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平成20年11月28日
金融庁

BNPパリバ証券会社東京支店に対する行政処分について

BNPパリバ証券会社東京支店(以下「当支店」といいます。)について、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「法」といいます。)第56条の2第1項の規定に基づく命令等の結果、以下の状況が認められました。

  • ○ 不適切な業務運営を看過するなど、経営管理態勢・内部管理態勢に重大な欠陥があると認められる状況

  • (1) 平成20年6月、当支店資本市場ソリューション部(以下「CMS部」という。)は、顧客からの求めに応じ、以下の方法による資金調達の提案を行った。

    • (a) 当該顧客が、BNPパリバグループのフランス本社(以下「フランス本社」という。)を割当先として、転換社債型新株予約権付社債(以下「CB」という。)を発行する。

    • (b) 当該顧客は、フランス本社との間で締結するスワップ契約に基づき、

      • 当該CBの発行による手取金に相当する額をフランス本社に支払い、

      • 当該顧客の発行する株式の株価等に影響されるため不確定な時期に、当該株価等によって変動する額を、フランス本社から受領する。

  • (2) 当該顧客が当該資金調達に関して法定開示書類を提出するに当たっては、上記(1)(a)のCB発行による調達額の全額が直ちに当該顧客の債務の返済に充当できるわけではないことを投資家が自ら推察し、投資判断をすることができる程度まで、上記(1)(b)のスワップ契約の内容を引用して記載すべきであり、当支店は、当該顧客に対し、そうした適切な情報開示を行うよう助言を行うべき立場にあった。

    しかしながら、CMS部の営業担当者はグループ全体としての利益確保を優先させ、当該顧客に対し、当該スワップ契約に関する情報を開示しないよう要請した。その際、当該CBの引受審査担当者も同じCMS部に在籍していたこと等により、当該営業担当者への内部牽制は全く機能しなかった。

  • (3) 当支店の経営陣や内部管理部門は、利益相反等の問題を適切に管理する観点から、上記(2)のようなCMS部の不適切な業務運営を指導・監督する立場にあった。

    しかしながら、当支店においては、営業部門の独断専行のおそれを防止するための経営管理態勢が欠如していたことに加え、コンプライアンス部等内部管理部門による十分な牽制機能が果たされていなかった。さらに、顧客保護・投資家保護に係る問題意識が欠如していたことから、当該資金調達案件の実行に関する最終的な意思決定機関においても、当該スワップ契約に関する情報の開示といった重要な点について十分な議論が行われなかった。

  • (4) 当該顧客が平成20年6月26日及び6月30日に提出した法定開示書類では、上記(1)(b)のスワップ契約に関する情報は記載されなかった。こうした中、当支店は、6月27日以降、フランス本社による当該スワップ契約の履行過程の一部として、機械的に当該顧客の発行する株式の取引を行った。当支店の経営陣や内部管理部門は、法令等遵守の観点から、当該取引の適切性についても検討すべき立場にあったが、当時はその認識が不十分であった。

上記のように、当支店においては、証券市場の公正性確保の観点が欠如し、顧客及び一般投資家を軽視する極めて不適切な業務運営が行われている。証券市場の信頼性を著しく損ないかねないこのような問題を放置した当支店の経営管理態勢及び内部管理態勢には重大な欠陥が認められ、こうした状況は、法第51条の規定による業務の運営の状況の改善に必要な措置をとることを命ずることができる場合の要件となる「業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

また、上記(4)の取引は、法第38条第6号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第16号に規定する「法人関係情報に基づいて、自己の計算において当該法人関係情報に係る有価証券の売買その他の取引等をする行為」に該当するものと認められる。

以上のことから、本日、当支店に対し、以下の行政処分を行いました。

○ 業務改善命令

  • (a) 今回の問題に関する責任の所在を明確化すること。

  • (b) 今回の問題を受けた再発防止策を策定し、実施すること。特に、「金融サービス業におけるプリンシプル」の趣旨に沿って、自律的な業務運営の適正性を確保する観点から、経営管理態勢を整備すること。また、顧客保護・投資家保護の観点から、利益相反等の問題を適切に管理するため、内部管理態勢を再構築すること。

  • (c) 役職員に市場仲介者としての社会的責任を自覚させ、及び法令等遵守意識を徹底させるため、研修その他必要な方策を実施すること。

  • (d) 上記(a)~(c)について、その実施状況を平成21年1月7日(水)までに、及び必要に応じて随時に、書面により報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局証券課(内線3370、3356)

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