「金融庁の1年(平成18事務年度版)」について

平成19年8月24日
金融庁

I . 趣旨

金融庁は、我が国の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに金融の円滑を図ることを任務として、透明かつ公正な行政を行っています。

平成18事務年度(18年7月~19年6月)においては、我が国の金融システムを巡る局面が活力ある金融システムの構築に向けた時代へと本格的に移行しつつある中、金融仲介機能の更なる充実や金融サービス利用者の安全・安心の確保、公正で活力ある金融・資本市場の構築に向けた取組みを進めてまいりました。

まず、金融機関が果たす金融仲介機能を更に充実させるため、地域密着型金融の推進等により、不動産担保・個人保証に過度に依存しない融資や融資手法の多様化の促進を図りました。さらに、事業者の資金調達環境を整備するため、電子記録債権制度を創設しました。

利用者の安全・安心の確保の観点からは、深刻化した多重債務問題を解決するため、貸金業の規制等に関する法律等を改正して貸金業制度を見直すとともに、内閣に設置された多重債務者対策本部において「多重債務問題改善プログラム」を策定するなど、政府を挙げて多重債務者対策を推進しました。

また、人口減少時代においても我が国が持続的に成長していくためには、金融・資本市場の国際競争力の強化が重要な課題であるとの認識の下、金融審議会に「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」を設置して、競争力強化に向けた検討を重ねました。

さらに、会計監査の充実・強化を図り、企業開示に対する信頼を確保するため、公認会計士法等を改正したほか、金融商品取引法制の適切かつ円滑な施行に向けた取組みを進め、活力ある金融・資本市場の形成や公正・透明な市場の確保に向けた制度インフラの整備に努めてまいりました。

本「金融庁の1年」は、こうした金融庁の平成18事務年度における様々な取組みを、制度の企画立案・検査・監督の各般にわたって取りまとめたものです。本冊子が、国民の皆さんにとって、金融庁並びに金融行政に対する理解を深めていただくきっかけとなれば幸いです。

II. 全体の構成

「金融庁の1年(平成18事務年度版)」は、本編及び資料編から成り立っている。本編は、

  • 第1部 金融庁の組織及び行政運営
  • 第2部 金融に関する制度の企画及び立案
  • 第3部 金融監督等
  • 第4部 金融検査
  • 第5部 国際関係の動き

から構成されており、本編に関連する資料(報道発表資料等)を資料編としてまとめている。

III. 概要

第1部 金融庁の組織及び行政運営

第1部は、金融庁の組織とこの1年間の行政運営について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)金融庁の組織に関しては、所掌事務や組織編成の特徴、19年度の体制整備について記載している。

  • (2)金融庁の行政運営に関しては、この1年間の行政運営として、職員の任用、研究、研修、広報、情報公開、金融サービス利用者からの相談、政策評価への取組み等について記載している。

第2部 金融に関する制度の企画及び立案

第2部は、預金取扱金融機関、保険、金融・資本市場等に関する制度の企画・立案の概要、審議会等の活動状況、政府全体の施策における金融庁の取組み等について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)金融に関する制度の企画・立案に関しては、以下の事項等について記載している。

    • 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律について

    • 信託法改正に伴う信託業法等の整備

    • 保険契約のクーリング・オフの適用範囲の拡大について

    • 金融商品取引法の整備

    • ディスクロージャーの充実

    • 公認会計士法等の一部改正

    • 電子記録債権法について

    • 本人確認法施行令等の改正

    • 犯罪収益移転防止法について

  • (2)審議会等の活動状況に関しては、金融庁に置かれた金融審議会、企業会計審議会、金融トラブル連絡調整協議会等の開催状況や審議内容について記載している。

  • (3)政府全体の施策における金融庁の取組みに関しては、金融システムの改革に向けた取組み、及び規制改革に関する取組みといった政府全体の経済政策において重要な政策として位置付けられている施策の概要や金融庁の具体的施策について記載している。

第3部 金融監督等

第3部は、預金取扱金融機関、信託会社、保険会社、証券会社等に関する監督をめぐる動きのほか、法令適用事前確認手続、疑わしい取引の届出制度等について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)業態横断的な監督業務に関しては、コングロマリット監督と国際監督について記載している。

  • (2)預金取扱金融機関に関しては、監督指針・監督方針、18年度決算の概況や金融機関の再編等の状況、行政処分の内容、バーゼルII(新しい自己資本比率規制)への対応、金融危機への対応、資本増強制度への対応、地域密着型金融の機能強化の推進、中小企業金融の円滑化(いわゆる貸し渋り問題への対応)、偽造・盗難キャッシュカード問題等への対応、口座不正利用問題への対応等について記載している。

  • (3)信託会社等に関しては、新規参入等について記載している。

  • (4)保険会社に関しては、18年度決算の概要や保険会社の再編の状況、保険金等の不適切な支払い問題等への対応、少額短期保険業者への対応、保険等の販売・広告における顧客説明のあり方、財務基準の見直しに向けた動き等について記載している。

  • (5)証券会社等に関しては、18年度決算の概要や証券会社の数の推移、投資者保護基金、行政処分の内容等について記載している。

  • (6)法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)、一般的な法令解釈に係る書面照会手続に関しては、導入の経緯、利用手続等について記載している。

  • (7)疑わしい取引の届出制度に関しては、疑わしい取引の届出制度の概要、制度の変遷と国家公安委員会へのFIU機能の移管、届出と提供の状況等について記載している。

  • (8)課徴金制度に関しては、導入の経緯、課徴金納付命令等の状況について記載している。

第4部 金融検査

第4部は、18事務年度の金融検査の実施状況や金融検査の透明性・実効性の向上等のための方策について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)18事務年度の金融検査の実施状況に関しては、金融検査に関する基本指針と金融検査評定制度、利用者保護の徹底、リスクの多様化及びリスク管理の高度化や中小企業金融についての検証について記載したほか、預金取扱金融機関、保険会社等に対する検査の実施状況と検査結果の概要について記載している。

  • (2)金融検査の透明性・実効性の向上等のための方策に関しては、検査マニュアルの整備、金融検査評定制度、検査モニター制度、意見申出制度等について記載している。

第5部 国際関係の動き

第5部は、金融監督に関する国際機構や金融に関するその他の国際的なフォーラムの活動状況や、金融庁と各国の金融検査監督当局との連携強化に向けた取組み、アジア金融資本市場と我が国市場の発展に関する共同研究、ヘッジファンドに関する調査について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)金融監督に関する国際機構に関しては、バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構、保険監督者国際機構等の活動の現状と、それに対する金融庁の対応状況について記載している。

  • (2)金融に関するその他の国際的なフォーラムに関しては、金融安定化フォーラム、国際通貨基金、世界貿易機関及び経済連携協定交渉、金融活動作業部会等での金融庁に関連する議論の現況について記載している。

  • (3)海外の金融検査監督当局との連携強化に関しては、金融監督者間の2国間連携の強化、金融庁の技術支援の取組み等について記載している。

連絡・お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課(内線3167、3231)

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