IV  銀行持株会社

IV -1 意義

銀行持株会社は、その子会社である銀行(以下「子銀行」という。)及び法第52条の23第1項各号に掲げる会社の経営管理を行う会社であり、その業務範囲は銀行持株会社グループの経営管理(法第52条の21第2項に規定する経営管理をいう。)、これに附帯する業務及び法第52条の21の2第1項に規定する業務に限定されている。銀行持株会社は、その子会社の経営管理を行うに当たっては、銀行経営の健全性確保や預金者保護といった銀行法の趣旨を十分に踏まえたうえで、子銀行の業務の健全かつ適切な運営の確保に努めなければならない。

IV -2 主な留意事項等

銀行持株会社の監督上の指針は、本監督指針の銀行に関する規定に準じることを基本とするが、銀行持株会社の子会社である銀行の業務の特性等にかんがみ、以下の点にも留意する。

  • (1)グループ全体の経営管理(ガバナンス)態勢の構築に責任ある役割を果たしているか。

  • (2)銀行持株会社及びその子会社の連結自己資本比率、連結流動性カバレッジ比率及び連結安定調達比率の計算が正確に行われているか(III-2-1及びIII-2-3-4-4参照)。

  • (3)第三者割当増資のコンプライアンス態勢(III -3-1-5参照)がグループ全体に確立されているか。

  • (4)銀行持株会社単体の財務構造(有利子負債の状況等)も含め、グループ全体の財務管理が適切に行われているか。

  • (5)システミックリスクの顕在化のおそれについて理解した上で、流動性リスク管理態勢を整備しているか。

  • (6)情報開示の適切性・十分性(III -3-2参照)については、最終的には株式を公開している銀行持株会社の責任であることを踏まえた対応が行われているか。

  • (7)子銀行が合併等に伴いシステム統合を行う場合には、 III -3-10を踏まえた上で、システム統合リスク管理態勢を整備しているか。

  • (8)顧客等に関する情報管理態勢(III-3-3-3参照)、銀行とその証券子会社等の関係(Ⅴ-3-3-6参照)、グループ全体の顧客の利益の保護のための体制の構築(Ⅴ-5参照)等グループベースでの一体的な管理がなされるべき事項について、責任のある役割を果たしているか。

IV -3 一般的な監督手法・対応

  • (1)子銀行の経営管理等に関し、必要があると認められる場合は、銀行持株会社に対しヒアリングを行うものとする。なお、必要に応じ、子銀行と併せて行うものとする。

  • (2)子銀行に対し、法第24条に基づき報告を求める時であって、銀行持株会社の経営管理にかかわる等必要がある場合には、同時に銀行持株会社に対しても、法第52条の31に基づき、報告を求める。

  • (3)子銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、銀行持株会社の経営管理等に問題が認められるときは、銀行持株会社に対し法第52条の31に基づき報告を求め、また、重大な問題があると認められるときは、法第52条の33に基づき業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。

IV -4 システム統合

  • (1)子銀行等が合併等に伴いシステム統合を行う場合には、銀行持株会社に対し法第52条の31に基づき、システム統合リスク管理態勢及びプロジェクト管理態勢について、定期的に報告を求めて実態を把握し、重大な問題がないか検証する。

    (注) 子銀行等の合併後の本格的なシステム統合、又は、合併等を伴わないシステム統合の場合は、必要に応じ、法第52条の31に基づき報告を求めるものとする。

  • (2)システム統合リスク管理態勢及びプロジェクト管理態勢に関する検査結果通知が行われた場合には、法第52条の31に基づき、指摘事項について、事実確認、発生原因分析、改善対応策、その他を取りまとめた報告、及び、リスクを適正に制御する方策(計画を的確に履行するための方策、内部監査を含む内部管理態勢等)についても報告を求め、システム統合リスク管理態勢及びプロジェクト管理態勢に問題がないか検証する。

    さらに、定期的にフォローアップ報告を求めて、検査結果を受けた改善・対応策の進捗状況、プロジェクト管理態勢の実効性等の確認を行う。

  • (3)システム統合に係る移行判定が行われたときは、その判断の根拠等につき、法第52条の31に基づく報告を求める。

  • (4)上記(1)から(3)のいずれかの検証等の結果、問題がある場合には法第52条の31に基づき報告を求め、重大な問題がある場合には、法第52条の33に基づき、システム統合リスク管理態勢・プロジェクト管理態勢に関する業務改善命令を発出するものとする。

 IV -5 認定銀行持株会社

(1)認定の基準

施行規則第34条の19の7第2項第2号に規定する「当該銀行持株会社及びその子会社の集団における業務の適正を確保するための体制が適切に整備されていること。」という要件については、モニタリング等を通じて把握している事項等を幅広く考慮のうえ、銀行持株会社において、銀行持株会社グループ内の業務に対する実質的な内部統制体制の整備が図られているかを検討すべきことに留意する。

(2)認定基準に適合しなくなったときの対応

認定基準に適合しなくなったときには、法第52条の34の2第1項に基づき認定の取り消しが可能であるが、同項は、取り消しのみならず、期限を示したうえで基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨の命令ができる旨も規定している。

この点、認定を取り消すか、それとも基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨を命令するかについては、個別具体的に認定基準に適合しなくなった事由を考慮する必要があるが、例えば、救済目的で銀行を買収したことにより、認定基準に適合しなくなった場合には、直ちに認定を取り消す必要はないことに留意する。

IV -6 事務処理上の留意点

同一の事項に関して、銀行及び当該銀行を子会社とする銀行持株会社の両者がそれぞれ次に掲げる届出を行う必要がある場合においては、銀行及び銀行持株会社の連名により、1つの届出書として提出することが可能であることに留意する。

  • マル1法第53条第1項第2号、同条第3項第3号

  • マル2法第53条第1項第3号、同条第3項第4号

  • マル3施行規則第35条第1項第8号、同条第3項第5号

  • マル4施行規則第35条第1項第12号、同条第3項第9号

  • マル5施行規則第35条第1項第15号、同条第3項第12号

  • マル6施行規則第35条第1項第16号、同条第3項第13号

  • マル7施行規則第35条第1項第17号、同条第3項第14号

  • マル8施行規則第35条第1項第18号、同条第3項第15号

  • マル9施行規則第35条第1項第19号、同条第3項第16号

  • マル10施行規則第35条第1項第20号、同条第3項第17号

  • マル11施行規則第35条第1項第21号、同条第3項第18号

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