平成20年7月11日
金融庁

公認会計士の懲戒処分について

三洋電機株式会社(以下「三洋電機」といいます。)が作成した財務書類について、証券取引法に基づき、旧中央青山監査法人の業務を執行する社員(以下「業務執行社員」といいます。)として監査証明を行った公認会計士に対し、本日、下記の懲戒処分を行いました。

1. 懲戒処分の概要

  • (1)懲戒処分対象者及び内容

    • 公認会計士(登録番号: 号 住所:兵庫県西宮市)
      業務停止2年 (平成20年7月18日から平成22年7月17日まで)
    • 公認会計士(登録番号: 号 住所:大阪府岸和田市)
      業務停止2年 (平成20年7月18日から平成22年7月17日まで)
    • 公認会計士(登録番号: 号 住所:兵庫県宝塚市)
      業務停止6ヶ月(平成20年7月18日から平成21年1月17日まで)
    • 公認会計士(登録番号: 号 住所:奈良県奈良市)
      業務停止9ヶ月(平成20年7月18日から平成21年4月17日まで)
  • (2)懲戒処分理由

    各公認会計士は、三洋電機の平成13年3月期から平成17年3月期の財務書類に係る監査において、それぞれ、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。

    • 公認会計士(平成13年3月期~平成17年3月期)
    • 公認会計士(平成13年3月期~平成15年3月期)
    • 公認会計士(平成16年3月期~平成17年3月期)

2. 事案の概要

三洋電機は、単体の財務書類について、子会社及び関連会社株式(以下「子会社等株式」という。)の過大計上及び関係会社損失引当金の過小計上等により、平成13年3月期から平成17年3月期の各期において、それぞれ純資産額を約1000億円以上過大に計上した重大な虚偽のある財務書類を添付した有価証券報告書を関東財務局へ提出した。

  • (1)公認会計士及び公認会計士について

    • a)三洋電機が行っていた子会社等株式に係る減損について

      三洋電機は、平成13年3月期決算時に、(1)5事業年度で累積欠損金の解消を目標にした事業計画を作成し、(2)当該5事業年度の計画は固定して見直しを行わず、(3)翌期以降、各事業年度の計画未達成相当額を減損するという会計処理の方針を策定し、平成16年9月期まで同様の会計処理を行っていた。

      更に、平成15年3月期以降、実績が事業計画に比して大幅に低下している子会社について、平成18年3月期までに得られる利益では解消困難と考えられる累積損失相当額を減損していた。

      また、平成17年3月期には新たに5事業年度の計画を作成したが、一部の子会社等については、純資産額に5事業年度の利益額を加えた額と簿価との差額を減損していた。

      このため、三洋電機の会計処理では、取得原価に比して実質価額が著しく下落し、かつ十分な証拠により取得原価にまで回復が見込まれない子会社等株式について、時価又は実質価額までの減額が行われていなかった。

      当該公認会計士2名は、三洋電機の子会社等株式の減損の方法については承知していたが、当該会計処理が金融商品会計基準の範囲内の会計処理であると誤認し、平成17年3月期に至るまで三洋電機が上記のルールに基づき会計処理を行うことを認めていた。

    • b)子会社等株式の回復可能性の検討の範囲について

      当該公認会計士2名は、平成13年3月期から平成16年3月期までは、三洋電機の子会社等のうち、累積欠損金額が大きい11社ないし16社についての事業計画等を入手して検討したのみで、その他の子会社等については、ヒアリングなどの簡易な方法により回復可能性を判断していた。

      このため、事業計画を入手した子会社等以外にも、減損の必要な子会社等が存在していたことを見逃すなど、子会社等の回復可能性について十分な証拠により判断することを怠っていた。

  • (2)公認会計士及び公認会計士について

    公認会計士は平成13年3月期から平成15年3月期について、公認会計士は平成16年3月期及び平成17年3月期について、主として三洋電機の連結決算の監査担当として関与していた。

    三洋電機の子会社等株式に関する会計処理の方法は審査資料等に明瞭に記載されており、当該公認会計士2名もその内容は確認していたが、(1)の公認会計士等の判断に従い、三洋電機の会計処理を認めていた。

    また、子会社等の回復可能性の検討について、監査調書の査閲を十分に行わなかったことから、実質価額が簿価の50%以下になっている子会社等のうち、事業計画を入手した会社が一部しかなかったことを見逃した。

  • (注)公認会計士と公認会計士の過失の態様は同様であるが、平成15年に業務停止の期間の見直しを含む公認会計士法の改正が行われ、平成16年4月より施行されていることから、両名の業務停止の期間には差が生じている。

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3654、2764)

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