平成20年7月3日
金融庁

野村證券株式会社に対する行政処分について

証券取引等監視委員会よりインサイダー取引の嫌疑で刑事告発を受けた野村證券の元使用人らによる株式取引等に関し、金融商品取引法第56条の2第1項の規定に基づく同社からの報告書、同社が設置した特別調査委員会の調査報告とこれを受けた同社の再発防止策等の内容を踏まえ検討した結果、以下の状況が認められました。

  • 法人関係情報に係る不公正取引の未然防止態勢上、業務の多様化、国際化の流れに即した内部管理態勢のあり方等の観点から、十分ではないと認められる状況

    • (1)近年の金融の国際化、社内人材の多様化の進展というグローバルな流れの中で、同社も業務の多様化、国際化を進めており、こうした時代の流れに即した情報管理態勢・業務運営態勢になっていたかとの視点から検証をした結果、法令(金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第5号)違反とまでは言えないものの、以下のとおり、不十分な点が認められた。

      • 1社内の情報管理態勢に全く問題がなかったとは言えないこと

        • 職員の職業倫理に関する研修の実効性等の問題
        • コードネームの使用の不徹底、ホワイトボードの記載方法の不統一
        • 採用後間もない職員に対する情報の中枢部門への配属
      • 2平成15年の同社元課長によるインサイダー取引事件を踏まえて見直された社内規則・手続きは、当時としては十分であったとしても、必ずしもその後の同社の業務の多様化、国際化に適合したものに変更されていなかったこと

      • 3当社は、今後も業務の多様化、国際化を進めていくものと予想されるが、そうした業務の進展に応じた十分な社内管理態勢を、動的に構築していくことが求められており、その構築のために十分な態勢・仕組みを用意する必要があること

    • (2)当社としては、自ら特別調査委員会を設置し、その調査内容を公表するとともに、これを受けた再発防止策や責任の所在の明確化を図っている。

      しかしながら、更にこれに加え、当社は、今後の業務や環境の変化に応じ、新たに必要となる追加的な措置を自ら特定し遅滞なく実施に移すための態勢といった一段と高い内部管理態勢を構築することが求められており、こうした点について、業務運営の改善を図る必要がある。

    以上のとおり、当社における法人関係情報に係る不公正取引の未然防止態勢は、業務の多様化、国際化の流れに即した内部管理態勢のあり方等の観点から、十分ではないと認められ、金融商品取引法第51条の規定による業務の運営の状況の改善に必要な措置をとることを命ずることができる場合の要件となる「業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

    以上のことから、本日、同社に対し、以下の行政処分を行いました。

  • 業務改善命令

    • (1)金融取引や業務が多様化・国際化する中で人材も多様化しており、そのような多様な人材に対し法令等遵守意識を個々に十分に浸透させるため、研修、人事管理、行為規範、社内規則及び管理態勢等の多方面にわたり、全体として実効性のある内部管理態勢を構築すること。また、今後における一層の業務の多様化・国際化や市場環境の変化等について、これに対応する内部管理態勢面における所要の整備を行えるよう態勢を構築すること。

    • (2)法人関係情報に係る内部管理態勢に関する諸規則を実効性の観点から体系的に検証・整備し、これを役職員に周知徹底すること。また、情報管理・ITシステムの設計、開発、運用に当たり、システムがこうした諸規則や業務の実態・リスク特性に照らし整合的なものとなっているかについて検証・確認し、所要の措置を講じること。

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