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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(りそな銀行に対する資本増強の決定等について)

(平成15年6月10日(火) 19時46分~20時06分)

【冒頭大臣より】

それでは、りそな銀行に対します資本増強を決定いたしましたのでご報告いたします。

5月30日にりそな銀行から、預金保険法第105条第1項に定める同法第102条第1項の第1号の措置、資本増強の申し込みがありました。また同法第105条第2項の規定に基づく経営健全化計画の提出がなされました。これはご承知の通りでございます。

これらの申し込み内容及び経営健全化計画を審査しました結果、預金保険法第105条第3項各号に掲げる要件に該当しましたことから、本日、りそな銀行に対して資本増強を行うということを決定いたしました。

内容でありますけれども、資本増強の規模につきましては、5月17日の金融危機対応会議の答申の中で「預金者や取引先、市場の不安を払拭するという観点から、10%を十分上回る自己資本比率の確保が必要」という意見が申し添えられておりましたので、この点を踏まえまして、りそな銀行からの申し込みの通りに1兆9,600億円といたしました。この資本増強によって、りそな銀行の、これは連結ベースですけれども、自己資本比率は12.2%程度になるというふうに見込まれます。

預金保険機構が引き受けるりそな銀行の株式でありますけれども、株式交換によって、りそなホールディングスの株式に交換することを予定していますが、その内容については、お手元の別紙を参照していただきたいと思っております。普通株式及び議決権付優先株式を組み合わせまして、国の議決権割合は70%を超える見込みとなります。

経営健全化計画でありますが、これについても別途公表の通りでございます。詳細はまた事務方から後で説明をさせていただきますが、その履行状況については、預金保険法第108条第2項に基づいて報告を求めて、これを公表して行くということになります。

あわせて、りそな銀行は、15年3月期決算において多額の繰越欠損が生じておりますことから、預金保険法第106条第1項に基づいて、資本の減少を、会計上の減資ですね、資本増強の条件といたしました。

後は資料をご参照いただければというふうに思います。私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

健全化計画は政府として承認されたということでよろしいのですか。

答)

その通りです。

問)

タスクフォースのメンバーからもかなり厳しい意見が出ていたようですけれども、今後、新しい経営陣になった後ですね、改めて計画の見直しを求めるということはお考えですか。

答)

まず、タスクフォースで言えば、これはメンバーの方が私に対していろいろアドバイスをしてくださるという場でありますが、いろんなご議論をいただきました。そういうことを踏まえまして、金融庁としては審査に当たっていろんな点を考慮して先方とも話し合って、その結果として最終的にりそなの方で、今、お手元にある経営健全化計画を出していただいているということです。これは、正にこれから新しい経営陣が着任されますけれども、現りそなとして、考えられる目一杯のリストラとかそういうものが織り込まれているというふうに認識をしております。しかし、りそな自身が新たな経営者の下でビジネスモデルの見直しとか、いろんなことを行うということを言っておりますけれども、その段階では、当然のことながら新たなビジネスモデルに基づく経営健全化計画を出していただくということになります。そのような位置付けを我々もしております。

問)

見直しの計画の提出の時期なのですけれども、いつ頃を想定されていますか。

答)

これは新しい経営陣が着任をされて、その下で体制を立ち上げる中でビジネスモデルの見直しも行われて行くと思っております。従って、いつというふうに具体的に私自身想定しているわけではありませんが、新経営陣によって速やかにそういった新しい経営体制がとられるということを期待しております。

問)

1ヶ月ぐらいという感じでしょうか。

答)

これはまあ、新経営陣のいろんなお考えあると思いますから、時期のことは申し上げられません。ただ、私の直感としては、その1ヶ月というのは少し短いのではないかなと。これはあの、しっかりとしたものにしていただきたいと思います。できるだけ早くと言う思いはありますが、十分に体制を整えて、しっかりとしたものにしていただきたいというふうに考えております。

問)

公的資金の返済については、現時点でどのようにお考えですか。

答)

基本的な返済の考え方というのも、償還の考え方というのも、その経営健全化計画に書かれておりますけれども、当期利益から社外流出を想定して引いて、その利益から今回の公的資本、更に前回に注入した公的資本を、計算上、何年で償還できることになるかという計算は示されております。15年という数字は出ておりますが、これは一つの収益性の見方としてそういう数字を出しております。我々としては、りそなの経営が軌道に乗り、市場から高い評価を受けることによって、我々が注入した株が市場において売却できると、そうなることを期待しているわけであります。いずれにしても、その形、最終的な形はともかくとしまして、市場から高い評価を受けるような経営をぜひ、実現していただきたいと思っております。

問)

新経営計画はゼロベースからの見直しになるのか、それともこれをブラッシュアップした形になるのでしょうか。

答)

これはゼロベースと言うか、今まで例えば経費のコストの削減とかはこれを踏まえて当然のことながら考えることになると思います。しかし、新たなビジネスモデルということでありますから、収益については、それは見直す必要があればですね、大胆に見直していただくことになる。それをゼロベースと呼ぶかどうかはともかく、いずれにしても、現りそなで考えられる有効なリストラについてはこの中に含まれておりますから、これを踏まえて更に新経営陣の下でいろんなことを考えていただきたいと思っています。

問)

議決権は70%以上取るということでですね、例えば、定款の変更とか減資とか、こういった重大な特別決議についても権利を行使するお考えはあるのでしょうか。

答)

株主総会における特別決議ができるように3分の2以上を確保したいということは当初から考えていました。これは役員の解任とかですね、そういうものも含まれてまいります。それを行使するつもりがあるかと、別に今の時点で行使するということはもちろん考えているわけではありませんが、しっかりとしたガバナンスを効かせたいと、そういう観点から今回の商品設計もしたつもりであります。我々としては、繰り返し申し上げておりますけれども、しっかりとしたガバナンスの枠組みを作りたい。その下で新経営陣に思う存分力を発揮していただきたい。そうすることによって、りそなをしっかり再生していただきたいと思っています。

問)

利益計画を見るとですね、かなり急激な回復になっているのですけれども、本当にこれだけ収益達成できるのでしょうか。そこの見通しについてはどのように見られていますか。

答)

収益計画は、我々は決して絵に描いた餅ではないというふうに思っております。現実に絵に描いた餅にならないようにしっかりと経営をしていただかなければいけないとも思っております。いずれにしても、その中小企業等々ですね、地域に根差したそのリソースを使って収益をしっかりと上げて行っていただきたい。かつ、今回、3割削減、役員の思い切った入れ替え等、しっかりとしたリストラの中身も織り込んでいるつもりでありますので、そうしたことをしっかりと反映して、それを具体的な形にして収益を着実に上げて行っていただきたいというふうに思います。

問)

今回の公的資金なんですが、大臣が仰ったように普通株は基本的に市中で売却できれば売却したいというお考え。優先株の方はどうなのでしょう。普通株に転換したりなり、それとも早期健全化の法律のように償却、どちらを。

答)

これは少しちょっと具体的なですね、将来の先の話でありますので、今の時点でこういう姿ということはあまり申し上げられないと思っております。ただ、いずれにしましても、このりそなという一つの経営体が市場の中でしっかりと評価されていくと、それがない限りはどのような形をとってもですね、簡単に回収はできないし、その基盤があればどのような形であれしっかりと回収をされるわけですから、まずはその経営の成果を出していただきたいというふうに思います。

問)

新勘定と再生勘定を分離する作業、始まると思うのですけれども、その場合、中小企業向けのですね、要管理債権以下も再生勘定というふうにガイドラインに載っていると思うのですけれども、その辺、中小企業向けについては行政として多少配慮されるおつもりはあるのでしょうか。

答)

これは配慮するかどうかというよりも、この勘定そのものが管理会計上の概念なわけですから、そこに政策的な配慮と言うものは別に入り込む余地は私はないと思います。これは、正に管理会計の問題でありますから、そこはしっかりとした収益を上げる分、しっかりと再生させる分、そのような形で新しい経営者の責任を明確化させるために行うわけですから、それに関して中小企業云々という政策上の配慮なり概念は、これは入って来ないのかなというふうに思います。

問)

過去の資本注入も含めますと3兆円近い公的資金がこの銀行グループに入るわけですが、国民負担が出る可能性は絶対無いと言い切れるのかということが一つと、過去の注入を決めた金融行政の責任についてはどうお考えでしょうか。

答)

国民負担が生じないと絶対そのように言い切れるかと、これは正にそのようなことが起こらないように新経営陣にはしっかりとやっていただきたいと。我々としてはそうしたことを念頭に着実な監督行政を行って行くということに尽きると思っております。これまでの過去に注入しながら今回再注入をしなければいけなくなった、これは国会でも申し上げますけれども、やはり極めて遺憾なことであるというふうに思います。そうした点も踏まえて今回の経営健全化計画の中で、これはいくつか特徴があると思いますが、やはり最も重要なポイントは委員会等設置会社の形をとって、外部から思い切った経営者を迎え入れてかつ社外取締役が3つの委員会を基本的に構成して、それで執行をしっかりとまさに取り締まる、監督するという体制をとったということ、ここがやはり最大のポイントであろうと思います。これはまさにご質問のような問題が生じないように、経営者には最大の努力をしていただきたいし、細心の注意を払ってガバナンスの体制を作ったつもりです。

問)

大臣は予て自主的な経営判断をある程度尊重したいということを枠組みを作った上で強調しておられました。今後ビジネスモデルを作る上で、例えば合併とか事業売却とか重要な経営判断ですね、そういうことに7割超える株主としてどういう関わり方をされたいとお考えですか。

答)

これは若干仮定のご質問も入っておりますので、今後いろいろな問題が当然のことながら生じて来ると思います。我々としてはガバナンスを効かすという意味からは、当然のことながら大きな経営判断に対しては、何らかの判断をしなければいけない局面が予想されると思います。繰り返し言いますけれども、しかしそこはガバナンスの仕組みを作った上で経営の判断というのは重視をしたいと思います。個々にはいろいろな問題が出て来ようかと思いますが、今、私が申し上げたような基本方針の下で適切に対応して行きたいと思います。

問)

収益計画なのですけれども、大きく分けて二つ考えられると思うのですが、一つはリストラでコストを落として行くという部分と、もう一つはもっと積極的に稼いで行くという部分があると思うのですけれども、例えば積極的に稼いで行く部分については、融資の金利を上げるとか手数料を上げるとかユーザー側に負担を持たせる形でないと恐らく収益というのは伸びないのだと思うのですが、この銀行の顧客というのはそういうことが許されるような顧客ではないと思うのですけれども、リストラ以外に本当に収益というのは伸びるのですか。

答)

それは正しくどのようなビジネスモデルを作るかということに尽きているのだと思います。例えば中小企業向けの貸し出しの増強を行うと。その時に例えば融資に様々な付加価値をつけて行くということもあろうかと思いますし、年金や不動産、信託等の業務に係るグループのシナジー効果を発揮していくということも当然この計画の中でも考えているわけです。これは正にビジネスモデルを大胆に構想していただいて、その中で付加価値を高めていただきたいということですから、しかるべく利益に見合うようなサービスを提供して行ってもらいたい、そういうことを念頭に置いてしっかりとしたビジネスモデルを構築して行って欲しいと思っております。

問)

資本増強の商品構成の根拠について、もう少し詳しく教えていただけますか。

答)

基本的な考え方はガバナンスをしっかり効かすと。しかもこれが国民の目にも分かり易いようにするという意味では、普通株というのを軸にやはり増強すべきであろうと。過去、優先株で入れた例もありますけれども、やはり株価がいくらかということである程度、今、注入した資金がどうなっているかというのを見るというのは、私は非常に分かり易いメッセージだと思うのですね。従って普通株で出来るだけ分かり易くしたいというのが発想の基本にございます。しかし同時にこの普通株を非常に多額に入れる場合は、いわゆる希薄化というか、ダイリュ-ション、一株当たりの資産、一株当たりの純資産、一株当たりの利益があって、それが市場動向に影響を与えるということも少し懸念しなければいけない。その意味で普通株の今度の注入の株数は現状における発行株数と同数というふうにいたしました。それ以外の部分については、議決権付きの優先株で発行したと。その意味では我々としては出来るだけ分かり易く、すっきりとした形でこの商品構成を議論したつもりでおります。

問)

これまでに入れた優先株の転換ですが、検討というところまで行ったのですけれども、結局しなかった理由は何ですか。

答)

これは基本的には既に70%を超える議決権を我々としては持っていると。3分の2を確保するということが今回の商品構成の中で実現したということ、それとそうした点も踏まえて考えるならば、今の時点で転換するのが財務上も有利かどうかということも勘案したわけです。結果的には今回の商品設計の中で7割を超える議決権を保有したということでありますので、今の時点で転換をする必要はないというふうに判断をしたわけです。

問)

いわゆる含み損が実現するとか世間では言われている、それも今、触る必要がないという判断でしょうか。

答)

それも含めて財務上の問題はいろいろ検討いたしました。

問)

社外取締役の方がインタビューなどで、数値目標と良く仰っているのですけれども、この健全化計画はざっと見たところはROEとかROAというものにはあまり触れていないように見えるのですけれども。

答)

この中でもないわけではありませんが、基本的にはこれから新経営陣によって新たなビジネスモデルが構想されて行かなければならない。その中で収益目標とか様々な目標についても検討してほしいというふうに思っております。

問)

利益の絶対額をもっと高めるようなプランにしてほしいということなのでしょうか。それとも筋肉質にする、いわゆるROAとかROEとか、それはどちらですか。

答)

そこは実はテクニカルには非常に検討しなければいけない問題だと思います。これも世界のいろいろな銀行の再生の過程を見ますと、極めて具体的な目標を5つとか、そういうものを作ったところもあるというふうに聞いておりますし、いやいやもっと少ない目標で非常にクルードな、原数値に近いところで管理して行く方が良いのだというような、いろいろな議論があるというふうに承知しております。そうした専門家の議論も深めながら、我々も今後、更に検討を深めたいと思います。

(以上)


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