「金融庁の1年(平成16事務年度版)」について

平成17年9月27日
金融庁

I .趣旨

金融庁は、我が国の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに金融の円滑を図ることを任務として、透明かつ公正な行政を行っている。「金融庁の1年(平成16事務年度版)」は、こうした金融庁の平成16事務年度(16年7月~17年6月)における様々な取組みを、制度の企画立案・検査・監督の各般にわたって取りまとめたものである。

平成16事務年度においては、平成14年10月に策定した「金融再生プログラム」を引き続き強力に推進した結果、「平成16年度末までに主要行の不良債権比率を平成14年3月期の半分程度に低下させ、不良債権問題を正常化する」との目標を達成し、本年4月のペイオフ解禁拡大も混乱なく実施することができた。

このように、我が国の金融システムを巡る局面が不良債権問題への緊急対応から、将来の望ましい金融システムを目指す未来志向の局面に転換しつつあることを踏まえ、金融庁は昨年12月に、平成17・18年度の2年間の「重点強化期間」を対象とした新たな金融行政の指針である「金融改革プログラム-金融サービス立国への挑戦-」を策定・公表し、本年3月にはプログラムに盛り込まれた諸施策の具体的な実施スケジュールである「工程表」を策定・公表した。この中で、今後の金融行政において、健全な競争の促進と利用者保護を図り、多様な金融商品・サービスを国民が身近に利用できる「金融サービス立国」を目指すこととしている。

更に、地域・中小企業金融の円滑化の観点から、中小・地域金融機関について、地域密着型金融の一層の推進を図るため、本年3月、これまでのアクションプログラムを引き継ぐ新たなアクションプログラム(地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム)を策定・公表した。

今後は、「金融改革プログラム」及び「工程表」に盛り込まれた諸施策の着実な実施を通じ、金融商品・サービスの利用者の満足度が高く、国際的にも高い評価が得られ、地域経済にも貢献できるような金融システムを目指していくこととしている。

「金融庁の1年(平成16事務年度版)」が、国民の皆さんにとって、金融庁並びに金融行政に対する理解を深める一助となるとともに、今後の金融行政、金融システムのあり方について前向きな議論を共に進めるきっかけとなることを期待している。

II .全体の構成

「金融庁の1年(平成16事務年度版)」は、本編及び資料編から成り立っている。本編は、

  • 第1部 金融庁の組織及び行政運営
  • 第2部 金融に関する制度の企画及び立案
  • 第3部 金融監督等
  • 第4部 金融検査
  • 第5部 国際関係の動き

から構成されており、本編に関連する資料(報道発表資料等)を資料編としてまとめている。

III .概要

第1部 金融庁の組織及び行政運営

第1部は、金融庁の組織とこの1年間の行政運営について記載している。主なポイントとしては、

  • (1) 金融庁の組織に関しては、所掌事務や組織編成の特徴、17年度の体制整備について記載している。
  • (2) 金融庁の行政運営に関しては、この1年間の行政運営として、職員の任用、研究、研修、広報、情報公開・政策評価への取組み等について記載している。
  • (3) 金融サービス利用者相談室の立ち上げについて記載している。

第2部 金融に関する制度の企画及び立案

第2部は、預金取扱金融機関、保険、証券市場等に関する制度の企画・立案の概要、審議会等の活動状況、政府全体の施策における金融庁の取組み等について記載している。主なポイントとしては、

  • (1) 金融に関する制度の企画・立案に関しては、以下の事項等について記載している。
    • ○ 金融機能の強化のための特別措置に関する法律の策定
    • ○ 銀行代理店制度の見直し
    • ○ ペイオフ解禁拡大について
    • ○ 証券取引法等の改正
    • ○ ディスクロージャー制度の整備
    • ○ 株式等決済合理化法の策定
    • ○ 信託業法の改正
  • (2) 審議会等の活動状況に関しては、金融庁に置かれた金融審議会、企業会計審議会、金融トラブル連絡調整協議会等の開催状況や審議内容について記載している。
  • (3) 政府全体の施策における金融庁の取組みに関しては、金融システムの強化、及び、証券市場の構造改革と活性化といった政府全体の経済政策において重要な政策として位置づけられている施策の概要や金融庁の具体的施策について記載している。

第3部 金融監督等

第3部は、預金取扱金融機関、信託会社、保険会社、証券会社等に関する監督をめぐる動きのほか、法令適用事前確認手続、疑わしい取引の届出制度等について記載している。主なポイントとしては、

  • (1) 業務横断的、国際的な監督業務に関しては、コングロマリット室及び国際監督室の設置、金融コングロマリット監督指針の策定について記載している。
  • (2) 預金取扱金融機関に関しては、16年度決算の概況や金融機関の再編等の状況、金融庁が行った不良債権処理の促進、地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム、金融危機への対応、資本増強制度への対応、早期警戒制度、早期是正措置、偽造キャッシュカード問題への対応、口座不正利用問題への対応、いわゆる貸し渋り問題への対応等について記載している。
  • (3) 保険会社に関しては、16年度決算の概要や保険会社の再編の状況等について記載している。
  • (4) 証券会社等に関しては、16年度決算の概要や証券会社の数の推移、事務ガイドラインの改正、行政処分の内容等について記載している。
  • (5) 法令適用事前確認手続に関しては、導入の経緯、利用手続き等について記載している。
  • (6) 疑わしい取引の届出制度に関しては、疑わしい取引の届出制度、届出と提供の状況、タリバーン関係者等と関連する疑いのある取引の届出要請等の施策等について記載している。

第4部 金融検査

第4部は、16事務年度の金融検査の実施状況や金融改革プログラム等に基づいた新たな金融検査の取組みについて記載している。主なポイントとしては、

  • (1) 16事務年度の金融検査の実施状況に関しては、主要行グループに対する深度ある検査の一層の推進(自己査定と検査結果の格差公表や特別検査の実施等)や、中小企業再生や地域活性化への貢献に係る対応の実施について記載したほか、預金等取扱受入金融機関、保険会社、証券会社等に対する検査の実施状況と検査結果の概要について記載している。
  • (2) 金融改革プログラム等に基づいた新たな金融検査の取組みに関しては、金融検査に関する基本指針及び金融検査評定制度の策定・公表、検査上の運用改善等について記載している。

第5部 国際関係の動き

第5部は、金融監督に関する国際機構や金融に関するその他の国際的なフォーラムの活動状況や、金融庁と各国の金融検査監督当局との連携強化に向けた取組み、米国企業会計改革法(サーベーンズ=オクスリー法)への対応について記載している。主なポイントとしては、

  • (1) 金融監督に関する国際機構に関しては、バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構、保険監督者国際機構等の活動の現状と、それに対する金融庁の対応状況について記載している。
  • (2) 金融に関するその他の国際的なフォーラムに関しては、国際通貨基金、世界貿易機関及び経済連携協定交渉、金融活動作業部会等での金融庁に関連する議論の現況について記載している。
  • (3) 海外の金融検査監督当局との連携強化に関しては、途上国向けセミナー開催等の技術支援、各国の金融監督当局との協議状況等について記載している。
  • (4) 米国企業会計改革法に関しては、その概要や取り巻く状況、金融庁の対応等について記載している。

連絡・問い合わせ先

  • 金融庁総務企画局政策課
    • 政策評価企画係
    • 政策評価開発係
  • TEL 03-3506-6000(内線3193、3160、3231)

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