平成12年5月15日(月)

 
公認会計士審査会

第6回監査制度小委員会議事録


於 大蔵省第三特別会議室
(本庁舎4階)

大蔵省金融企画局市場課
  


午後1時32分開会

三原小委員長 まだお見えにならない方もいらっしゃいますが、予定の時間も参りましたので、ただいまから、「監査制度小委員会」の第6回会合を開催いたします。
 なお、本日は、御都合により中村委員が御欠席でございます。
 前回まで5回にわたりまして、当小委員会の検討事項を大きく三つに分けました各テーマにつきまして、各界の方々から御意見を伺い、意見交換を行わせていただいたわけでございます。
 今回からは、各テーマにつきましてより深い審議を行ってまいりたいと考えております。進め方といたしましては、前回会合時にもお話しさせていただきましたとおり、事務局の方でこれまでの議論を整理して作成していただいた「たたき台」を基に、十分議論をしていきたいと考えております。
 検討事項のボリューム等から、今回は、一つ目のテーマであります「適正・公正な監査の確保に向けて」を御審議いただき、次回に二つ目、三つ目のテーマであります「公認会計士の質の充実について」と「環境の変化に適合した監査法人制度のあり方」この二つを御審議いただければと考えております。なお、本日、時間の都合でまた次回にずれ込むということもあり得るかと思います。
 なお、各検討事項につきまして、順番に御議論をいただきますが、検討事項によりましては、今までに十分な議論が尽くされていないものもあるかと思われますので、それらにつきましては、できるだけ時間をお取りして十分御議論いただきたいと考えております。
 それでは、一つ目の検討事項であります「単独・同一監査人の継続的監査に係る問題」につきまして、事務局から基本的な考え方と考えられる方策について説明をお願いいたします。


大藤大臣官房参事官 まず、本日の御議論にお入りいただきます前に、本日、お示ししております「たたき台」ということでございますが、事務局といたしまして、これまでの委員等からの御議論を踏まえまして、まとめさせていただいておりますが、最終的に案文をまとめる前提といたしまして、具体的に何をなすべきかという観点から、具体的に御議論いただくということで、必ずしも議論が尽くされていない部分につきましても、論点だとか方向性をかなり一応示した形で、問題提起ということも含めましてまとめさせていただいておりますので、その点は御容赦いただきたいと思います。


福地課長補佐 それでは、「資料1」、「監査制度小委員会の検討事項に係る基本的な考え方と考えられる方策」につきまして読み上げさせていただきます。

  I

.「適正・公正な監査の確保に向けて」
 公認会計士監査による適正なディスクロージャーの確保と公認会計士監査に対する国際的な信頼の向上が一層重要になってきており、以下のような適正・公正な監査の確保のための措置を早急に講じ、対外的にもアピールしていくことが必要。


.単独・同一監査人の継続的監査に係る問題について

(1)

 同一監査人の継続的監査の問題

マル1

 基本的考え方
 個人の公認会計士又は監査法人における関与社員等の同一の監査人が長期間にわたって特定の企業の監査を担当することは、一般的に、企業との間に過度に親密な関係を築きやすいと考えられ、これにより、監査人の適格性の条件である「独立の立場」という観点からの問題が生じ得ることになり、また、緊張関係を欠くことによって監査実務に悪影響を及ぼすおそれもあり得ると考えられることから、一定の交替ルール(米国ではSECクライアントの監査担当パートナーは7年を超えて同一監査クライアントを担当することはできない。)を定めるとともに、これを何らかの方法で規制するなどの対応が必要である。

マル2

 考えられる方策


.公認会計士法等の法令による規制
 独立性については監査人として最も重要な適格性の条件の一つであり、これは、監査人が監査を行っていく環境を整える、ひいては監査人が行う監査証明の信頼性を確保するための条件であると考えられる。このような観点から、現行公認会計士法及び同法施行令においては、監査人と被監査企業が特別の利害関係にある場合には監査証明業務を行うことを明文をもって禁止しており、また、証券取引法監査及び商法特例法監査においても、それぞれの法令等において、企業に対して特別の利害関係のない監査人による監査を義務付けているところであり、上記の問題についてもこれと同様の領域の法令で規制を行うことについて検討することが考えられる。なお、この場合、「公認会計士法に規定する方法」と「証券取引法及び商法監査特例法等に規定する方法」などが考えられる。


.公認会計士協会による自主規制
 他方、この問題については、特に個人の公認会計士の場合には、一方的にこれを法令で規制することは適当ではないとの指摘もあり、自主規制により対応することが望ましいとの考えもある。
 現在、公認会計士協会の「品質管理基準」の「監査の品質管理」において、監査法人に対しては証券取引法監査における関与社員の交替ルールの策定を求めているが、これによれば、最長期間を「例えば、概ね10年」としており、また、個人については交替ルールが定められておらず、交替ルールに関しては明確化が必ずしも十分であるとはいえない状況にある。なお、今後、公認会計士協会の倫理規則の改正において、監査業務の主要な担当者が、長期間継続して同一の関与先の監査業務に従事している場合には、協会の審査を受けて自らの独立性を保証するべきことなどの処置を講ずることとするとの考えも示されている。
 したがって、自主規制により対応することとした場合には、国際的な信頼の回復という観点から、現行の自主規制ルールを米国と同様に「最長7年」とするなど国際的に遜色のないものに強化を図り、法令による規制と実質的に同等の効果を確保した上で、当面は、公認会計士協会の自主規制による実施状況をフォローすることとし、改善がみられない場合には法令上の措置を講ずることも考えられる。

(2)

 個人の公認会計士が単独で行う監査の問題

マル1

 基本的考え方
 現在のわが国の公認会計士監査で要求されている水準を満たしつつ、複雑多岐にわたる大規模企業の監査を担当するためには、ある一定規模の監査チームの編成が必要であり、個人で行うというよりは、共同監査もしくは監査法人による組織的な監査により監査の質の維持・向上を図る必要があると考えられ、少なくとも、一定規模以上の大企業に対する監査(特に、証券取引法等の法定監査)については、個人の公認会計士が単独で監査を行うことを何らかの方法で規制するなどの対応が必要である。

マル2

 考えられる方策


.証券取引法等の法令による規制
 上記の問題は、大規模企業の監査においては組織的監査による監査の質の向上を確保する必要があるとの観点から、証券取引法や商法監査特例法等の法定監査の根拠法令において、当該法令が要請している適正な水準の監査証明を担保するための会計監査人の資格要件的な位置付けとして、これを規制することについて検討することが考えられる。


.公認会計士協会による自主規制
 他方、公認会計士協会は、倫理規則の改正において、一定規模以上の企業等の監査を個人単独で監査をしている場合には、できるだけ共同で組織的監査を行うように努めるなどの処置を講ずることとするとの考えを示している。上記の問題については、個人ということのみを理由として、一方的に規制することは適当ではないとの指摘もあり、当面は、公認会計士協会の自主規制による実施状況をフォローすることとし、改善がみられない場合には法令上の措置を講ずることも考えられる。

(3)

 監査法人自体の交替

マル1

 基本的考え方
 独立の立場の確保という観点からは、監査法人自体の交替についても、一定のルールを策定すべきとの指摘がある。

マル2

 考えられる方策
 監査法人の交替については、諸外国においてもルール化がなされておらず、また、監査法人の業務を執行する関与社員の交替ルールの措置を講ずることによって一定の独立性が確保されるものと考えられるが、独立の立場の確保という観点からは、引き続き検討する必要があるのではないか。


 以上でございます。


三原小委員長 どうもありがとうございました。
 ただいま「たたき台」を読んでいただいたわけですが、これから御議論いただくのに、(1)(2)(3)とありますが、議論を錯綜させないために、(1)から順番にやっていきたいというように思います。
 それで、まず「(1) 同一監査人の継続的監査の問題」、基本的考え方と考えられる方策についてですが、これにつきまして、どうぞ御意見をお願いしたいと思います。


白石委員 よろしいですか。


三原小委員長 はい、白石委員、どうぞ。


白石委員 白石でございます。
 この(1)の問題だけに限らないと思うんですけれども、これから個別議論に入るということで、少しこれまで議論したことを振り返ってみますと、やはり日本公認会計士協会の自主規制というものが基本だろう。それで、かつ、自主規制の状況をディスクローズするといいますか、公開するといった方法が考え方の大きな視点なのではないか、こういうふうに実はこれまでの議論を踏まえて感じたわけでございます。
 さて、(1)でございますけれども、そういった視点からいきますと、同一監査人の継続的監査の問題については、会計監査人がどういうふうに監査品質を確保していくかという基本の部分と考えるわけでございます。
 今日ペーパーを見させていただいて、「考えられる方策」の中でイとロとございますけれども、このどちらを採用する方が適当かという議論を進めるのかなというふうに思っておったわけでございますけれども、私のこれまでの感じからいきますと、やはり7年にしろ、10年にしろ、やはり監査人の継続の問題は、むしろ自主規制に任したらどうかというふうに考えた次第でございます。
 以上でございます。


三原小委員長 どうもありがとうございました。
 「考えられる方策」イとロとありますけれども、基本的な考え方が容認されるとして、そのどちらの方策をとるかというのは、できれば議論して、小委員会としての意見を出したいというふうに考えております。白石委員はロの方策ということでお伺いしたわけです。
 それで、ちょっと私確認したいんですけど、例えば、7年ということでルール化するという場合、法令で定めるか、協会の方の規則で定めるかというどちらのレベルの問題もありますけれども、このルールをどこまで厳密に適用させるかという、その辺がこの「たたき台」ですと、一応7年なら7年と決めるけれども、そこら辺は極めて弾力的に協会の方で実情に応じて、いろいろ幅を認めていくような書き方になっているんですね。最後に、改善ができないようならばというのですが、もしルールとして決めるのであれば、これはきちんと守られるというのが前提でありまして、その辺が曖昧なものとして作るのかどうか、その辺を意思統一を図っておきたいというふうに思うんですけれども、協会は、その辺をどういうふうに考えておられるんでしょうか。


奥山委員 監査人の交替ルール、特に関与社員の交替ですけれども、今ビッグ・フォーは、これはアメリカと同じように実質7年ということで、それぞれの法人内で決められているようです。ビッグ・フォーでないところで協会ルール、概ね10年と言っていますので、それにどれだけ従うかということになるかと思うんですけれども、私どもの品質管理レビュー、もうじき1年目の総括が出るんですが、その中ではやはりこういうルールがないことについては限定していこうということで今考えています。
 では、その限定したことがどういう効果を持つのかということについては、それは品質管理のレビューの結果としての意見ですから、やはり何らかの公表する形の中で出てくると思うんですけれども、おっしゃるように、今10年守らなかったからといって、どういうペナルティーがあるかという観点からは、まだ若干曖昧としたものがあります。ここら辺は今私どもの提案の中では、品質管理レビューの強化という形で、それはしっかりとした意見を申し上げ、それから、改善をされない場合には、改善命令を出すような方向性を打ち出したいと、こういうことを言っております。


三原小委員長 今の公認会計士協会による自主規制のところですね。もし長期間になるようだったらば協会の審査を受けると、そういうことでチェックしていこうということなんですが、この辺のチェックといいましても、なかなか判断基準が難しいんじゃないかと思うんですね。原則は7年なら7年と決めておいて、何か特例的な基準、特例的に認めていく基準のようなものは幾つかあって、それに当てはめるというのであれば、割合判断しやすいんですけれども、その辺が曖昧ですと、ルールと言っても、結局なかったのと同じことになりかねないと、そういうものをどういうふうに考えておられるんでしょうか。


富山委員 アメリカの場合は、基本的に7年ですが、2年間抜ければ戻ることができるんです。このようなルールを入れますと、例外的な場合もカバーできるかと思います。ビッグ・フォーの場合には戻ることはないようですが、事務所の規模などによってそういう必要性がある場合もあるかと思います。向こうの基準を詳しく調べてみて、猶予規定を入れながら、基本的に7年という形に持っていくことができると思います。
 先ほど国内のビッグ・フォーは全部7年だとの説明がありましたが、多分1社はまだ10年という基準をとっていると思います。この基準を導入するときに、たまたまその事務所が先行して10年という基準でやっていましたので10年という例を挙げていますが、その後導入した事務所は全部7年を採用していると思います。


三原小委員長 ということは、原則7年なら7年ということでやっていこうという、その辺はきちんとルール化しようという、そういう方向ですね。


富山委員 2年前に導入したばかりで、急に10年から7年に変えるということには抵抗があるかもしれませんが、この委員会で方向性が出たことを契機として、7年に変えることになるかと思います。


三原小委員長 どなたかほかに。
 宮島委員、どうぞ。


宮島委員 一つちょっと気になるのは、例えば商法なり証券取引法でルール化するということになると、その定め方にもよると思うんですけれども、結局、超えた場合には資格のない者による監査という形になるんです。そうすると、資格のない者によってなされた監査の財務諸表なり計算書類などの効力の問題とか、そういうような錯綜した問題が法で定めると、その定め方によっては出てくるのかなという、そんな気がちょっとするんです。


三原小委員長 岸田委員、どうぞ。


岸田委員 私も宮島委員と同じように自主規制の方がよろしいと思います。その理由は、法律的に定める場合には、技術的に難しいであろうというふうに思います。
 というのは、まず第1に、同一企業というその企業とは何かという、クライアントですね。それが連結企業になったり、最近、会社がたくさん合併いたしますけれども、合併した場合に同一なのか。あるいは監査法人の方も最近合併が多いですけれども、合併した場合に同じかという問題。あるいは7年という場合、どういうふうに計算するのか。一時でも外れたらだめなのかとか、そのような場合の法律の効力というのは、いろいろ考えますと、私はこういうのは少なくとも最初のうちは自主規制の方が望ましいのではないかと思います。


三原小委員長 ちょっと確認をもう一つさせていただきたい。協会の倫理規則というのは、これは倫理を維持するための守るべきルールを定めたということなんでしょうか。よく分からないんですが、精神訓話的なことを書き並べたということではないんでしょうね。


奥山委員 倫理規則というのは、前の規律規則というものがありまして、これを言葉を換えて、もっと幅広く規定したものですけれども、これに違反した場合には綱紀事案になるということではっきりしています。相当きちっとしたものであります。


山浦小委員長代理 よろしいですか。


三原小委員長 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 監査業務についてはもちろん公認会計士あるいは監査法人が職業として行う業務ですので、これは基本的には自主規制に委ねざるを得ないというのはよく分かるんですね。それは今まで各委員がサポートされた御意見に基本的に賛成なんですけれども、やはり法律による規制か、あるいは自主規制かという、そういう二者択一というよりは、基本枠は法律による規制というのは何らかの形である必要があると思うんですね。
 それが緩いか、きついかという話は別個にあると思うんです。それから、法律による規制の仕方もあると思うんですね。恐らく大部分は自主規制の部分に委ねた形での規制のあり方、法律と自主規制とのいわば調和というか、そういった方向性はやはり一つの選択肢としてあると思うんです。
 その際に、自主規制の方に多くを委ねるとしても、やはり今問題になっているのは、その自主規制を自主規制として委ねた分、自主規制機関としていわば何らかのモニターなり、あるいはそういった自主規制のあり方を担保する機構が自主規制機関に備わっているかどうか、あるいはそれをモニターするための第三者の機構が必要かどうか、こうしたシステマティックと言うと変ですけれども、二重三重の機構が必要ではないかという気がするんですね。特に監査法人と個人の会計士、あるいは大手の監査法人と中小の会計事務所、その中にもちろん監査法人が入っているんですけれども、そうした公認会計士業界のあり方を見ていると、何らかの画一的な法規制が現状ではかなり難しいのではないか。これは現実論としてそう言えると思うんですね。
 ただ、やはり法定の監査のいわば質を担保するような自主規制の機構を何らかの形で協会なりがもっと明確な形で担保する、そういう努力というか、随分とこの数年間で変わってきていると思うんですけれども、やはりそういうものと相まってこの構図が成り立つんじゃないかという気がするんです。
 以上です。


三原小委員長 伊藤委員、どうぞ。


伊藤委員 私も山浦さんと考え方が近いんですけど、そういう点では使う側に立って、白石さんと若干違う立場にあるんですけど、要するに公認会計士協会での自主規制というのは大変重要であって、私も実は協会から頼まれて、ピアレビューの審議委員をさせていただいているので、そういうことを協会が自主的におやりになることは大変結構なことだと思います。
 ただ、運営上において、自主規制で行うということは大変良いことだと私は思いますね。ここに書いておる「考えられる方策」イとロというのは、全く並列して一見書かれているようだけど、よく読むと、他方、この問題についてはという具体的な論理のところをロで書いてあると思います。私はやっぱりセーフティネット的なところは法令で何らかのルール化がされている。その上で自主規制をどんどん取り入れていくということは大変良いことだと思いますけれども、最低限のルールをやっておいた方がいいのではないか。現実問題、私は経理担当として、ビッグ・ファイブの方々とか、あるいは日本のファームの方といろいろ話をしますけど、やはり利害関係というのはどうしても出てきますよね。
 それで、恐らくどこの会社でもそうでしょうけれども、相当な無理もお願いをし、お互いに無理も聞き、そういう利害得失の仲であって、公認会計士さんと私どもの使う方とが成り立っている段階において、全て自主規制と言っても、限界があるように思いますね。
 従いまして、最低限のルールは、それが7年とかそういうことなのか。しかし、事前にそのルールについては基本的に公認会計士法の妥当な水準にするとか、何か1項目が要るとか、何らかの措置があって、その上で自主ルールをできるだけ増やしていくというような運営の仕方をされた方がいいのではないかというふうに思います。


三原小委員長 白石委員、どうぞ。


白石委員 山浦小委員長代理のお話もありますけれども、今実施されています品質管理委員会とか品質管理審議会といったところで、この7年が履行されているかどうかということについては当然レビューされ、もし品質管理審議会が対外公表も考えておられるとすれば、それで十分担保されている、また、担保されていくであろうということになるのではないかと私は考えたわけでございます。


三原小委員長 ほかにいかがでしょうか。


大藤大臣官房参事官 事務局の方からよろしいでしょうか。


三原小委員長 はい。


大藤大臣官房参事官 事務局の方から、もう一つ御議論いただきたいと思っておりますのは、特にアメリカの場合、期間の規制というのが外形基準というか、とにかく例外を許さないという基本的な原則で運用されていると思うんですが、公認会計士協会の今やっておられる自主規制は「原則として」とか、というようなことになっておりますし、この2ページにも書いてございますけれども、いわゆる長期間継続して同一の関与先に従事している場合に、審査を受ければできる余地があるというようなことで、かなり自主的な基準というような形になっていきますと、どんどん明確性が失われていくということもあろうかと思いますので、そこら辺をどれぐらい厳格にやっていただくかというのも御議論をいただく必要があるのではないかということでございます。


富山委員 まず、法令的根拠という話が出ていましたが、これについては、公認会計士が特別利害関係にある場合はというように、いろいろな独立性にかかわる規定がありますので、それらを法令的根拠と理解すればいいのではないかと思うんですね。それらの規定があるので、長期間継続して同一人が監査してはいけないという派生的な問題が出てきて、これを協会の自主規制の下で規制していくということです。別に法令で長期間やってはいけないと具体的に規定する必要はなく、利害関係に関する規定があるわけですから、それらに照らして具体的な運用を行えばいいのではないかと考えています。
 それから、現在の品質管理基準は2年前にできましたが、何十年もの間、監査人の交替がなかったという慣習の中で初めて作られた規定なので、概ね10年というように、厳しくは規定されていません。
 アメリカの場合は、あくまでSECの基準であって、法令ではありません。基準の中で明確に取扱いが規定されていますので、あの具体的な基準を持ってくることが考えられると思います。基本的にはSECルールを参考にしていますが、たまたま当時、10年という制度を採用していた事務所があったので10年としただけであって、それを例えば7年としたり、もう少し細かいルールを入れるのは可能だと思います。これからどう改正していくかという問題だと思います。


三原小委員長 中原委員お願いします。


中原委員 私も結論的には自主規制でいくべきだという感じを持っておりますが、まさに今参事官おっしゃったように公認会計士という職業が社会的に持つ機能、こういうものを会計士協会として自分たちで守っているんだという、その独立性というものを自分たちの手で守っているんだという気概といいますか、そういうものが必要なのであって、アメリカの場合も恐らく外形的に決めているんでしょうが、協会自身のこの問題についての考え方がちょっと違うんじゃないか。申し上げた意味は、法律で決めますと、むしろ独立性という点が一番大事なのにもかかわらず、法律でこう書いてあるから、とにかくそれを守ればいいんだと、本質論がどこかにいってしまう、ある種のモラルハザードが出てくる可能性があると思うんですね。
 だから、品質管理基準、それから、公認会計士としての独立性ということを本当に協会自身として運営していくんだという、その強い意志と行動を伴うのであれば、やっぱり自主規制でいくべきだ。ですから、先ほど参事官おっしゃったように、その場合には、曖昧な「概ね」とか、「審査で自主的に認めればいい」とか、そういうある種の抜け道みたいなものが用意された形での自主規制というのは認められないんだろうという気がいたします。


三原小委員長 岸田委員。


岸田委員 ちょっと富山先生にお伺いしたいんですけれども、私、監査のことはよく知らないんですが、例えば、監査法人と個別の企業が監査契約を結ぶ場合に、その中の契約の一つとして、〇〇は今年から〇年間というようなことをもし決めることができれば、それで十分だろうと思うので、私お聞きしたかったのは、そういうモデルを会計士協会としてお作りになれば、大体それに従って、個人なり法人を特定して何年というのもできるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか、そういう規制の仕方は。


富山委員 可能だとは思いますが、今年から7年間連続して間違いなくこの人にやらせますということにはならないと思うんですね。むしろ法人のいろんな考え方の中で個々人の役割分担を考えていますので。


岸田委員 長くても7年だということです。


富山委員 最長7年、それはできると思います。


三原小委員長 今までの議論の傾向を見てみますと、どうやら自主規制説というか、論が大多数というふうに思います。その場合に、その7年なら7年という基準は明確化するということが前提になっていると思うんですが、そういうことを明確にして、かつ、明確に適用するというのが前提になっているわけですが、それを前提として自主規制という御意見が多かったように思います。
 それに加えて、さらに法令上何か包括的な根拠を置く必要があるのではないかという御意見もあって、その辺はちょっと分かれているところだと思いますが、大体大方の御意見は分かりました。
 あと7年か10年かということがあるんですが、その辺はどうでしょう。その辺はっきりできたら、しておいた方が書きやすいと思いますが、協会の方は、7年でよろしいですか。


富山委員 できたら、ここで決めていただいた方が変更しやすいと思います。


三原小委員長 では、一応7年ということで、特に御異論のある方いらっしゃいますか。なければ、一応その線で。


伊藤委員 今の質問について、富山さんの意見にちょっと言えば、つまり自主規制と言っても何らかの拠り所が要るわけです。だから、意味じくも申し上げた。つまりこの場で決めてほしい。やっぱり最低のルール、どこかに拠り所がないと、自主規制って実はあり得ないんですよ。
 ですから、私はそういう点はやっぱりきちっとした何らかのルールが、こういう場をやるのであれば、こういう場で絶えずブラッシュアップしていくんだという前提であれば、とりあえず7年にしておいて、しかし、こういう委員会みたいのがあって、絶えずそれをフォローアップされる、毎年執拗にやられるということであればいいと思う。むしろSEC基準に準拠して自主規制をやるとなると、SEC基準はアメリカの基準であって、日本に本当に妥当かどうか疑問じゃないかと我々は思うわけです、企業の側からいたしますと。
 従って、私は自主規制というのはあくまでも極めて重要であり、精神であるけれども、しかし、やはりいろんな利害関係の人たちが、つまり公認会計士さんだけで決めるのは疑問だと私は思う。つまり使う方の人もそうであり、学識経験者もそうだし、立法サイドもそうだ。そういうところで何らかの基準を決めて、それを実際に運用するにおいて、7年を決めても10年でやろうじゃないかと、自主的にという場合はいいと思うんです。そこのところがちょっと私は違うんですな。何でもかんでも自主規制というわけでは決してありませんと申し上げたいわけですね。


三原小委員長 富山委員、どうぞ。


富山委員 これからもいろいろな点で自主規制というお話をすると思いますが、その場合、会計士協会が勝手にやりますという意味で言うわけではなくて、あくまで審査会が今後も継続的にモニタリングをするという仕組みが残るということを前提に考えています。


伊藤委員 そうでしょうね。私もそう思いますね。


富山委員 ぜひここで見ていただきたいし、ここで十分でないと判断するならば、法令として規定すればいいと考えています。


三原小委員長 どうぞ。


奥山委員 監査人の情報をどうするかということで、私の方はディスクローズしてほしいと前に申し上げたことあると思うんですが、例えば、その中の一つとして、この関与社員が何年継続しているということも一つのディスクローズなんですね。例えば、協会が7年なら7年と決めたときに、情報公開としてそういうことが書類の上で出ていれば、自ずから社会の目でも同じ会社に長過ぎるじゃないかと、もし仮に協会がペナルティーを加えても、なおかつやっているとすれば、社会の批判がさらにそれに加わると、こういうことで監査人の情報まで含めてお考えになった方がよろしいんじゃないかと思っている次第です。


三原小委員長 では、どうぞ。


新原東証監理官 事務局の私が質問して大変恐縮なんですが、富山委員が一つちょっと気になることをおっしゃいましたので。7年やって2年休んで、また必要があればもう一度戻るということもあり得るとおっしゃったんですが、その必要がある場合とはどういうことを考えると、余り想定できないんですけれども、必要があるというのはどういう場合なのか教えていただきたい。


富山委員 アメリカのルールですと、3年間担当して、それから2年間抜けて、また戻った場合に、そこからカウントして7年間できるというルールがあります。どういう理由でと言われますと、私もよく分かりませんが、多分、パートナーが少ない事務所であるとか、あるいは地方事務所のことを配慮して作ったかなと思っています。一応2年間も抜けられるようであれば、基本的に独立性には問題はないと逆に言うと考えているんだと思います。
 現実にはビッグ・フォーの中ではそのようなことは、基本的にやられていないと聞いております。


新原東証監理官 今のお話は、3年抜けて2年抜けて、また替えるという話で、7年抜けて2年抜けて、また替えるという話ではないんですね。


富山委員 3年やって2年抜けると、そうすると、また元へ戻って7年間できるということです。そういう意味で言っています。


大藤大臣官房参事官 ちょっとよろしいですか。


三原小委員長 はい。


大藤大臣官房参事官 ですから、そこのところは議論に戻ると思うんですが、アメリカの場合、やはり外形基準ということで、とにかくその人以外の人のチェックが入るということをものすごく重要に考えているんだと思うんですね。ということであれば、そういうことを御主張になるのであれば、「原則として」だとか、「実質的に独立性が問題ない」とかというルールは、もうそういうものはないということで構築しないと、本当に中途半端なものになってしまうということではないかと思います。


三原小委員長 この問題ばかりやってしまうと時間が足りなくなります。大体今まで出た意見で、とにかく事務局の方でまとめていただきまして、またこのテーマ、それから、次回今度2番目、3番目のテーマでやるんですが、その議論を受けて、とりまとめしたものをまた皆さんに見ていただいて、御審議いただくことになっておりますので、とりあえず次のテーマに移らせていただきます。
 次は、(2)の「個人の公認会計士が単独で行う監査の問題」ですが、これについて御意見をお願いしたいと思います。
 白石委員、お願いします。


白石委員 2番目は、個人の公認会計士が単独で行う監査の問題ということですけれども、現場で会計士さんの監査を受けている立場及び経験からいたしますと、ある会社が個人の公認会計士でいくか、共同監査あるいはある程度の規模の監査法人でいくかといった問題につきましては、恐らく自主規制というよりは、やはり何らかの形で法令による規制があった方がトラブルが少ないといいますか、非常に円滑に進むのではないかということを感じております。
 いろいろな企業の経営者がおるわけでございますから、私はこの人がいいんだと、友達だからこれでいくということだけでまいりますと、公認会計士協会が、「あなたのところは一定規模があるから、協会の規定によると共同監査にしてもらわないと困るとか、あるいは監査法人に替えてくれ」というこのやりとりを現場感覚的に考えますと、むしろこれは何らかの法規制を盛っておった方がいいのではないか、こういうふうに私は感じます。
 以上です。


三原小委員長 法令に根拠を置いた方が規制はしやすいじゃないかという御意見ですね。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、山浦委員。


山浦小委員長代理 個人の会計士に法定監査をどこまで任せるかと、この問題、なかなか現実問題として、悩ましい問題があるんですけれども、今、独立性の問題からすると、例えば、一つの監査業務で個人の会計事務所の年間の報酬のかなりの部分を占めたりしますと、やはりどうしてもその監査業務をいわば維持したいと、こういうことがある意味では独立性というよりは、むしろ公正な監査判断といいますか、適正な監査判断に影響する。いずれにしても、この問題は監査法人制度を公認会計士法に入れる段階で随分と議論されまして、もちろん組織的な監査も必要だと。そのためにやはり監査人自身が大きくなる必要がある。それから、独立性を維持するためにも必要だし、それから、いわゆる継続性というんでしょうか、例えば、個人の会計士だと、病気とか、場合によっては亡くなられたりしますと、途中で次の監査ができなくなるとか、そういう問題がありますので、監査法人制度というのが入った段階でこの点が随分と確認されたところですね。
 むしろ現在問題になっているのは、監査の品質を管理するという視点からしますと、個人の会計士に法定監査、特に証取法監査のような大きな監査業務を任せるということは、社会的な視点からやはり問題が多いのではないか、こういう指摘がなされているわけですね。
 一つだけ事務局の方にお伺いしたいんですけれども、これは私まだ確認をしてないんですけれども、例の異業種の銀行業参入の問題で、今日、NHKでしたか、ニュースで、監査法人に監査をさせるというアナウンスだったんですね。あれは監査法人を指定した形の制度なんでしょうか。それとも、NHK側の間違いなんでしょうか。ちょっとその点だけ確認したいんです。


大藤大臣官房参事官 例の異業種参入の話は相当いろいろと動いているようでございまして、報道が必ずしも的確に行われていないような場合もあると聞いていますので、少なくとも私どもの方にまだ相談は来ていない段階でございますが、またできる限りでそこをフォローさせていただいて、報告させていただきたいと思います。


山浦小委員長代理 よろしいですか。


三原小委員長 はい。


山浦小委員長代理 そこで、ちょっと会計士協会の方にお伺いしたいんです。今、個人の会計士を何らかの形で監査業務からいわばシャットアウトするというか、事実上、個人の会計士はできないという形にするということが、例えば、自主規制という形で可能でしょうか。あるいは、白石委員がおっしゃるような形で何らかの外形枠とか、そういったものが必要なんでしょうか。このあたり大きな問題を抱えていそうなんです。


奥山委員 私どもは個人単独という形での監査は、これはもうやめていこうということで決めております。ですから、倫理規則でも、書き方としてはちょっとぬるい書き方かもしれませんけれども、個人単独監査は原則的に、少なくとも公開会社についてはこれからやめようと。ただ、個人として法人に入らなければ監査できないのかということについては、個人が集合になって、共同監査という道はあるよと。そこについてのお勧めをしていこうと。
 ただ、日本全国の状況を伺ってみると、やはり県によってはなかなか一緒にやってくれる会計士がいないとか、そういう物理的な実情があるようなんですね。単独でやっている会計士も、必ずしも自分1人でなきゃ嫌だと頑張っているわけじゃなくて、共同でやりたいんだけれども、相手がいないと。そんなことですから、方向としては、共同ということでいけると思うんです。実際に前にも資料をお出ししたかもしれませんが、現在個人単独でやっている公開企業というのは6社しかないんですね。あとは商法特例法適用とか、それから、非公開の証取法適用とか、そういう形の会社があると思うんですけれども、大きな意味での社会的に問題になる公開会社の単独監査というのは、現実においてもほとんどなくなるだろうと、こういう期待を持っています。


三原小委員長 公開企業については、少なくとも個人単独はやめるというんですが、協会はやめさせるという力あるんですか。


奥山委員 監査業務審査会という前にも御説明したかと思うんですが、そういう組織で個人の会計士に関して、いろいろ干渉していくということでタッチしています。その中で既に、なぜ1人でやっているんですかというやりとりはもうやっておりまして、その中で向こうも、ぜひ共同やりたいんだけれども、まだ相手が見つからないとか、そういう形で答えをもらっていますので、それをフォローしていけば消えていくというふうに思っています。


山浦小委員長代理 今、信用金庫とか信用組合ですね、それで、預金量500億円以上のところが監査を受けるようになった。実は逆の意味で、そういった企業の監査法人による受け手がないというか、大きなある意味では乗車拒否じゃないんですけれども、それに近いようなリスク管理の面から、とてもああいったところには関与できないという声がありまして、そうすると、ただでさえ問題を抱えているところで、恐らくそうなりますと、個人の会計士の方に業務依頼がいくんじゃないかと思うんですね。そういう現実の問題もありますので、どういう形で、例えば今の問題を具体的に協会ではどのようにお考えなんでしょうか。


富山委員 協会というより、監査法人としての立場で考えた場合に、リスクの高いところとは基本的に契約しないというのが原則的な考え方です。契約初年度に信用金庫などで自己資本比率が4%を割るような決算を強いる結果となって、自動的に退場ということにでもなれば、お互いにアンハッピーなので基本的に契約しないという方向が出てきた時に、監査依頼が個人にいったらどうなるかという話ですね。


奥山委員 まだ実際には制度改定してないと思うんですけれども、やはりそれは単独でやるなと。そこの県なら県の会計士で共同して対応してくださいと、こういうことになると思います。実際問題としても、もうそのことは周知していますから、個人でやろうという元気のあるというのか、ないのか分かりませんけれども、そういう方は特に信用金庫、信用組合に関しては多分ないだろうと。ですから、先生の御心配のような1人で信用金庫を受けてやるということはない。
 ただ、地方なんですね。実は内輪話なんですけれども、地元の国会議員からも、どうなんだという話があったときに、聞いてみると、そこには会計士が1人しかいないとか、場合によっては全然いないというところもあるような、そういうケースもありそうなんですね。ですから、これはまだ現実にどうなるか、実際に政令改正になって、それから、具体的にどういう人が受けたかということを状況を見ないと分かりませんが、私どもとしてはそういうことを言わざるを得ないと思っています。


三原小委員長 関委員、どうぞ。


関委員 遅れて来て大変失礼いたしました。
 今の御議論を聞いていて、これは基本的にそういう構造が可能なのかということで教えていただきたいんですが、2ページの(2)のマル1の「基本的考え方」のところで「個人で行うというよりは、共同監査もしくは監査法人による」云々となっているわけですが、共同監査というのは個人の公認会計士が複数以上でやるのが共同監査、皆さんの御議論そうなっていると思うんですが、監査法人が監査法人所属の公認会計士をその件数について、要するに個人として個人の公認会計士と共同でやる仕組みというのは可能なんでしょうか。そして、そのときに監査法人として何かそういうことがそもそもできないということなのかもしれませんが、一種の応援部隊みたいなことでチームを編成することは可能なのか、ちょっと聞いていて思ったんですが、どんな感じでしょうか。


三原小委員長 どうぞ。


奥山委員 共同監査は可能ですし、それから、現実にも幾つか例がございます。


富山委員 共同監査の場合は監査法人の個人の社員ではなくて、監査法人プラス監査法人外の個人の方との共同監査という形になると思います。要するに監査法人の中の社員が、個人として共同して仕事するということは原則としてありません。定款を変えない限り、できないと思います。そういう意味で、監査法人プラス個人という形の共同監査はあり得るということです。


大藤大臣官房参事官 公認会計士法の考え方として、34条の14で社員の競業の禁止というのがございまして、「監査法人の社員は、自己もしくは第三者のためにその監査法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の監査法人の社員となってはならない。」とございますので、監査法人の社員の方が監査法人を離れて個人としてほかの個人の方とやるということは、法律上認められていないということでございます。あくまで監査法人と個人の公認会計士の方が共同でやると。


関委員 個人のCPAと別な個人のCPAと、それが共同監査。


大藤大臣官房参事官 個人と個人がやるという場合もありますでしょうし、個人と監査法人が共同でやるということだと思います。


三原小委員長 岸田委員、どうぞ。


岸田委員 私はこれを法律に定めることは賛成ですけれども、その場合には、今話がございましたように、監査法人だけでなくて、共同監査ということについて法律で、何が国の監査で、どういう場合にどういう責任を負うのかということも一つの概念として決めてもよろしいのではないかというふうに思います。
 それから、これは別の話でございますけど、例えば、若い会計士の人が1人で、いわゆるベンチャー企業などを育てて、公開する途端に監査法人に取られるというようなことがよく起こると思うんですけれども、そういうことについて、もしこういうことを法律に定めた場合に、個人の会員の方から、おかしいというような議論が出てくるのではないかと思いますが、その点いかがでございましょうか。


奥山委員 これは公認会計士法の組立ての問題だと思うんですけれども、今までの少なくとも法の解釈では、個人が監査証明を出すことについて認めていますし、実例もあるわけですね。今度の法改正で、もしだめだということになった場合に、今までやってきた既得権のある人は、やはりそれはビジネスとしてやってきて、また、自分の生活としてやってきた方からは相当な反論がやっぱりあると思いますね。


三原小委員長 富山委員。


富山委員 例えば、商法、証取法で規定するという考え方もありますし、取引所のルールとして決めるやり方もあると思うんですね。現実に過去においてはそういうルールがあったように思うんですが、上場申請を希望する会社は、昭和40年末頃から個人単独ではなく、いわゆる共同監査という形を採るよう指導されてきたと思います。現在ではその取扱いはなくなったらしいんですが、ああいう規制の仕方はあるだろうというふうに思います。


三原小委員長 今までの御議論を総合しますと、一定規模以上の企業に対しては、単独による監査は制限するという方向ですね。この辺は大体御異論はなかったように思うわけですが、それを何に規定するかというところで、法令がいいという御意見と、それから、協会の方はこれは自主規制でやりたいと、こういうことでございますね。
 その点についてほかに御意見はございませんか。


山浦小委員長代理 一つだけよろしいですか。


三原小委員長 はい。


山浦小委員長代理 これは全く参考までなんですけれども、今たまたま富山委員から話があった。実は、自主規制機関として、例えば証券取引所も一つの自主規制の機関であるんですね。例えば、イギリスなどではロンドン証券取引所が上場のための一つの条件として、公認会計士──向こうは公認会計士と言わないんですけれど、会計士の監査のあり方について、市場参加者に対して求めるという自主規制をかつてやっていたんですね。その規制のあり方、法律レベルで規制をする、あるいは何らかのほかの政令等で規制する、あるいは自主規制という形をとるのであれば、もしかしたらそういった市場ごとの自主規制というのも一つの方向としてあるかも分かりませんですね。これは参考までなんです。


三原小委員長 関委員、どうぞ。


関委員 今のお話ですけれども、私も今そういう考え方について、証券取引所がどういう考え方で臨んでいるか、私自身ちょっと知識がありませんし、私自身の方で運営している株式店頭市場についてもそういうルールがあったかどうかも今、頭に入ってないので、それを前提に置かせていただきますが、今こういう議論をして、要するに監査の質を高めると、それで、一定規模以上の監査対象について、個人の公認会計士に任せるのは、どんなに優秀な人であっても、品質という面から不安がある。だから、監査法人に専門的にやらせるという方向に制度として組み立てると、こういう考え方をとるのであれば、今の公認会計士法とかそういったものが個人の公認会計士と監査法人と両方認めて、そういう制度になっているわけですから、しかも公認会計士協会も両方メンバーになっている組織ですから、公認会計士協会の中でどちらかに区分けをするというよりも、そのあたりをむしろ法律面できちっと整備をした方がいいテーマじゃないかなと、私はそんなふうに思います。


三原小委員長 これは職業選択の自由に対する相当厳しい制限になるわけなので、そういう性質からいきますと、むしろ法令マターかなという感じを私は持っておりますけど、皆さんもそういうお考えをお持ちの方が多いと思います。
 協会の方も、やっぱり法令で決めてもらった方がやりやすいんじゃないかと、それを自主規制できちんと履行できるという自信がおありかどうか。むしろ法令で決めてもらった方がやりやすいと、そんなお気持ちはないですか。


奥山委員 その規模の程度にも関係すると思うんですけど、例えば、ちょうどたまたま今、信用金庫の話が出ましたけれども、これは商法特例法に準じた会社の場合ですよね。これがもし公認会計士法で一定規模以上ということになると、そういう監査はできないということになり得るわけですね。そうすると、かなり地域的な限界というのがあって、結局それじゃ東京から行くかとか、大阪から行くかとかいう厳しい状況が出てくると思うんですね。
 それで、やはり現実問題として、公開会社で会計士個人が単独でやっている会社は、私はほとんどないということで理解しています。この問題が出てきたのは、主として三田工業とかああいう異例なケースがあったことから言われてきたかと思うので、むしろそういうところを現実に対峙していくということの方が重要じゃないか。ですから、法で厳しく律していくということは本当になじむのかなというのが率直な疑問です。
 もちろん法令でやっていただければ、私どもそういう争いの中で、変な争いでなくて済みますから、それはある意味ではありがたいですけれども、しかし、本当にそういうことでなじんでいくのかなということが、実務をいろいろ見ていると疑問に思います。


三原小委員長 (1)の問題でもそうですけれども、法令でこれこそある程度抽象的な根拠を置いておいて、具体的な適用に当たっては、今言われたように実情に合った適用の仕方があるので、その辺はある程度協会の方で自主的に規制していくというやり方もあるんじゃないかなというふうに思いますけれども、大体そんなところで意見は尽きたような気がしますので、次の問題に移らせていただきたいと思います。
 (3)なんですが、今までの考え方の延長なんですが、今度、監査法人自体の交替を決めるべきじゃないか、こういう意見なんですが、これについてはどんなふうにお考えになるでしょうか。
 どうぞ。


伊藤委員 私ども公認会計士さんの立場と違って企業という立場なので、具体的に私どもですと、名前を言って恐縮なんですが、今大手のファームとずっとやっているわけですね。それで、上場子会社は、過去のいきさつがあって違うファームを使うということで、できるだけ一つに統一しないと、例えば将来の生産性と言うと恐縮なんですが、コンピュータ化をし、ネット化をするときにおいて、ファームが違うと非常にやりにくいではないかと、国内に関してはそういう感じもするわけですね。ところが、海外も含めてだんだんと企業が大きくなっていくものですから、海外もある特定のフォームに、国内の場合、結び付いていますから、私ども、具体的に言えばアーサーアンダーセンと朝日監査法人と行っている。全部をそれに海外の場合統一をしようと思っても、既に古い歴史のあるところはほかのところを使っていると、いろんな問題があるんですけど、ですから、これを一定のルールで次々と交替をしていくというのは、企業から見ると、ものすごく生産性が悪くなるし、非常に難しいという問題がありますね。ですから、問題が起これば必然的にそれは替えなきゃいけないけれども、一定のルールでやるというのは、ちょっと実際問題として、これは元に戻りますけど、前にも議論になったと思う生産性との関連において、非常に「生産効率」という言葉はよくないんですが、問題があると思いますね。そこだけちょっと。


三原小委員長 白石委員、どうぞ。


白石委員 企業側からのまた意見ですが、今の効率性という点は非常にグローバル化している企業にとっては悩ましい問題でございまして、やはりどうしても監査法人の品質レベルアップも含めて一つの監査法人にしたい、これは繰り返しになりますが、そういうふうに考えます。
 ただ、もう一つ、監査というのは、誤解があると困りますけれども、やはり会社経営者と監査法人の信頼感といいますか、信義にベースを置いているわけです。最近は経営者確認書が詳しくなるなど、そういう形式的にいろいろと仕組まれてはおりますけれども、具体的な決算数値の決定というようなことにつきましては、やはり癒着というのではなくて、本当の意味の信頼感というものがどうしても要ると思います。先ほどの7年の中にも少しそれは出てくるんですけれども、やはりそういう意味で会社と監査法人との信頼感をベースにした、そしてまた、品質あるいは独立性の確保に注意しながら、監査法人の処分によって替えなければならない場合はともかくとして、監査法人はやはり一本化といいますか、継続していただいた方がいいというふうに考えます。
 以上です。


三原小委員長 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 監査法人自体を交替するという仕組みを、前にイタリアのミラノ証券取引所に行ったときに、確かそういう仕組みがあるということは聞いたことがあるんですね。ただ、現実問題からしますと、今の主たる監査人と他の監査人と、他の監査人の監査結果を利用するという、いわば監査をするにしても、特に海外の子会社等を監査するときに、主たる監査人と他の監査人という関係でグループ全体を総合的に監査していくんですけれども、今の世界の監査業界の常識では、主たる監査人というのは、例えばメンバーファームだと、大体それは主たる監査人の中に入っているわけですね。そのように理解するのが普通だと思うんです。
 そうしますと、もしこれが制度化されるとしますと、海外の監査人も一緒に替えざるを得ないというか、要するに契約相手を例えば伊藤委員のところでアーサーアンダーセンとしますと、その相手も替えざるを得ない。全世界を替えていかなくてはだめだとなりますと、かなり効率が悪いのと、それから、もう一つは、逆に監査の品質がそれで確保されるかどうか、それについてちょっと疑問が出てくるような気がしますね。私、この問題については少々懐疑的な見解を持っております。


伊藤委員 もちろん一つの監査人、新しく企業を次々に替わる、増加していく場合、確かに全てを一つの監査ファームにしないこともそれはあり得るんですよ。例えば、あるプロジェクトをやる場合には違う監査法人を使ってやりますけれども、しかし、ベースはおっしゃるとおり、メインは監査法人と信頼関係をもって一つにしておきたい。
 ただ、私は、ちょっとこの前に申し上げたと思うんですけど、確かに日本の中ではうちの相談役などはそういう意見なんですが、やはり2社を使えないかとかいう意見もあるんですよね。客観性をあるためにおいて、その質と技術。そうするとコストがものすごく増えると、そういうことも考えて、日本だけコストアップになっても問題じゃないかということもありますけど、いずれにせよ、現状から言いますと、1社と信頼関係を持ってやっていくと。ただ、いろんなプロジェクトがありますから、そのときいろんなファームを使って、より自分のメンバーに対するプレッシャーをかけたりすることはありますね。「もっとやってくれないとほかを使いますよ」というようなことで。しかし、基本的には信頼関係で成り立たないといけないんじゃないかと思いますね。


三原小委員長 どうやら、監査法人の交替についてルール化するということについては、消極的な御意見ばかりということで、この小委員会の意見としては、そういうルールを考えるべきであるというところまではちょっと書けないような気がいたします。大体大勢は分かりましたが、要するに委員会としては特にそういうルールを決めるべきであるという御意見はないという場合に、果たしてここに書くかどうかという、そのことも含めまして、まとめのときに事務局と相談したいというふうに思います。
 それでは、1の問題はこの程度にしておきまして、2の「監査法人の内部審査及び外部審査体制のあり方」これに入りたいと思います。事務局お願いします。


福地課長補佐 それでは、読み上げます。

   2

.監査法人の内部審査及び外部審査体制のあり方

(1)

 監査法人の内部審査体制の充実・強化

マル1

 基本的考え方
 監査法人等の内部審査体制については、公認会計士協会による「品質管理基準」の制定、「品質管理レビュー制度」の導入等により、既に相当程度整備されてきているものと考えられるが、「組織としての体制整備は行われているものの有効適切に機能していない面がみられるのではないか」、「個々の品質管理レビューの結果が分からない」との指摘もある。また、中小監査法人あるいは個人事務所においては、事務所の人数等の問題から、「品質管理基準において要請されているレベルの内部審査体制を採ることが現実として困難な状況にあるのではないか」との指摘もある。
 このような状況に鑑みれば、監査法人等自らが内部審査の重要性を再認識し、審査体制の一層の充実・強化に取り組むことが必要であるとともに、公認会計士協会の適切な指導・監督等による早急な改善が必要と考えられる。

マル2

 考えられる方策


.「品質管理レビュー制度」による指導・監督
 監査法人等の内部審査体制等の充実・強化については、公認会計士協会の「品質管理レビュー制度」による品質管理基準の準拠状況のモニタリングと是正措置によって適正かつ厳正な指導・監督が行われることが必要と考えられ、公認会計士協会においては、「品質管理レビュー制度」の充実・強化のための措置を早急に講ずる必要があると考えられる。


.外部審査担当員制度の導入
 監査事務所の規模の関係などから、審査体制を必要レベルまで整備できない場合には、監査意見表明のための審査において事務所外の公認会計士又は監査法人を「審査担当員」として利用できる制度を公認会計士協会として構築するとの考えが示されているが、早急に措置を講ずる必要があると考えられる。

(2)

 監査法人等の外部審査体制の充実・強化

マル1

 基本的考え方


.レビュー結果の対外的な公表等の充実
 公認会計士協会による「品質管理レビュー制度」が導入され、監査法人等が行っている監査の品質管理状況の事後的審査が実施されているが、監査に対する事後的審査は、審査結果に基づく指導監督等を通じ監査の質的向上を図るとともに公認会計士協会の自律性について社会的信頼を得ることを目標とするものであり、審査結果に基づく指導監督については、協会内部での措置に終わらせることなくその内容等が投資家等に知らされることにより、制度を導入した意義が満たされるものであると考えられる。
 こうした観点から、公認会計士協会においては、品質管理レビュー制度の導入後間もないが、問題となった個別法人の品質管理結果を含めたレビュー結果の対外的な公表等の充実について早急に検討を行うとともに、「品質管理レビュー制度」全般の充実・強化のための措置を早急に講ずる必要がある。


.国際的レベルの事後的審査制度の確立
 わが国においては、公認会計士協会自身による事後的審査制度(品質管理レビュー)が導入されているが、米国においては、監査法人の相互の事後的審査(ピアレビュー)制度が導入されている。米国においては、上記のような観点から、ピアレビューの審査結果等が外部に公表されているなど事後的審査制度の充実・強化が図られていると考えられ、わが国においてもこれと同様の事後的審査制度の確立を検討する必要があると考えられる。

マル2

 考えられる方策


.レビュー結果の対外的な公表制度等の充実
 レビュー結果等の対外的な公表については、信頼性の維持及び透明性を確保し改善を促進するという観点から、公表内容の充実(個別事例の公表等)を早急に検討する必要があり、また、レビューによって把握された問題点及び改善措置等の具体的内容を協会員に周知することにより同様の問題の改善を促進するという観点から、レビュー結果等については、協会員への周知を制度化することが必要と考えられる。また、公認会計士協会の監査業務審査制度に基づく審査結果等についても、上記と同様の観点から、対外的な公表と他の協会員への周知を行うことが必要と考えられる。


.ピアレビュー制度の検討
 当面は、公認会計士協会の品質管理レビューによる措置状況を注視するとともに、米国のピアレビュー制度に倣って監査法人の相互の事後的審査制度を義務付けすることについても、検討を行っていく必要があるのではないか。


.レビュー結果等の行政当局に対する報告
 レビュー結果等については、公認会計士制度を担当する行政当局への報告を義務付けることにより、行政当局においても監査法人等の内部審査体制に係る指導等の強化が図られると考えられる。


.監査概要書による審査の強化
 現行の公認会計士監査を審査あるいはチェックする制度として、証券取引法における監査については監査概要書の大蔵省に対する提出が求められており、また、商法特例法における監査については監査役が会計監査の方法とその結果を審査する体制が採られているが、関係行政当局においてこの審査制度に関して実効性を高めるための検討が行われることが望ましいとの指摘がある。
 このうち、証券取引法における監査概要書については、大蔵省において有価証券報告書等の審査に係る情報として活用されているが、審査の充実・強化に資するよう監査の実施状況がより適切に把握できるように監査概要書の記載内容(品質管理レビューの結果等)の改善を図ることが考えられる。


 以上でございます。


三原小委員長 どうもありがとうございました。
 これも一つ一つ分けて議論していきたいと思います。
 最初に(1)の「監査法人の内部審査体制の充実・強化」これについての基本的考え方あるいは考えられる方策について御意見をお伺いしたいと思います。


奥山委員 では、一つ意見を言わせてください、


三原小委員長 はい、奥山委員、どうぞ。


奥山委員 これは法の改正というよりも、会計士協会あるいは監査人の方が品質管理レビュー制度をきちっと導入して、それの充実・強化ということをうたっているという部分に思われます。私どもとしてもその品質管理レビュー制度をやっと1年が回ったところで、今1年目の総括に至っているわけですけれども、これについては十分充実・強化ということで前向きに対処していくということで今進んでおります。
 それから、ロの外部審査担当員制度も、具体的に今公開草案で5月末に出しますけれども、7月までに意見をいただいて、9月にこれを制度化するということで今進めております。そのことをちょっと申し上げたいと思います。


三原小委員長 協会でおやりになっている品質管理レビューなんですけど、これは確か定期的に全国の監査法人を何年かに1回全部見るような形で審査して回る、こういう形だったと記憶しているんですね。何か問題があったときにそこへ行ってやるというのではないと、そういうことですよね。


奥山委員 はい。


三原小委員長 それで、この「たたき台」にもいろいろ出てくるんですが、「充実・強化を図るべきである」という表現があるんですけれども、協会としては今もさらに充実・強化を図っていきたいというお話なんです。おやりになって、何が足りなくて、その辺は今後充実・強化の対象として考えていきたいというようなものがあるんでしょうか。


奥山委員 既に1年の経験で二つございます。
 一つは、大監査法人にも共通する問題で、まだこれは結論が出ていない。アメリカ等のビッグ・ファイブの品質管理のポジションの方からも、日本のレビュー制度は相当きついと、逆に質が高いというふうに言われているんですけれども、リスク・アプローチと称して、今の監査基準、監査準則になっていますけれども、協会でも監査基準委員会報告書を作って具体的に適用するようにやっているんですが、これを実務でどの程度、どのように行っているかということについて、なかなかまだうまく適用されてないんじゃないかという、意見が出てきています。
 それから、中小規模、特に小規模については、先ほど申し上げたようにレビュー審査制度がないという問題と、それから、今言った大規模監査法人のリスク・アプローチの問題以前に、リスク・アプローチを具体的にどういうふうにやっていいか分からない。つまり監査基準委員会報告書はある、しかし、それを実務でどういうふうにやるかというときのつなぎがいまひとつ弱いということで、そういうことについての弱点が出ております。これについては、いわゆるリスク・アプローチを具体的にどういうふうにやるのかということについてのガイドラインとして、監査基準委員会報告書と実務の間に何か作る必要があるんじゃないかということで、これはもう既にその作る作業に入っておりますけれども、そういうことで具体的な問題点とそれの対応策というものが既に浮かび上がってきているという状況であります。


三原小委員長 何かこれについて。
 山浦委員、どうぞ。


山浦小委員長代理 一つ、リスク・アプローチについては、確かにそうなんですね。現場での徹底というのが随分差がありまして、それで、明確な指針、協会としてはお作りになっているんですけれども、それが十分に作業現場まで行き着いていないというか、それはある意味では、監査基準設定に当たっての不徹底さがもしかしたらあったかも分かりませんので、それについては第二部会等で今検討するということで、その論点の一つには上げております。
 それと、もう一つの問題。実は、これが内部審査制度の一つなのか、あるいは外部審査制度の一つなのかが分からないんですけど、要するに中小・個人レベルの監査の品質管理の問題ですね。これはある意味では内部的な対応の問題でもあるんでしょうけれども、現実は内部的に品質管理をするためのいわば制度を設けられない。そうすると、全くそれは外部の話になってくるかというと、そうでもないんじゃないか。つまり、個人あるいは中小の場合には、例えば、監査報告書を書く前のいわば内部的な問題の内部的な業務の範囲で、ほかのレビューを受けるとか、ほかの監査人なり監査法人のレビューを受けるなり、そういう仕組みというのもある意味では考えられるんじゃないかと思うんですね。
 ですから、ここで大見出しの2が「監査法人の内部審査及び外部審査体制のあり方」というんですけれども、ここを監査法人という形で限定しないで、監査人一般の問題として、そして、あえて言えば、もう一つ中小ないし個人の監査の場合の内部審査体制、それから外部審査体制、これをここに書き加えていただけたら、もう少し全体の問題がはっきりするんじゃないかと思うんです。


三原小委員長 宮島委員、どうぞ。


宮島委員 今の山浦委員のところとちょうど同じだと思うんですけれども、4ページ目のロでしょうか、これの位置づけが、どうも監査が分からないものですから、内部監査なのか、外部監査の問題なのかというのは、今山浦先生がおっしゃってくださった、そういう理解をすればよろしいんでしょうか。


山浦小委員長代理 と思うんです。


三原小委員長 ちょっと私も同様な疑問を持ったんですが、言わんとしていることは、ロで言っている「外部審査担当員制度の導入」というのは、言うならば監査法人の内部監査的なレベルのことを外部の人にやってもらう。それから、(2)で言う監査法人の外部審査体制というのは、これはまた別の外部審査の人がやる。ちょっと審査の内容とかレベルが違うので上の方に書いたのかなというふうに思ったんですが、どんなものでしょうか。


富山委員 1番目の問題は、山浦先生がおっしゃるように、監査法人ではなく、中小監査事務所の内部審査体制の充実・強化というテーマだと思っています。
 2番目の問題は、監査法人外からの審査という意味ですから、これはこれでよろしいかと思います。
 それから、「品質管理基準の充実・強化」といろいろなところで書いておりますが、制度ができたばかりなので、現在は大手監査法人については、3年間に1回、個別の事例をも含めた審査を受けていますが、中小事務所はまだ制度だけをチェックしている段階で、個別的な中身は見ておりません。3年後から個別の事例も対象にするということで、そういう意味では、まだ全面的には適用されていないという状況です。
 ここでいろいろ問題事項が発見された場合、どういうペナルティーがつくかということが必ずしも明確に解決されてないので、その辺を明確にしていきたい。要は強制させる仕組みにしていかないと、本当のモニタリングという形はとれないということで、そういう意味で充実・強化というふうに言っています。


三原小委員長 関委員、どうぞ。


関委員 今皆さんが議論されている4ページのロのところなんですけれども、この書かれていること、あるいはそういうことが必要だということに異論ないんですが、ここで行おうとしている、別の監査法人が小法人か、そういったものについて審査担当員を派遣して行うという仕事は、先ほど私の質問との関連で出てきた競業禁止という関係はどういうふうな整理にこれはなるんでしょうか。


富山委員 監査法人と書かれていますが、イメージ的には監査法人をリタイアした方々が中心になるかというふうに見ています。監査法人の中から社員等を派遣して審査させることも、相手の要望があれば考えられます。その場合、監査するわけではなくて、相手の調書をレビューして、いいかどうかを判断するだけで、監査ではありませんから、競業には当たらないというふうに考えています。


三原小委員長 ほかにいかがですか。
 どうぞ。


新原東証監理官 事務局の私が聞いてまた恐縮なんですけれども、(2)の方には「レビュー結果の対外的な公表制度等の充実」というふうに、外に結果を発表するというのがあるんですが、この(1)の方にも品質管理レビュー制度というのが書いてあるんですけれども、こちらの方でレビューの結果もそうですが、例えば、どんな審査体制なのかということを表に出すとか、そういうふうなディスクロージャーで補完するというようなことは協会は考えておられないんでしょうか。


富山委員 現在の制度では、全ての個別事務所の状況を外部にディスクローズすることは考えておりません。アメリカの制度では、かなり具体的な事実が公表されますので、次のステップとしては、そこへもっていく、それが充実・強化というテーマの一つだというふうに思っています。
 アメリカはそうですが、カナダでは外部には公表していないんですね。国によって仕組みに違いがありますので、その辺を十分に研究した上で、基本的には強制力を持ってやるということであれば、最後は外部へのディスクローズという形を考えざるを得ないと思います。
 現状でのディスクローズとしては、業界外の人を中心とした審査会が設けられており、そこで検討された事項を総括的に外部へディスクローズすることは考えています。個別事務所の状況をディスクローズすることは、現段階では全く予定していません。


三原小委員長 (1)の方はとにかく、まだ発足して間もないということで、いろいろ足りないところがあるので、協会としても大いに今後ともその周知徹底を図る。そして充実・強化を図っていくという姿勢、方向を示しておられるわけなんです。これ自体は余り御異論はないんじゃないかと思いますね。
 今のロのところをどういうふうに書くか、その位置づけのところだけ工夫してもらうというようなところでいかがかと思います。
 それで、(2)の「監査法人等の外部審査体制の充実・強化」こちらの方に入りたいと思うんですが、こちらの方はいかがでしょうか。


富山委員 ちょっとよろしいでしょうか。


三原小委員長 はい、富山委員、どうぞ。


富山委員 アメリカのピア・レビュー制度と現在の日本の品質管理レビュー制度を比較して、違うというふうに言われていますが、アメリカの場合は法人対法人、ファーム・オン・ファームという言い方をしていますが、そういう仕組みでやっているというふうに言われましたが、基本的にそうじゃないんですね。
 アメリカの場合も大手法人はファーム・オン・ファームでそれぞれ相互にやっていますけど、それ以外の中小の事務所は、会計士協会が用意した審査員たちがレビューするという形をとっていますから、この部分は日本の仕組みと似ています。すなわち、アメリカはそういう点で二本立てになっております。
 カナダの場合は、会計士協会が用意した審査員がレビューをやっていますから、日本と同じです。
 なぜ、アメリカではファーム・オン・ファームの方式をとったかということですが、この前もお話ししましたように、まず、SECは自分たちで品質管理レビューをしたいと考えたわけですが、それに対して会計士協会としては、自主規制でやっていきたいというふうに考えた訳です。会計士協会が自主規制でやるんなら、そこに人を集めてやらせようかという話が出て、これに対してもアメリカの風土からすると、基本的に公の立場の者がレビューするという形なので、これも嫌だということで、結局、ファーム・オン・ファームという形を採ったということなんです。大手ファームは全部その方式を採り、結果として残された事務所については会計士協会が面倒を見てレビューさせるという形を採用しただけであって、日本の場合と実質的な意味での差はないというふうに考えています。
 アメリカと日本との制度では、個別事務所について外部に公表するかしないかという仕組みに差があります。やっと去年から導入したばかりなので、現在は経過的にそういう状況ですが、将来的には外部への公表ということを含めて制度改革を検討をせざるを得ないのではないかとは考えております。


三原小委員長 その点、これからもひとつ頑張ってくださいということで。


大藤大臣官房参事官 よろしいでしょうか。


三原小委員長 はい。


大藤大臣官房参事官 事務局から申しますと、個別事案の個別の結果、個別のまさにチェック、審査の中身を公表するかどうかというのが、これの本当の有効性をはかるという意味でのポイントだというふうに考えるわけです。


富山委員 アメリカではそういうことはやっておりません。審査した結果、この事務所は品質管理がちゃんとできていないという意見は出ますが。


大藤大臣官房参事官 少なくとも公表という意味で、第三者ということでなくても、例えば、有価証券報告書の審査をしているところにはそれが伝わる。それは当然SECには伝わっているんだと思うんですが、そういう何か個別のものが伝わるというプレッシャーがないと、大数的な統計みたいなものが出ても、恐らく品質管理というものにつながっていかないんじゃないかという感じがしております。ですから、そこをまさにポイントではないかということで御議論いただきたいと思います。
 それから、よく日本の場合は導入して間もないというようなことがあるわけですが、まさにレジェンド問題で日本の監査の特異性とかというようなことが指摘されているときに、もう時間的猶予がない話だろうと思いますので、そこは、まさにやるんだったら、早目に導入していかないといけないのではないという問題意識がございます。


三原小委員長 今のは(2)の外部審査体制の話ですが、マル1の問題ということですね。


大藤大臣官房参事官 そうです。


三原小委員長 ちょっとそれでお伺いしたいんですけど、事務局で用意した文章で「問題となった個別法人の品質管理結果を含めた」云々という言葉が入っておりますけれども、先ほど私がお伺いした品質管理レビューというのは、問題があったところへ行くというんじゃなくて、定期的に見て回るということで、問題があったことについて見るのは、また別の業務審査委員会というのがありますね。そちらの方でやるんだろうと思うんですが、ちょっとこの文章の趣旨をお伺いしたいんです。


福地課長補佐 よろしいですか。


三原小委員長 はい、お願いします。


福地課長補佐 4ページのところで「問題となった個別法人の品質管理結果を含めた」と入れてある趣旨は、現在は1巡目ということで、法人の内部審査体制をチェックされている。それで、今後個別のものに移られるのかと思いますけれども、その中で内部審査体制にレビューの結果問題があった監査法人が仮に把握された場合には、その問題となった個別監査法人について公表するということも考えられるのではなかろうか。ですから、計数的な問題が何件やってあったということのみならず、そういった点も含めた検討が必要ではないかという構成でございます。


大藤大臣官房参事官 ここの表現が不適切かも分かりませんが、「問題となった」というのは、問題があるということで入ったということでなくて、いずれにしても、入ったレビューで問題が見つけられたというか、という趣旨でございます。恐縮でございます。


富山委員 現在大手法人については個別の会社の監査の実施状況もチェックしているし、制度のチェックもしています。そのチェックをした結果、どこかに問題がある場合、例えば、個別の会社の監査の実施状況を見ていて、不適切な監査をしていることを発見したら、品質管理上の問題が、どの辺にあるという結論が出されます。そういう意味で、アメリカの場合には、そういう結果を外部に公表しています。日本でも将来はやらざるを得ないと思っておりますが、その場合でも問題があるというのは、結果として品質管理上の問題が見つかったという意味で理解すべきだと思います。


三原小委員長 趣旨はそういうことで分かりましたけど、そうすると、かなりこれは影響ありますね。品質管理レビューした後で、したときに何か問題が見つかったと、それは単に計数的な発表だけじゃなくて、どこの監査法人について、こういう問題があったというようなことをやるのが、この趣旨を徹底するゆえんじゃないかということなんですが……。


富山委員 現在は何もしてないように聞こえますが、問題が見つかった場合は改善命令が出されますから、それを例えば半年間で改善するという努力をしなければいけないんです。改善をしない場合は、いろいろなペナルティーがつきます。現在は外部に公表してないだけであって、中では改善させるという作業をやらせていますから、解決させる方向で考えています。


三原小委員長 白石委員、どうぞ。


白石委員 そのあたりをちょっとお願いしたいと思ったんですが、4ページ一番下に、「考えられる方策」イとして、「レビュー結果の対外的な公表制度等の充実」とありますが、ちょっとお読みいただきまして、2行目に「公表内容の充実(個別事例の公表等)を早急に検討する必要があり、また、レビューによって把握された問題点及び改善措置等の具体的内容を協会員に周知する」。どうもディスクローズするのが対外に対して発表するのと協会員への徹底とあって、そこに今危惧されるように単なる統計的なものが対外公表で改善措置命令が協会員と、こうなりますと、ちょっとどうかなというふうに思いますので、そこら辺の整理が大事じゃないかというふうに思います。


三原小委員長 関委員。


関委員 私も今同じようなところを見ていたんですが、先ほど大藤参事官からの問題提起があった、個別の問題について触れて、問題があるケースを公表していくということをすることは非常に意味があると思うんですけれども、ほかのピアレビューであれ、監査業務の監査制度であれ、ある監査法人とそれをまたチェックする監査法人との関係というのはもちろん発生するわけですけど、最初の監査法人の裏にはクライアントの法人がいるわけですね。こういう制度を導入するときには、初めから、最初の監査契約には別の法人が監査をして、場合によってはその結果が公表されるよとか、そういうことが監査の対象になる法人も受忍するような、そういう法律関係というのはできているんでしょうか。そこのところはどういうふうに構成すればいいのか。アメリカに例があるわけですから、何かやっているんだと思いますけれども、今どんなふうになっているんでしょうか。


三原小委員長 では、お願いします。


富山委員 今、監査法人が監査法人をとおっしゃいましたが、現在の制度は監査法人を会計士協会がレビューするという形をとっております。


三原小委員長 今問題になっているのは、そういうことですね。


富山委員 それから、協会では監査契約書のひな型を公表しておりますが、その中で秘密漏洩の禁止規定の解除といいますか、調書を見せていい事例の一つとして、会計士協会による品質管理レビューの場合には調書を見せることがありますということを入れており、そういうことで周知を図っております。


関委員 要するにクライアントとの関係は問題ないということですね。


三原小委員長 ただ、その結果を公表するところまでは入ってないんですね。


富山委員 先ほどから言っておりますけど、アメリカの制度でも、個別企業の監査がおかしかったという事実は公表しません。この事務所は監査の品質管理の面でこういう問題ありますよということは公表しますけれど、個別事例について外部に公表することは一切ないんです。


大藤大臣官房参事官 事務局として必ずしもそこは整理が十分じゃないと思うんですが、結局、レビューをして分る事実というのはいろいろあると思うんです。そのいろいろある事実で、対外的公表になじむものもあれば、あるいは個別性が高くて出せないというようなものがあると思うので、そこら辺が必ずしも整理できておりませんけれども、いずれにしても、対外的な公表ということも含めて考えていかないと、折角レビューをやったものが本当に監査の充実というか、評価と、それをまた国際的にアピールしていかなければいけない状況なものですから、やはり対外的な公表ということも含めて御議論いただければと思っております。


三原小委員長 岸田委員、どうぞ。


岸田委員 ちょっと素人の質問で申し訳ないんですけど、このレビューというのはどういうことなんでしょう。先ほどお話にあったのは、監査ではない、審査だと。事後的審査だということをおっしゃったんですが、それは例えば、監査についてのマニュアルどおり手続に従ってやったかどうかということ、つまり形式的なものであって、実際に例えば商法を見て、これが不良債権なのに不良債権でないという結論出したからけしからんと、そういうことはやらないんでしょうか。


富山委員 実際の監査のやり方を説明させていただきますと、現場では大勢のメンバーでやりますから、仕事を分担してやります。スタッフがやった作業は上司が調書をレビューし、問題点があれば、これをこう直せ、これをもっと追加しなさいという指示を出します。それが全部終わったところで、マネジャーが調書を全部レビューして、それをパートナーがさらにレビューし、そこで監査が完結するわけですね。そういう意味でレビューというのは「査閲」と言っていますが、人のやった仕事を後で見ることをいいます。そこで監査は終わりのはずなのですが、今度は会計士協会が人を送って、調書をレビューし、ちゃんと手続どおりやっているか、審査を受けているかどうかを含めて、別にレビューをするということです。


岸田委員 ということは、実質的な審査では、例えば、ある不良債権であるべきものを不良債権でないような処理したことを言うのでなくて、やっぱり形式的な審査が中心だということですか。


富山委員 はい。ただ、形式的だとは言えますが、事実関係は全部明確になりますから、調書にうそを書いていれば別ですが、調書に従えば、本来はこういう結論が出るはずだということは十分あり得ると思います。


岸田委員 先ほど対外的には公表しないのが原則だと、それはそれでよろしいかと思うんですが、クライアントはそれについては利害関係を持っているわけですから、おたくが頼んだ監査法人はこういう悪いことをしましたよとか、よくなかったというようなことをこれは職権でやらすと思うので、少なくともそこには公表してもよろしいのではないかと思うんです。それは問題ないでしょうか。一般的な意見で結構ですので。


三原小委員長 どうぞ。


富山委員 検討はしますが、クライアントに直接公表するということは考えられません。公表するということになれば、その事実はクライアントに伝わるはずですから、この結果、監査法人と契約を切るという話になるんだろうと思うんですね。そういう意味での効果はあるかもしれません。


三原小委員長 では、関委員、どうぞ。


関委員 先ほど私が正確に理解してないのかもしれませんが、先ほどのいろいろな事後審査について、アメリカの例で、アメリカでは大手対大手というのはやっているというお話でしたね。


富山委員 はい。


関委員 大手法人については交互にやると。


富山委員 やっています。


関委員 それが4ページのマル1のロであって、それをマル2で受けて、公表の話をしているわけですから、当然法人間の問題があり、全て公認会計士協会の問題ではないんだろうと思うんですね。監査法人と監査法人の間で問題があって、これは先ほど三原小委員長がおっしゃいましたけど、5ページの一番上の3行目のところに、「また、公認会計士協会の監査業務審査制度に基づく審査結果等についても、」とこうなっているわけですから、ここでは二つのことを議論しているんだと思うんですね。監査法人対監査法人で結果としてまずいところがあったら、どういう公表するかということと公認会計士協会の問題と二つ出ているんではないでしょうか。


富山委員 ちょっと誤解があるようですが、日本の制度はあくまで会計士協会対監査法人です。


関委員 これはそうは読めないですね。


富山委員 現実はそうなんです。この文章は別にしまして。


関委員 先ほどからの議論も私はそういう問題として問題提起があって議論しているんです。


三原小委員長 ロにピアレビューの話が出てきますよね。これはまさに監査法人対監査法人。それがいいかどうかというのは、また別の議論じゃないですか。


大藤大臣官房参事官 ちょっと事務局から御説明させていただきますと、日本の場合、あくまでもピアレビュー制度というのは導入されていないで、現在公認会計士協会による制度でございます。公認会計士協会による制度でございますので、ダイレクトに公表をどうするかというのを御議論いただきたい。
 それから、ピアレビュー制度は、これはまだ導入しておりませんので、まず導入することが考えられるかどうかを御検討いただきたいということです。


富山委員 ピアレビュー制度は、アメリカではファーム・オン・ファームと協会で斡旋してやっているレビューの双方を称して、ピアレビュー制度と言っています。ファーム・オン・ファームだけがピアレビューではないんですよ。


大藤大臣官房参事官 ここで言うのはファーム・オン・ファームと、そこはちょっと不正確であれば直しますけれども、監査法人が監査法人を見るという意味での制度というのも日本で考えられるかどうかというのは、論点として一応ロとして上げているということでございます。


三原小委員長 奥山委員、どうぞ。


奥山委員 公表制度のことについて、私ども今非常に悩んでいる考え方を言わせてもらいます。
 今6人の協会の品質管理レビュー制度のレビューアーがいまして、各監査法人を回って、これは相当のトラブルがありながらも、よくやっていると思います。内容的にはいろいろな点が出てきておりまして、やはり実質相当の改善に役立つというふうに私どもも理解しているんですけれども、これをどの程度、どういう形で外部に公表したらいいかということについて、いわば初年度の成果ですから、大変な迷いがあります。つまり2年たつと中小法人、大手監査法人みんな終わるんですけれども、今その1年目ということですが、その中でどの程度個別事案を出す必要があるのか。あるいは個別事案を出すとしても、個々の名前を言う必要があるのか。あるいは個々の名前を言うと、場合によっては企業の名前も出す必要があるのか。どの段階のレベルでいったらいいのかという、迷いがあるわけですね。
 それで、私どもとしては、実は6月に品質管理審議会、外部からの方の審議会を予定しておりまして、そこで率直に協会で今レビューの1年間の成果というのはこういうものだと、これをどの程度本当に公表したらいいんだろうかということを相談するつもりでおります。その相談をして、ここまで出した方がいいよという成果を受けて外部に公表したいと思っておりまして、ただ、私はどうも、今の段階で、本当にこの監査事務所はこういう問題があるということの固有名詞をあえて出すのがいいのかどうか、非常にそこは疑問を感じております。
 ですから、統計的な概括ということで足りるのかというお話もありましたけれども、そこはもうちょっといろんな出し方があるとは思いますけれども、しかし、固有名詞を出して現段階で言うことがいいのかどうか、ここはもうちょっと慎重に考えた方がいいのではないかと、こんなことを思っております。


三原小委員長 その辺は6月に集まって議論しようということなんでしょうけど、協会としてのお考えはそれとして、そういったものを公表した方がいいかというのは、我々委員会としての考え、これはまたここで議論しなきゃいけないと思っているんですけど、では、富山委員、どうぞ。


富山委員 先程の公表する、しないという議論は、次の制度としてどう考えるかということを言っているだけでありまして、今年のレビューの結果を今すぐ公表しようという話とは基本的になじまないと思うんですよ。
 公表しないという前提でこの3年間やろうというふうに動いていますから、4年後以降にそういう制度に持っていこうという議論でなければいけないと思うんです。


三原小委員長 実は、ちょっと議論がごちゃごちゃになってやりにくいと思ったのは、協会による審査ですね。今の品質管理レビューもやっていますけれども、それと今度、業務審査制度というのがありますよね。これはもっと個別に問題になった事案について協会としてどうかということをチェックしている。それから、さらに高いレベルは、綱紀委員会というのがありますね。ここでまさに懲戒に値するかどうかを審査している。そういう三つの段階の審査があるのに対して、全て一括して、これは公表するかどうかという議論は、ちょっとなじむのかなという疑問があるんですよ。非常に公表の要請が強いのは、私から言わせれば、綱紀委員会あるいは業務審査委員会、この辺は世間で非常に関心が強いことに対して、あの結果はどうなったんだということを知りたいという要請は相当強いと思うんです。
 しかし、今の品質管理レビューについては、段階としては一番下の段階になる。それでも皆さんが公表すべきだという御意見があれば、それはそれで結構なんですけど、一緒に議論しない方がしやすいかなという気もしているんですね。
 実はあと5分しか時間がないので、その辺は事務局の方で、次回、文章をもう一回整理して、議論しやすいように、要するに三つの段階がある。それぞれについて議論できるようなことにしたいと思います。


大藤大臣官房参事官 今御指摘のように三つの段階がございますし、また、公表が持っている意味というのも違うと思うんですね。


三原小委員長 そうなんです。


大藤大臣官房参事官 例えば、協会のレビューで内部審査体制が整っていないというところは、有価証券の審査とか、そういうところには恐らく有効な情報になり得るんでしょうし、企業の方はそういうのはむしろ情報として知りたいということでございましょうし、それから、また、綱紀委員会等々で公表が求められているというのは、また別の意味もあると思いますので、そこら辺は整理させていただきたいと思います。


三原小委員長 それで、若干時間があるので、ついでにこのロの国際的レベルの事後的審査、つまり外国の例に倣って、監査法人対監査法人の意味のピアレビュー、これが我が国においても望ましいかどうかというところ。この辺は余り導入について積極的な御意見は今までなかったように思うんですが、その点についていかがでしょうか。これは入れた方がいいという御意見はありますか。それとも、これはちょっと日本ではなじまないというか、時期尚早ではないかという御意見の方が強ければ、その辺はこの次は割愛したいというふうに思うんですが……。


伊藤委員 私、個人的な意見なんですが、例えば、レジェンドクローズの一番最初の問題で、これは企業会計審議会の方でもお話が出ましたけれども、つまりゼネコンだとか、金融機関の方がいて恐縮なんですけれども、そういうところが適切なという表現が出て、それが後でひっくり返ってしまったと、やっぱり非常に問題が多いじゃないかと。この前もそごうのそういう問題があった。こういうのがアメリカとか、あるいは日本の審査制度が少し問題じゃないか。審査制度というか、要するに監査が問題ではないかというふうに言われてないかという感じもしないではないんですが、そうすると、我々から見ると大変迷惑な話でもあるし、恐らくやっておられるファームの方々にとってみても、大変問題があるということに関して、一部のところだけど、非常に大きな問題がある。こういうのがなくなるようにするにはどうすればいいかということについて、それにこれが役に立つかどうか知りませんけど、何らかの対応策が後から出てくるのかどうか知りませんけど、それについてのことは何か触れてくるんでしょうね。ここでこういうことを言うのはおかしいんですが、それが全くないということであれば、何らかの措置をしないといかんのではないかという感じがしないでもないんです。
 以上です。


三原小委員長 いかがでしょうか。大体この辺で議論を一応区切らせていただいて、今私がお願いしたような形でもう一回整理をしていただいて、次回、そこから議論をまた始めたいと、こんなふうに考えております。


山浦小委員長代理 一つだけ。


三原小委員長 どうぞ。


山浦小委員長代理 こういう審査体制、品質管理、要するに個々の業務、それから業界全体、これら全て品質管理の話ですね。その品質管理というのは、やはり何らかの形でのディスクロージャーが伴ってうまく機能すると思うんです。ですから、これは現時点では導入時点ですので、まだ試運転的なところがありますけれども、恐らく何かの形の、どこまでと今の段階で言えないかも分かりませんけれども、ディスクロージャーと常にドッキングさせながら、この仕組みを充実・強化させていくという、この基本姿勢は絶対必要だと思うんですね。
 その上で、一つだけ個別事例で恐縮なんですけれども、この前、大和銀行の問題で、いわゆる「厳重注意」ということになったんですけれども、あれは具体的にはどういう中身なんでしょうか。というのは、「厳重注意」ということは、例えば、業務改善命令とか、協会内部での具体的な措置を伴っているのか、あるいは単に注意だけなのか、その点、ちょっとだけお教えいただきたいと思います。恐縮なんですけど。


奥山委員 余り外に言わないことになっているんですけれども、「厳重注意」といいますのは、具体的にこういうふうな問題点があるということを指摘して、しかし、それは協会で言えばその上は戒告或いは会員権停止ですけれども、そこまでは至らないけれども、こういう問題点があるので、厳重に注意するという指摘なんですね。ですから、個々の具体的な問題点について、当然それは改善するという約束を向こうがするという前提に成り立っています。あとは、品質管理レビューの方に内容的な話はいきますから、そこで新たな委員会を作って、それをフォローアップしていくという形ではありません。


山浦小委員長代理 それを注意されるときには、具体的に問題点の指摘はされているわけですね。


奥山委員 おっしゃるとおりです。協会の会長のところへその事務所の責任者が来まして、その具体的な問題点のペーパーを渡して、そして厳重に注意すると、こういうことです。


三原小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、予定の時刻が参りましたので、本日の会合はこの辺で終了させていただきたいと思います。
 本日いただきました御意見等につきましては、整理させていただき、当小委員会としての「審議結果のとりまとめ」に反映させてまいりたいと思います。
 次回は、本日やり残したテーマに加えまして、当小委員会の二つ目、三つ目の検討テーマであります「公認会計士の質の充実について」「環境の変化に適合した監査法人制度及び業務範囲等のあり方」につきまして、今回と同様に事務局の方で整理していただいた「たたき台」に基づきまして、より深い審議を行ってまいりたいと考えております。
 なお、次回会合は5月29日(月曜日)の午後3時から5時まで、隣の第四特別会議室で開催させていただきたいと思いますので、御出席くださいますようよろしくお願いいたします。
 また、皆様の席上に第5回会合の議事録(未定稿)をお配りさせていただいております。御覧いただきまして、お気づきの点がございましたら、お手数ですが、次回会合までに事務局までお知らせくださるようお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、本日の小委員会を終了いたします。
 ありがとうございました。

午後3時32分閉会

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