V  銀行グループに対する連結ベースの監督等

V -1 基本的な考え方

  • (1)銀行グループのリスク管理

    銀行グループが晒されるリスクについては、銀行グループが全体として晒されるリスクと、銀行グループ内で銀行が晒されるリスクとに分けて考えることができる。こうしたリスク管理のあり方については、最終的な目標が預金者及び決済システムの保護であることを前提とした上で、いずれのリスクを重視すべきかを整理する必要がある。この点については、銀行グループの境界を明確にしつつ銀行グループ全体としてリスク管理を行っていく方法と、グループの境界は開放的なものとしつつ銀行単体をグループの他社のリスクから遮断する方法とが考えられる。リスク管理を監視・けん制するための個別の制度については、規制対応の実行可能性等に応じて両者の考え方をそれぞれ取り入れる必要はあるものの、リスク管理の実態やステークホルダーによる銀行グループの監視状況、グループ展開による利用者利便と国際的な競争力の向上の促進という諸点を勘案すれば、グループの境界を明確にしつつグループ全体としてのリスク管理を念頭においたものとしていくことが適当である。

  • (2)銀行グループの範囲

    銀行持株会社、兄弟会社、子会社、関連会社のいずれを問わず、その会社の行う取引のリスクが銀行へ波及していくことに着目すれば、銀行グループのリスク管理という事前予防的な行為の性格から、リスクの波及を保守的にとらえ、実質的な関係に着目してグループの範囲を定めることが適当である。こうした考え方に立って、銀行グループの範囲は、銀行持株会社又は銀行の企業会計上の連結基準と整合的な取扱いとすることとされている。

  • (3)連結ベースの監督の概要

    企業会計上の連結財務諸表はもとより、銀行法上のリスク管理債権の開示も連結ベースで行われるほか、自己資本比率規制、流動性カバレッジ比率規制、大口信用供与規制、アームズ・レングス・ルール等についても、連結ベースでの適用となっていることに留意する。

  • (参考) 金融制度調査会「銀行グループのリスク管理等に関する懇談会報告書」(平成10年1月)

V -2 アームズ・レングス・ルール

アームズ・レングス・ルールは、銀行と銀行グループ内会社等との利益相反取引を通じて銀行経営の健全性が損なわれること等を防止するための規定であり、以下の点に留意する。

  • (1)銀行グループ内において業務委託、その他の取引を行う場合に、アームズ・レングス・ルールに違反していないかにつき銀行において適切に検証が行われているか。

    例えば、以下のような取引又は行為は、銀行法施行規則第14条の10又は第14条の11に規定する取引又は行為に該当する可能性があることから、かかる取引又は行為を行うにあたっては、法第13条の2ただし書及び施行規則第14条の8に基づく内閣総理大臣の承認の必要性を検討しているか。

    • マル1賃料・手数料減免

    • マル2金利減免、金利支払猶予

    • マル3債権放棄、DES(デット・エクイティ・スワップ)

    • マル4特定関係者が債務超過である場合等における増資等の引受け

  • (2)法第13条の2ただし書の承認の申請があったときは、当該申請をした銀行が法第13条の2各号に掲げる取引又は行為をすることについて施行規則第14条の8第1項各号に掲げるやむを得ない理由があるかどうか又は同条第2項に掲げる要件に該当するかどうかを審査するが、その際留意すべき項目は以下のとおり。

    • マル1施行規則第14条の8第1項第3号に該当する場合

      • イ.特定関係者が経営危機に陥り再建支援の必要な状況か。

      • ロ.特定関係者が再建支援を受けるに当たり、十分な自助努力及び経営責任の明確化が図られているか。

      • ハ.特定関係者を整理・清算した場合に比べ、当該取引又は行為を行うことに経済的合理性があるか。

      • ニ.債権放棄や金銭贈与の場合には、経営改善計画の期間中の支援による損失見込額の全額について、当該計画開始前に償却・引当を行うこととしているか。

      • なお、承認に当たっては、特定関係者の経営改善計画の確実な履行を図る観点から、必要に応じ、以下の条件を付すものとする。

        • a.特定関係者の経営改善計画を確実に履行させるよう図ること。

        • b.特定関係者の経営改善計画の履行状況、履行状況に対する銀行の認識、当該特定関係者に対する銀行の経営管理方針について、経営改善計画の期間中、事業年度毎に報告すること。

        • c.特定関係者の経営改善計画の履行状況が不十分である場合、特定関係者の業務の見直しを含め、経営改善計画の抜本的な見直しを検討すること。

    • マル2施行規則第14条の8第1項第4号に該当する場合

      銀行が特定関係者との間で当該取引又は行為を行わなければ今後より大きな損失を被ることになることが社会通念上明らかであるか。

V -3 銀行及びグループ会社の業務範囲等

V -3-1 基本的考え方

  • (1)銀行の他業禁止規制の趣旨

    銀行には、銀行法上他業禁止規制が課されているが、その趣旨は、銀行が銀行業以外の業務を営むことによる異種のリスクの混入を阻止する等(注)の点にある。

    (注) この他に、銀行業務に専念することによる効率性の発揮、利益相反取引の防止が他業禁止の趣旨として指摘されている。

  • (2)銀行グループの業務範囲規制についても、銀行の他業禁止の趣旨をグループ全体に及ぼし、グループ全体として銀行に対する規制に準じた取扱いとする。

V -3-2 「その他の付随業務」等の取扱い

銀行が法第10条第2項の業務(同項各号に掲げる業務を除く。以下「その他の付随業務」という。)等を行う際には、以下の観点から十分な対応を検証し、態勢整備を図っているか。

  • (1)銀行が、従来から固有業務と一体となって実施することを認められてきたコンサルティング業務、ビジネスマッチング業務、M&Aに関する業務、事務受託業務については、取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化の観点から、固有業務と切り離してこれらの業務を行う場合も「その他の付随業務」に該当する。

    • (注1) これらの業務には、銀行が取引先企業に対し株式公開等に向けたアドバイスを行い、又は引受金融商品取引業者に対し株式公開等が可能な取引先企業を紹介する業務も含まれる。また、勧誘行為をせず単に顧客を金融商品取引業者に対し紹介する業務も「その他の付随業務」に含まれる。

    • (注2) 個人の財産形成に関する相談に応ずる業務も「その他の付随業務」に含まれる。

    なお、実施に当たっては、顧客保護や法令等遵守の観点から、以下の点について態勢整備が図られている必要があることに留意すること。

    • マル1優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となる行為の発生防止等法令等の厳正な遵守に向けた態勢整備が行われているか。

      (注) 個人の財産形成に関する相談に応ずる業務の実施に当たっては、金融商品取引法に規定する投資助言業務に該当しない等の厳正な遵守に向けた態勢整備が行われているか。

    • マル2提供される商品やサービスの内容、対価等契約内容が書面等により明示されているか。

    • マル3付随業務に関連した顧客の情報管理について、目的外使用も含め具体的な取扱い基準が定められ、それらの行員等に対する周知徹底について検証態勢が整備されているか( III -3-3-3-2参照)。

  • (2)銀行が、従来から実施することを認められてきた電子マネー(オフラインデビットにおける電子カードを含む。)の発行に係る業務については、発行見合資金の管理等、利用者保護に十分配慮した対応となっていることについて、銀行自らが十分挙証できるよう態勢整備を図る必要があることに留意すること。

  • (3)資金の貸付け等と同様の経済的効果を有する取引

    • マル1銀行が、顧客又はその関係者の宗教を考慮して、商品(取引所において売買することができる物品をいう。以下この(3)において同じ。)の売買(取引所外での売買を含む。以下この(3)において同じ。)、物件の賃貸借又は顧客の営む事業に係る権利の取得が含まれる資金の貸付けと同様の経済的効果を有する取引(法第10条第1項第2号又は同条第2項第18号に該当するものを含む。)を行う場合には、以下の点に留意する。

      • イ.当該取引に商品の売買が含まれる場合には、当該商品の売買代金に係る信用リスク以外に商品に関するリスク(当該取引に必要となる商品の売買ができないリスクを含む。以下この(3)において同じ。)を銀行が負担していないこと。

      • ロ.当該取引に物件の賃貸が含まれる場合(銀行が当該物件の取得前に取得の対価を支払う場合を含む。)には、当該物件の賃料に係る信用リスク以外に当該物件に関するリスクを銀行が負担していないこと。また、法第10条第2項第18号の要件を満たすこと、銀行が物件の建設等、銀行が行うことのできない業務を行うこととなっていないこと。

      • ハ.当該取引に顧客の行う事業に係る権利の取得が含まれる場合には、当該権利から生じるキャッシュフローが資金の貸付けと同様であり、当該事業に関するリスクのうち当該顧客に対する信用リスクと評価できないものを銀行が負担していないこと。

    • マル2銀行が、顧客又はその関係者の宗教を考慮して、商品の売買が含まれる預金の受入れと同様の経済的効果を有する取引(法第10条第1項第1号に該当するものを含む。)を行う場合には、商品に関するリスクを負担していないことに留意する。

    • マル3銀行が、顧客又はその関係者の宗教を考慮して、商品の売買が含まれる金利・通貨スワップ取引と同様の経済的効果を有する取引を行う場合には、商品に関するリスクを負担していないことに留意する。

  • (4)上記(1)から(3)までに定められている業務以外の業務(余剰能力の有効活用を目的として行う業務を含む。)が、「その他の付随業務」の範疇にあるかどうかの判断に当たっては、法第12条において他業が禁止されていることに十分留意し、以下のような観点を総合的に考慮した取扱いとなっているか。

    • マル1当該業務が法第10条第1項各号及び第2項各号に掲げる業務に準ずるか。

    • マル2当該業務の規模が、その業務が付随する固有業務の規模に比して過大なものとなっていないか。

    • マル3当該業務について、銀行業務との機能的な親近性やリスクの同質性が認められるか。

    • マル4銀行が固有業務を遂行する中で正当に生じた余剰能力の活用に資するか。

      • (注1) 上記規定を総合的に考慮するに当たり、例えば、事業用不動産の賃貸等を行わざるを得なくなった場合においては、以下のような要件が満たされていることについて、銀行自らが十分挙証できるよう態勢整備を図る必要があることに留意すること。

        • イ.行内的に業務としての積極的な推進態勢がとられていないこと。

        • ロ.全行的な規模での実施や特定の管理業者との間における組織的な実施が行われていないこと。

        • ハ.当該不動産に対する経費支出が必要最低限の改装や修繕程度にとどまること。ただし、公的な再開発事業や地方自治体等からの要請に伴う建替え及び新設等の場合においては、必要最低限の経費支出にとどまっていること

        • 二.賃貸等の規模が、当該不動産を利用して行われる固有業務の規模に比較して過大なものとなっていないこと。

          • ※ 賃貸等の規模については、賃料収入、経費支出及び賃貸面積等を総合的に勘案して判断する(一の項目の状況のみをもって機械的に判断する必要はないものとする。)。

      • (注2) リストラにより、事業用不動産であったものが業務の用に供されなくなったことに伴い、短期の売却等処分が困難なことから、将来の売却等を想定して一時的に賃貸等を行わざるを得なくなった場合においては、上記(注1)を準用すること(ただし、ハ.のただし書及び二.を除く。)。

      • (注3) 「その他の付随業務」の範疇にあるかどうかを判断する際の参考として、一般的な法令解釈に係る書面照会手続及びノーアクションレター制度における回答を参照すること(金融庁HP 「法令解釈に係る照会手続(ノーアクションレター制度ほか)」)。

V -3-3 子会社等の業務範囲

銀行の子会社(法第2条第8項に規定する子会社(同項の規定により子会社とみなされる会社を含む。)をいう。以下同じ。)、子法人等(施行令第4条の2第2項に規定する子法人等(子会社を除く。)をいう。以下同じ。)、及び関連法人等(同条第3項に規定する関連法人等をいう。以下同じ。)(以下「子会社等」という。)の業務範囲等については、法第12条に規定する他業禁止の観点から以下のとおりとする。

なお、銀行持株会社の子会社等についても、これに準じた取扱いを行うものとする。

  • (注1) 銀行又はその子会社が、国内の会社(当該銀行の子会社を除く。)の株式等について、合算して、その基準議決権数(法第16条の4第1項に規定する基準議決権数をいう。以下同じ。)を超えて所有している場合の当該国内の会社(以下「特定出資会社」という。)が営むことができる業務は、法第16条の2第1項第1号から第6号までに掲げる会社、同項第11号、第12号の2から第13号までに掲げる会社(同項第12号の2に掲げる会社にあつては、特別事業再生会社を除く。)が行うことができる業務の範囲内であり、かつ、施行規則、告示、本監督指針に定める子会社に関する基準等を満たす必要があることに留意する。

    なお、子会社等に関する届出(子会社については法第53条第1項第2号の届出、特定出資会社については施行規則第35条第1項第12号の届出、子法人等又は関連法人等については同項第14号の届出をいう。)の受理に当たっては、当該子会社等の定款若しくは当該銀行と当該子会社等が締結した業務協定書等により、当該子会社等が営むことができる業務を営んでいることを確認する。

  • (注2) 子法人等及び関連法人等の判定に当たり、当該銀行が金融商品取引法に基づき有価証券報告書等の作成等を行うか否かにかかわらず、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則、日本公認会計士協会監査委員会報告第60号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い」(平成10年12月8日付)その他の一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従っているかにも留意する。

  • (注3) 法第16条の2及び法第16条の4に規定する「会社」には、特別目的会社(例えば、資産の流動化、自己資本の調達を目的とするもの等)、組合、証券投資法人、パートナーシップその他の会社に準ずる事業体(以下「会社に準ずる事業体」という。)を含まないが、会社に準ずる事業体を通じて子会社等の業務範囲規制、他業禁止の趣旨が潜脱されていないかに留意する。

V -3-3-1 子会社等の業務の範囲

  • (1)銀行の子会社が営む従属業務(法第16条の2第2項第1号に規定する従属業務をいう。以下同じ。)については、本監督指針 III -3-3-4等に沿って適切な対応を行っているか。

    • (注) 従属業務を営む銀行の子法人等又は関連法人等についても「銀行法第十六条の二第七項等の規定に基づき、従属業務を営む会社が主として銀行若しくは銀行持株会社又はそれらの子会社のために従属業務を営んでいるかどうかの基準を定める件」(平成14年告示第34号、以下「収入依存度規制告示」という。)に定める基準を満たす必要があることに留意する。なお、この場合において、「収入の額」は、収入依存度規制告示と同様であることに留意する。

  • (2)銀行の子会社が営む金融関連業務(法第16条の2第2項第2号に規定する金融関連業務をいう。以下同じ。)等については、以下の範囲となっているか。

    • マル1信用保証業務

      当該銀行並びに当該銀行及びその銀行持株会社の子会社、子法人等及び関連法人等による事業性ローンに係るものを取り扱っていないか、また、以下の点に留意した取扱いとなっているか。

      • イ.保証会社の業務運営に当たっては、保証債務の円滑な履行に疎通を欠くことのないよう、保証の特性を踏まえた、適正な保証料率の設定、適切な引当処理の実行などによる、保証業務の専業体制の確立や内部留保の充実その他適正な支払い準備の確保等に十分配意しているか。

        特に、グループ内の保証については、保証にかかるリスクが外部に移転していないことにかんがみ、当該保証会社の業況が当該銀行等の健全性の確保に影響を与えることがないよう十分配意しているか。

      • ロ.保証会社が信用保証を行うに当たって、物的担保以外に不必要な人的担保も徴求していないか。

      • ハ.銀行が、信用保証を必要とする債務者に対し、自行が子会社として設立した保証会社の保証を強制すること等の行為を行っていないか。

      • ニ.銀行が、保証会社の保証付ローンの金利について、通常の場合の金利に比較して次のものに相当する部分を低減しているか。

        • a.通常見込まれる貸倒れに伴う損失

        • b.担保等の設定、管理、処分等のために要するコスト

        • c.信用調査、貸出審査等が簡略化されることにより軽減が見込まれるコスト

    • マル2リース業務

      不動産を対象としたリース契約に当たっては、融資と同様の形態(いわゆるファイナンスリース)に限ることとし、一般向け不動産業務等の子会社対象会社が営むことができる業務以外の業務を行っていないか。

    • マル3投資顧問業務

      業務の特殊性、投資家保護の観点から以下の点に留意した取扱いとなっているか。

      • イ.保護預りは当該社では扱わず、銀行本体、信託銀行等の扱いとなっているか。

      • ロ.投資助言の範囲は不動産、骨董品等は対象とせず、有価証券、金融商品としているか。

    • マル4電気通信業務(いわゆるVAN業務)

      主として(概ね5割以上)銀行の業務及び企業の資金、経理に関連したもの(受・発注業務、売掛・買掛債権管理業務等資金決済に関するもののほか、会計、税務、資金運用等に関するデータ処理等)を取り扱うこととしているか。

      • (注) 電気通信事業法第16条第1項による総務省への届出について照会があった場合には、「子会社等が他人の通信を媒介する役務(以下「媒介役務」という。)の提供を営利の目的とせず(例えば、共同出資の子会社等が、出資金融機関のみを対象として媒介役務を提供する場合等当該子会社等の定める料金、提供条件等から媒介役務について収益をあげることを目的としていないことが明白な場合: 100%出資の子会社はこれに含まれる。)に行う場合には必要ない」旨回答すること。

    • マル5信託受益権の販売に係る業務

      不動産を信託財産とする信託の受益権の売買の代理及び媒介を行うに当たっては、銀行が不動産業務を営むことができないことにかんがみ、実質的に不動産の売買及び貸借の代理及び媒介を営むこととならないよう、法令等遵守の観点から事前に十分な検討・検証を行うこととしているか。

  • (3)銀行の特定子法人等(特定出資会社でない子法人等をいう。以下同じ。)及び特定関連法人等(特定出資会社でない関連法人等をいう。以下同じ。)については、以下のとおりとなっているか。ただし、会社に準ずる事業体については、この限りでない。

    • マル1銀行の特定子法人等及び特定関連法人等の業務の範囲については、子会社対象会社(法第16条の2第1項に規定する子会社対象会社をいう。以下同じ。)の営むことができる業務の範囲内であり、かつ、施行規則、告示、本監督指針に定める子会社に関する基準等を満たしているか。

      例えば、保険専門関連業務(同条第2項第4号に定める保険専門関連業務をいう。)を営む会社については、銀行が保険会社を子会社としている場合等に限り、銀行の特定子法人等又は特定関連法人等として保有することができることに留意する。

      なお、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(以下「金融システム改革法」という。)の施行の際、信託業務を営む銀行(本体で不動産業務を営む者に限る。)の特定子法人等又は特定関連法人等で現に一般向け不動産業務を営むもの(以下マル3において「特定法人」という。)の当該業務については、銀行の特定子法人等及び特定関連法人等が営むことができる業務に含まれることに留意する。

    • マル2従属業務を専ら営む銀行の特定子法人等又は特定関連法人等であって、主として当該銀行の特定出資会社又は他の特定子法人等若しくは特定関連法人等(以下「従属先法人等」という。)の営む業務のためにその業務を営んでいるものについて、従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が 100分の50を上回っている場合には、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。

    • マル3関連会社として届出がなされたもの(当該関連会社がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含み、(3)に該当する会社及び特定法人を除く。)で、金融システム改革法の施行の際、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む銀行の特定子法人等又は特定関連法人等が、金融システム改革法の施行後も引き続きそれらの業務を営む場合には、別に命ずるところにより、当該特定子法人等又は特定関連法人等の名称、業務その他必要な事項について報告がなされたものに限り、当分の間、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。

      ただし、当該特定子法人等又は特定関連法人等が当該銀行の子会社又は特定出資会社となる場合並びに当該特定子法人等又は特定関連法人等が金融システム改革法の施行前に営んでいた業務以外の業務を新たに営む場合はこの限りでない。

      • (注1) 関連会社とは、銀行が出資する会社で、その設立経緯、資金的、人的関係等からみて、銀行と緊密な関係を有する会社をいう。

      • (注2) 例えば、以下のような場合については、銀行法の趣旨を逸脱しない限り、上記特定子法人等又は特定関連法人等に準じて取り扱って差し支えない。

      • イ.銀行の届出済の関連会社が上記の業務を営む場合に、当該銀行が他の会社の保有する当該関連会社の株式を取得したことにより、金融システム改革法の施行の際、当該銀行の特定出資会社(子法人等又は関連法人等に限る。)となったことについてやむを得ない理由があるとき(金融システム改革法附則第 104条に規定する届出がなされているものに限る。)

      • ロ.金融システム改革法の施行の際、銀行の特定子法人等又は特定関連法人等として上記の要件を満たすものが、法第16条の4第4項第1号の規定により当該銀行の特定出資会社(子法人等又は関連法人等に限る。)となった場合(同号に規定する認可を受けている場合に限る。)

      • ハ.金融システム改革法の施行の際、二の銀行のそれぞれの特定子法人等又は特定関連法人等として上記の要件を満たすものが、合併によりいずれか一の銀行の特定子法人等又は特定関連法人等(以下「存続会社」という。)となった場合(存続会社が合併前に営んでいた業務以外の業務を合併後に営むこととなる場合には、当該業務について平成14年3月期末までに必要な見直しが行われているものに限る。)

    • マル4特定子法人等又は特定関連法人等において一般向け不動産業務、物品販売業務、旅行あっせん業務等、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を行っていないか。ただし、金融システム改革法の施行の際、特定子法人等又は特定関連法人等が現にこれらの業務を営んでいる場合には、平成14年3月期末までに必要な見直しが行われているか。

      なお、金融システム改革法の施行の際、特定子法人等又は特定関連法人等が現に従属業務又は金融関連業務(これらに準ずる業務として、別に命ずるところにより報告がなされたものを含む。)を営む場合又はこれらを併せ営む場合(当該従属業務が収入依存度規制告示各条に規定する基準に準じた基準(上記マル2の例による。)を満たす場合に限る。)においては、平成14年3月期末までに当該従属業務又は金融関連業務以外の業務について必要な見直しが行われているものに限り、当分の間、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。

      • (注) 当該特定子法人等又は特定関連法人等が平成14年3月期末を超えて必要な見直しを終えていない場合には、見直しが終了していない正当な理由について、別に命ずるところにより報告を求めることに留意する。

V -3-3-2 他の事業者の貸出金等に係る担保財産(不動産を除く。)の売買の代理・媒介会社の取扱い

他の事業者の貸出金等に係る担保財産(不動産を除く。)の売買の代理・媒介会社(については、以下の点に留意した取扱いとなっているか。

  • (1)当該会社の業務は以下に限られているか。

    他の事業者が貸出金等の回収のために担保権を実行する必要がある場合に行う当該貸出金等に係る担保財産(不動産を除く。)の売買の代理・媒介(以下、「代理等」という。)

    • (注1)他業禁止規制の趣旨を踏まえ、担保権の実行以外での売買の代理等は認められないことに留意する。

    • (注2)銀行が不動産業務を営むことができないことにかんがみ、不動産の売買の代理等は認められないことに留意する。

    • (注3)担保財産の取得・保有・管理及び売却は、規則第17条の3第1項第24号に規定する会社以外は認められないことに留意する。

  • (2)当該会社の業務遂行に当たって、収入依存度規制告示の基準を満たしているか。

V -3-3-3 金融機関の貸出金等に係る担保財産の保有・管理会社の取扱い

金融機関の貸出金等に係る担保財産の保有・管理会社については、以下の点に留意した取扱いとなっているか。

  • (1)当該会社の業務は以下に限られているか。

    • マル1親銀行等が貸出金等の回収のために担保権を実行する必要がある場合(親銀行等に係る担保財産について第三者が担保権を実行する場合も含む。)に行う当該貸出金等に係る担保財産の取得(不動産以外の財産については競落による取得に限らず、いわゆる私的実行による取得も含む。)。

    • マル2取得した財産の保有・管理及び売却(以下、「保有等」という)。

  • (2)当該会社の業務遂行に当たって以下の点は遵守されているか。

    • マル1不動産の保有等

      • イ.取得した不動産に関し、必要に応じ、財団法人民間都市開発推進機構、不動産特定共同事業者、宅地建物取引業者等との連携を図りつつ、整地、当該土地に適切な建築物の建設、隣接地の購入等を行い、当該不動産の価値の向上のための有効活用に努めているか。

      • ロ.資産の流動化に関する法律に規定する特定目的会社の活用による流動化を検討するなど、取得した不動産の円滑な売却の実現に努めているか。

      • ハ.当該会社は、不動産の保有等を行うに当たって、ホテル業等関連会社が営むことが適当でない業務を営んでいないか。

    • マル2動産の保有等

      • イ.動産は多種多様であり、その保有等により想定されるリスクも多岐に亘ることを踏まえ、当該動産の種別、特性に応じ、当該動産の保有等により生じうる管理責任や瑕疵担保責任等のリスクを適正に把握・分析・管理し、これらのリスクに適切に対応するための態勢を整備しているか。

      • ロ.当該動産の取得に際しては、客観性・合理性のある評価方法による評価をしているか。

      • ハ.取得した動産に関し、当該動産の種別、特性等に応じた適切な管理を行い、当該動産の価値の向上、維持に努めているか。

      • ニ.取得した動産の種別、特性等に応じた適切な売却・換価方法を検討し、その実現に努めているか。

      • ホ.当該会社は、動産の保有等を行うに当たって、関連会社が営むことが適当でない業務を営んでいないか。

    • マル3債権の保有等

      • イ.当該債権の取得に際しては、客観性・合理性のある評価方法による評価をしているか。

      • ロ.取得した債権に関し、当該債権の第三債務者(目的債権の債務者)の信用力を判断するために必要となる情報を随時入手し財務状況を継続的にモニタリングするなど、当該債権の価値の維持に努めているか。

      • ハ.取得した債権に関し、適時に適切な回収措置(第三者への譲渡を含む)を講じ、円滑な回収の実現に努めているか。

    • マル4その他の財産の保有等

      その他の財産についても、上記不動産、動産および債権の保有等に準じた取扱いがなされているか。

  • (3)対象財産は親銀行等の貸出金等に係る担保財産であり、当該財産の購入により、親銀行等に回収が見込まれるか。

    • (注) 貸出金等には親銀行等が保証の履行により取得した求償権等の債権で当該財産の被担保債権となっているものを含む。

  • (4)その他

    • マル1不動産の保有等を行う当該会社は、宅地建物取引業法の規定により、同法第3条の免許を取得しているか。

    • マル2不動産以外の財産の保有等を行う当該会社は、当該財産の保有等に必要な免許、許可、登録又は承認等を取得しているか。

    • マル3当該会社は取得した財産毎に収支・損益の分別管理を行っているか。

    • マル4親銀行等及び当該会社は当該会社の財務の健全性が確保されるよう必要な措置を講じているか。

V -3-3-4 銀行の海外における子会社等の業務の範囲

  • (1)銀行の海外における子会社等の業務の範囲についても、国内の子会社等と同様の業務範囲の考え方を適用し、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を営むことのないよう留意する必要がある。

    • (注) 海外における貸出債権回収のために担保権を実行する必要がある場合で、現地市場の状況から担保資産の売却が極めて困難であり、かつ、現地法制上、他に適切な処理方法が存在しないときに、管理子会社を設立して担保流れ資産の保有・管理を行うことは、この限りではない。

      また、銀行業を営む外国の会社(以下「銀行現法」という。)が行う業務については、バーゼルコンコルダット(「銀行の海外拠点監督上の原則」1975年バーゼル委員会(1983年改訂))の趣旨にかんがみ、現地監督当局が容認するものは、銀行法の趣旨を逸脱しない限り原則として容認するものとする。

  • (2)銀行の海外における子会社(銀行現法を除く。)が金融システム改革法の施行の際現に行う子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務で、現地法制等に照らして問題がなく、かつ、当該業務を1年以内に廃止することにより重大な支障が生ずるおそれのあるものについて金融システム改革法附則第 104条に規定する届出がなされた場合には、銀行法の趣旨を逸脱しない限り、当分の間、当該業務を子会社対象会社の営むことができる業務と認めて差し支えない。ただし、当該業務の見直しができる限り速やかに行われるよう、所要の措置が講じられているかどうかに留意する。

  • (3)出資先外国法人として報告がなされたもの(当該出資先外国法人がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含み、上記(2)の子会社を除く。)で、金融システム改革法の施行の際、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む子法人等又は関連法人等については、上記 V -3-3-1に準じて取り扱う。

    • (注) 出資先外国法人とは、銀行が海外の外国法人に経営支配又は経営参画の形態をもって出資するものをいう。

      経営支配とは、銀行が外国法人における議決権の過半数を実質的に所有(議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等当該金融機関以外の者となっていても、当該銀行が自己の計算で所有している場合を含む。)している場合(当該銀行及び当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有する場合又は当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有している場合を含む。)をいう。

      経営参画とは、銀行が外国法人における議決権の100分の50以下を実質的に所有し、かつ、人事、資金、取引等の関係を通じて外国法人の財務及び営業の方針に対し重要な影響を与えることができる場合をいう。

      なお、「重要な影響を与えることができる場合」とは、当該外国における議決権の過半数を実質的に所有している出資者が他にいる場合は原則として該当しない。

  • (4)銀行が、法第16条の2第1項第7号から第11号に掲げる会社(同号に掲げる会社にあっては、外国の会社に限る。)又は同条第4項に規定する特例対象持株会社(以下、総称して「銀行業を行う外国の会社等」という。)を子会社とするため、同条第7項の認可申請がなされた場合、理由書その他の認可申請書類に以下の事項が明確に記載されている必要があることに留意する。

    • マル1銀行業を行う外国の会社等が、子会社対象会社以外の会社を子会社としているかどうかの別

    • マル2マル1に記載する会社を子会社としている場合には、当該会社の営む業務の内容並びに当該会社の最近の財産及び損益の状況

    • マル3マル1に記載する会社を子会社とした日から5年以内に、当該会社を子会社でなくなるようにするために講ずることを予定している所要の措置の内容

    なお、銀行の財務の健全性に悪影響を与えるおそれがある場合、子会社対象会社以外の会社の業務内容が公の秩序又は善良の風俗を害し、銀行業を行う外国の会社等の社会的信用を失墜させるおそれがある場合その他銀行業を行う外国の会社等が当該子会社対象会社以外の会社の業務の適正性を確保するよう子会社管理業務を的確かつ公正に遂行できることが確認できない場合は、同項の認可をすることができないことに留意すること。

    • 上記の取扱いは、銀行持株会社が、法第52条の23第1項第6号から第10号までに掲げる会社(同号に掲げる会社にあっては、外国の会社に限る。)又は同条第3項に規定する特例対象持株会社を子会社とするため、同条第6項の認可申請がなされた場合にも準用することとする。

  • (5)法第16条の2第4項の趣旨は、銀行業を行う外国の会社等を子会社とすることにより子会社対象会社以外の会社を子会社とした場合、当該会社が子会社でなくなるよう銀行が所要の措置を講じることを前提として、子会社の業務範囲規制の適用を例外的に5年間猶予するものである。また、金融庁長官の承認を得て、子会社対象会社以外の会社を5年を超えて子会社とすることができるのは、同条第6項各号に掲げる事情がある場合に限定されているのも同様の趣旨による。これらを踏まえると、同項各号の「やむを得ない事情」とは、例えば以下の事情が考えられる。

    • マル1同項第1号関係

      • イ.子会社対象会社以外の会社の株式の売却活動に着手しているが、現地の経済情勢や売却先との交渉状況等により売却スケジュールが遅延していること。

      • ロ.現地の法制上の理由により、子会社対象会社以外の会社の清算手続きが進捗しないこと。

    • マル2同項第2号関係

      現地の金融市場の特性に照らして、子会社対象会社以外の会社を子会社として保有継続することが不可欠であり、資本関係のない第三者に業務委託することでは目的が達成できないこと。

    同条第4項の規定は、子会社業務範囲規制の例外規定であることから同条第5項の承認申請を行う場合には、申請の都度、申請時点においてこれらのやむを得ない事情が存在すること、子会社対象会社以外の会社の議決権の保有に関する方針(承認後1年以内にやむを得ない事情を取り除くために検討している方策等)等につき、申請書類に具体的に記載する必要があることに留意する。

    • 上記の取扱いは、法第52条の23第4項及び第5項にも準用することとする。

  • (6)V-3-3-4(1)にかかわらず、銀行が、銀行業を行う外国の会社等を子会社とすることにより、子会社対象会社以外の外国の会社を子法人等(子会社を除く。以下この(6)において同じ。)又は関連法人等とすることも可能とするが、子会社業務範囲規制の趣旨に鑑み、原則として、概ね5年以内に子法人等又は関連法人等でなくなるよう所要の措置を講ずる必要があることに留意する。

    なお、銀行が銀行業を行う外国の会社等を子法人等又は関連法人等とすることにより、子会社対象会社以外の外国の会社を子法人等又は関連法人等とする場合も同様とする。

    • なお、銀行持株会社の子会社等(子会社を除く。)についても、上記に準じた取扱いを行うものとする。

V -3-3-5 銀行とその証券子会社等の関係

  • (1)金融商品取引法等において、銀行とその証券子会社との間等における弊害防止措置が設けられている趣旨及び施行規則第17条の5第2項第5号(子会社対象銀行等を子会社とすることについての認可審査基準)における「子会社対象銀行等の業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講ずる」との趣旨にかんがみ、出資関係等を有する金融商品取引業者との間の行為については、以下の点に留意する必要がある。

    • 銀行等は、その関係金融商品取引業者(当該銀行等が金融商品取引業者の親銀行等(金融商品取引法第31条の4第3項に規定する親銀行等をいう。)又は子銀行等(金融商品取引法第31条の4第4項に規定する子銀行等をいう。)に該当する場合における当該金融商品取引業者をいう。)との間において、金融商品取引法第44条の3の規定により禁止されている行為に関与していないか。
  • (2)銀行等がその関係金融商品取引業者との間で、法令等遵守管理に関する業務、損失の危険の管理に関する業務、内部監査及び内部検査に関する業務、財務に関する業務、経理に関する業務、税務に関する業務、子法人等の経営管理に関する業務、又は有価証券の売買、デリバティブ取引その他の取引に係る決済及びこれに関連する業務(以下本項において「内部の管理及び運営に関する業務」という。)について金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号に規定する行為を行う場合には、登録金融機関である銀行及び当該関係金融商品取引業者において、内部の管理及び運営に関する業務を行う部門から非公開情報が漏えいしない措置を的確に講じていること等、情報管理体制について業務方法書に記載することが求められている。一方、銀行監督の観点からは、内部の管理及び運営に関する業務の統合によって、銀行等の当該業務遂行の高度化や効率化を図ることが可能となる反面、関係金融商品取引業者との関係で統合された内部の管理及び運営に関する業務についての責任の範囲や所在が不明確になるリスク、さらに当該銀行等の内部の管理及び運営に関する業務の責任者が実質的に当該内部の管理及び運営に関する業務の管理・監督を行わないまま関係金融商品取引業者にその遂行を任せる状態になることによる当該銀行等の実質的な内部の管理及び運営に関する機能が働かないリスク等、業務の健全かつ適切な運営が阻害されるリスクも発生することから、以下の点に特に留意する必要がある。

    • マル1統合する内部の管理及び運営に関する業務について、銀行等が実質的な管理・監督を行わないまま関係金融商品取引業者へその遂行を任せる状態を防止するため、当該内部の管理及び運営に関する業務に係る銀行等と関係金融商品取引業者との間の権限及び責任の分担、並びに、銀行等における当該内部の管理及び運営に関する業務を担当する取締役等(外国銀行支店にあっては支店長、及び副支店長、管理本部長等、当該内部の管理及び運営に関する業務の責任者として相応しい者。以下「担当取締役等」という。)及び当該業務の担当者(関係金融商品取引業者の当該業務の従業員を兼職している者を含む。)の権限・責任の範囲が、職務規定や組織規定等において明確になっているか。

    • マル2銀行等が内部の管理及び運営に関する業務についての管理責任を果たすための組織及び人的構成に関して、以下のような管理態勢の整備が図られているか。

      • イ.担当取締役等は、銀行等における内部の管理及び運営に関する業務の担当者に対する監督等を通じて、業務の状況を的確に把握し、その適切な遂行を確保する責務と権限を有するとともに、当該銀行等の取締役会等(外国銀行支店にあっては本店における自己の職務関係上の上位者又は当該内部の管理及び運営に関する業務の責任者を含む。以下「取締役会等」という。)や監督当局に対して適切な報告・説明を行う権限及び責任を有しているか。

      • ロ.担当取締役等による営業部門に対するけん制機能が機能しない可能性がある場合には、けん制機能の実効性を確保するための措置が取られているか。例えば、外国銀行支店長が個別の営業部門の役職を兼ね又は実質的に従事している場合に、支店長とは別に管理業務を統括する責任者を営業部門から独立して設置し、当該責任者が支店長に対する報告に加えて取締役会等に対しても直接報告する態勢をとっているか。

      • ハ.けん制機能の実効性の確保を目的として関係金融商品取引業者との合議機関等を設置することが選択されている場合については、当該合議機関における意思決定についての担当取締役等の職責や銀行等の関与が形骸化していないか、合議機関が営業推進の目的に利用されるなどけん制機能の実効性が損なわれていないか、に特に留意する必要がある。例えば、その防止のための措置として、当該合議機関の目的及び手続(決議方法、議事録の作成を含む。)、各構成員の権限と責任が明確になっているか。

    • マル3また、監督上必要な場合には、法第24条第1項又は法第52条の31第1項に基づいて当該銀行等に対して以下の点について報告及び資料提出を求めるほか、必要があると認めるときには、法第24条第2項又は法第52条の31第2項に基づき、当該銀行等の子会社たる金融商品取引業者に対しても報告徴求を行うこととする(外国銀行支店に係る関係金融商品取引業者を除く。ただし、外国銀行支店に係る外国銀行と特殊の関係(施行令第14条)のある金融商品取引業者については、法第48条に基づき、当該外国銀行支店に対して報告徴求できることに留意する。)。

      • イ.当該内部の管理及び運営に関する業務等の実施についての方針及び手続

      • ロ.担当取締役等当該内部の管理及び運営に関する業務に従事する者の権限・事務分掌

      • ハ.その他各種規定の整備状況

      • ニ.当該内部の管理及び運営に関する業務実施に係る人員・組織の状況等

      • (注) 銀行等とは、普通銀行、外国銀行支店、銀行持株会社をいう。

V -3-3-6 金融機関等とその関係保険会社の関係

保険業法施行規則等において、保険業法第100条の3若しくは同法施行規則第53条の4第2項に規定する特定関係者又は同法第194条に規定する特殊関係者に金融機関等(同法施行規則第53条の4第3項各号に掲げる金融機関及び銀行持株会社をいう。以下同じ。)が該当する場合における当該金融機関等と保険会社等との間等に弊害防止措置が設けられている趣旨にかんがみ、出資関係等を有する保険会社等との間の行為については、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)金融機関等は、その関係保険会社(当該金融機関等が保険会社の特定関係者(保険業法施行規則第53条の4第2項に規定する特定関係者)に該当する場合における当該保険会社をいう。)との間において、同法第100条の2に基づく同法施行規則第53条の4及び第53条の6に規定する講ずるべき措置に反する行為に関与していないか。

  • (2)金融機関等は、その関係保険会社(当該金融機関等が保険会社の特定関係者等(保険業法第 100条の3に規定する特定関係者及び同法第194 条に規定する特殊関係者)に該当する場合における当該保険会社をいう。以下同じ。)及び関係保険会社を所属保険会社とする保険募集人等との間において同法第 300条の規定により禁止されている行為に関与していないか。

    • (注) 関係保険会社を所属保険会社とする保険募集人等とは、関係保険会社の役員、関係保険会社を所属保険会社とする生命保険募集人、関係保険会社を所属保険会社とする損害保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人をいう。

V -3-3-7 子会社等に係るその他の留意事項

  • (1)グループ全体のシナジー効果を発揮するための経営戦略は明確になっているか。合併等の経緯等から、不必要なあるいは重複する子会社等の体制となっていないか。

  • (2)カード会社や住宅ローンの保証子会社等の金融関連子会社について、財務の健全性は確保されているか。

  • (3)事務請負、人材派遣等の従属業務子会社については、グループ全体のコスト競争力等の向上を目指しているか。

  • (4)関連又はいわゆる「緊密先」と言われる不動産管理会社の財務の健全性は確保されているか。

V -3-4 議決権の取得等の制限

  • (1)法第16条の4第2項ただし書又は法第52条の24第2項ただし書の承認を行うに際しては、以下の点に留意する必要がある。

    なお、株式の保有に関するリスク管理については、III-2-3-2-1-2(7)を参照すること。

    • マル1銀行等から、施行規則第17条の7第1項又は第34条の21第1項による申請があった場合には、基準議決権数を超えて保有する議決権を期間内に処分できないことがやむを得ない理由によるものであるかどうかを審査するものとする。

      「やむを得ない理由」とは、例えば、以下のようなものが考えられる。

      • イ.事業再生の途上にある会社の再建や事業の安定的な運用を支援するために、再生計画期間中は、当該議決権を保有し続ける必要があること。

      • ロ.事業再生計画に基づき議決権を取得した場合、当該計画による手続きが完了するまでは配当が支払われないこと等により、売却等による処分が困難であること。

      • ハ.当該会社における未公表の重要事実を知ることとなり、議決権を売却することが金融商品取引法第166条のインサイダー取引に関する規定に抵触するおそれがあるため、売却等による処分が困難であること。

    • マル2以下の場合における法第16条の4第3項又は第52条の24第3項に定める承認の条件である当該議決権のうち基準議決権数を超える部分の議決権を「速やかに処分すること」とは「遅くとも当該会社の経営改善等のための計画終了(注)後速やかに処分すること」との趣旨であることに留意する。

      • イ.DES(デット・エクイティ・スワップ。施行規則第17条の6第1項第3号又は第34条の20第1項第3号)により議決権を取得した場合。

      • ロ.法第16条の2第1項第12号の2又は法第52条の23第1項第11号の2に規定する会社(いわゆる事業再生を行う会社)の議決権について、やむを得ないと認められる理由により当該議決権を譲渡することが著しく困難であって当該議決権を処分することができないため、施行規則第17条の2第11項各号に定める期間(3年(原則)又は5年(中小企業者))を超えて保有する場合。

    • (注)「計画終了」とは、当該計画期間を満了した場合、当該計画を計画期間よりも早期に達成した場合、当該会社が破綻又は実質的に破綻した場合及び当該計画を見直した場合をいう。

  • (2)その他の注意事項

    • マル1銀行の子会社である投資運用業を行う金融商品取引業者が、投資一任契約に基づき顧客のために議決権を行使し又は議決権の行使について指図を行う株式等に係る議決権は、法第16条の4において銀行の子会社が取得し又は保有する議決権に含まれるものではないことに留意する。

    • マル2法第16条の2第1項第12号又は第52条の23第1項第11号に規定する「新たな事業分野を開拓する会社として内閣府令で定める会社」(いわゆるベンチャービジネス会社)が行う新事業活動とは、新事業分野開拓が可能となるような新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動を指し、研究開発を前提とした創業を行う業種のみならず、サービス業等の業種も対象となる。なお、その該当性の判断に当たっては、地域や業種が勘案されることとなるが、既に相当程度普及している技術・方式の導入等及び研究開発段階にとどまる事業については含まれないことに留意する。

    • マル3施行規則第17条の2第6項各号に規定する「開始の日」とは、既に事業を行う会社が同項第1号に規定する新事業活動を開始する場合(いわゆる第二創業の場合)に、当該会社がその開始を決定した日をいう。

    • マル4法第16条の4第7項又は法第52条の24第7項に定める議決権の保有制限の例外の対象となる会社として、施行規則第17条の2第7項各号に掲げる会社の議決権を、基準議決権数を超えて保有することが認められるのは、当該会社の事業再生に係る計画に盛り込まれている資本調達計画に基づき保有した場合であることに留意する。

V -4 銀行主要株主

V -4-1 意義及び着眼点

銀行の経営の健全性を確保するため、銀行の相当程度の議決権を取得して銀行経営に関与しようとする株主については、法人であれ個人であれ、取得時及び取得後を通じた行政による適切なチェックの仕組みを整えることが必要であるという考え方に基づき、主要株主に対する届出、認可制度等が設けられている。

また、主要株主の経営状況が銀行に影響を与えるリスクを遮断するため、銀行が主要株主に対して行う融資などの取引については、既存の大口信用供与規制やアームズ・レングス・ルールなどを基本としつつ、主要株主が不当な影響力を行使することによる「機関銀行化」の弊害を防止する等の観点から、主要株主に対する信用供与等について適正な量的規制を設定するなどの追加的な措置が講じられている。

また、50%超保有の主要株主の場合には、単独で銀行の支配力を有しているのであるから、銀行持株会社とほぼ同様に、銀行の経営が悪化した時に支援を求めることが想定されている。

こうした主要株主制度は、銀行グループ内におけるリスクが銀行に波及することを回避しようという連結監督の考え方と共通の考え方に立っていること、銀行持株会社と同様の制度設計がなされている点に留意する必要がある。

  • (参考) 「銀行業等における主要株主に関するルール整備及び新たなビジネス・モデルと規制緩和等について」(平成12年12月21日:金融審議会第一部会報告)

V -4-2 監督手法・対応

相当程度の銀行議決権の取得時及び取得後の対応等は、 VII を参照。

V -5 顧客の利益の保護のための体制整備

V -5-1 意義

利益相反の弊害は、銀行・証券会社間だけに生じる問題ではなく、銀行(グループ)内の部門間、又は同一金融グループ内の親会社・子会社・兄弟会社・関連会社のいずれとの間でも起こりうる問題である。また、情報管理体制が整備されていること等一定の条件の下で、非公開情報をその親法人等・子法人等と授受することが認められていることを踏まえれば、従前以上に利益相反管理の重要性を認識し、適切な経営管理態勢を構築する必要がある。

したがって、より広範な業務を展開する金融グループにあっては、銀行・証券会社間に限らず、グループ内における利益相反による弊害を防止するため、自己責任に基づく規律付けをもって内部統制を行なう必要がある。なお、利益相反を管理するためのルール等は、金融機関が自主的な努力により適切な経営管理態勢やコンプライアンス態勢を構築することで、有効に機能するものであることに留意する必要がある。

また、利益相反管理態勢を整備するにあたっては、金融グループ内会社等の営む業務内容や規模、特性等を勘案するとともに、銀行又は同一金融グループにおけるレピュテーショナル・リスクについても配慮する必要がある。

一方、銀行等のグループ会社の中には、当該銀行等の顧客とは無関係の業務を行っているものがあり得ることも踏まえれば、銀行等が行う利益相反管理の水準・深度は、必ずしも同一である必要はないと考えられる。このように、銀行等がグループ内で利益相反管理の水準・深度に差異を設ける場合には、対外的に十分な説明が求められることに留意する必要がある。

V -5-2 主な着眼点

  • (1)利益相反のおそれがある取引の特定等

    • マル1利益相反のおそれがある取引をあらかじめ特定・類型化するとともに、継続的に評価する態勢を整備しているか。

    • マル2利益相反を特定するプロセスは、銀行や銀行のグループ内会社等の業務内容、規模・特性を反映したものとなっているか。

      また、新規の業務活動や、法規制・業務慣行の変更等に的確に対応し得るものとなっているか。

  • (2)利益相反管理の方法

    利益相反の特性に応じ、例えば以下のような管理方法を選択し、又は組み合わせることができる体制が整備され、定期的に管理方法の検証が行われているか。

    • マル1部門の分離(情報共有先の制限)

      情報共有先の制限を行うにあたっては、利益相反を発生させる可能性のある部門間において、システム上のアクセス制限や物理上の遮断を行う等、業務内容や実態を踏まえた適切な情報遮断措置が講じられているか。

    • マル2取引条件又は方法の変更、一方の取引の中止

      取引条件又は方法の変更、若しくは一方の取引の中止を行うにあたり、親金融機関等又は子金融機関等の役員等が当該変更又は中止の判断に関与する場合を含め、当該判断に関する権限及び責任が明確にされているか。

    • マル3利益相反事実の顧客への開示

      顧客に利益相反の事実を開示する場合には、利益相反の内容、開示する方法を選択した理由(他の管理方法を選択しなかった理由を含む)等を明確かつ公正に、例えば書面等の方法により開示した上で顧客の同意を得るなど、顧客の公正な取扱いを確保する態勢となっているか。また、開示内容の水準は対象となる顧客の属性に十分に適合したものとなっているか。

  • (3)利益相反管理態勢等

    • マル1利益相反を管理・統括する部署(以下、「利益相反管理統括部署」という。)を設置するなど、利益相反を一元的に管理する態勢となっているか。

    • マル2利益相反管理統括部署は、営業部門からの独立性が確保され、十分な牽制が働く態勢となっているか。また、利益相反管理態勢の構築や役職員の意識の向上に努める等の役割を果たし、定期的に利益相反管理態勢の検証を行っているか。

    • マル3利益相反管理統括部署は、その親金融機関等又は子金融機関等の取引を含め、利益相反管理に必要な情報を集約し、適切な利益相反管理を行う態勢を整備しているか。

    • マル4利益相反管理方針を踏まえた業務運営の手続を定めた社内規則を整備しているか。また、研修・教育等により、利益相反管理について役職員及び子金融機関等に周知徹底させる態勢を確保しているか。

  • (4)利益相反管理方針の策定及びその概要の公表

    • マル1利益相反管理方針には、利益相反の特定方法、類型、管理体制(役職員の責任・役割等を含む)や管理方法(利益相反管理の水準・深度に差異を設ける場合は、その内容及び理由を含む)、管理対象の範囲等が明確化されているか。また、当該管理方針は、金融グループ内会社等の営む業務内容や規模等が十分に反映されているか。

    • マル2利益相反管理方針の概要を公表するに際しては、利益相反管理方針の趣旨が明確に現れているものとなっているか。また、公表方法は、例えば、店頭でのポスター掲示やホームページへの掲載など、顧客等に対して十分に伝わる方法となっているか。

V -5-3 監督手法・対応

検査結果、不祥事件等届出書等により、顧客の利益の保護のための態勢に問題があると認められる場合には、必要に応じて法第24条に基づき報告を求めるものとする。その結果、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題があると認められる場合等には、法第26条に基づく業務改善命令の発出を検討するものとする。

その際、利益相反による弊害の発生を認識しているにもかかわらず、その解消に向けた具体的な取組みを行わないなど、内部管理態勢が極めて脆弱であり、その内部管理態勢の改善等に専念させる必要があると認められるときは、法第26条に基づく(業務改善に要する一定期間に限った)業務の一部停止命令の発出を検討するものとする。

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