平成21年12月4日
金融庁
関東財務局

株式会社ゆうちょ銀行及び郵便局株式会社に対する行政処分について

  • 1.株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀行」という。)から、銀行法第53条第1項及び銀行法施行規則第35条に基づく不祥事件等届出書の提出があり、ゆうちょ銀行の業務に関し、直営の営業店及び3郵便局において、顧客からの照会などを契機として、郵便局・営業店の社員(郵便局長を含む。)による顧客預金等の横領等が発覚し、社内調査の結果、合計9億円以上の横領等(被害者数62名)が行われていたことが判明したとの報告を受けた。

  • 2.本件届出を受け、当庁として、銀行法第24条第1項及び第52条の53の規定に基づき、ゆうちょ銀行及び同行の銀行代理業者である郵便局株式会社(以下「郵便局会社」という。)に対し、このような不祥事件の事実関係の詳細、発生原因等について報告を求めて検証した結果、以下のように、ゆうちょ銀行及び郵便局会社について、法令等遵守に係る経営姿勢及び内部管理態勢に重大な問題が認められた。

    • (1)ゆうちょ銀行及び郵便局会社の経営陣は、発覚した横領等事案を踏まえ、改善策の策定を指示しているものの、再発防止に向けた取組みが必ずしも迅速・的確に行われていないなど、法令等遵守に係る経営姿勢が不十分であること。

    • (2)長期間にわたり横領等が行われている事案(最長16年超)や郵便局長自らが横領した事案が発生しており、悪質性が高いこと、また、周囲の社員も、横領した社員の社内規則違反行為を知りながら、内部通報窓口への通報を怠っていたなど、郵便局・営業店における管理者レベルを含む社員の法令等遵守意識が欠如していること。

    • (3)被害金額は非常に多額、被害者数は多数であるとともに、同時期に複数箇所で横領等事案が発覚するなど、重大性が高く、全行・全社的な法令等遵守態勢が確立されていないこと。

    • (4)郵便局における管理者が防犯のための点検を実施せず、それにもかかわらず、点検を実施したように点検簿の体裁を整えていたなど、郵便局・営業店における内部牽制機能が不十分なものとなっていること。

    • (5)発覚の端緒は顧客からの照会などであり、長期にわたって反復・継続して行われていた横領等を発見できなかったことなど、内部監査等が有効に機能していないこと。

    • (6)郵便局・営業店における管理者が、横領等した社員の局(店)外活動を十分に把握しておらず、部下社員の適切な人事管理が実施されていないこと。

    • (7)ゆうちょ銀行は、犯罪防止に向けた郵便局会社との連携が不足しており、また、不祥事件発覚後の顧客対応や再発防止に向けた取組みが迅速でなく、郵便局会社に対する指導・管理が十分でないこと。

  • 3.以上を理由として、本日、金融庁からゆうちょ銀行に対し、銀行法第26条第1項の規定に基づき、また関東財務局から郵便局会社に対し、銀行法第52条の55の規定に基づき、それぞれ下記の内容の業務改善命令を発出した。

  • 1.株式会社ゆうちょ銀行に対する業務改善命令の内容

    • (1)法令等遵守態勢を確立し健全な業務運営を確保するため、以下の観点から内部管理態勢を充実・強化すること。

      • 法令等遵守に取り組む経営姿勢の明確化(責任の所在の明確化を含む。)

      • 全行的な法令等遵守意識の醸成

      • 不祥事件(過去の類似のものを含む。)に対する抜本的な再発防止策の策定による全行的な法令等遵守態勢の確立

      • 郵便局・営業店における内部牽制機能の充実・強化

      • 内部監査機能の充実・強化

      • 適切な人事管理の実施

      • 不祥事件の発覚後の対応の迅速化・適正化

      • 郵便局株式会社に対する指導・管理の充実

    • (2)上記(1)に関する業務改善計画を平成22年1月6日までに金融庁へ提出し、直ちに実行すること。

    • (3)上記(2)の実行後、当該業務改善計画の実施完了までの間、平成22年3月期を初回として、四半期の進捗・実施状況等を翌月15日までに報告すること。

  • 2.郵便局株式会社に対する業務改善命令の内容

    • (1)法令等遵守態勢を確立し健全な業務運営を確保するため、以下の観点から内部管理態勢を充実・強化すること。

      • 法令等遵守に取り組む経営姿勢の明確化(責任の所在の明確化を含む。)

      • 全社的な法令等遵守意識の醸成

      • 不祥事件(過去の類似のものを含む。)に対する抜本的な再発防止策の策定による全社的な法令等遵守態勢の確立

      • 郵便局における内部牽制機能の充実・強化

      • 内部監査機能の充実・強化

      • 適切な人事管理の実施

      • 不祥事件の発覚後の対応の迅速化・適正化

    • (2)上記(1)に関する業務改善計画を平成22年1月6日までに関東財務局へ提出し、直ちに実行すること。

    • (3)上記(2)の実行後、当該業務改善計画の実施完了までの間、平成22年3月期を初回として、四半期の進捗・実施状況等を翌月15日までに報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局総務課郵便貯金・保険監督参事官室(内線2614、2621)

関東財務局 理財部金融監督第1課
Tel 048-600-1286(ダイヤルイン)

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