日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年12月25日(月)17時00分~17時22分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

今般、金融庁としまして、シンボルマークの制定・使用は、当庁の任務につきまして、広く国民の理解を得ることの一助になると考えまして、省庁再編を機に、ご覧のマークを制定して、平成13年1月6日から使用することとしたので、ご紹介したいと思います。このマークの趣旨は金融庁の英文名称の「Financial Services Agency」の頭文字の「F、S、A」を並べて図案化したものでありまして、中央が「S」ですが、この「S」の部分は、円滑な金融の流れを表現し、その両側からこの流れを守っているという、こういうイメージになっております。

色につきましては、水色でございますが、これは円滑な金融の流れと金融庁の行政の透明性を表現したものでございます。このマークは職員から出されたデザインを基にしまして、職員の意見を汲み上げながら検討を進めて、制定したものであります。このシンボルマークが広く国民の間に浸透し、当初の目的どおり、金融庁の担っている任務について理解を得る一助になれば幸いであると思います。なお、この「金融庁シンボルマークの制定について」と題する簡単なメモと、それから色の濃さを表す、例えばシアン(澄んだ青緑色)とか、それからブラックとか、それの%(パーセンテージ)を示すカラー版の縮小といいますか、例えばこれから名刺に使ったり、レターのレターパッドに使ったり、あるいは封筒に使ったりする時の現物のカラー版をお帰りの際に、ご興味とご関心のある方は持っていって頂きたいというふうに思って、後ろに用意してありますので…。

最初はどの程度の作品が集まるか正直申し上げて、当初は不安もありました。私自身も何かいいデザインはないかと思って、やっぱりいろいろ考えたのですが、私自身は別に応募はしませんでしたけれども、結果としては80を超える力作が集まりまして、文字通り自画自賛ですけれども、いいマークが出来上がったと思っております。この制定につきましては、本年の7月から、つまり新しく金融庁になりましてから、図案の募集を開始しまして、応募作品に対する職員投票であるとか、あるいは専門家の修正・デザイン化の依頼、出されたデザインについての検討・修正を経て、今月半ばまでに最終決定したものであります。その間に要した費用としては、専門家に対しまして、職員から出された図案の修正、デザイン化、並びに封筒等の版下作成費として支払った約95万円でございます。

諸外国にもこういったマークを使っているところはございますが、ここにそれぞれ白線が入ってますけれども、これは「F」と「A」の視認性、まあ目で見て、ぱっと判かるように、これが「F」、「A」というもので入れたものですけれども、中央の流れを守る手を表しているという意味もあるそうでございます。まあ一つこれからこういうシンボル・マークを使いますので、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

問)

その新シンボル・マークの関係ですけれども、他省庁とか、それから海外などで、こういう行政機関のロゴ・マークを作っている例が、もしありましたらご紹介頂きたいのですが。

答)

外国では、例えばアメリカでは財務省の通貨監督局(OCC)、それから商品先物取引委員会(CFTC)、それから英国では我々のカウンターパートであるFSA(金融サービス機構)等において、何らかのマークを作成しております。

他省庁につきましては、現在既にいくつかの省庁において、制定使用しているところがありますほか、この省庁再編を機にマークの作成を検討している省もあるというふうに聞いておりますけれども、詳細については承知しておりません。

問)

株価の問題なんですが、今日はかなり上がったようなんですけれども、依然として、非常に低い水準で推移しているという状況は変わらないと思いますが、先般政府として、税制面など、いろいろな対策をしていこう、考えていこうということで、そういう機運があったやに思うんですけれども、こういう非常に低い局面を受けて、もう一段政府として、何か税制面、その他対策を考える必要があるのか、それとも当面は状況を見守るというふうにお考えなのか、金融庁としての現在の姿勢をお聞かせください。

答)

株価の問題は大変難しいところがございまして、私の方から何かコメントするというのもいろんな意味で大変難しいわけですけれども、現在お尋ねの何か検討しているかということに関しまして、私の承知している限りでは、政府として現在何か株価対策を検討しているということは承知しておりません。しかし、いずれにしましても、私どもは金融機関を監督している立場として、今後の株式市場の動向については引き続き注視して参りたいというふうに考えております。お話のように今日は500円余り持ち直したというか、上がりました。まあ、あんまり一喜一憂せずに、株価のことはマーケットによく聞いていくことがいいのではないのかなあというふうに思います。

問)

関西興銀、東京商銀の在日韓国人系信用組合の破綻から1週間余り経ちましたが、現在までの2信用組合について、取引先、それから資金の流出状況など、簡単にお伺いできますでしょうか。

答)

関西興銀、東京商銀の業務については、現在金融整理管財人による管理の下で、円滑に業務が継続されているというふうに承知しております。いずれにしましても、当局と致しましては、この金融整理管財人による管理の下で、善意かつ健全な借り手や預金者等に対する保護が円滑に行われることを期待しておりまして、できる限りの支援をして参りたいというふうに考えております。

年末という時期でもありますし、関西興銀、東京商銀の借り手の資金需要につきましては、金融整理管財人の業務管理の下で、善意かつ健全な債務者への融資は、きめ細かな対応を図ることとしているわけであります。また当庁、あるいは各財務局から関係省庁や都道府県、あるいは政府系金融機関等に対しまして、各種制度融資等の運用に当たって、迅速かつきめ細かな対応を行うなど信用供与の円滑化のために万全の対応を行うよう要請を行っているところであります。

問)

今日の午後、その在日韓国人系の信用組合の合併についての記者会見がございまして、その取り組みについて金融庁として、これからどう対応されるのかということなんですが、今日の会見の内容としては、健全な19の信用組合が合併すると、ただ、期間的には来年7月までに合併した上で、新銀行を設立ということで、非常に時間のない点を一つと、それから公的資金の申請を考えているということを会見で言われたのですが、その辺についてもどうなるか状況よっては難しいかもしれないという不安定な要素が非常に多いという印象を持ったのですけれども、この統合構想について、それから公的資金の申請について、これから金融当局としてどう対応していくかという点をお願いします。

答)

本日、今お話しになったような記者会見が開かれたということは承知しておりますが、今いろいろ中身のご紹介がありましたけれども、私どもはまだ事実関係をよく承知しておりませんので、本日の記者会見についてコメントすることは差し控えたいと存じますが、従来から韓国系の新銀行の設立につきましては、在日韓国人信用組合協会(韓信協)の銀行設立構想と、それから韓日銀行設立構想の動きなどがありまして、これらの構想の実現に向けた検討が進められているというふうに聞いております。当局としては、こうした動きについてコメントする立場にはありませんけれども、いずれにしましても、今般の関西興銀、東京商銀の両組合の破綻を踏まえた今後の在日韓国人社会等における合意形成の状況等を見守って参りたいと思っております。破綻している信用組合は、関西興銀と東京商銀だけでなく、既に金融整理管財人が派遣されている朝銀もいくつかあるわけですが、そういったところも含めて一日も早く、そういった受け皿が設立されることが望ましいなあと思っております。

公的資金の注入につきましては、まだそういった検討が進められているというふうに聞いているだけで、まだ明らかになっておりませんので、今のところ何か申し上げるという段階にはまだないのかなあと思います。

問)

地銀・第二地銀の公的資金の申請と、信金・信組の同じく公的資金の申請で、現在それぞれ申請に向けた動きが、それぞれの業界で出てきているかどうか、金融庁・財務局のヒアリング状況を踏まえて現在の見通しをお願いします。

答)

申し上げるまでもないと思いますが、早期健全化法に基づく公的資金の注入というのは金融再生委員会の所管事項でありますので、金融庁の方から何か申し上げるとういうことはなかなか難しいわけですけれども、聞いていることとして申し上げますと再生委員会事務局に対して事務的な相談はあるけれども、何か正式な申請という段階に至っているものはないというふうに聞いております。個別のことにつきましては、それぞれの金融機関の経営判断でございますし、そこでどんな検討が行われているかということについてのコメントも金融庁として何か申し上げることは差し控えたいと思います。

問)

信金・信組については、先日かなり前ですが、できれば年内にそういう動きが…というお話があったかと思いますが、その辺りは状況としては如何でしょうか。

答)

そうですね、前から私もこの場で申し上げたと思いますが、金融再生委員会がある間に、例えば信金・信用組合に対する公的資金、今まで一例もありませんけれども…既に基本的な考え方は金融再生委員会から出されているわけですけれども、それが具体的なものとして結実しておりませんので、委員会が存在している間に将来の先例となるようなものがあればいいなというふうには思っておりましたが、信金・信組に対する資本注入は再来年3月までございますので、それまでの間にまた必要があれば、個別の信金・信用組合がいろいろ個別の経営判断をなさって、信金・信組に対する資本注入に関する基本的な考え方に沿った対応をして頂きたいものだなと思っております。

問)

金融再生委員会の合議体の機能を金融庁に移行するというお話しがあったと思いますが、その後どうなりましたでしょうか。

答)

これも私前から申し上げていることですが、3条委員会が果たしてこられた役割は非常に大きかったわけで、それが廃止されて独任制の官庁になって、そういう委員会なしでこれから仕事をしていかなければならない、その重責を考えますと再生委員会がなくなることに対する寂しさというか、そういったものがあるわけですけれども、また一部でそういう報道がなされたことも承知しておりますが、大臣からは前も申し上げたと思いますが、再生委員会が廃止された後の行政のあり方について検討するようご指示を受けまして、現在検討中でございます。検討中ですが、まだちょっと検討内容について、ここで確たることを申し上げるという段階にはまだ至っておりませんので、それは差し控えさせて頂きたいなというふうに思います。

問)

今回の予算で公的資金の注入額といいますか、全体の枠が大幅に大きくなったという印象を受けたのですが、そうでもないのですか。

答)

これから来年の3月までというのが一つの括りであるというのと、それから来年度の予算ですから、来年の4月から始まり再来年の3月までの間の問題として何が必要かということを考えた上で組まれた予算です。だた公的資金の注入についてはご案内の通り来年の3月で信金・信組を除いてはそれで終わりになりますし、それから信金・信組については、その後一年間あるということで、先程申し上げたように、既に示されている指針に従って、やって頂くということになろうかなと思います。

問)

信組の集中検査なのですが、意見申出ということが具体的に出てきて相当な数になってきているようなのですが、相当な数というのは、どの程度なのか分からないのですけれども、数については把握されているのですか。

答)

ご案内の通り、意見申出制度というのは、検査受検の金融機関から当庁の検査部長宛になされるもので、長官からは検査部長に任せてありますので、そこは具体的にいちいちですね、どこの金融機関からどんな意見の申出があったかということは、いちいち聞いておりませんけれども、検査部長の方できちんとした対応をしてくれているものと思っています。また、検査の過程で十分に受検金融機関と検査官との間で意見の交換が行われて、それでもなおかつ、何かご意見があるということはそんなに多くはないのではないかなと思っていますけれども、もし詳細についてということであれば、検査部の方にお聞き頂ければありがたいと思います。

問)

シンボルマークの4つの波線というは、何か意味が…、手というか4本にした意味があるのですか。

答)

何と言うのでしょうか、デザインとしての「F」を表すためには、何か真ん中に一つ棒が必要なのでしょうけれども、これはデザインですから、ちょっとよく分からないんですね。非常に抽象的な…あまり具体的にデザインを解釈するのはどうかなと思いますね。ただ、そういうどうも意味を持っているらしいと、支える意味…、「S」を支える「F」と「A」という…。

問)

ちょっと考えたのは、4つの局ができるので、その4つの局の意味なのかなと…。

答)

いろいろ解釈があると思います。例えばアメリカ合衆国の国旗にしても出来た時の州の数が最初は線で表されて、段々増えていくに従って星の数が増えていったというような州の増加によってそのデザインが変わるということもありますし、今解釈されたように最初の出だしが4局だということから4本だというふうに解釈されるとすると、どこかにまた星を増やしていかなければならないので非常に解釈が難しい。こういうものの解釈というのは難しいなあと思います。しかし、これを作られた方がどうもそういうことを言っておられるということを先程ご紹介したわけです。

問)

具体的には、どういうところでお使いになるわけですか。

答)

まず差し当たっては名刺ですね。もちろんまだ名刺が出来ておりませんですけれども、各職員が、個人個人が名刺として使う。それからよく外国との間のですね、文書の接受に際して、今まで私も外国機関へレターを発出する時に何のマークのない、ただ「Financial Services Agency」という頭書きだけのレターパッドを使っていましたので、寂しいなという感じは持っていましたけれども、今度はレターパッドの頭のところにパッと入りますし、エンベローブにも入る。差し当たってちょっと今考えているのはそんなところですかね。

問)

何か看板に付けるとか、旗みたいなのを作るとか、そういうことはないのですか。預金保険機構は、何かそういう旗みたいなものがありますが。

答)

そうですね、預金保険機構には確かにありますね。預金保険機構にはありますが、旗は国旗だけで十分だと思います。預金保険機構は何というのでしょうか、国のある種の一つの法人、設立された法人ですけれども、金融庁は国の機関そのものですから、あまり国旗以外の何か旗を作るというのもどうかなという気がしますけどね。

(以上)

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