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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年12月6日(金) 9時22分~9時35分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございましたが、私の方から、いわゆるFRC報告について閣議でご決定をいただいて国会提出のものですから、このご報告、お願いを申し上げました。

それと、閣僚懇では、扇大臣の方から、例の奄美沖で引き上げられた工作船については、これは通常のエンジンの10倍ぐらいの出力を持っているすごいものであったと。幾つかの覚醒剤取引との関連等々のご報告がありまして、こうした事実を踏まえて、毅然たる態度で日朝の交渉に臨んでいただきたいというお話がありました。それに関する大臣からのご発言がございました。

私の方から以上でございます。

2.質疑応答

問)

破綻した朝銀の受け皿となっているハナ信用組合に対して、公的資金4,400億円の投入を決めたという報道がございますが、この点についてどうでしょうか。

答)

一部の新聞でそういう報道があったことは承知しておりますけれども、そういうことを決定したという事実はありません。

問)

役員構成等について、ハナ信用組合の方から金融庁の方に報告があったということも言われていますが、その点はいかがでしょうか。

答)

これは12月29日の事業譲渡の期限に向けて、今関係者の間で努力が進められているものというふうに思っています。詳細の報告は現時点では聞いておりません。

問)

昨日、政府系金融機関の統廃合も先送りということになりましたけれども、民間金融機関と合わせて政府系金融機関の改革を進めないと、日本の金融システム全体として強くならないと思われますが、その点について大臣のお考えを聞かせてください。

答)

昨日の私が出した案については、様々なご評価をいただきたいと思いますけれども、私は先送りだと思っておりません。例えば、規模を半減するという数値目標を明示して、大幅な統廃合を進めるということでありましたので、見方によってはかなり厳しい反対論がこれからまだ出てくる可能性がある。我々としては改革の線に沿った内容であるというふうに思っています。

改革を進めないといけないというふうに仰いましたけれども、全くそれはその通りで、だから第一段階においても、非常に厳しく改革を進めて行くわけですね。事業内容の見直し等々の改革を進めて行くと。かつ、重要な点は、あそこに明記しておりますように、第一段階において、ということはもうすぐにということですけれども、民間人の登用と、その経営の刷新に向けてすぐとりかかるということでありますので、私はあの線に沿ってきちっとやっていけば、目に見えた政府系金融機関の改革になっていくというふうに思っております。ぜひ、その方向で進めたいなと思っているところです。

問)

来年度の経済見通しの作成作業がこれから本格化してきますけれども、補正予算の決定前に民間が出している予測は0.3%程度の成長で、かなり厳しい見方もありましたけれども、現時点での大臣の見方というか、お考えをお願いします。

答)

実は、今年度の実績見込みがどうなるかということがあって、それを踏まえて来年度の経済見通しになると思うんですが、今年度の実績見込みは、まだ7-9月期までしか数字が出ていない、つまり半分しか出ていないわけで、あと年度の半分の動向をどう見るかに依存はしますが、当初の0%の政府経済見通しを下回ることはないのだろうなというふうに思っております。その意味では、今年度に関しては、予想よりむしろ高い数字が出るのだと思います。

にもかかわらず、やはり不透明な要素、不確実な要因というのが現状では多い。その意味では環境が厳しくなっているということは間違いありませんので、それを受けまして、来年度の経済見通しは、やはり非常に緩やかなものにならざるを得ないのかなというふうに思っています。むしろ、我々としては「改革と展望」という中期ビジョンと一体化して政府経済見通しを考えますので、中長期の日本の経済トレンドをどのように見ていくか。その中で、来年度をいかに位置付けるか。シナリオを実現するためにどのような改革の加速が必要かと、そういったロジックでしっかりと政策論議を進めていきたいと思います。

問)

三井住友銀行があおぞら銀行買収の報道があったんですけれども、これについて大臣は報告を受けているかどうかということと、それに関して、外資系の譲渡に対して金融庁は嫌がっていて、国内系の方にいって欲しいというような報道もあるようなんですけれども、そういうふうな認識を持っていらっしゃるのかどうか、2点お尋ねします。

答)

まず、三井住友銀行としては、そういった検討を開始したというところまで話は伺っております。しかし、それ以上の詳細な報告をまだお伺いする段階ではないというふうに思っています。

あおぞら銀行の件に関しては、我々は特にどこどこが好ましい、どこどこが好ましくないというようなことを金融庁として申し上げているという事実は全くないと思います。これは基本的にはその当事者の間でしっかり話し合っていただければいい。しかし、それが結果的に国内の金融システムの強化・安定に繋がっていくような方向になるように、正に結果としてガバナンスがしっかりと強化されるようになっていただきたい。我々の監督、検査の立場で申し上げられるのはその点だけだと思います。

問)

関連なんですけれども、今までソフトバンクがあおぞら銀行の株を持っている期間なんですが、あおぞら銀行が上場するまでとか、少なくとも3年はという話が出ていたんですけれども、それに関しては認識はどうでしょうか。

答)

これは基本的には、繰り返しますけれども、民事といいますか、当事者が責任を持って経営上の判断としてお決めになることですから、それそのものについて金融庁が監督者としてどうこう申し上げる立場ではないと思います。

ただ、繰り返して言いますように、その結果として金融機関の経営が安定して、日本の金融システムが安定するような立場になっていただかなければ困るわけで、そういう観点から、当事者でぜひしっかりと話し合っていただきたいというふうに思っています。

問)

関連で、安定するためには買い取る方が国内の銀行であろうが、外資系であろうが、それ自体関係ないという認識でよろしいですか。

答)

それは正に個々の経営判断ですからケース・バイ・ケースなんだと思います。どちらの方が良い、悪いというようなことでは必ずしもないのだと思います。

問)

関連するんですが、長期的な保有が望ましいみたいな基本姿勢があったと思うんですけれども、そういう場合に、外資か外資じゃないかは別にして、銀行かファンドであるかということに関しては、どちらの方が好ましいという判断基準はあるんでしょうか。

答)

長期が好ましいというのは、長期の方が安定した経営ができるのではないだろうかという観点から1つの見方としてそういう考え方があるんだと思います。長期に持っていても、ガバナンスがしっかりしないまま長期に保有するんでしたら、これは意味がないわけでありますから、その意味では繰り返しになりますけれども、しっかりしたガバナンスが発揮できると。その点に尽きるのではないかと思います。

問)

ファンドか、銀行かというのは関係ないですか。

答)

基本的には、ガバナンスをどのような形でしっかりと発揮できるかということなんだと思います。したがって、銀行経営をする以上、銀行経営のノウハウを持っているということが好ましいと、必要であるということは間違いないというふうに思いますけれども、それも単に所有者のラベルを張って、どちらがどうこうだということではないのだと思います。要は実態だと思います。

問)

最近になってみずほがまた新たな機構改革みたいなことをやっているんですけれども、かなり民間のレベルの銀行でいろいろ動きが出て来ているんですけれども、これについてはどういう評価をされていますか。

答)

我々として、検査・監督の当局として、金融再生プログラムを発表して、こういう方向で我々としては進めたいと。そうすることによって、金融システムを強化したいという、政策当局としての意思を示したつもりです。それをどのように具体化していくかということについての「作業工程表」も示したつもりです。

その中で、ご指摘のように、今みずほの例を挙げられましたけれども、各行がここ1カ月ぐらい、それこそ皆さんの新聞の第一面のトップに載るような、幾つかの積極的なアクションを見せているということは、やはりこれは銀行の努力の1つのあらわれであるというふうに思っています。とにかく金融システムを強くする主体は銀行でありますから、いろいろな試行錯誤はあると思います。しかし、今示しつつあるような一種のアクティビズムというか、行動主義をぜひとも期待したいと思います。

問)

それによって今後工程表の中身、ここは若干議論が変わってくるとか、そういう可能性というのはどうですか。

答)

「作業工程表」はそれこそDCFの具体的な手法について、手続について会計士協会等にお願いして、会計士協会と共同していろいろ基準を作っていくということでありますから、銀行の組織再編でそれがどうなるということではないと思います。

問)

為替相場なんですけれども、ここのところかなり円安が進んでいるわけなんですけれども、これは一般的にデフレ緩和という期待もあると思うんですけれども、この為替相場の動きをどういうふうにご覧になるか、どう評価なさっているか教えていただきたいんですが。

答)

為替も株と同じで短期の動きそのものの評価というのは大変に難しいと思いますし、私の立場で余りどうこう言うべきではないというふうに思っています。

ただ、為替レートが、いわば中長期的な観点からはある程度購買力平価に近づいていくという動きは、これはあり得べき動きだというふうに思いますし、内外金利格差等々からいっても、日本の少し前までの為替レートについて割高感があったということは、これは私も事実であろうかと思います。そういう方向で為替レートも重要な経済指標として、経済の内生変数として良い方向に動いていくことを期待をしています。

問)

朝銀の件なんですけれども、理事長の交代とかが定款に沿うような形で変わった場合は公的資金を投入するという方針は変わらないわけですか。

答)

公的資金を投入する云々というよりは、これは国内の金融、国内の法律に基づいて設立された国内の金融機関であります。その国内の金融機関の1つとして、法律の枠組みに沿って、きちっと対応するのが我々の務めであると思います。

(以上)

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