日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年10月9日(月)10時02分~10時53分)

【質疑応答】

  • 長官)  お手元に既にいろいろ資料配布してあるかと思いますが、まず金融庁長官談話から読まさせて頂きます。

    (金融庁長官談話―千代田生命保険相互会社について―)

    以上でございます。金融再生委員長の記者会見は午後5時頃を目処に行うことを予定しておりますが、詳細は後程金融再生委員会の方からご連絡させて頂きたいと思いますが、談話を朗読させて頂きます。

    (金融再生委員会委員長談話―千代田生命保険相互会社について―)新しいウィンドウで開きます

    以上でございます。これは先程申し上げましたように、大臣は今、鳥取の被災地の方におられまして、聞きますと米子空港がまだ離発着ができないようですので、おそらく鳥取空港の方にお廻りになってお帰りになるんじゃないかと思うのですが、午後5時頃を目処に記者会見を行いたいということになっております。後程連絡させて頂きます。

  • 問)  新規の契約に関する業務の停止なんですけれども、これは金融庁による業務停止命令と考えてよろしいんでしょうか。

  • 長官) これは実は午前6時45分に裁判所に申し立てをされる前に、当庁に対しましても、保険業法241条第3項の規定によって事業継続困難の申し出がなされました。なされましたが、その直後、裁判所に先程申し上げましたように会社更生手続の開始の申し立てを行っておりまして、裁判所から速やかに保全処分がなされて、保全管理人が選任されて、その中で、もしそういうことが行わなければ当庁として行うであろう業務停止命令、その他の処分と同様の裁判所による命令がなされておりますので、私どもとしては特に何か今回アクションを起こしたということはございません。

  • 問) ここ2~3日の間で千代田生命からどういう申し立てがあったのか、その辺のところを詳しく教えてください。

  • 長官) ここ2~3日といいますか、私どもが更生手続の開始の申し立てを行うことを知ったのは、先程申し上げましたように、当庁に対しまして午前6時45分に報告を同時に受けたわけですけれども、先週末10月6日(金)の夜に千代田生命からは会社更生手続開始の申し立てを行うことを検討しているという旨の報告がございました。

  • 問) 数字的なことをお聞きしたいのですが、自己資本の状況の平成11年3月期について報告を受けていますが、その2000年(平成12年)3月期の数字と直近の期末の数字を教えて頂きたいのですが。

  • 長官) 当社が既に記者会見で発表されておられていることだろうと思いますけれども、資産・負債の状況の見込みですが、平成11年の決算では有価証券含み損益が△約1,828億円、不動産の含み損益が△509億円でございました。内部留保の方は資本の部が1,294億円、価格変動準備金が157億円、危険準備金が294億円、解約返戻金の超過額が746億円、その他75億円、合計227億円のプラスでございます。これが平成11年の3月期決算です。一番直近のものにつきましては、この9月末で私どもが当社から報告を受けておりますが、これに寄りますと、ソルベンシー・マージン比率がこの9月末現在で221%、それから有価証券含み損益が△2,199億円、不動産の含み損益が△509億円、資本の部1,201億円、価格変動準備金163億円、危険準備金294億円、解約返戻金超過額が696億円、その他が12億円で、当社から今日おそらく発表されていると思いますが、そういうことでマイナスの、実質有価証券の含み損益も加えますと、△343億円ということのようでございます。見込みですね。

  • 問) 2000年3月期が156億円ということですか。

  • 長官) 2000年3月期ですか、2000年3月期はまだ申し上げてないんですけれども、失礼しました。どこですか、どこをお知りになりたいのですか。

  • 問) 平成11年度決算の156億円に対応する数字なんですけれども。

  • 長官) もう一度申し上げましょうか。有価証券含み損益が△約1,828億円、不動産の含み損益が△509億円、これが含み損益です。内部留保の方は資本の部が1,294億円、価格変動準備金が157億円、危険準備金が294億円、解約返戻金の超過額が746億円、その他が75億円、合計227億円のプラスです。

  • 問) すいません。それ間違うといけませんので、後程事務局の方から、もしできましたら頂ければと思いますが。

  • 長官) 後で配布させて頂きます。

  • 問) 半年で227億円から△343億円になったというのは、どういう背景、原因があるんでしょうか。

  • 長官) 数字だけ見ますと、この9月期はあくまでも見込みの数字なんですけれども、先程申し上げましたように有価証券の含み損益が△1,828億円から△2,199億円に増えているということが、一番大きい理由ではないかなと思われます。

  • 問) 千代田生命の方は何と仰っているんですか。

  • 長官) 千代田生命の方がそう言っているわけです。

  • 問) 一般的な話でいいんですけれども、更生手続が開始されて更生計画が確定されて、解約ができるようになるのは大体どれくらいかかるのでしょうか。

  • 長官) 何ができるようになる…。

  • 問) 解約や新規募集ができるのは大体どれくらいからできるんでしょうか。

  • 長官) それはあくまでも裁判所がこれから、保全処分がなされただけで更生手続の開始決定がまだなされていませんけれども、おそらく近日…1週間ぐらいで出されるのではないかと思いますけれども、その後開始決定があった後、この更生管財人が選任されて更生管財人が更生計画を策定されるということになりますので、私どもの方から今のところ、どのくらいの期間で更生計画が策定されるかということは申し上げられませんけれども、少なくとも更生計画の策定の中で金融庁としても、この計画案に意見を述べることが可能というふうにされてますので、私どもとしてもできる限りこの更生計画の策定には協力していきたいというふうに思っています。特に更生計画の策定の中でも、例えば条件変更を含むような契約の移転でありますとか、あるいは新商品の認可でありますとか、あるいは株式会社化、この千代田生命は現在相互会社ですが、株式会社化する場合であるとか、あるいは分割したり、合併したりするといったような、そういう認可事項がございますので、もちろんそういう場合には当庁としての対応をきちっとしなければなりませんけれども、それに止まらずできる限りの協力をしていきたいというふうに考えているところです。

  • 問) (生命保険契約者)保護機構の財源なんですけれども、保護機構そもそもから使うかどうかということについては、どのように考えてますか。

  • 長官) ご案内のとおり保護機構は、責任準備金の90%までを補償することで保険契約者の保護を図ることになろうかと思いますけれども、本件の場合にはまだ財務の内容を先程申し上げたように更生計画を策定する中で詰めていきませんと、どのくらいにどういう状況であるかという財務の状況がわかりませんのであれなんですが、見通しだけから言うと、間違いなくそれは責任準備金の90%までは補償されることは間違いありませんし、財務の内容が良ければ、それ以上の補償も可能だということになると、その際には保護機構のお世話にならなくても済むことも十分に考えられるのではないかなあというふうに思います。保護機構自身も更生計画の策定の中には、保険契約者の代理人として、この策定にも参画していくことになりますので、策定計画それ自体も契約者の利益を十分に反映したようなものになるというふうに考えられると思います。

  • 問) 9月末の段階で、他に実質マイナスになっているところはあるんでしょうか。

  • 長官) 私どもは今そういう情報は全く承知しておりません。

  • 問) 更生特例法を使うことによって、今までの保険業法での破綻処理と比較すると、どういう点が違うのでしょうか。

  • 長官) 早期に申し立てが行われておりますので、傷が浅くて済むということがまず挙げられようかと思います。これによってのれん代も高く維持できるのではないかなあと思います。また、保険業法に基づく破綻処理ではありませんので、更生手続を選択することによって、企業イメージの低下が小幅に止められるのではないかなあというふうに思います。それから更生手続の方が劣後ローンなど一般債権はもちろんですけれども、劣後ローンなどもカットできますので、契約者のためにもなるということも挙げられましょうし、いろいろ従来の保険業法上の破綻処理とは違った新しいスキームが用意されているというメリットは非常に大きいものがあるのではないかと思います。

  • 問) 受け皿というか、支援企業が出てきて民間企業としてまた再出発するんですけれども、その前に、どの段階で予定利率の引き下げを考えてますか。今までですと、受け皿会社に一般債権等が移るんですが、今回はどうなるんでしょうか。

  • 長官) これは裁判所がこれからスポンサーを決められることになりましょうけれども、更生計画を策定する中で、そのスポンサーの関与の度合いによって、その予定利率の変更があるのかどうかといったようなことも、更生計画の中で決められることになりますので、それはあくまでもこれからの更生計画の策定の内容にかかってくることではないかというふうに思います。

  • 問) スポンサーというか支援企業の見通しも含めて千代田生命の方からは、更生計画の中身について今もちろん詰めきってはいないと思いますけれども、見通しについて金融庁の方にはどのような報告があるんでしょうか。

  • 長官) 今日の記者会見でも発表されたというふうに理解していますけれども、例えば現在のところスポンサーとしてAIGをスポンサーとして、今候補として挙げておられるということを聞いておりますし、将来会社がきちっと更生して、かつその保険契約者の保護をきちっと果たしていくために、これからスポンサーの果たす役割というのが非常に大きなものになってくるだろうというふうに思います。

  • 問) もちろん今後の予定利率の見通しとか、スポンサーがどのくらい出すかとか、そういったことによって変数が大きくて見通しは難しいとは思うんですけれども、先程の保護機構問題なんですが、まだ第百生命とか、大正生命とかまだ確定していないものもありますが、財源は限られているわけです。この財源について枯渇するような事態というのは考えられないんでしょうか。

  • 長官) 先程申し上げましたようにこれから財務の状況を更生管財人がいろいろ調べをしていかれて、更生計画を策定する中でどういう状況であるかということが自ずから明らかになってくるわけですけれども、現在の見通しでは少なくとも、先程から申し上げているように責任準備金の90%まではもう補償されることは間違いないばかりではなくて、財務の内容が良ければそれ以上の填補も可能だというふうなことも考えられますので、そうなるとするとその保護機構の方には、ご迷惑を懸けないでも済むのかなあというふうに考えております。

  • 問) 全く保護機構から一銭も出さないような状況も考えられるのでしょうか。

  • 長官) そこは考えられると思います。

  • 問) 保険業法に基づく破綻処理の場合にも具体的に個別の保険商品ごとの保護の度合いというのは、非常にちょっと一般の契約者からは判りにくいんですが、特に今回のような新しい更生手続に基づく処理ということになると、一層その個別の保険契約ごとの状況が判らなくなるんですが、もしできたら、細かい話になるので事務局からでも結構ですけれども、今判る範囲で整理して頂けるとありがたいのですが。

  • 保険課長) 国庫からの資金援助等の考え方ですけれども、これは今回の更生手続の場合と、それから従来といいますか、これまでいろいろございました業法手続による場合と、それは基本的に同等でございます。具体的な内容については正確に申し上げた方がよろしいと思いますので、今整理したものを持って参りまして、それで後程またご説明させて頂きたいと思います。

  • 問) 当初、東海銀行の支援あるいはアリアンツという具体的な名前も出ておりまして、その支援等があるということでしたが、金融庁としてはこの点についてはどういうふうに報告を受けられていますか。

  • 長官) 千代田生命としては、先程から申し上げているような財務状況ですので、基盤の強化を図るために金融機関で支援要請などを行ってきたことは承知しております。ただ、どことどういう交渉をしてきたかについては私どもとしてコメントする立場にはございません。ただ、その交渉をする中で具体的な成果が得られませんでしたので、このまま事態を放置すると保険契約者に大きな損害を与えかねないということから、この今回の会社更生法の適用の申し立てを行ったものだというふうに承知しております。

  • 保険課長) 先程ご質問の点につきまして、ここでお答えをしたいと思います。まず補償対象となる保険契約でありますけれども、これは全ての生命保険契約が補償の対象となります。個人保険、個人年金、団体保険、団体年金こういったものでございます。補償限度は責任準備金の90%までを補償するとこういった考え方、但し、平成13年3月末までの特例措置でございます。個人保険、団体保険につきましては、平成13年3月末までに支払い事由の生じた死亡保険金、入院給付金、これについては全額を補償するということになっております。但し、満期保険金ですとか、生存給付金といったものは除かれます。それから同じく平成13年3月末での特例措置でありますけれども、個人年金保険、財形保険につきましては、これは責任準備金の全額を補償するということになっております。また、この生命保険契約者保護機構からの資金援助等とはまた別の話になりますけども、いわゆる契約条件の変更というようなこと、これは別途あり得るということでございます。

  • 問) 具体的にお伺いしますけれども、2001年3月末までの満期返戻金とか、あるいは2001年4月以降の死亡保険金というのはどういう扱いになるんでしょうか。

  • 保険課長) これにつきましては先程申し上げた原則の責任準備金の90%までを補償するというここの本則に戻るということになります。

  • 問) 今回の更生特例法で事実上破綻だと思うですが、早期是正措置を出してなくて破綻したというのは保険契約者にとってはかなり衝撃が大きいと思うんですよ。そこですみませんがなぜ破綻したのかというところの要因を考えておかなければならないと思うんですが、9月末の財務状況を見て実質債務超過になったからなのか、あるいは資金繰り破綻なのか、あるいは東海銀行が支援を断ったのか、そこはどういうふうに考えられていますか。

  • 長官) 少なくとも早期是正措置の問題については、先程から申し上げてますように今年の3月の決算の時点では、263%ございましたし、見込みですけれどもこの9月期、1週間前の見込みでは221%ございまして、問題はその見込みで有価証券の含み損益、あるいは不動産の含み損益なども考慮した場合の実質資産負債で言うと、見込みとしては負債の方が343億円ばかり多いという状況の下で、まだ早期是正措置そのものを発動する条件には至っていなかったというふうに私は思っています。それと保険会社の場合には銀行の場合と違いまして、ご指摘のようなこともさることながら、やはり保険契約者の保護を図る必要があるということが非常に大事なわけですから、早期に今回のような、先の通常国会で成立したばかりの法律ですけれども、それを活用されたということだろうというふうに理解しております。当然先程から申し上げてますように財務状況が厳しい状況でしたので、金融機関への支援などの様々なことに取り組んでこられたわけですが、この当社の経営判断として、この際そういった方法を模索するよりは会社更生手続を選んで保険契約者の保護を図り、将来の当社の更生を図っていくということを選択されたものだというふうに考えております。危機管理の方策としていろんなオプションがあり得るわけでしょうけれども、今回の場合は先の通常国会で成立したその法律が1つのオプションとして非常に重要なものになったということだろうと思います。

  • 問) そうだとすると、ソルベンシー・マージンで200%を越えて、事業存続の要件は一応行政手続上は満たしているのに、こういった破綻処理をせざるを得ないということは、やっぱり今おかれている超低金利の状況というのは非常に保険会社にとってとても存続がしがたいという経営環境だと思うのですが、金融庁の立場、あるいは長官ご自身のお考えとして、今の超低金利をどういうふうにご覧になってますか。政府はこの前日銀のゼロ金利解除について延期、再度の延期を求めたわけですけれども、長官の立場として今保険会社の破綻が5社目になるわけなんですけれども、こういう逆ざや状況と超低金利についてどういうふうに考えておられますか。

  • 長官) 金利政策について金融庁は何かこうコメントすべき立場でないことはかねてから申し上げてきていることでありますけれども、市場金利、あるいは最近はゼロ金利の解除がありましたけれども、依然として低金利が続いているということは生命保険会社にとって逆ざや状態が続いて、厳しい経営環境にあるということは昨年来ずっと指摘されてきていることで、私どももそこはよく認識しているわけです。ただ、生命保険会社も各社そういった厳しい環境の下で新しい商品の開発であるとか、新規の分野への参入であるとか、あるいは合併とか、あるいは業務提携など、いろんな方策を模索することによって、この厳しい環境を何とか生き抜いていこうという努力をしておられるわけで、確かにこれで幾つかの大変不幸な例になるわけですけれども、この厳しい環境を何とか乗り切っていってもらいたいものだなあというふうに思っています。ただ、一方、金利が上昇するとそれで生命保険会社はそれでいいのかということになると、必ずしもそういうことばかりは言えないわけで、一方では債券の価格が下がりますので、債券を多数保有している会社にとっては、また銀行もそうですけれども厳しい状況が予想されるわけですから、そういう金利の動向に左右されないこれからの経営の在り方ということを十分考えていかなければならないというのではないかなあというふうに考えております。

  • 問) 千代田生命以外にもかなり含み損を抱えている保険会社が他にもあると思うんですが、この辺についてはどうでしょうか。

  • 長官) 少なくとも私はそれは承知しておりません。

  • 問) この半年で含み損が増えたということですが、それは株式ですか、それとも他のものですか。

  • 長官) これは不動産の含み損益は変わりありませんので、有価証券の含み損益…。

  • 問) 株式ということでしょうか。

  • 保険課長) 株式です。

  • 問) 今度の更生特例法ですと、一般債権もカットできると思うのですが、一般債権分の額というのはいくらですか。

  • 長官) それは、結局これから更生計画を作成する中で、全社に対してどういう対応をするかということは、非常にこれは更生計画作成上のキーポイントになる点ですね、一般債権や、あるいは担保債権者、あるいは劣後債権者…そういう債権者に対してどういう対応をするかということは、更生計画作成上の重要なポイントですから、その中で決められていくことになりますので、ちょっと今のところ何%カットされるか、ゼロになるとか、ちょっと申し上げられません。

  • 問) カット率ではなくて、一般債権額についてなのですが…。

  • 長官) 額ですか?。額はですね、負債の総額は…その他負債ですね、責任準備金とか再保険とかを除いたその他負債は、平成12年9月末現在で2,658億円ですね。このうち、劣後特約付借入金というのが770億円、劣後特約付社債が109億円ございます。これが主な負債になろうかと思います。主な負債というのは2,658億円の内訳が770億円と109億円ということです。

  • 問) 契約の保護と劣後ローンのカットというのは、基本的に契約の保護の方を優先させるというふうに考えていいのですか。

  • 長官) どちらが優先されるかということもそうなんですけども、会社更生という立場…この会社を破産させないで将来とも契約者の保護を図りつつ、会社更生を図っていくという考え方が基本にあるわけですから、そういう観点から見るとできるだけ一般の債権なり、あるいは劣後債務を切り捨てることによって、保険契約者をできるだけ厚く保護していこうというのが、この会社更生法の目的だろうと思いますので、仰る通りだと思います。

  • 問) 解約は今日からもうできないのですか。

  • 長官) できません。裁判所からもう決定がありましたので。

  • 問) 裁判所が決定して…いつの時点から逆に(解約が)できるようになるのですか。一番最後の保険契約の移転の認可があって以降ですか。

  • 保険課長) 基本的にはそういった形になります。

  • 問) 千代田生命の経営内容というのがすごく厳しいというのは、昨年の検査結果の通知日から把握されていたと思うのですが、この1年間どのような御指導を千代田生命に対してされてきたのでしょうか。監督するサイドとしては防げなかったのでしょうか。

  • 長官) 昨年の検査結果自体は既にお示ししている通りでございまして、検査結果の2頁のところをご覧いただくとお分かりだと思いますけれども、含み損益は確かに1,801億円ございましたけれども、全部足しますと156億円プラスの状況で、ソルベンシーマージン比率も当庁が検査した結果、その他償却引当等を前提としたソルベンシーマージン比率をとってみても231.6%で、経営自体は大変厳しい環境にはありますけれども、決してこれが即、破綻とかそういう状況には検査の結果からはどうしてもそういうことは出てこないわけで、あとはどこの会社もそうですけれども現在の厳しい経済環境の中でどうやって打開していくかという、そういう自己責任が求められるわけでありまして、金融庁がそういう厳しい環境にある会社に対して何かこういうことをやりなさいとかというような立場にはありませんけれども、私どもとしてはシステム改革法の成立、金融ビッグバン以来、銀行・証券・保険の垣根が段々低くなっていきますので、業務を多様化することであるとか、あるいは生命保険の場合であれば損害保険との間で業務提携を図るとか、いろんな再編の努力、そういったものが望ましいというか好ましいものだというふうには考えているわけです。

  • 問) 確認なんですが、東邦生命とか第百生命のケースでは見せかけ増資や、あるいは飛ばしとかそういったものがあったと思うのですが、今回そういうものはとりあえず現状では確認されていないのですか。

  • 長官) はい、確認されておりません。あと、そういった問題についてもし何か考えられるとすれば、裁判所が選任される更生管財人がそういった面もきちっと調査されるというふうに思っております。

  • 問) そういうのが確認されて財務内容が極端に悪くなった場合は、更生計画ではなくて普通の破綻処理をするということですか。

  • 長官) いや、それはちょっと…少なくとも今回開始の申立てがあって、直ちに保全処分が行われたということは、将来の会社更生の見通しが非常に前途に開けているということでなければ、将来破綻するのではないかというようなことを考えれば裁判所もそういった命令は下されないのではないかというふうに思います。将来の、あくまでも会社の更生を目的とした手続きが開始されたというふうに理解していただればと思います。

  • 問) 改正保険業法での経営者責任の追及についてはですが、一応公的資金の枠を使う可能性がある中で、こういう保全命令が出ていると思うのですが、そこら辺はどうなんですか。

  • 長官) 今も申し上げましたように、いずれ近いうちに更生管財人が選任されることになると思いますが、その更生管財人が更生計画を策定される中で、もしそういった問題があるとすればそういった問題に対して更生特例法に則った処理をされるというふうに思います。

  • 問) 一般企業の会社更生法と変わりないということですか。

  • 長官) いや、一般企業の会社更生法の場合には親法と言いますか、その会社更生法という法律が基本法としてあって、それに基づいて行われるわけですが、本件の場合には保険会社であり、かつその保険会社が相互会社であるということによって、この特例法の改正がなされ、これが適用されるわけですから、この相互保険会社に対する特例の手続きというのはいろいろ規定されております。そこは一般の会社の会社更生手続きと違うわけですが、一番違うのは何が違うかというと先程から申し上げてますように保険契約者の保護を図るということ、これがやはり一般の会社更生法でいうところの通常の債権のように取り扱えないわけでしょうから、更生特例法です。

  • 問) 公的な保護もあり得るということの裏返しに、一般企業より経営責任の問題に対して厳しい結果がなされるというふうに考えていいのですか。

  • 長官) これは事案の内容にもよると思いますけどもね、あくまでも更生管財人がいろいろ調査をしていかれる中でどういうふうにその中身を把握されるか、それにかかってくるのではないでしょうか。

  • 問) 来年の3月で死亡保険金の受け取りなどの特例が切れるわけですが…あと半年弱なんですけれども、金融庁全般の問題としてお伺いしたいのですが、例えば地方銀行などの銀行向けの注入もあと半年で切れるわけですね。大分、セーフティネットを徐々に取り除かれていく状況で保険会社・銀行は未だ大変な状況だと思うんですよ。では、こんな状況で大丈夫なのか、半年後を迎えられるのかというふうに、今回のセーフティネットは半年後になくなっていくという状況の中でどういうふうに長官はご覧になっていますか。

  • 長官) いずれそういうセーフティネットがなくなることを今私どもとしては来年の3月からではなしに、その先のペイオフも含めて金融システム全体を強固なものにしていかなければならないという、いろんな形で今努力を払っているところでございます。仮にそういうセーフティネットがなくなった場合であっても預金者や、あるいは保険契約者に対して不測の損害を加えることのないようなそういうシステムを構築していかなければならないというふうに考えています。

  • 問) あと半年しかないんですよ。

  • 長官) はい、しっかりやっていきます。

  • 問) 具体的にはどうなんですか。特に生命保険会社のケース、特にソルベンシーマージンなんかが低いところもあると思うんですけれども、有価証券もかなり相場が悪くなっているような状況で、あと半年しかないんですけれども…。

  • 長官) オフサイトモニタリングをより一層強化して、個社の財務の状況を9月末時点でしっかり把握していきたいというふうに考えています。まだ(9月)末からそれほど日にちが経っていませんので100%把握しきれているわけではありませんけれども、できるだけ早くきちっと全体を掌握した上でとるべき措置があればきちっとした措置をとっていくことを考えております。

  • 問) 2000年9月期ベースの保有契約高というのはどのくらいなのですか。

  • 長官) 9月の契約高は…今年の3月期では47兆6,156億円ございました。総資産が3兆5,019億円、保険収入料が4,842億円、経常利益は215億円。

  • 保険課長) 9月末時点につきましては当方で報告を受けているのは、財務的なデータについて報告を受けているということでございまして、保有契約高については全て把握しておりません。

  • 問) 総資産は?。

  • 保険課長) 総資産は、9月末の見込みで言いますと、3兆784億円となっています。

  • 問) この半年は解約が多かったと思うんですけれども、この解約が多かったというのはどこで見ればいいのでしょうか。

  • 保険課長) 財務的なデータから直接にそれを見るというのは、なかなか難しいところがあろうと思います。解約失効高といったような数値を別途持っているという必要があると思います。

  • 問) (質問聞き取れず)

  • 保険課長) この解約失効高自体は、今回のデータには含まれておりません。

  • 問) 12年8月末の契約者数というのも分からないのですか。契約者数以外は全部8月末(の数字)なんですけれども。契約者数は12年3月末で150万人あまりですが、これの8月末とか9月末とかは分からないのですか。

  • 保険課長) 8月、9月末のデータがあるかということでしょうが、それは把握してございません。

  • 問) ソルベンシーマージンが200%を超えているということは、必ずしも破綻にならなかったということではないと思うんですけれども、その一方でこうやって更生特例法を申請することで契約者の方のカットというのは決まってしまうわけですね。そうしたその視点…つまり必ずしも行政上は破綻しなくても良かったにも関わらず、会社が自主的に特例法を申請することで保険契約者がある程度の損害を被ってしまうということについて金融庁としてはどのようにお考えなのでしょうか。

  • 長官) 破綻しなくて良かったというよりも、当社の判断として特例法を適用することによって、もしこのまま特例法適用を申請しないで、例えば契約者が大幅に減少したり、場合によっては取り付け騒ぎが起こるとか、いろんな危機の状態に陥ってからそういう破綻処理に入るよりは、むしろまだ将来の更生の見込みがあり、保険契約者をできるだけ保護していけるという時点で更生手続きの開始の申立てをされたということは、当社の判断ではありますけれども、速やかに行われたというふうに思います。

  • 問) そうすると、これまでの保険業法に基づく破綻処理よりは、各社が自己の判断で特例法を申請することの方が望ましいというふうにお考えでしょうか。

  • 長官) 望ましいというか、まあこの6月の通常国会で成立したばかりの法律ですけれども、従来の保険業法に基づく破綻処理の持ついろんな欠点といいますか、欠陥というか、そういったものを十分に補うだけの法律として成立したわけですから、これを第1号になるわけですが使われたということはそういう意味があるものというふうに思います。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る