日野金融庁長官記者会見の概要

(平成12年7月3日(月)15時00分~15時25分)

【質疑応答】

問)

金融庁発足おめでとうございます。

答)

ありがとうございます。

問)

これからもよろしくお願いします。それでは、長官の方からお願いします。

答)

皆さんを代表してご祝辞を頂きまして、本当にありがとうございます。この監督庁の2年間本当にお世話になりましたが、これからも引き続きよろしくお願いしたいと思います。

それでは発足に当たりまして談話を発表させて頂きたいと思います。

(「談話-金融庁発足に当たって-」を読み上げ)

以上6つが、基本的な考え方でありまして、これらの理念に基づいてこれから金融庁の行政を行って参りたいと考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

問)

率直な感想として、今日、金融庁発足を迎えられまして、どういう思いをされましたか。

答)

先程、谷垣金融再生委員長からもご訓辞を頂きました。その中で、委員長が述べられたことですが、金融庁はこれから安定的で活力ある金融システムの構築、金融市場の効率性・公正性の確保といった重要な課題が山積する中で、この6カ月前倒しといいますか、中央省庁等改革の先陣を切って設立されたものでございます。そういう意味で金融庁に課せられた使命は非常に重大でございまして、国民の期待も大変大きいというふうに思っております。

従いまして、私といたしましては、このような認識に基づきまして、先程大臣からもご訓辞がございましたが、金融再生委員会や、あるいは大蔵省の各財務局とも緊密な連携をとりながら、これから大変な困難な課題が待ち受けているかと思いますけれども、積極果敢に取り組みまして、国民の期待に応えて参りたいというふうに考えているところでございます。

問)

具体的には制度面では銀行法改正とか、談話でありましたように金融のルール作り、金融サービス法とかそういうものがあったり、監督・検査のところでは信用組合の問題がなんかがあると思いますがこの辺問題についてはどういう展望をお持ちですか。

答)

先程、談話の中でも申し上げましたように、金融庁におきましては、まずこの経済活動の基盤をなす金融システムについて、一層の安定性を確立するとともに、活力を確保することが主要な課題になるだろうというふうに思います。

また、利用者にとって利便性が高く、国際的にみても重要で安定的な地位を保持し、この二千年紀ニューミレニアム時代をリードする金融のインフラを整備するほか、利用者を保護するためのルールの整備、その適切な運用、それから消費者教育の充実といったことを図ることも大変重要な課題になるだろうというふうに考えております。

さらに、これは金融監督庁当時から申し上げてきたことでありますけれども、明確なルールに基づく透明かつ公正な金融行政の徹底、金融行政の専門性・先見性の向上と体制の整備、外国金融監督当局との連携の強化といったことにつきましても、さらに引き続いて努力していく必要があると考えております。

先程ご指摘がございましたように、様々な課題が待ち受けているわけでございますが、先程申し上げましたように積極果敢に、今ご指摘頂いた問題に取り組んで参りたいというふうに考えております。

問)

新しいルールの整備についてですけれども、具体的に大蔵省から金融企画機能は引き継ぐことにはなると思いますが、まず大蔵省時代に手つかずといいますか、手をつけても結果になっていない積み残し案件がいっぱいあると思うのですが、具体的には今後、金融庁として何が課題になると考えていますか。

答)

今ご指摘頂いたように、大蔵省金融企画局当時にいろいろ取り組んでこられた課題の中で、積み残しといいますか、宿題になっている課題は、ここで、いちいち列挙いたしませんけれども、例えば6月末に金融審議会の答申が行われましたけども、そこでも様々な課題が取り上げられ、答申されているわけでございます。これらに対しましては、できるだけ早急にこの金融審議会の答申を踏まえた上で、私どもに引き継がれたわけですから、この引き継がれたということをよく踏まえた上で改めて金融審議会を早急に開くことも視野に入れながら審議会で更に一層検討していただいた上で、ご答申を頂くなり、私ども自身としてもこの引き継がれた様々な課題に取り組んでいきたいというふうに考えております。

その中で何が一番重要かということは、なかなか、priority、優先順位をつけることは大変難しいわけですけれども、安定的で活力ある金融システムのためにどういった方策をとったらいいかとか、あるいは、ニューミレニアム時代をリードする金融インフラをどういうふうに整備していったらいいかとか、あるいは電子取引の進展に対してどういうふうに対応するかとか、あるいはまた、利用者保護に配慮した金融のルールの整備をどういうふうに進めていくかとか、あるいはこの裁判外紛争処理制度、いわゆるADRですけれども、これも含めた本格的な金融サービス法を制定すべきではないかとか、本当に様々な課題が目前にあるというふうに認識しております。これらに対して、先程から申し上げておりますように私どもとしては、積極果敢に取り組んで参りたいというふうに考えているわけです。

問)

説明責任について伺いますが、記者会見の方法等を変えられるということを既にこちらに知らせて頂いておりますが、どういった点を改めて考えていますか。

答)

一番大きな違いは、この金融監督庁当時は、検査・監督という具体的な事案の処理が中心でしたから、どちらかというと控えめといいますか、保守的というか、抑制的というか、そういう態度を私どもは皆様方に対してとっていたのではないというふうに考えております。しかし、これからは企画・立案機能が私どもに課せられた課題になります。この企画・立案機能というのは、検査や監督の具体的な案件の処理と全く違いまして、最終的な処理の方針が固まってから皆様に対して、あるいは、最終的に処理した後に皆様方に対して、これを明らかにしていくというのではなくて、本当に赤子の時代からといいますか、胎児の時代から皆様とよく対話を重ねながら、世論の動向といいますか、そういったものもよく睨みながらやっていかないと企画・立案の仕事はできないというふうに考えております。従いまして、金融庁はその大変相異なる性格を有する仕事を抱えておりますので、検査・監督の面については、あるいは従来と同じように皆様にとっては、あるいは報道管制を敷いているのではないかといったような印象を持たれることがあるかもしれませんけれども、少なくとも企画・立案の機能を果たしていくためには、従来とは違った対応の仕方を私達はしていきたい。そういった意味で、先程も談話の中でも申し上げましたが、その時々の各段階での説明責任を果たしていくように努めたいと考えております。従いまして、従来、長官と次長の記者会見も併せて週に1回ということでした。長官が月1回、次長が月3回でしたけれども、長官は少なくとも毎週1回は皆様にお目にかかりたいというふうに考えておりますし、あとの週1回は次長、あるいは次長でない場合には、総務企画部長なり、他の部長によってこれを補うということで、少なくとも定例的には週2回やっていきたいと考えております。あるいはこれは既に皆様にご連絡しているかと思いますが、月曜日と木曜日をこれに当てたいというふうに考えております。その他、私が部長にお願いしているのは、単なる記者会見の場だけでなくて、できるだけ記者の皆様方と懇談を行うことによって、私どもの企画・立案の方針なり説明責任を果たしていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いしたいというふうに考えているところです。

問)

金融大学校の設立構想についてですが、これは税務大学校みたいなものをイメージしているのか。

答)

先程申し上げましたように、実は正直に申し上げて、まだ査定当局に、お金、あるいは人(ヒト)の面でお話をしているわけではありませんので、先程申し上げたような視野に入れてということですが、真剣に考えております。問題はご承知のように最近の金融技術の大変な進展あるいはグローバル化、国際的な金融取引の増大などによって、私どもの先見性あるいは知見の向上というものが、非常に強く求められている時代だろうと思います。そう言った意味で研修が不可欠なわけですけれども、現在はご案内だと思いますが、市ヶ谷にある大蔵省の財政金融研究所において、大蔵省と共同で、例えば財務局の職員に対する研修などを実施しておりますが、研修はそういう形で実施するとしても、やはり研究部門がどうしても必要になってくるだろうというふうに考えております。そういった意味で、特に税務大学校とか、特定の施設を念頭においているわけではありませんが、研修・研究を進めることによって、私どもの金融行政がこれから時代に即応したものとなることができるような、そういう人材を育成していくためにどうしても必要なことではないかというふうに考えておりますので、それを視野においている。予算、あるいは人員の面でのこれから夏以降の努力を進めていかなければならないなと思っているところです。

問)

企画部門と監督・検査部門とのファイアーウォールみたいなものについて、一体どういうふうにお考えになられているのか。もう一つは金融庁発足以降、大蔵省との関係については一言でいうと、どういう関係になるというふうにお考えでしょうか。緊急時以外は、財・金分離という面から見て一言でいうとどういう人事になるのかなということをお伺いしたいわけです。

答)

まず、前段のお話ですが、日本の役所はどこの役所でもそうなんですが、省によっては局あって省なし、あるいは日本国全体として言えば、省あって国なしと言われるくらい組織の独立性が非常に強いと思います。これは日本の公務員それぞれが持っている特性といいますか、自分の仕事は自分がしっかりやって、他からの干渉を受けたり、また、逆に自分も他に対して容喙しないといったそういう伝統的な日本の役人は昔から教育を受けてきておりますので、先程申し上げたように局あって省なしとか、省あって国なしと言われるような、むしろ、そちらの方の傾向が強いわけで、おそらく黙っていれば、決してその金融の企画・立案部門と検査・監督との間に、何かお互いに侵したり侵されたりするということはまずない。むしろ、今は「部」ですが、来年の1月からは「局」になりますが、部あって庁なしとか、局あって庁なしといったようなことがないようにしなければならないくらいではないかと、これは一般論として申し上げてですね。ただ問題は、総務企画部の所掌事務の中に人事と会計というものが入っているということなのです。どこの役所でもそうですが、官房というのがあって、そこで人事・会計をもって全局に対して目配りをしている関係になるわけですが、当庁の場合には、この成立のいきさつからいきまして、そういった官房の組織を設けることが中央省庁改革の観点から総務企画部ということで一本化されたわけで、会計や人事を持っている総務企画部が、自分の所に対する部と他の部に対する処遇の仕方が異なっくるようだと、おそらくご心配のような、総務・企画系統が検査や監督の事務に何か茶々を入れるといいますか、容喙するという、くちばしを入れるとか、そういうことになってくる可能性があるのではないかと。確かにご心配のところはそうだろうと思いますが、私は総務企画部長に人を得たと思っておりますし、監督部長の経験を持っている人ですから、そういうことはまず考えられないというふうに考えております。

後段のご質問で大蔵省との関係はどうなのかということですが、これは特に大蔵省との関係というよりも、どの省庁との関係も同じですが、例えば共管の官庁である農林水産省との関係もそうですし、それから労働省との関係もそうですが、どの省庁ともそれぞれ法律に基づいたお互いのリレーションシップというのがあるわけであって、そういったその関係に基づいて、お互いに事務を律していくことになりますので、その点のご心配は要らないと思います。

それから人事の点はどうかというご質問でしたが、金融庁の行政を運営していくに当たっては、従来からやはり金融行政に従事してきた人の力というものを借りざるを得ないことは事実でありまして、そういった意味では、大蔵省にそのかなりの部分をお願いしなければならないことも事実ですけれども、しかし、今回の人事、今日は数字を持ち合わせておりませんが、かなりの方々を大蔵省以外のところからも私どもとしては来て頂いておりますし、また、民間からも来て頂いているということで、どこか特定の省庁にだけ偏った人事交流をするということは私どもとしては考えておりません。淡々とやっていきたいというふうに考えております。

問)

金融大学校のことですが、これは来年度予算でということですか。

答)

それが、まだ、私の方からそのようなことが言える段階ではないのですが、視野に入れて考えているということでご理解頂きたいと思います。まだ財政当局や人事当局との間で何か話しているというわけではありませんので、ワーッと大きく出ると財政当局や人事当局は、「俺のところに話もしないで、そんなことを新聞にぶち挙げて、誠にけしからん」ということを言われることは必至ですから、そこは一つよろしくお願いしたいと思います。視野に入れてということでお願いしたいと思います。

(以上)

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