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柳澤金融担当大臣記者会見の概要

(特別検査の結果について)

(平成14年4月12日(金)16時45分~17時43分)

【冒頭大臣より】

今日はずっとこのところ行ってきました、主要行に対する特別検査の結果がまとまりましたので、皆さんにわざわざお集まりをいただいて、私から発表させていただくことになりました。

今も申しましたように、金融庁は主要行に対しまして市場のシグナル、企業業績等をタイムリーに反映した債務者区分、あるいは償却・引当というようなことをきちっとやってもらうということを目的としまして、市場の評価に著しい変化が生じている等の債務者、これはずっと言って来たわけですが、そういう債務者に着目した特別検査を実施いたしました。

検査と申しましても、これは銀行が自己査定をしたものを対象にして、それの適正さをチェックするというような意味の検査ではなく、決算を前提に自己査定の作業をしているところに参加しまして、そして外部監査人、これは監査法人ですけれども、そういうような方々と3者で協議をして、今言ったように市場のシグナルというものがしっかりと反映した債務者区分になるには一体どういう債務者区分がいいかと、こういうようなことを共同作業的に検証をして行く、こういう検査であったこと、これはもう皆さん、度々申し上げたのでご承知のことですが確認的に申し上げておきます。

そういう意味での特別検査の概要を改めて申しますと、対象行は今申したように主要行13行、そこに書いてある通りです。それから日程を申しますと、あの当時のことを思い出していただくと分かりますが、10月にどうしても始めようということで、10月29日に検査の予告というものをやりました。予告というのは検査の開始通知というふうに考えていただいて結構です。そして13年内に一渡り問題提起をしたり議論をしたりしまして、そして年が改まって1月から3月の自己査定という作業に、先程言ったように共同参加したと、こういうことでございます。その検査結果通知は昨日4月11日にこれを行ったということでございます。

検査内容は今私が申し上げた通りのことが要点として書いてあります。結果はどうだったかということですが、皆さんのお手元に配布した資料に記させていただきましたように、検証債務者というか対象債務者は149先、これは主としてメイン行についてやったわけですが、149先。そして債権の与信額で言うとほぼ13兆円、12.9兆円という数字であります。債務者区分が、正常先が要注意先になったり、要注意先が要管理先になったりするということを、これは検査マニュアルで「遷移」と言います。両方とも「うつる」という漢字ですね、移って行くと。だから上位に遷移する場合もあるし、下位に遷移する場合もあるわけですけれども、ここでは下位に遷移した債務者の数、それと与信額を書かせていただきますと71先、与信額にして7.5兆円と、こういうことになりました。それから、下位に遷移した内で破綻懸念先以下になってしまったというものが71先の内34先、3.7兆円に上りましたと、こういうことであります。

今申したそれぞれのところに4業種というものを、言わば内書きさせていただきましたけれども、4業種は建設業、不動産業、卸小売業、その他金融業、いわゆるノンバンクの4業種を指しますが、それは検査対象としては98先、それからその内下位に行ったものが47先、そして破綻懸念先以下になったものは26先ということでございます。それぞれ与信額についても書かれておりますけれども、非常に大きな部分を占めているということがそこに書かれているわけであります。特に最後の不良債権処分損というものを見ていただきますと、処分損全体は1.9兆円、これは処分損というのは償却による損、それから引当増の損、こういうものをトータルしたものを申しますけれども、それが1.9兆円、内4業種は1.7兆円と、こういうことになっていますということです。

そして次のページに債務者区分の遷移の状況を書いてございます。ここでもう一度ちょっと確認的に申しますと、これは査定の増減ではなくて、あるいは検査による査定の変更ということではなくて、13年9月期と14年3月期を比較していると、だから遷移ということになるんだということをこの前提にお読み取りをいただければと思います。これはいろいろな見方が皆さん可能だと思いますので、また後刻それぞれご検討いただければよろしい、検討のためにこういうものもはっきりさせておこうと、こういうことで皆さんに資料を差し上げました。概要は1ページ目で申し上げた通りでございますので、これはまた検討の資料にしていただければと、こういうように思います。

次の資料ですけれども、このような特別検査を含んで、14年3月期の財務内容が大手行においてどうなるかということをトータルした集計の数字が次のページに載っております。1ページ目はその概要をそういうように簡潔な文章の形にしておりますのでお読み取りいただきたいのですが、これは本日、対象になった主要行でそれぞれ公表した物を私共のところで集計した表ということでご覧をいただきたいと思います。もちろん、各行の正式な決算というのは5月の半ば以降においてなされるわけでありますので、今日の段階においては言わば概数ということになっております。それによりますと、まず業務純益ですけれども、そこに実質業務純益ということで一般貸倒引当金をプラスした業務純益が出ておりますけれども、4兆円という数字が載っております。これは昨年9月の時に、9月期の中間決算の発表時に3月期の見通しというものを言っておりますが、それとの比較で1ページ目は全ての数字についてコメントをいたしております。ここはそこをお読みになれば分かりますから、あえて申し上げません。

それに対して、通常の業務による利益に対して不良債権の処分損が7.8兆円になりましたということです。この点は皆さんご記憶でしょうけれども、6.4兆円という見通しが9月期の決算について11月の頃に見通しとして私共も申しておったわけですが、それがほぼ1.4兆円増額になったと、こういうことでございます。

なお、7.8兆円の処分損と申しましたけれども、その内で東海銀行の分については合併差益でもって今度の決算では償却をされます。これは1月15日に合併をしておりますので、この合併差益でもって7.8兆円の内、そこにある7,000億円近いものが償却されますので、今度の決算では7.1兆円という形式で数字が発表されるということですが、実質は7.8兆円と、こういうことでございます。経常利益は4.9兆円、当期利益は3.4兆円というマイナス、両方とも赤字でございます。加えまして有価証券ですけれども、減損で1.5兆円、それから評価損という形で1.4兆円と、こういうことで概数がまとまっているという報告であります。

その結果、こういうことの結果、自己資本比率というのは各行別にそこにございますように大体8%台から10%台ということで、13行平均では10%台半ばという結果になりましたということでございます。9月期のこの見通しに比べますと1%くらいの自己資本比率の低下が、先程申したような不良債権の処分損が増額したということの結果、自己資本比率にそういう厳しい結果が出ていると表現されているということでございます。

それから3つ目の資料をご覧いただきたいのですが、「より強固な金融システムの構築に向けた施策」ということでございます。これが二部に分かれていまして、一部の方は、こういう特別検査を含むところの13年度の決算を受けて、金融庁として新しく金融行政における施策を打ち出して行きたいと考えているわけでございます。

第一は「不良債権処理の促進」ということでございまして、まあ不良債権についてはオフバランスというものを主眼にした施策を年限を区切ってやっていることはご案内の通りですけれども、3年以内というものについて、この枠組みの中で更に1年目に5割やっていただこうと。それから2年目には大宗を終えていただこうということです。そういうことで、3年目に残るものは非常に難しい例外的なものにしていただこうと、こういう考え方で要請をして行きたいと、このように考えております。そのことを言わば担保するために、こういう数値目標を実現するための手段が必要なんですが、そういうものとしてRCCというものを大いに活用してもらおうと、こういう考え方をここに書かせていただいております。

それから二番目には検査の問題です。検査問題ですが、今回、特別検査という、先程言った共同作業的な特別検査ということで検査をしたのですけれども、新しい事務年度においては、そこにありますように検査の部門の内、5つ程度の部門については金融機関のグループ、これを専担してもらうと。だから第一部門はどこどこ専担ということになるということですね。そうして同時に、1年を通じてファイナンシャルグループと言うか、グループについて検査をしてもらおうと、こういうことでありまして、そこにあるように実質常駐の検査体制ということで、検査の実効性、効率性を高めて行こうと、こういう考え方でございます。

まあ主としてそれは信用リスクというか、コンプライアンスというようなところを見ていただくということになりますが、検査の中には内部監査体制がしっかりしているのかとか、デリバティブの管理というか、そういうものが組織的にちゃんとしているかとか、あるいはシステムリスクについて、今、大きな障害が起こっている金融グループがあるわけですけれども、そういうようなことがしっかりしているかというような、言わば何と言うか、組織的な、あるいは機構的な面をチェックするということも検査の重要なポイントになっていることは検査マニュアルでご承知の通りですが、そういうものについては民間出身の検査官のグループというものを遊軍的に専門班を組織してもらって、この人達については、何と言うか横断的に担当してもらおうと、こういうことで縦横の関係というか、そういうことで一つの信用リスクを中心とするグループは専担の体制を敷いてもらうと、それから、今言ったような内部監査体制等については遊軍的に、横断的に担当してもらうと、こういう形で検査の充実を図って行きたいと、こういうことを考えているということでございます。

3つ目は「金融機関の合併促進」ということでございまして、これはご承知の通り日本の金融機関はやや数が多くて収益性が上がらないのではないかというようなこともございます。これは別に金融庁がそういうことと完全に同じ見解を持っているということでは必ずしもありませんが、やはり収益性を高めるための一つの方途は、やはり合併等できちっとした合理化をする、あるいはリスクも取れる体制にすると、経営基盤を強化するということが必要だと、こういうことを我々は思っております。それから、昨今、特に中小企業金融の円滑化ということも日本の金融の非常に大きな課題だということが言われておりまして、我々もその通りだと考えておりまして、主としてそういうものに当たるところの地域金融機関というものを念頭に置いて、合併促進を図るための施策を今後検討して行きたいと、こういうことを考えているということでございます。

ですから、政策施策の内容の詰まり具合というのはかなりばらつきがありますけれども、特に「3」は今後広範に検討をして行こうと、こういう考え方でございます。

それから第一部はそういうことで新しい施策ということですが、第二部は予てこれは私共は国会答弁等、あるいは与党の会議等で明らかにして参ったわけですが、金融検査マニュアルの中の中小企業の貸出先に対するいろんな配慮が検査マニュアルの上で書かれているのですけれども、どうも抽象的で、それがために第一線の検査官まで「それを徹底していないのではないか」と、こういうような声もたくさん聞かされたわけでございます。そこで今般、この「金融検査マニュアル別冊:中小企業融資編」というものを作成しまして、適用事例、それからまた検査マニュアルで書いてあることのポイントですね、これを解説するという小冊子を作らせていただきました。これをパブリックコメントに付するということにいたしました。そういうことで、予て具体例をきっちり開示して、第一線の検査官まで徹底するといっていたことをこうした形で実施しようと、こういうことでございます。

なお、2つ目の「○」は、これは検査の効率性の点から、ある意味でこれまでもやって来たことではありますが、これをもう少し明確な形で皆さんにお示ししようというような意味合いもありまして、検査の対象金融機関の資産内容でそう問題がないというもの、それから前回の検査結果が良好だと、つまり的確な自己査定をしているというような金融機関の場合には、そこに(注)でございますように、与信額20百万円又は資本の部合計の1%のいずれか小さい額未満の債務者については、原則として自己査定に任せると、こういうことにいたしました。これは検査マニュアルの中にきちっとした形で明記することにいたしました。

これがまあ新しい施策の一部、二部というか、今まである程度予告をして来た事が第二部で、今日新たに皆さんにご披露するのが第一部と、こういうことでございます。

私の方からの話は以上であります。

【質疑応答】

問)

特別検査の処分損の1.9兆円を含めて、大手行は前期7兆8,000億円の不良債権処分損を出しました。これをもっていわゆる不良債権問題の峠は越えたとか、そういうご認識はあるのでしょうか。

答)

これは正直言って、不良債権の処理が山を越えたとか越えないとかという議論というのは、なかなか難しいのですね。難しいという意味は、つい最近、引当が済みましたということと、不良債権額、リスク管理債権の金額が減ったとか増えたとかという話が依然としてまだ混乱するのですね。我々の不良債権処理のメルクマールとしては後者、つまり不良債権の残高絡みの話としては不良債権比率というものを使うということにしています。それから前者、つまり不良債権の処理損の関係では、与信費用比率というもの、先程の7.8兆円というのは正に与信費用ですね。そういう2つをきちっと分けて皆さんに申し上げて来たのですが、依然として世の中ではこれを混同していろいろご意見を述べられる方もいらっしゃるようです。

私共としては最初の、今7.8兆円という数字を上げられましたので、これを与信費用というふうに捉えますと、与信費用は皆さんご承知の通り大手でも10兆円、10兆円と来て、4兆円ちょっとというのが2年続いて、今度は7.8兆円になるということですが、これは私は今回特別検査をやったこと、直接やった1.9兆円というものに加えて、そういう本当にリアルタイムの評価をしなくてはいけないよということで、全体が、直接特別検査の対象になった債務者以外のところでも、各行がみんなきちっとした同じ様な基調の自己査定をしてくれたということ。それからまた現実に業況等が悪化したというようなものが諸々反映していると思うのですけれども、私としては経済環境が今予想されているようなものであれば、私はこの7.8兆円というのは、言わば第二の山というか、そういうものを作ったことはこれはその通りなんですが、今後は今申したようなことを前提にすればかなり平常状態に徐々に近づいて行くと、こういうことになろうというふうに思っております。

それで不良債権の残高というのは若干この集中調整期間中は減らないという状態が続く試算もあるのですけれども、基本的に2004年度ですか、2002年、2003年が終わって2004年度には何とか正常化のレベルに持って行くように努力をしたいし、それも努力をすれば可能であろうというふうに推移して行くという見通しに立っています。

問)

小泉総理が「今回の特別検査に関しては銀行の体力を気にせずに処理しろ」と、こういうふうに指示されました。最終的に各行の自己資本比率がそれぞれ健全基準を大きく上回る結果となったわけですが、そういう結果となったことを踏まえて、結局は体力の範囲内での処理に終わったのではないかという見方もあります。特別検査は体力を気にせずに厳格に行われたというご認識でいらっしゃいますでしょうか。

答)

これは「大きく上回る」と今、簡単に仰いましたけれども、私はなかなか厳しい状況だというふうな考え方をしています。先程言ったように自己資本比率を1%減らすというのは相当なことなんですね。それが当初の、当初と言うか9月期決算の時に見通したものからすると、先程もちょっと触れたかと思うのですが、まあ1%ぐらいそれを下回るというような、かなり思い切った処理をしてもらったというように考えておりまして、これは総理もそこのところを確認的に私共を督励してもらったんですけれども、そういう要請に応えたものになっているというふうに私共は受け止めています。

問)

そうすると特別検査を通じて、この前のデフレ対応策でも盛り込まれましたが、各大手行に市場に評価されるような再建策を策定するように要請されました。これは特別検査を通じた再建策の策定は市場に評価されるようなものとしてそれぞれ策定されているとお考えでしょうか。

答)

まあこれは私共もやや口が酸っぱくなるほどに、「再建計画を建てるのだったら、本当に実現可能性のあるものをきちっと建てなさい」ということを重ね重ね言って参りました。そういうことを受けて、各行、過剰債務の企業について再建計画を立てて、その処理に当たったというように思っています。もちろんその再建計画を立てて、本当にその再建計画に従って処理をしてしまった、年度内にしてしまったものもありますが、処理そのものは次年度というか今年度というか、こういうものに譲っているものもありますけれども、基本的にその基礎になった再建計画というものについては、私共の呼び掛けに応じてくれるというものになっているというふうに受け止めています。

問)

今回特別検査の結果、各行の自己資本比率は、先程も申しましたけれども健全な基準を大きく上回りました。この特別検査の結果を見て、いわゆる不良債権処理のために予防的な投入も含めた公的資金投入論というのが根強く残っているわけなんですが、公的資金の投入に関してのお考えをお聞かせください。

答)

先程来言っているように、自己資本比率がゆったりしていますよというようなつもりはありません。そういうことを言うつもりはないのです。しかし、健全性という観点からはこれだけの自己資本比率を持っていれば、これは健全性の指標としての自己資本比率というものを確保しているということは言えようと、こういうように思っています。

そういうことを前提にすれば、更に何か公的な資本というものでもってこれを補強しなければならないというような状況にあるとは認識しておりません。ただ、毎回申し上げていることですけれども、現在の預金保険法102条にありますように、「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれ」というようなものが現れた場合、あるいは認識される場合には、これは本当に躊躇なく、私共としてはそこに書かれた「諸措置」というものを発動したいと、このように考えておりまして、その中には当然、公的資金の注入というものも含まれているということは改めて申すまでもないことであると思っています。

問)

不良債権の残高についてですが、今回の発表では出ていないのですが、昨年の9月中間期は20兆円台にあったと思いますが、これは今回の3月期にはどういう見通しでしょうか。

答)

これは率直に言って、決算を見て改めて皆さんに発表したいということで、現在のところ皆さんに見通しに基づいた数字を言って、誤解を招くことはむしろ避けたいというように思っています。

問)

今回のような検査は今後も続けられるのですか、リアルタイムで不良債権処理を進めるようなやり方についてですが。

答)

これは先程言ったように、検査体制というものが通年検査…これはグループをとった場合ですね。それからまた専担性と、もうウオッチャーは変えないと、ずっとそのグループについてウオッチしていくということでありますので、仮に今回と同じように、ある債務者について市場の変化が著しく変わったというようなことがある場合には、それはもうその中で対応していくということで、まあほぼ同じような結果が得られるような、そういう…つまり決算期の直近の市場のシグナルというものが、その反映するという意味は、「そういうものを十分勘案した自己査定になりますね」という意味の検証、これはもうするということになります。

問)

それだと銀行の自己査定と言えるんですか。もはや言えないような気もするのですが。

答)

これは誠に事後チェック型の行政としては、例外的な措置であるということは私も認めますけれども、ただまあ、「こうしろ」と言っているわけではなくて、我々としても「こういうことを配慮した場合、これでいいのだろうか」ということを投げかけていくと、こういうことでありまして、あくまでも三者の合意が得られる、得られたということが前提ですから、自己査定と全く言えないというものではないというふうに考えています。

問)

その行政規律は、今後はやはりずっと続けて行かなければいけないものとお考えなのか、あるいは、ある一定の期間を経て、やはり市場規律というものに戻せるものなら戻そうとお考えなのか。新検査体制の考え方なども含めてその辺を教えてください。

答)

基本的には私は、今度のようなことをやったということで、こういう考え方でないと本当にマーケットの信頼は得られないんだなということは、それぞれ各行にも浸透していくんだろうと思うんですね。「浸透してしまいました。完了しています」とまでは言わないけれども、基本的にそういう考え方でもうやって行こうということになるんだろうと私は思っています。

ですから、仮に今度、今こちらの記者の方から質問があったように、我々もそういう必要があるなと思う対象については、そういうことをやりますけれども、当然それはもう確認的にやるということであって、そういうことについてはもう銀行側も、「もうそんなことを言われなくてもいいですよ。我々はちゃんとやってあります」と、こういうような対応というものが期待されるようになっていくんだろうと、こういうように思います。

ですから、何と言うか、まあ我々としては確認的なことではあっても、ごく最近のこういうデフレが進行して金融機関に非常に厳しい環境が早く克服されたら、我々はそういうことをしなくてすむ時期になるだろうと、こういうように期待をしていますが、まあ少なくとも私どもが集中調整期間として構造改革を進めるという期間の間は、やはりこうしたことでしっかりした償却・引当を確保していきたいと、こういうように思っています。

問)

特別検査が始まる時期に、いわゆる大口貸付先に対する大手30社問題という言葉が出て、一人歩きした言葉とはいえ、市場の不安感を助長するようなことになったと思うのですが、今回の特別検査を受けて、いわゆる大手30社問題という問題については、フルカバーしたというふうにお考えでしょうか。

答)

この我々の特別検査というのは、ある大手のスーパーの破綻というものを受けて、これは市場の評価というもので、ものすごく短期間の間にその評価を受けて企業が破綻するということがあるんだということを、目の前で見せられたわけですね。そういうことで、従って債務者の債務者区分というか債権の評価というか、そういうものは須らく市場の評価をリアルタイムに反映するようなものでなければいけないということを考えて、こうした検査を始めたということです。

そういう意味合いで私どもは、そういう市場の評価が厳しくなっているものについては、この149社の中で全てこれを取り込んで検査の対象にしたと、こういうことであります。

問)

検査の信頼性についてなのですが、もう早くも149社というのを選んだことが甘いのではないかという指摘が出ております。これはまあ風評等を考えていろいろ言えないことはあるとは思いますが、これをちゃんとしっかり選んだ結果、149社だったというところをある程度ご説明していただかないと、いわゆる体力の範囲内でやっただけという疑念がまた沸き起こると思うのですが、その辺りをご説明していただけますか。

答)

これは149社、あるいは12.9兆円というものが、きちっとした選択の下に行われているかということでありますが、私どもとしてはかねて言っているように、これをどういう基準で選びましたとかというようなことを言うと、またどれがそうだというような話にすぐなりますので、これはどこまで行っても私どもとしては不開示でご理解をいただきたいというように思っています。

まあ、そういう前提で、どうして皆さんにそういう信頼をいただくような表現ができるかということで、これは苦慮するわけですけれども、最初は149社ではなかったんですよ、実は。もうちょっと少なかったんです。ところが、あの株価の状況の中で、我々が考えていたものに、何と言うか対象の中へ入ってきたものがあったというようなこともあって、実は最終的には149社を対象とするというようなことになりました。まあ、「そんなことを言ってもどうにもならん」と言われるかもしれませんが、そのくらい実は厳格にやったということの一つのエピソードとしてご披露して、何とか皆さんのご理解をいただきたいと、こういうことであります。

問)

海外からも非常に注目されているようで、アメリカの大統領の親書などでも不良債権処理が入っていたり、この後G7もあるわけで、そういう場で最初の質問と繰り返しになるのですが、これで日本の不良債権問題というのは本当に解決に目処がついたというふうな国際的な説明が成し得るのかどうか、どういうふうにお答えになられますか。

答)

これは先程申したように、与信費用の推移というものとしては、私はこの7.8兆円、形の上では7.1兆円というようなものを、97、98年の10兆円を超えるものの後、もう一度まあ残念ながら山ができたわけですけれども、これを一つのセカンドピークというか、そういうものとして次にまた下降線を辿って健全化していくんだというふうに私は申し上げたいというふうに思っています。

ただ、不良債権比率の方は、不良債権残高が分からないのに何を言うんだというようなこともあるかもしれませんが、若干のシュミレーションをしているんですね、我々としては。そういうものによればすぐにいきなり下がっていくということではなくて、ちょっと横這うような感じが1~2年でしたか続くんですけれども、その後2004年度に向けて下がっていくだろうと、こういうように今、私は見通しておりまして、まあこれももちろん前提は内閣府の示された改革と展望の中の経済見通しというようなものを念頭に置いて、我々は若干の試算をしたわけですけれども、そういうものを踏まえると、今言ったようなことが申し上げることができると、こういうことで私としてはこのことをキチッと説明をして、不良債権問題の解決の展望というものを国際社会にもきちっと示していきたいと、こういうふうに考えています。

問)

そもそも今回の特別検査は、自己査定は本当に大丈夫かな、あるいは金融検査は大丈夫かというところの疑問に答えようとして始めたわけで、その結果、71社が検査の結果、下位に修正されたということですが、そうしますと一部には逆上ってやはり今までの自己査定あるいは今までの検査というものが、やはり若干甘かったのではないかというふうに捉える方もいると思うのですが、そういった点で今回の下位修正の定性的な意味で、何故下位に修正されたかというところを総じて一言お願いします。

答)

これは先程もちょっと言いましたね。自己査定というものを検査したのではないんですね。自己査定という作業に参加した特殊な検査でやったということですね。それで71社が下位に遷移したということですけれども、それは9月期の債務者区分からこういうふうに落ちましたということであります。従って当然、時間の経過に従った業況の悪化というものも反映しているだろうと、こういうように思います。

それともう一つは、今言った、今まさに特別検査というものの趣旨でしたよというのは、まあ今までよりも、はるかに強く…今までの検査だったら3月前に終了するような検査だと検査基準日というのは9月決算の日になるわけですね。9月30日が検査基準日ということで、その決算がどれだけ的確に行われているかということの検査ですよね、今までの検査を繰り返したものであれば。ところが今度の検査というのはそういうものではなくて、3月の決算の直近というか、今そこにあった市場の評価というものを念頭において、それがちゃんと自己査定に反映していますかということの検証、これが行われたということでありますので、基準日というものがもっとずっと3月期に近づいてきていたと。3月末に近づいていたものだということも、形式論ではなく、実質論として。基準日がこの前のような直近の決算の基準日ではなくて、この3月期の決算に基準日というものが非常に近づいてきたものだというので、ちょっと基準日が移動してしまっているという意味では、今までの検査とちょっと異質のものなんですね。そういうことの反映というのは当然ありましたよということですね。

それから加えてもうちょっと言いますと、今、149先・12.9兆円ということを言ったのですけれども、実はそれはメイン行の話なんですね、この債務者についてはメイン行の主としての話。そうすると、そこに協調融資をしている人達が大手行の中にいる場合には、そこに反映しているだろうと思うんですね。それはこの数字には、12.9兆円だとか149先という中には入れていないんですよ、そういうものは。例えば、3行協調体制なんていうことになっているとすればね、1行の話をここに出しているというようなことですので、そういうファクターもあって、諸々ありますので、それだから今までの検査は的確性というかそういうものが不足していたのではないかということは、まあ基準日の点などについて皆さん、これはどういうふうに仰るのかですが、私としては先程、こちらの記者の方からも質問が出たように、こういう検査というのが果たして事後チェック型と言えるのかという話もありましたぐらいで、私どもとしては特別な例外的なことを、こういう経済状況の中で、より我々の債務者区分あるいはそれに伴う引当・償却というものの的確性を、あるいは信頼性を確保するために止むを得ずこういうことをやったんだということ、止むを得ずの乖離だったんだと、止むを得ない措置との乖離だったんだと、こういうこととして少し理解をいただくとありがたいと、こういうように思います。

問)

検査と並行して、幾つかの会社で私的な債権放棄とか、あるいは債務の株式化とあったのですけれども、これは見方によっては私的整理のガイドラインができていながらどうもあれには準拠していないように見られる、場合によっては形ばかりの再建計画ではなかったかと、問題の先送りという指摘もあるのですが、大臣は、まずこういうガイドラインに準拠していないようなこういう私的な整理については、どういうふうに評価されるのですか。

答)

これは、例えば再建期間などというようなものについては、ガイドラインの精神というものを汲み取ったものになっているということをまず申し上げたいと思います。

それから、皆さんもガイドラインをお読みかと思うのですけれども、ガイドラインというのは、非常に保全措置なんて厳しいんですね。企業を経営しながらの再建計画というようなものとはちょっと違うように思います。停止命令なんてかけまして保全措置を講ずるんですね。債務の決済なんてできないというものを一定期間設けるわけですね。なかなか、そういうことに相応しい状況でないところについての、これはまあ専門の法律家に聞いてみなければ分からないのですけれども、私はそういう面もかなり厳しい面があったと思います。

ですから、そうではなくて、経営を片方でしながら再建の方途を講じようということになった場合には、やはり保全のための停止というようなことを介してやるということになるとですね、やはりあの通りにはなかなか行き難い面もあっただろうというふうに思っています。ですから、非常に何と言うか、倒産に近いというか破綻に近い債務者については、ああいう方法が馴染むのではないかと私は思うのですけれども、それよりはるか手前のところで過剰債務の問題を処理するということになるとですね、まあその精神をできるだけ汲み取った形ということも皆さんに理解していただきたい点だなあと、こういうように思っています。

問)

そうすると、こういうものは検査には影響してきたのですか。こういう私的な整理ですが。

答)

当然でありまして、資料の「注2」の尚書きというようなところにも、そのことが記されているわけですけれども、再建計画が策定されるということで、最終的な下位遷移とならなかったものがあるということでして、もちろん再建計画が建てられていても、さっき言ったようにその措置が実際にその年度内に行われていないものについては下位に遷移して、例えば破綻懸念先だったら破綻懸念先になったという結果に、この数字の中に含まれて、かつ引当金も破綻懸念先に相応しい引当金が積んだままになっていると、こういうものもあるわけです。ですから、当然再建計画というものは、今言ったように措置が年度内に終わったから、これはもう損が出てしまっているから現実に、従って残債について下位遷移しなかったというものもあるし、損が出ていても処理できないということかな、処理を最終的にしていないと、債権放棄なんかはまだしていないと、話だけ決まったというようなものについては下位遷移して、それで引当金が積んであると、こういう措置が行われておりまして、それはきちん反映しているということであります。

問)

ガイドラインそのものは金融庁が一枚噛んで作られたので、今大臣はかなり批判的に聞こえたのですが…。

答)

いやいや、批判的ではないですよ。批判的ではないんです。ただ、ああいうものが適状な債務者の状況と、そうでないものがあるのではないかと、私は法律の専門家ではないからそこのところは若干留保したい気持ちを持ちながらそういうことを言ったんですね。つまり、停止命令をかけるというところがあるんですね。一切商売をちょっと止めてというか、少なくとも債務者に対する支払いを止めてということでやっていくという仕組みなんですね。

問)

特別検査の最中に倒産をしたと言いますか、具体的に民事再生でも結構なんですが、その影響を受けた先というのはあるのですか。もしくは今後、決まっているというのはあるのですか。

答)

今後のことについてはちょっと申し上げかねる点ですけれども、民事再生法あるいは会社更生法の適用を申請した方々の中でというか、全く無関係というものでなかった方々もあったということは申し上げておきますが、まだ民事再生法・会社更生法ということで、今後も再生していくという企業のことでありますから、個別のコメントはちょっと差し控えた方がいいかなと思いますね。

問)

主要銀行の大口融資先だけでこれだけ不良債権が増えたということですが、日本の金融機関の与信の大半を占める中小企業、あるいは地方の金融機関について、まだ相当の不良債権が隠れているのではないかという疑念もあると思うのですけれども、それについてはいかがでしょうか。

答)

これはまあ、何と申しますか、我々はオフバランス化というものをやりましたね。そうしたら直接対象でない地方銀行と第二地銀とかの人達も、すぐそういうものに対応した動きをしてくれました。ああいうことで私は非常に、ある意味で我々の政策意図というものを非常に良く汲んでくれるなという感じを持ったのですけれども、今回もこうしたことが大手行に行われたということで、私はかなりそういう市場の評価が悪くなっている、急速に悪化しているというようなところについては、きちっとした自己査定と引当・償却をしないとこれはとても認めてもらえないだろうというようなことで、まあ地方銀行の人達も大手行の状況を睨んでこれに習ってくれるだろうというふうに思っております。

(以上)


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