森金融庁長官記者会見の概要

(平成13年6月11日(月)17時00分~17時37分)

【質疑応答】

問)

長官からは何かございますか。

答)

特にございません。

問)

先程の「資本増強行に対するフォローアップに係る行政上の措置についての考え方の明確化について」の確認ですけれども、公的資金の返済よりも、むしろ不良債権の最終処理を進めて欲しいと、そういうことでもないのでしょうか。

答)

両方ですね。今般、幾つかの銀行で当期利益の計画値より当期利益の実績が3割以上乖離したところが出ましたけれども、その原因が不良債権処理ということをまず重点において、それが不良債権処理した結果であるという場合にはどうするかということにつきまして、緊急経済対策の中にオフバランス化というものを進めるために、この3割ルールというものを明確にすべきだということが示されておりまして、それに従って緊急経済対策に書かれた趣旨に沿って、まず不良債権処理というものを重点的にやってくださいと、その結果として、3割以上が乖離した場合には本則に比べると、これだけ猶予的な措置をとりますよということを明確化したわけでございます。

皆様のお手許の資料の1、2、3と、こうあるわけですね。その中にそれぞれ(1)、(2)があるわけでございますね。それで(1)が本則を言っております。そして、不良債権処理を重点的に行った結果として、3割以上乖離したという場合が(2)でございまして、(1)の行政上の措置に対して、一等減じる形をとっていると。これを見てお分かりの通り、不良債権処理を重点的にやって、その結果として3割以上乖離した場合には、行政処分の対応としては、一等減じるという格好を(2)で示してあるということでございます。また1、2、3はそれぞれ段々重くなっていく、その中で(1)に対して、(2)が弱いと、こういうような組み立て方をとったわけでございます。

一方、記者の方がご質問なされた公的資金の回収と言いましょうか、そちらの方には力を置かないのかというと、それはそういうわけにもいきませんので、国民から付託を受けたお金を注入している以上、何とか計画通りきちんと回収したいということでございまして、そのために今度たまたま経営健全化計画の見直し時期にほとんどの銀行がなっておりますので、その見直しの際に、こういう3割以上乖離して、回収のため、国からの公的資金を返済する計画が狂ってしまった銀行につきましては、改めてそこを発射台に致しまして、予定通りの期間内に公的資金を返済できるような計画の見直しというものを当然立ててもらわなければ困るわけでございまして、それは基本的には今以上に収益性の向上を図ったものでないといけない、そういうような経営健全化計画を出して頂くということで、最終年限は当初の経営健全化計画で示した返済計画と変わりないものにするということを目指しているわけでございます。そういう意味におきまして、目的は不良債権の抜本的処理を進めるとともに、一方、公的資金の回収という面でも影響が出ないような、二兎を追って二兎とも得たいということでございます。

問)

アメリカのブッシュ政権の経済政策チームが来日して、明日から日本側と協議をするようですが、その中で金融を含めた4項目について専門家会議みたいな枠組みを作りたいという方向のようですけれども、これについて金融庁としてはどういう形で関わっていくのでしょうか。

答)

そのように報道されていることは承知してますけれども、具体的にアメリカがどういう提案をしてくるのかということは、必ずしもはっきりしておりません。

ただ、一般論で申し上げれば、日米、つまり世界の経済大国の1位、2位の国でございますので、その経済運営は世界経済全体に対して、当然責任を持っているわけでございます。アメリカ経済も減速しつつある、また日本経済もいろいろな構造問題を抱え、成長率がはかばかしくないという状況の下では、当然世界経済に責任を持つ両大国が十分に意見交換をするということは極めて有意義なことだと思いますし、これまでも日米、いろいろ米国の政権が変わる中でそれぞれいろいろな名前をつけながらも、これまでも意思の疎通を図ってきた。今回、先方が政権交代に伴いまして、新しいフレームワークを構築したいということは当然だと思いますし、我々も積極的にそういうフレームワークを構築していきたいと思います。

そんな中で、それではどんな形の意見交換になるかということになりますと、当然ピア・プレッシャーの下での自由な意見交換ということ、これは日米金融協議など名前はいろいろ変わりましたけれども、日米金融協議が1985年でしたか、始まって以来、ピア・プレッシャーの下での自由な意見交換という、この大きな枠組みだけは変わっていないと思いますし、これからもそうしたと思っております。

そんな中で先方が日本の金融問題、実際は財務・金融問題ということになると思いますけれども、財務・金融問題を話し合いたいということであれば、もちろんこちらとしても、それに応じる用意はございますし、どういう形でやっていくのか、専門家会合という形でやっていくのか、どういう名前をつけるのか、それは明日から先方がそういうフレームワークの準備チームというものを日本側に送ってこられる、外務省中心にそれに対応するということになっておりますので、まずは先方のお考えも聞きながら、外務省と十分相談しながら、そういうフレームワーク作りというものをしていこうということになろうかと思いまして、今のところ金融庁として、どういうようなチャネルを作るということがいいかということについては正直言って、頭の中は白紙でございまして、まずは先方のお考えを聞いた上で、外務省と十分相談しながら考えていこうと、あるいは財務・金融会議ということになるのならば、財務省とも十分相談しながら考えていこうと、このように思っております。

問)

アメリカはかねてから日本の不良債権問題に強い関心を寄せていて、今回もそういうことが念頭にあるようですけれども、長官ご自身はそういった専門会議という名前になるかどうかは別にして、何を期待されますか。

答)

不良債権、不良債権と、象徴的に不良債権という言葉が使われますけれども、問題は産業の再生と金融の再生の同時一体的な解決、すなわち構造改革というものが重要なわけでございまして、言わばそれの金融側における、金融側に反映した問題というのが不良債権問題でございまして、何か不良債権が先にありきという問題ではないと思います。

ただ、そういう不良債権のまた裏側にございます、あるいは不良債権の方が裏側でございますか、不良債権の表側にございます産業の再生というものを一刻も早くやっていく。そして、それは結局裏側にございます不良債権問題の抜本的な処理ということにつながるわけでございまして、従いましてそういうことによって、産業の再生ばかりではなくて金融の再生、言わば金融セクターの構造改革というものも進められるわけでございます。こういうことをやっていく上で、日本側としての考え方を米側に説明する機会というものを持つということはそれなりに意義のあることだと思いますし、一方、日本側におきましても米側の現在の問題というものをいろいろ聞きたいと、お互いの経験を話し合うということは、冒頭申しましたように世界の1位、2位の経済大国として、大変有意義だし、またやらなくてはならない問題だというふうに思っております。

問)

今日、開業したソニー銀行について伺います。今日、早速ホームページにアクセスできないとか、口座が開けないとか、そういう苦情が相次いでいるようですけれども、長官としてはこういったことをどういうふうに受け止めてらっしゃいますか。

答)

すいません、今日ばたばたしていたもので今の話は初耳でございまして、ただ、ネット銀行というのはまさに言わばコンピュータを中心にするインフラが勝負の世界だと思います。そういう意味において、今の記者の方が仰られたことがそういう事実がもし発生したとするならば、弱ったことだと思います。

ただ、天下のソニーでございますから、機敏に対応してくださるものだというふうに思っております。

問)

この「資本増強行に対するフォローアップに係る行政上の措置についての考え方の明確化について」なのですが、要するに配当を払わないということをですね、3番目で認めるということというのは、国民のお金が入っていてですね、国民のお金が入った注入、そしてその戻ってくるべきお金が返って来ないのに、こういうものがポッと出てきて、簡単に結論をこういうふうに手続きを決めていいものなのでしょうか。

答)

配当を払わないのを認める認めないの問題ではないのではないかと思いますね。これはもう配当財源が枯渇したら、これは払えないわけでございまして、またその原因となるのが何かという問題。

まあ、現実に今のところ、その配当財源は枯渇した銀行はないわけでございますけれども、なんでこのような3番みたいな項目を設けたかということにちょっと触れさせて頂きたいと思うのですけれども、この中で「方針」という言葉になっているのは、確か平成11年9月30日に発表させて頂きました「資本増強行に対するフォローアップに係る行政上の措置について」新しいウィンドウで開きますのこういうことをやりますよということを書いたものでございます。それをその中の3割ルールの部分を明確にしたのが、今日、記者クラブの方に投げ込まさせて頂き、また財務局に通達した内容でございますけれども、この行政上の措置については、配当財源が枯渇した場合にどうするかということについては一切触れられておりませんでした。

今回、今日的に見ますと、いよいよ時価会計の導入ということもあり、当該企業の努力なり、そういうことに関わらず、予期せざる株価の変動によって配当財源が枯渇することがあり得るような状況にあることは確かだと思うのです。これは言わば観念的にですね。そういう場合についてのことを平成11年9月の中には書いていないということを踏まえまして、やはりそれをもこれを機会にどういうふうな、その場合は行政上の措置をとるのかというのを書いておいた方がいいだろうということで、本日お出ししたペーパーの1、2、4はその平成11年9月を敷衍した明確化でございますが、3は言わば平成11年3月の金融再生委員会時代に出した方針の欠落部分を埋めたものでございます。

ただ、現実に来年の3月期に配当財源が枯渇するかどうかということにつきましては、これはご承知の通り、株価というのはいろいろな要素で動くものでございますから、今の段階でそういう銀行があるということを前提にこれは書いたものでは決してございませんし、あるだろうと想定しているわけでもございません。ただ、いろいろな行政上の措置というのはあらゆる場合に対応できるようにやはりしておかなければならないということで、敢えて3を付け加えたわけでございまして、何も当局側がそういう場合を想定しているという意味ではございません。

問)

いや、想定しているからそっちに書いたのでしょう。

答)

いや、想定してません。

問)

想定していないのならば、別にいらないじゃないですか、そういう項目は。

答)

論理的には想定できるということでございまして、現実に想定しているという意味ではございません。

問)

今の株価でも論理的には想定できないということですか。1万3,000円台前半という…。

答)

それは各個別行によっていろいろ違ったので、そういうシュミレーションをしているわけではございませんけれども、しかし今の株価を前提にすること自体何の根拠もないんですね。

問)

今年の3月期の決算で、無理やり配当財源を作ることで、自己資本比率を下げる要因になっているという問題指摘もありますね、そして時価会計が更に入ってくると、一層自己資本比率が下がってしまう。そうすると不良債権処理ができなくなってしまうと。そうするとその矛盾を応援するというか、支える意味で配当を国の分も含めて出さないようにしようという方向性というのが出てくると思うのですけれども、幾つかの大手行とか、地方銀行でですね。

答)

今ちょっとご質問の趣旨が分からないので、意図的に配当財源を出さないということは考えられません。それはその時期に…。

問)

意図的に出していると言っているのです、今は。

答)

意図的に出している?。

問)

今は意図的に配当を出さない方がいいのに、配当を強めに出していると。資本注入を受けているのでね、国だけ。

答)

それは自然体に考えて配当財源があるから、配当して下さっているものだと思って、そんな無理やり配当しなくてはいけないから、無理やり、例えばですよ、どこか不良債権処理を甘めにして、配当財源を作ったという、そういうふうには我々は考えておりません。

問)

3番に株の転換の問題が書いてませんが、優先株から普通株への。この問題は想定していないということですか。

答)

そういうことではなくて、それはもう金融再生委員会時代にもう既に発表してあるからです。

問)

そういうことですか。

答)

もうそれは出ています。想定していないのではなく、それは想定してまして、きちっと転換権の行使についてよく調べて下さい。紙が出ています。

問)

資本注入に当たって、普通株でなくて優先株で出したという時の説明でですね、これはやはり全くの普通株よりも融資に形態的に近いものだと思うのですけれども、市場から見て、この配当が行われないことはデフォルトだというふうな認識をされかねないと思うのですが、長官はその辺りをどういうふうに思いますか。

答)

我々はそういうふうには思っておりません。劣後債や劣後ローンと違って、優先株というのは基本的には株でございまして、そういう面で自己資本の質という意味で、私は差があるとは思っておりません。

問)

それでもって市場の信認低下を招くということは想定はされないわけですか。意図がないということも。

答)

それはそういう銀行が現れた場合に基本的に配当が粛々とされる場合と、配当されない場合では、それは当然差が出てくるでしょう、マーケットの信認という意味においては。ただ、問題はその原因ですね。その原因によっては、それ程信認が落ちないという場合もあるでしょう。ですから、それはケース・バイ・ケースのことではないかというふうに思っております。

現実に今度の3月期の配当政策を見ましても、いろいろあったわけですね。3月は無配にしたところはいろいろありました。しかし、無配にしたところがその無配発表した時に、特に株価が下がったかというと必ずしもそうではない。それはやはりその銀行がどういう理由で無配にしたかということのアカンタビリティと言いましょうか、そういうこともやはり信認というのは大きく関わっていて、ただ一般的に申し上げれば、配当財源が余裕を持ってどんどん出来るところと、そうでないところというのは、一般的に言えばそれはどちらの方がマーケットからして好ましいかと言えば、それは十分な剰余金を持っている方が好ましいのではないかというふうには感じます。

問)

2番の市場の信認が低下したと認められる場合というのはどういうケースなのでしょうか。

答)

基本的には、これは方針のところに書いてあったと思うのですが、一応目安として、では何を持って市場の信認が低下したかと言うのは、株価とか、あるいは調達の際にプレミアムを付けられるかどうかとか、そういうようなことを見るというふうに金融再生委員会の時代に既に皆様方にお示ししていたところかと思います。

問)

転換権の行使の時にですね、どれくらい株価が下がったらどうだとか、そういう話はありませんでしたか。

答)

それはございませんでした。先程、ちょっと質問が出ました転換権行使についての当方のガイドラインと申しましょうか、考え方の中に何が書いてあったかというと、普通株での注入の要件が書いてあったわけです。

即ち著しい過少資本行になった場合と。それはやはり普通株での資本注入というのはどういう場合かというと、法律上著しい過少資本行、即ち国際基準行で言えば4%未満、国内基準行で言えば2%未満になった時に普通株での注入ということに法律上なっておりますので、それとのバランスからいきますと12%の銀行が10%に、例えば自己資本比率はそれしか低下していない、ただ株価は随分下がったという時に普通株に転換出来るかというと、それは無理だろうということで、法律の規定の仕方、考え方から、そういう転換権の行使についての考え方をとりまとめているわけでございます。

問)

3番で無配の場合は、業務改善命令の発動を検討するということなのですけれども、2番の必要に応じて検討するという表現に比べると、これは必ず検討するのかなと無配になったら。

答)

そうです、そういうことです。先程申しましたように1、2、3に行く程、重くなってます。かつ、それぞれの項目で(1)、(2)が(2)の方が(1)よりか緩くしている、そういう構成になっております。

問)

無配の考え方なのですけれども、株価というのは一概に銀行経営者の努力とは、また別のところで動いている要素もかなりあると思うのですね。そこで一種そういう最悪に見舞われて無配になってしまうというのが非常に気の毒なケースだと思うのですけれども、そこでちょっとかなり業務改善命令の発動の検討だと、ギリギリくるというのは、どういう考え方に立ってやっているのでしょうか。

答)

それは別の記者の方がご質問されましたとおり、やはり優先株で配当しておきながら、かつ当然色々な意味で優先されるべき株なわけですね。そういうものが無配になるということは、そういうことは当然有り得るわけですけれども、仮にそうなった場合は、やはり相当程度改善策と言いましょうか、抜本的収益改善策というのは、思い切ったものにしてもらわなければいけないし、かつそれがきちんと実行されるように実行命令、これが業務改善命令ですけれども、実行命令まで銀行法第26条に基づいてやるという重いものにするということでございます。

資本注入行である限りは、経営健全化計画ということを、基本的には世に出してですね、パブリックプレッシャーの下でそれを履行して行く、我々もそれを期待する、そういう世界なわけですけれども、さすがに配当財源まで無くなったとならば、これを銀行法第26条に結びつけて業務改善命令も打たなければいけないと、こういうことになろうかと。これは早期健全化法第20条第2項でしたか、銀行法を引用しているわけでございますから、やはりそこまで重いものになっていかざるを得ないのかなということでございます。

問)

不良債権の処理ということと、先程二兎と仰りましたけれども、銀行の経営体力というものを数字ではなく見た時によく分かならくなってしまうのですが、不良債権処理を積極的にやった結果、市場の信認が上昇するところと低下するところが出て来ると。不良債権処理を積極的にやれば評価は一定かと思うのですが、その時に低下してしまうというのは、これは経営体力以外にどういったファクターがあるのでしょうか。

答)

今ご質問があった記者の方が二つの反対の例を挙げられまして、良い方の例は頭に浮かぶのですけれども、悪い方の例があまり頭に浮かばないものですから上手く答えられませんけれども、一般的に言えばいろいろな面での収益力というものに対して、一般の評価が前者の例に比べると劣っているということではないでしょうか。従って、更なるリストラ等、更なる収益力の向上がマーケットから求められているということではないかと思うのですね。

従って、株価というものが一つのマーケットの評価だとするならば、不良債権処理の結果こうなりましたといっても、本当にこれが収益力の向上、必ず代替措置的な経営健全化策を発表しておりますけれども、それが市場の信認を得られるかどうかというものが、一つは株価に反映されるのではないかなあというふうに思います。

問)

ちょっと技術的なことを伺いたいのですけれども、無配になった時に議決権が生じる瞬間というは、どの瞬間だという、どの学説をとっているのですか。

答)

そんな学説があるというのは、私あまり詳しくございませんけれども、基本的なことを言えば皆さんご承知のように中間配当というのは、前期の利益処分なわけですね、当期の利益処分ではございません。従って、配当財源がないというのは、今で言えばこの3月期は皆あるわけですから、今で言えば万一のことが来年の3月期に起こった時に、6月の株主総会の時に議決権が復活するかどうかと、こういう問題でございますね。

従って、配当事項が株主総会事項でございますので、資本注入行が株主に対してどういう株主総会での議決を要求してくるかということによるのかと思います。

その上で今ご質問があった記者の方はもっと厳密にどの時点でということになりますと、正直言って配当しないという提案がなった時にその総会の始めから議決権が復活する、私らはそう思っておりますけれども、それ以外の説があるということでしたら、むしろ教えていただきたいと思います。

問)

優先株の我が国における歴史というのは、それ程長くないと思うのですけれども、実際に無配になって議決権を行使されたという例はあるのですか。

答)

私もよく承知しておりません。

問)

再生委員会の時の議論で、健全な銀行にお金を入れるということで経営健全化計画を求めてですね、それが3割まではいいだろうと、次は無配もこういう条件でちょっとやって行こうというので、段々後退していっていると。要するに経営状態がよろしくない状態になって行っているという点については、再生委員会の事務局長も務めた経験からどのようにお考えでしょうか。

答)

それは、確かに最初描いたシナリオからすれば、下振れしているということを言わざるを得ないと。ただそれは、基本的には経済の進展そのものが当初予定よりかは下振れしているということの反映でございますので、行政として決して言い訳は致しませんけれども、3割というのはそう簡単に3割以上乖離すると思っていたわけではございません。それが今日3割以上乖離したところが出てきたということは事実であると私自身は認識し、遺憾なことだと思いますし、何よりも早くこういう経済状況の中で、更なる個別の銀行が収益力向上策をとって行かなければいけないと私は思っております。それが各行自体が一番良く分かっていることでございます。

基本的には経済そのものが、ある程度回復することが期待されるわけでして、つまり私の言いたいことは、銀行というのは信用供与をすることで信用仲介機能を持っているというのが銀行でございますので、言わば経済に対する鏡として、そのまま銀行経営に跳ね返ってくるわけでございますので、銀行がどういうパフォーマンスを示せば経済が良くなるという話でもないと思うのですね。しかし、さはされど経済が一定状況悪くても、銀行がそれに持ちこたえられるだけの体力を持つことも重要だと思うわけでして、そういう意味において、こういう極めて厳しい足元の経済の下では、やはり銀行の一層の収益力向上というものが必要であると思いますし、また各行のトップもそのように認識しているものだというふうに思っております。

問)

経営健全化計画を大幅に見直すところは、当初入れた時の様にですね、もう一度トップの方に出て来て頂いて公に説明すべきだと思うのですが、その点は長官どうお考えでしょうか。

答)

それはちょっと想定もしていなかったことでございますので、ご意見はご意見として承りまして、検討していきたいと思いますけれども、ただそういう約束ごとがあって、かつて資本注入したわけではございませんので、今仰られたような意見を銀行側がどういうふうにお考えになるか、それも聞いてみなければいけないというふうに思っております。

問)

議決権の行使ですけれども、具体的にどういうケースを想定していらっしゃるのか、特に経営責任に関して、経営トップの交替等も含めた対応というのも考えていらっしゃるのか、その点は如何でしょうか。

答)

それはちょっと先走ったご質問かと思いますが、先程も申しましたように、議決権の行使というのは理念的に考えなければいけないということで、方針の欠落を本日埋めましたけれども、現実的に全然考えているわけではございませんので、どういう点で議決権をどう対応するかと言われれば、ここにございますとおり、「提案された定時総会の議案が優先株主に最大限配慮されたものとなっているか等の観点から、厳正かつ適切に行使する」と、こうとしか言いようがございません。

(以上)


資料(1) 「資本増強行に対するフォローアップに係る行政上の措置についての考え方の明確化について」(平成13年6月11日)
(2) 「資本増強行に対するフォローアップに係る行政上の措置について」新しいウィンドウで開きます(金融再生委員会 平成11年9月30日)

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