五味金融庁長官記者会見の概要

(平成16年11月29日(月)17時01分~17時19分)

【質疑応答】

問)

大手銀行の中間決算が出揃いました。不良債権比率は4%台に低下し、半減目標はほぼ達成されたかと思うのですが、これを以って不良債権問題はほぼ終結したと見てよろしいのでしょうか。

答)

確かに不良債権比率は目標の達成に向けて極めて順調な低下を示していること、これは事実であろうと思います。その意味では全体として見ると17年3月期の目標達成というのは視野に入ってきていると考えます。ただ、実際の各主要行の不良債権問題への取組みを見てみますと、特に大口の融資先という非常にリスクの高い重要な部分について、現在再建計画の策定の途上にあるという債務者もありますし、特別検査の結果の発表の時にも当庁から申し上げたと思いますが、一部にやはり大口先の処理の遅れが見られるという事実もございます。従いまして本当に17年3月期に産業と金融の一体再生ということが実現して不良債権問題が正常化したと言うためには、まだまだ銀行においても当局においても油断なく対応しなければならない課題があると思います。従いまして16年9月期というのは、17年3月期の目標達成に向けた通過点ということでございますので、この時点で終結したしないといったことを申し上げるのは適切ではないだろうと思っています。

問)

改正信託業法が成立しました。年内施行という話も出ているのですが、法の施行の時期と新規の参入を促すということでどの分野からの新規参入が予想されるかについて見通しをお願いします。

答)

おかげさまで両院で精力的なご審議をいただいて26日に成立を致しました。12月3日に公布される予定だということです。この施行でございますが、金融資本市場の基盤整備を進めるために不可欠ということで国会にもご審議を急いでいただくようお願いをしてきたというようなこともございますので、できるだけ速やかに施行できるように努めたいと思います。そのために、関係政令、府令等を速やかに作成いたしたいと思います。施行時期はこうした手続に要する時間を考えながら、早ければ年内施行ということも視野に入れているところです。また他方、この法律の施行に対する民間事業者の皆さんの準備の必要性もあるでしょうから、所要の経過措置というものを設ける必要があるという点も含めて検討中です。

それから新規参入に関連したお話ですが、信託業法に大きく二つポイントがあって、受託可能財産の範囲の拡大と、一般事業会社にも参入が可能になるという二つでありますが、この受託可能財産の範囲の拡大、知的財産権も含めてということですが、この点に関連したニーズとして、例えば、考えられますのは、知的財産権のグループ企業内での集中管理といったようなニーズ、それから、TLO(技術移転機関)、このTLOによる大学技術の企業等への移転の促進といったニーズ、特許とかブランドといった知的財産の管理を専門とする方を受託者としてベンチャー企業や中小企業等が権利の効率的な管理を工夫してもらいたいというニーズが考えられますので、こうしたニーズに対応したそれぞれの新規参入者が期待されるということだろうと思います。

それから一般の事業会社も信託業参入が可能になることに関連して考えられますニーズというのは、一つは不動産会社が不動産の販売や賃貸に関して有しておられるノウハウを活かして受託不動産の管理運用業務を行うというニーズ、或いは信託会社が投資家から信託を受けた資金を利用してその資金を中小企業等に貸出しをしていくというニーズ、或いは金融機関以外の方が様々な信託商品を提供することでその収益を目指すといったようなことで、金融機関以外の方が信託業界に参入したいという一般的なニーズ、こういったような色々なニーズがあると思います。これに対応した新規参入ということも期待されると考えています。いずれにしても多様なノウハウを持った色々な事業者の方が新規参入してくることで国民の資産管理、資産運用ということに、より一層の効率が加えられることを期待しています。

問)

先日の経済財政諮問会議で「金融重点強化プログラム(仮称)」に地域金融機関の不良債権処理目標を検討するような指示が出ました。長官のお考えとして今現在、どのような数値目標が望ましいとお考えなのかお聞かせください。

答)

25日の経済財政諮問会議では「地域金融機関の更なる強化・健全化について数値目標を含む具体的なシナリオのあり方について検討を深めるべきである」というような御意見を頂戴したと承知いたしております。従いまして数値目標というものについて、その導入が必要であるのか、或いは必要でないのか、そうした是非ですね、こういったことも今後の検討の課題になると考えられます。同時にまたその際には、数値という概念を新しいプログラムに地域金融機関との関係で、仮に導入するのが適切であるとするならば、どういう導入の仕方をすると最もプログラムの効果をあげることになるのかといったようなことも併せて考える必要があると思います。大事なことは改革が進む、或いは成果が出るということで地域の金融機関利用者の皆様がより金融機関から効果的な支援が得られるということ、それによって地域が発展していくということ、これに向けて何をしたら有効なのかという視点で検討をする必要がある。そういった視点でこの数値目標も含めて検討をしてみたらということについて、その数値なるものをどうするのかということを模索していくことが大事だと考えています。

その際やはり幾つか留意すべき点があって、一つは「金融再生プログラム」を作りました14年10月の時点では、中小地域金融機関というのは主要行とは違う特性を有するリレーションシップバンキングのあり方といったそういうものを多面的な尺度から検討する、とそういう視点で中小地域金融機関の不良債権処理を考えるということが言われ、結果としてこのアクションプログラムにおいては集中改善期間の2年間は中小企業の再生と地域経済の活性化を図る、そのことで同時に不良債権問題の解決を目指すという考え方が示された。要するに地域金融機関というのは地域から逃げられるわけではないので地域を良くすることで自分も良くなるというやり方を採る、またそれに適したリレーションシップバンキングというビジネスモデルを持っている、とこういう考え方だったということがありますので、この点は留意しておく必要がある。特に地域においてオフバランス化による不良債権処理促進という手法を採らなかった幾つかある理由の一つは、雇用の円滑な流動化ですとか、或いは人材活用の環境整備ですとか、こういったようなものが必ずしも地域の場合はできていないので、急速な不良債権処理をすると地域経済に重大な影響が出かねないといったようなこともあったわけでございます。こういった点は留意する必要があると思いますし、また地域金融機関がこういう形で経営していただくことについてやはり地域の個性というものがあるわけですから、地域の個性に応じ自分の金融機関の特色というものを活かしていく、そのことで地域の再生なり中小企業の活性化というものを図っていきたいと、こういうことだったわけですので全国一律の極めて強い規律付けというものがこの地域経済を発展させる、とそのために重要なキーパーソンとして地域金融機関が活躍をするということのために、有効であるのか有効でないのかといったようなことも考える必要があると思います。

また「金融再生プログラム」で一律の不良債権比率の目標というのを作りましたのは言わば緊急時対応だったわけです。主要行の不良債権問題というのが日本経済の重大な足かせになっている、或いはそのことが国際的な日本の金融システムに対する信認に問題を投げかけているといったようなそういう緊急対応を必要とするような状況の中で採られた策だったわけですが、現状の地域金融機関を巡る状況というのはそういったような緊急対応策を要求している状況なのかどうか、というような点もよく留意する必要があると思います。結局そういったことをあわせて考えますと、要するにやらなければいけないのは、このアクションプログラムに基づいてこの現状ですと一年半取り組んできているわけですが、この取組みというのがどういう効果を表したのかというこの取組みの評価、そしてこの取組内容の検証、こういったことをまずやってみる必要があると思います。その中から色々な議論が多分出てくると思います。こうした評価や検証をすることで、いずれにせよ健全な競争の下でこのアクションプログラムに書かれている様な色々な施策というのを更に強化・拡充させるということは、これはこれで必要なわけでありますから、そのこととそういったより良い地域金融機関、或いはより良い地域経済を作るというために数値という概念をどういうふうに織り込んだら地域の金融機関利用者にとって一番ハッピーな状態になっていくのかというような視点から検討するということが必要だろうと思います。

問)

今の質問と関連するのですけれども、「金融重点強化プログラム(仮称)」の数値目標に関してですが、地域金融機関について今のお答えで良く分かったのですが、大手金融機関はどうなのかと、「金融再生プログラム」では不良債権比率の半減目標というのがあって、ほぼ達成が視野に入ってきたのですが、新しいプログラムにおいては、例えば収益性の数値目標であるとか、或いは自己資本比率の数値目標であるとか、何かこれまでとは違った性質の何らかの数値目標を課す必要性があるかどうか、大手行について…。

答)

これも発想としてはそう違わない発想で考えれば良いのだと思うのですが、大手行について「金融再生プログラム」で導入された不良債権比率の削減目標というのは言わば緊急時対応であったと、信認を得るためにしなければならないというそうした正常化のための方策であったということですが、今度のプログラムというのはそうした負の遺産というものに決着が付きつつあるという状況の中で、今度は金融機関を利用する人達、まあ広く消費者に限らず金融機関を利用する人達全体にとって最も効率が良くかつ安心できる、そういう仕組みというものを作るために行政としては何をしなければいけないのだろうかと、こういう視点になります。従ってこれは何か当然備えていなければならないものが備わっていないのでそれを取り戻そうということではなくて、より発展はしていって大きい選択の幅というものを国民に提供する。そのことは「幸せ」という言葉と「選択の幅の広さ」というのはかなり重なる部分が多いわけですから、そういう形で国民の将来というものを明るいものにしたい、こういうプログラムです。そうするとそこで数値というものをどうやって使うかというのは、また同じようにそういう国民の選択肢をできるだけ広くする、そしてそこから得られる効用を自己責任で享受できるような安心感のある仕組みを作る。そのことを実現していくために数値というものを使う必要があるのかないのか、使うとしたらどういう使い方をしたら最も効果が上がるのかという視点で考えるということだと思います。これも同じ事です。

経済財政諮問会議ではプログラム全体についても数値というようなお話について検討するという御要請が来ていますので、同じようにそのプログラムの目指すものを最も効果的に実現していくために数値というものをどう使うのか、或いは使う必要があるのかないのか、そういう視点で検討しておくということになると思います。具体的にこの数値に変えてこの数値というようなことを申し上げる段階にはありませんし、またそれが不良債権比率の削減目標のような目標値という形で設定するのが適切なのかどうかというのもあわせ含めてこれから詰めていくということになります。

(以上)

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