竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年11月5日(火) 9時10分~9時20分  於)院内)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。今日は、特区法案がございまして、その関連で私も閣議で発言をさせていただきました。

趣旨は、この構造改革特区というのは大変重要な政策であって、先般の「総合対応策」においても重要な位置づけを与えられている。その意味で、今回の法案が決定されることは、特区の早期具体化に向けた大きな前進であるということ、来年1月を目途に、さらに第2次の募集をすることになっていますけれども、今回決定にいたらなかった規制の特例措置に関する引き続きの検討を初め、関係閣僚の積極的な取り組みをお願いしたい、そのような発言をさせていただきました。

もう1点、今日は「経済財政白書」の報告をしております。今回の経済財政白書は、経済財政白書としては第2回目ということになりますけれども、現状と課題を分析することに加えて、経済財政諮問会議の政策論議をサポートするという大変重要な役割を担っている。その意味で、今回も昨年と同様、小泉内閣が推し進める構造改革に対して、分析的な基礎づけを与えるということを意図しているということを申し上げました。

経済の現状でありますけれども、2002年に入って底入れをして、景気は回復に向かおうとはしています。しかし、民間需要が低迷を続け、回復力は脆弱なものにとどまっております。こうした景気の脆弱性を取り除き、持続的な経済成長を実現するためには構造改革が必要であり、その一環としての税制改革が重要であり、また生産性の上昇率を高めるためのさまざまな活性化を行っていかなければいけない、こうした問題意識に立って、今回の「経済財政白書」の副題も、昨年度の報告を踏まえる形で「改革なくして成長なし2」というふうに、あえてこの「改革なくして成長なし」というのを私なりに強調いたしました。各関係省庁のご協力がありましたので、その点に関しても感謝を申し上げました。

閣僚懇では、特に意見はございませんでした。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

「総合デフレ対策」についてですが、一部世論調査で「評価しない」が75%ということと、あと発表後に株式市場も大きく反転していないということで、一般には慎重な見方が強いようですが、この点について大臣の見方をお聞かせください。

答)

株価云々に関しては、こういう「総合対応策」は多分織り込み済みであったということなのだと思います。恐らく、重要な点は、構造改革をより早く、より大きな規模で進めるための施策というのは、私は「総合対応策」に織り込まれているというふうに思うんですが、それを受けて今後、予算的に措置をどのように考えるのか、来年度の先行減税をどのように行うのかと。これは、しかしプロセスの問題ですが、今後、11月、12月の政策論議のプロセスの中でそういうことはきちっと議論される、これは予定どおりのことでありますから、経済財政諮問会議としましても、そうしたいわばマクロ経済マネジメントについてしっかりと議論をしていきたいと思っています。

問)

金融再生プログラムの作業工程表についてですけれども、これはいつぐらいまでにどのような形でまとめられるお考えでしょうか。

答)

ちょうど、金融庁を挙げてこの工程表作成に取りかかったところです。これは、ぜひともしっかりと再生プログラムの趣旨を体した形で、その趣旨に則ってしっかりとつくりたいと思います。11月を目途にということでありますので、11月のどの時点か、拙速にならないように、しっかりとその11月の範囲の中でつくっていきたいと思っています。

問)

不良債権処理の加速策を受けて、一部金融機関で賃下げとか人員削減とかリストラを強化するような動きが出ているという報道がありますが、そういった動きについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

これは、まだ正式にどこからも直接お話は伺っておりませんので、いろいろ報道されていることについて直接コメントはできないのでありますけれども、一般論としては、やはりこの問題を解決する主役は金融機関自身でありますから、金融機関が積極的に経営力を強化するための策を展開されるというのは、これは大変、国民経済的にも望ましい方向であるというふうに思います。

問)

14年度中に、不良債権を半減するという目標についてですけれども、これは例えばマクロの経済成長等、何か前提条件というものはございますか。

答)

そのマクロ的な姿については、「改革と展望」の中で描くということになっておりますけれども、全体としての経済の姿がどのようになっているかということともちろん整合的でなければいけませんので、その点については「改革と展望」の論議はこれから年末にかけてやっていきますから、その中でしっかりと詰めていきたいと思っています。

問)

その「改革と展望」の内容によっては、不良債権半減の目標も後にずれ込むということはないんですか。

答)

いや、「改革と展望」に沿って、「改革と展望」のマクロ的な姿を実現し、同時にこの不良債権処理を進めるということを、それは政策の目標としてしっかりと進めるということです。

問)

白書についてなのですけれども、デフレについて実体経済の重しとなっているという部分について重点的に分析されていますが、現在のデフレの状況はやはり深刻なのかということについてのご見解と、あと不良債権処理についても、今年、特に白書で強調されていると思いますけれども、その点についてコメントをいただけますでしょうか。

答)

今のデフレ、不良債権の問題は、昨年の「経済財政白書」から一貫して問題意識として掲げて、かなりしっかりとした分析をしてきているつもりであります。デフレについては、特に実体経済ですね。実質成長率で見ると、決してその「改革と展望」の想定を下回っているわけではないと認識されるんですが、名目値についてはそれより少し厳しくなっている。その意味で、このデフレ対応については、より重要な位置づけがやはり与えられなければいけないという認識のもとで多面的な分析をしたつもりです。

このデフレの要因はたくさんありますけれども、そのうちの1つの重要な要因が、やはり不良債権によって金融仲介機能が低下しているということにあって、まさにデフレと不良債権問題の悪循環が存在しているのではないか、これをいかに絶つかということが大変強い政策上の問題意識として出てきていると、そのように理解していただきたいと思います。

問)

白書の中で、量的緩和が円安に何か効果を与えているという分析があったんだけれども、先だっての日銀の追加緩和も、やはり円安の方に効果があると認識してよろしいでしょうか。

答)

一つ一つのイベントについて、それを正確に評価するというのは、これはその他の要因もいろいろ同時に作用しますから難しいと思います。

ただ、傾向としてといいますか、1つの経験値として白書で分析したような結果は統計的にサポートできるというふうに理解していただきたいと思います。

(以上)

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