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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成14年11月11日(月)16時03分~16時25分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

本日、銀行トップと金融庁との会合がございましたが、これはどのようなテーマでどのようなやり取りがあったのかお話していただきたいのですが。

答)

基本的に、この前の金融再生プログラムについて当局側からご説明したということです。それで前向きな取組をお願いしたいということであります。

問)

銀行側からは具体的な要望とか、そういうものはあったのでしょうか。

答)

細かい中身はあれなのですけれども、いずれにしても当方の説明が大体30分かかっていますから、基本的な話としては16年度に不良債権問題を終結するということについては共通の認識になっていると思うのです。あとは今後、いろいろ検討すべき項目がありますけれども、その検討に当たっては良く意見交換をしながらお願いしますというお話があったのと、あとは金融と産業を一体的に再生して行くという話について、金融界は大変評価をしていたと。彼らも前向きに取り組みたいという事を仰っていたということです。

問)

金融再生プログラムについてお伺いしたいのですけれども、現在、作業工程表を作っていらっしゃるということですけれども、これはどのような形式、どのようなイメージのものになるのか、今一つ判然としない部分があるので改めてご説明いただきたいのと、あと、その中で、今日の銀行との会合でも出たかもしれませんけれども、税効果会計の見直しについて算入上限の具体策や実施時期について明記されるお考えはあるのかお聞かせください。

答)

まだ工程表は検討中ですから、そういう様式も含めていろんな角度から今検討中なのです。ですから、ちょっとまだお話出来るような段階にはないというふうに思っています。

問)

税効果会計の見直しについては、再生プログラムではちょっと曖昧な表現になっていると思うのですけれども、そこら辺は具体策とか、そういったものは出て来るのでしょうか。

答)

曖昧というか、「検討する」という項目はいろいろありますから、あそこの部分だけが特に曖昧だとは思いませんけれども、いずれにしてもまだ工程表でどういうふうに取り扱うか、正に検討中なのですね。

問)

具体策とか実施時期をいつにするかということも含めて検討されているということですか。

答)

「含めて」というか、まあ一つはいろんな角度から検討しているということです。それから、先週、自己査定と検査の格差を公表しましたけれども、そういうふうに早く出来るものは工程表というよりは、正に順次実施しているわけですよね。ですから、今申し上げられるというのはそういうことです。工程表はその時点でどういうふうに、11月目処になっていますから、どういう形にするか、今正に検討中だということです。

問)

今お話が出た金融庁検査と自己査定との格差も公表されましたけれども、これに対して銀行の見積もりはやはり甘いのではないかという批判の声も上がっているようですけれども、この件について長官としてのご所見と、あと格差が是正されていない場合には業務改善命令を出すというご予定ですけれども、これについての出す出さないの基準みたいなものというのはどういうものを考えていらっしゃるのかという事をお願いします。

答)

後者の方から先にお話しますと、それは正に今後良く検討したいというふうに思っています。いずれにしても自己査定が出来るだけ厳正になされると、実態に則した的確なものとなって行くという事は大変重要だと思うのですね。そういう観点から、今回のような公表をして行くということになったわけですから、そういう趣旨も踏まえながら、考え方は良く整理していかなくてはいけないというふうに思っています。

先週、1巡目の結果を公表したわけですけれども、あれはあくまで1巡目と言うと変ですけれども、検査マニュアルが11年の新しい事務年度に入って公表されて、それが適用されたのが12年3月期から13年9月期ですかね、まあ1回目ということもあると思うのですね。それとあと13年の後半には特別検査も入ったりしていましたから、それによっても検査結果が影響を受けたりしていますから、なかなか一概に評価するのも難しい面もあると思います。いずれにしても2巡目の状況は、またこれは1巡したところで公表したいというふうに思っていますけれども、現状では1巡目よりは、当然と言えば当然なのですけれども、格差は小さくなってきているというふうに理解しています。

問)

公的資金の注入を受けた北海道銀行が無配になる見通しになったということで、国は現在保有している優先株の取扱いについて、現時点でどのようにお考えになっているのでしょうか。

答)

北海道銀行は先週、無配になる見通しだという事を公表されたわけですね。その時に代表取締役の頭取の責任をどうするかとか、あるいは収益力の向上だとかリストラについてどうするというお考えも公表されていると思いますね。今後、具体的なそういうものを見ながら良く考えて行きたいというふうに思っています。

問)

北海道銀行なのですけれども、今回業績修正をして自己資本比率が6%台という事なのですけれども、春の時点では8%台だったものが、8月に金融庁の検査が入って、今回6%台と、一気に2ポイントも落ちたわけなのですけれども、正に自己査定と検査結果の乖離が極めて大きかったという事だと思うのですが、この点に関して何らかの処分と言いますか、そういったことはお考えにはならないのですか。

答)

細かい話はちょっと忘れたのですが、検査をやりますと、監督の方でまた報告徴求かけて、実状なり対応策なり、いろいろ報告を受ける事になっていますから、それを見て私なりに自分の頭を整理したいと思います。ただ、いずれにしても責任の明確化と、きちっとした収益力と言いますか経営の健全化というのが重要な事ですから、それを一番に、そういうふうな形になって行くのかどうかという事を良く注意して見て行きたいというふうに思います。

問)

産業再生機構についてですが、金融庁も今まで債権放棄ガイドラインとか、金融と産業の一体再生をやるためにいろんな方策を出されているのですけれども、今また新しくこういうものが出来ると、民事再生法とかもいろいろある中で、非常に重なるのではないかという気がするのですけれども、金融行政上は、これは活用出来るのかどうなのか、活用して行くとすればどういうふうに活用されるのか、どういうふうにこれを見られているかということをお願いします。

答)

要は金融の世界では、今お話があったように産業再生と言うか不良債権処理の一環として、企業の再生等にもいろいろ取り組んで来たわけですけれども、それはやはり金融の世界だけではなくて、産業サイドの再編なり、あるいは供給過剰体質と言いますか、そういうものも視野に含めた産業サイドからの考え方も入れて、政府一体として取り組むというわけですから、私共は正に非常に歓迎していると言いますか期待しているということなのです。

問)

金融庁としては、これは体制としてはどういう体制で臨まれるのですか。

答)

これは元々、これを実施と言いますか、企画立案していくのがどこかと、それから関係する各省庁という形になってくるわけですね。ご承知のようにこれを政府一体として取り組むわけですから、その具体的な検討は内閣府の方に担当大臣が出来、それから事務局が出来、そこで検討されるわけですね。それに対して、金融庁もそうですけれども、他の関係省庁もいろいろ意見を言ったり、あるいは相談も受けながら進めると思うのですね。ですから金融庁も正にそういう立場だというふうに思いますけれども。もちろんその体制の整備に当たっては、そこに人がいるわけではないですから、関係省庁から人も出して、あるいは民間の方も入れてになるのかどうか分かりませんけれども、そういう事で広い観点からいろいろ検討がなされるのだというふうに思いますけれども。

問)

再生プログラムの発表を受けて、銀行の方から資産圧縮の動きが出ているようですけれども、貸出金の減少といったような形になって現れているようですが、そうなると中小企業等に対する貸し渋りということも懸念されますが、行政としてどういう対応をされて行かれるお考えでしょうか。

答)

金融機関は、収益力の強化というのは非常に重要なのですね。ですから、そういう観点から、ただむやみに資産圧縮するわけではないと思うのですね。例えば海外資産を圧縮するだとか、あるいは証券化なり流動化なりしていくとか、融資を円滑にして収益力を高めていくという事との両立の中で、両立させる中で基本的にはものを考えていると思うのですね。だけど、今ご指摘のような心配がないわけではないと思いますから、金融再生プログラムでも、中小企業への円滑な金融という観点からいろいろな対策を盛り込んでいますし、貸し渋り・貸し剥がしを防ぐという観点からもいろいろな対策を織り込んでいますから、そこは十分に配意しているつもりなのですけれども。

問)

特別検査の再実施のことなのですけれども、去年から今年にかけての特別検査との一番大きな違いというのはどういうところでしょうか。

答)

それは、基本的に一定の考え方の下に対象にしていますね。その中で検査の効率化の観点から、もう一回やっても仕様がない部分があると思うのですね。ですからそこが違ってくる。だけれども、一方で新たに対象になってくるものもありますね。ですから対象が、従来は対象になったもので、今回は対象にならないものはあるでしょうし、従来は対象になっていなかったもので、同じような考え方でみると、今回は新しく対象になってくるものがあるということが違いになってくると思いますけれど。

問)

借り手ということですよね。

答)

借り手企業ですね。

問)

マニュアルの改訂というか、ルールを変えるところが有ると思うのですけれども、それとの関係はどうなるのですか。

答)

何の話についてでしょうか。

問)

特別検査に、今回プログラムで挙げられたようなディスカウント・キャッシュ・フローとか、そういうものを使って特別検査をやられるのではないのですか。

答)

もちろんタイミングの問題もありますが、基本的には特別検査は債務者区分の問題だと思うのですね。それで債務者区分に則った適切な引当といいますか、今までいろいろな意味でそういうふうにやって来たはずなのですけれども、更に新しい、今仰ったような引当だという話になると、その債務者区分に則った引当の計算方法がどうかという問題だと思いますけれども。

問)

引当は、ディスカウント・キャッシュ・フローにしたら変ってくるという問題があると思うのですけれども、そういうことは特別検査の中ではおやりにならないということでしょうか。

答)

特別検査は、基本的に債務者区分の問題だと思うのですね。特別検査というのはリアルタイムの情報を基に、この債務者がどういう債務者区分に該当するかということをチェックしているわけですね。それが破綻懸念なり、要管理なりの一定の債務者区分だという判断になれば、それに見合った検査マニュアルにある引当方法で引当をしていくということなのですね。ですから債務者区分が変わりますから、債務者区分が変われば引当も変わってくるということは当然なのですけれどね。

問)

その引当は、つまりその新しいルールで変わってくるということがあるということですね。

答)

あり得るでしょうね。あり得ますね、それは。だけれども、先程申し上げたようにタイミングの問題はもちろんありますね。例えば、もう過ぎてしまいましたけれども、13年9月期の債務者区分がどうかということで、その前にチェックする時は、もちろんその時はないわけですから。今度また、15年3月期に向かってそういうことをやるとすれば、当然それに見合って債務者区分が変れば、その時にある引当の方法で計算するというのは当然ですね。

問)

一部の報道で、BIS基準の見直しという報道があって、今日、銀行株を下げているようですが、事実関係と、行政としてどのような対応をしていくかお伺いしてよろしいでしょうか。

答)

BIS規制の見直しについては、今はまだ検討中で、来年の第2四半期に第3次案が公表されると、それで来年中に最終案が公表ということで今作業をしているわけです。それで、その新BIS規制で銀行の持つリスクをどうするか、より正確に計算するということを目指しているわけですが、大雑把にといいますか、申し上げて、例えば債権について言えば、信用力の高い優良企業向けだとか、あるいはリスク分散がされ易い中小企業とか個人向けだとか、そういうものの自己資本負担は軽減する方向で、今検討されているのですね。一方で、リスクの相対的に高い資産については、必要な自己資本を割り増すという方向で検討がなされているわけです。ですから一概に自己資本がたくさんいるかどうかということではなくて、より正確に計算するということを目指してやっているわけですから、それはそれぞれの銀行の債権の構成といいますか、それによってまた負担が違ってくるわけなのです。ですから一概に重くなるとか、軽くなるとかは、なかなか個別に当てはめてみないといけないと思うのですね。それからこれは平成18年の末から実施するということですから、その時の状況がどうかということを良く念頭に置く必要があると思うのですね。それで不良債権という観点から言いますと、16年度には終結するということで、今、皆が色々と努力しているわけですね。18年末がどういう状況になっているか、皆が努力してきっちりとなされれば、いずれにしても、増えるか減るかも実際は個々の金融機関の中身によって違ってくるのですけれども、しかも16年度に正常化が終結しているとすれば、18年末から始まる決算期というのですか、について、現時点でどうこうという問題ではないと私は思うのですけれども。とにかく16年度の終結に向けて努力するということが全てではないでしょうか。繰り返しになりますけれども、増えるとか減るとかは、本当に中身によって銀行の資産構成といいますか、それがその時点でどうなっているかによって違ってきますから、一概に増えるとか、場合によっては軽くなる金融機関もあるかも分りませんが、一概には言えないというのが本当のところだと思います。

(以上)

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