を把握することにより変動の要因・背景を分析するものとする。

    また、他のオフサイトモニタリングデータや金融経済指標等を分析することにより、金融システム全体に流動性に関するストレスの兆候がないかを確認する。

    • (注)原則として月末日を基準日とするが、各銀行が採用している会計基準等により、最終営業日を基準日とすることもできるものとする。この場合、合理的な理由に基づき変更する場合を除き、一貫した基準日を採用することとする。

  • (2)随時のモニタリング

    (1)に加えて、必要と認められる場合においては、流動性カバレッジ比率の状況について報告を求めるものとする。

III -2-3-4-4-3-2 監督上の対応

  • (1)監督上の措置の前提となる流動性カバレッジ比率

    (2)に定める監督上の措置の前提となる流動性カバレッジ比率は、III-2-3-4-4-3-1における定期的なモニタリング又は随時のモニタリングにより報告されたものとする。

  • (2)監督上の措置

    流動性カバレッジ比率が最低水準を下回った場合には、その理由や流動性カバレッジ比率の向上に係る改善策について、法第24条に基づき速やかに報告を求めるものとする。さらに確実な改善が必要であると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする。

    また、流動性カバレッジ比率が近い将来に最低水準を下回るおそれがあると見込まれる場合には、まずは理由や改善の見込み等についてヒアリングを行うものとする。ヒアリングの結果、なお問題があると認められる場合には、法第24条に基づき報告を求め、さらに確実な改善が必要であると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする。

    ただし、監督上の対応については、機械的・画一的に運用するものではなく、流動性カバレッジ比率の最低水準を維持するために銀行がとる対応策の内容やその効果及びその対応策が金融システムに与える影響等に留意する必要がある。

    • マル1法第24条に基づく報告には、以下の内容を含むものとする。また、必要に応じて、追加的な内容を徴求することとする。

      • イ.流動性カバレッジ比率が最低水準を下回った要因(特定の算入可能適格流動資産の減少、特定の資金流出額の増加等)及びその背景

      • ロ.流動性カバレッジ比率が最低水準を上回る時期の見通し、及びそれまでの流動性カバレッジ比率の分子・分母の内訳の推移の見通し

      • ハ.算入可能適格流動資産に含まれないものの、緊急時において資金調達に用いることが可能な流動性資産の額及びその種類等

        • (注)法第24条に基づく報告があった際には、報告内容等を踏まえ、例えば、以下の点を分析することが考えられる。

          • a.流動性カバレッジ比率の低下が、主に一時的な要因に起因するものであるか、あるいは長期的・構造的な要因に起因するものであるか。

          • b.流動性カバレッジ比率の最低水準を維持するための対応策を起因とした金融システムに悪影響を及ぼす可能性及びその経路等

    • マル2法第26条に基づく命令においては、合理的と認められる改善計画の提出を求めるとともに、その確実な実行を求めるものとする。改善計画には、以下の内容を含むものとする。また、改善計画の提出に併せ、上記マル1のイ.、ロ.及びハ.に関する報告その他の報告を徴求することとする。

      • イ.既に講じた措置及び今後講じる予定の措置及びその時期

      • ロ.改善計画に要する期間

  • (注)III-2-3-4は、主に単体流動性カバレッジ比率について定めたものであり、流動性カバレッジ比率告示第2条に規定する連結流動性カバレッジ比率が適用される場合には、適宜読み替えて適用するものとする。

III -2-3-5 報酬体系の留意点等

III -2-3-5-1 意義

主要行等は国際的な金融活動を展開しているケースが多いため、国際的な雇用・報酬慣行も勘案して、報酬体系の設計・運用を行うことが考えられる。一方、その設計・運用次第では、役職員によるリスクテイクへのインセンティブを高めることとなり、こうした傾向が過度なものとなれば、グループ全体のリスク管理等にとって重大な問題をもたらす可能性もある。

国際的にも、金融安定理事会(Financial Stability Board)等の場において、金融機関の報酬体系の設計・運用に関する議論が進められており、主要行等においては、こうした国際的動向も考慮しつつ、報酬体系が役職員の過度なリスクテイクを引き起こさないよう確保していくことが必要である。こうしたことから、監督当局としても報酬体系について、金融安定理事会における国際的な指針(注)等も踏まえつつ、特に以下の点に留意して監督することとする。実際の監督に当たっては、グループの規模、業務の複雑性及び海外拠点の設置状況等も踏まえ、機械的・画一的な対応とならないよう留意することとする。

なお、報酬体系に関して役職員による過度なリスクテイクが誘発されるおそれのほか、雇用慣行や人事評価制度等に関連して同様のおそれが見られないか等についても、配意するものとする。また、経営者は経営管理を始めとして重要な職務を担っており、そのための報酬を受けていることを踏まえ、適切な経営を行うことを当然に求められていることに留意するものとする。

  • (注)・金融安定化フォーラム「健全な報酬慣行に関する原則」(2009年4月)

    ・金融安定理事会「「健全な報酬慣行に関する原則」実施基準」(2009年9月)

III -2-3-5-2 着眼点

  • (1)報酬委員会等の役割

    • マル1グループの役職員の報酬体系について、その状況を監視する委員会等その他報酬体系の適切な設計・運用を確保するために経営陣に対する必要なけん制機能を発揮できる機関その他の組織(以下「報酬委員会等」という。)を含めた適切な態勢を整備しているか。また、報酬委員会等は、その監視・けん制機能を業務推進部門(担当役員を含む)から独立して発揮できるよう必要な権限や体制等を確保しているか。

    • マル2報酬委員会等は、報酬額全体の水準が、グループ全体の財務の健全性の現状及び将来見通しと整合的であり、将来の自己資本の十分性に重大な影響を及ぼさないことを確認しているか。

    • マル3報酬委員会等は、報酬体系の設計・運用の適切性の評価に関して、リスク管理部門と密接な連携を図る等、リスク管理の観点に十分留意しているか。

    • マル4報酬委員会等は、報酬体系の運用状況の監視を通じ、報酬額が短期的な収益獲得に過度に連動したり、過度の成果主義を反映するといった問題が生じていないか等を確認しているか。

  • (2)報酬体系とリスク管理等との整合性

    • マル1リスク管理部門やコンプライアンス部門の職員の報酬は、他の業務部門から独立して決定され、かつ、職責の重要性を適切に反映したものとなっているか。また、これら職員の報酬に係る業績の測定は、主として、リスク管理や法令等遵守の達成度に加え、リスク管理態勢や法令遵守態勢の構築への貢献度が反映されたものとなっているか。

    • マル2役職員(職員においては、グループ全体のリスクテイクに重大な影響を与える職員。以下同じ。)の報酬額に占める業績連動部分の割合は、当該役職員の職責や実際の業務内容のほか、グループ全体の財務の健全性やグループとして抱えることのできるリスクの程度に関する方針等も踏まえ、適切なものとなっているか。

    • マル3役職員の報酬額のうち相当部分を業績連動とする場合は、報酬額が確定するまでの間に生じうる財務上のリスクへの対応状況(必要な自己資本や流動性の確保の見込み)を踏まえた設計となっているか。

    • マル4役職員の報酬額のうち業績連動部分は、業績不振の場合には相当程度縮小する設計となっているか。

    • マル5役職員の職責や実際の業務内容に応じて、より長期的な企業価値の創出を重視する報酬支払方法(例えば、株式での支払いやストックオプションの付与)や、リスクが顕在化するまでの期間も考慮した報酬支払方法(例えば、株式で支払う場合の一定期間の譲渡制限、ストックオプションを付与する場合の権利行使時期の設定、報酬支払いの繰延べ・業績不振の場合の取戻し)を採用しているか。

    • マル6リスク管理に悪影響を及ぼしかねない報酬体系(複数年にわたる賞与支払額の最低保証、高額な退職一時金制度等)については、適切な改善策を検討・実施しているか。

    • マル7リスク管理と整合的な報酬体系を設計している場合であっても、役職員がその設計趣旨を損ないかねないような行為(表面的にリスクを減少させるような取引等)を行うおそれについて、適切に監視・けん制する態勢を整備しているか。

III -2-3-5-3 監督手法・対応

  • (1)主要行等の報酬体系に関して、国際的な動向等を踏まえて特定される課題への対応状況について、定期的かつ継続的にヒアリングを行うこととする。また、海外当局との協力の枠組みを積極的に活用し、これを通じて把握した海外拠点に関する課題等について、深度あるヒアリングを行うこととする。

  • (2)上記(1)のオフサイト・モニタリング、検査結果等により、問題があると認められる場合には、必要に応じ、法第24条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。

III-2-3-6 リスク管理に係るデータの集計能力及び取締役会等への報告に関する着眼点

III-2-3-6-1 意義

主要行等のうち、特に大規模で複雑な業務を行う銀行等については、損失可能性の低減や財務の健全性の確保の観点から、グループ全体のリスク管理に係るデータ(以下「リスクデータ」という。)の集計や、取締役会等へのリスク管理に係る報告(以下「リスク報告」という。)を正確かつ迅速に行うため、リスクデータに係る経営情報システムやリスク管理態勢の整備を行うことが必要である。このような銀行等のリスクデータ集計能力及びリスク報告態勢の向上は、金融システムの安定性を確保する上で重要な点である。特に、強固なリスクデータ集計能力及びリスク報告態勢は、ストレス時・危機時において銀行等自身や監督当局が将来的な予測及びこれに基づく対応策を検討する上でも重要であり、銀行等の再建・破綻処理の実行可能性を高めることや、収益性の向上にも繋がる。

国際的にも、こうした観点から、バーゼル銀行監督委員会における合意(注)の下、G-SIBsについては、金融安定理事会により平成24 年までにG-SIBs に選定された銀行等は平成28 年1月まで、それ以降にG-SIBs に選定された銀行等については金融安定理事会による選定後3年以内、D-SIBsについてはその選定から3年後までに、リスクデータ集計能力及びリスク報告態勢を強化するための「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則」を遵守することが求められている。我が国でも、このような国際的な動向を勘案しつつ、銀行等のリスク管理態勢や意思決定プロセスの向上を目的として、リスクデータ集計及びリスク報告に係るIT インフラやプロセス、態勢の整備・改善に向けた取組みを引き続き進めていく必要がある。

  • (注)バーゼル銀行監督委員会「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則」(2013年1月)

III-2-3-6-2 着眼点と監督手法・対応

バーゼル銀行監督委員会における合意等を踏まえ、金融安定理事会により平成24年までにG-SIBs に選定された銀行等については平成28 年初までに、それ以降にG-SIBsに選定された銀行等又は告示に指定されたD-SIBsについては、それぞれその選定の公表から3年後までに「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則」を遵守し、取締役会等や当局への報告に必要となる情報がグループ全体で迅速に集計・報告できるよう、リスクデータ集計及びリスク報告に係るIT インフラやプロセス、態勢の整備・改善に向けた取組みの実施につき、特に以下の点への対応状況に留意して監督することとする。

  • (1)包括的なガバナンス態勢とITインフラ

    • マル1リスクデータ集計能力及びリスク報告態勢に関して、監督指針における他の着眼点や、バーゼル銀行監督委員会が定める原則・指針等と整合的かつ強固なガバナンスの枠組みが導入されているか。

    • マル2リスクデータ集計能力及びリスク報告態勢に関連するデータ構造やITインフラについて、平時のみならず、ストレス時・危機時の対応も踏まえた上で、設計・構築し、維持しているか。

  • (2)リスクデータ集計能力

    • マル1平時及びストレス時・危機時の報告において必要とされる正確性及び完全性を満たすリスクデータを作成しているか。また、誤りの可能性を最小化するために、大部分のデータが自動集計されているか。

    • マル2全ての主要なリスクデータについて、グループ連結ベースで捕捉・集計しているか。また、エクスポージャー及びリスクの集中や発生を特定し、報告が可能となるよう、ビジネス部門、グループ会社、保有資産種類、エクスポージャーの業種・地域及びその他の重要な区分毎に集計できる態勢となっているか。

    • マル3最新のリスクデータが、必要とされる正確性や完全性、網羅性、適応性を満たしつつ、適時に集計されているか。なお、具体的なリスクデータ集計のタイミングについては、銀行等全体のリスクプロファイルにおける重要性のみならず、リスクの性質やその潜在的なボラティリティ、これらを踏まえた平時及びストレス時・危機時のそれぞれにおける報告頻度により決定されるべきであることに、留意する必要がある。

    • マル4ストレス時・危機時の対応や内部管理上の必要性の変化、監督当局からの要請を含め、随時の非定形な幅広い要請に対応したリスクデータを集計できる態勢が整備されているか。

  • (3)リスク報告

    • マル1リスク報告書は、集計されたリスクデータを正確に反映するものとなっているか。また、銀行等は報告内容について必要な検証を実施しているか。

    • マル2リスク報告書は、銀行等における全ての重要なリスクをカバーしているか。また、報告の深度と範囲は、業務の規模や複雑性、リスク特性、取締役会等のリスク報告書受領者からの要請と整合的なものとなっているか。

    • マル3リスク報告書は、リスク報告書受領者の必要性に応じた有意義な情報を、明確かつ簡潔な方法で包括的に伝えるものとなっているか。

    • マル4取締役会等は、取締役会等の必要性や報告対象リスクの性質・ボラティリティに加え、実効的かつ効率的な意思決定や健全なリスク管理の観点からの重要性に基づいて、リスク報告書の作成及び配布頻度を決定しているか。また、ストレス時・危機時の作成及び配布頻度は、平時よりも高頻度となっているか。

    • マル5リスク報告書は、取締役会等のリスク報告書受領者に対して、機密性を確保しつつ適切に配布されているか。

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