英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

平成22年1月8日
金融庁

コメルツ銀行東京支店に対する行政処分について

コメルツ銀行東京支店(以下「東京支店」といいます。)に対し、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第56条の2第1項の規定に基づく報告等を求めたところ、以下の状況が認められました。

  • 電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況

    東京支店は、金融商品取引法上の登録金融機関として、東京金融取引所(以下「金融取」という。)の為替証拠金取引に係るマーケットメイク業務を行っている。東京支店から金融取に対して提示するレートは、コメルツ銀行グループのシステムで生成される仲値に、時々の状況に応じたスプレッド値を付加する形で決定されている。

    然るに、東京支店は、平成21年10月30日(金)の金融取の取引終了時間(29時)の直前に、金融取に対して市場実勢から大幅に乖離した「南アフリカ・ランド/円」レートを提示し、その結果、当該異常レートにより取引が約定する事態が生じた。

    東京支店が金融取に対して異常レートを提示した経緯は、以下のとおりと認められる。

    • (1)平成21年10月1日、コメルツ銀行グループの海外拠点(以下「グループ海外拠点」という。)において、東京支店から金融取に対して提示する「南アフリカ・ランド/円」のレートの小数点以下表示桁数を変更するため、システム上の設定を変更する作業を行ったが、

      • その際、グループ海外拠点は、システム内で設定・保存されていたスプレッド値についても桁数を調整する必要があったにも関わらず、こうした作業を行う際の手順等が明文化されていなかったことも背景として、これを失念し、

      • また、東京支店は、グループ海外拠点がシステム上の設定変更作業を行うことすら事前に承知しておらず、この際に生じた問題を看過した。

    • (2)上記(1)の作業終了後、複数回にわたり、東京支店から金融取に対して大幅なスプレッド値が付加された異常レートを提示する問題が生じたことから、平成21年10月5日、グループ海外拠点において、システム内で設定・保存されていたスプレッド値の桁数を調整する作業を行ったが、

      • その際、グループ海外拠点は、金融取の毎週金曜日の取引終了時間前5分間に適用しているスプレッド値についても桁数を調整する必要があったにも関わらず、これを失念し、

      • また、東京支店は、一連の作業によって金融取に対して提示しているレートに異常が生じていないかを確認しておらず、金融取の毎週金曜日の取引終了時間前5分間ごとに東京支店から金融取に対して大幅なスプレッド値が付加された異常レートを提示する問題が生じていたにも関わらず、これを看過し、必要な対策を採らなかった。

      こうした東京支店の状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第14号に規定する「金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当するものと認められる。

      以上のことから、本日、東京支店に対し、以下の行政処分を行いました。

  • 金融商品取引法第51条の2の規定に基づく業務改善命令

    • (1)本件についての責任の所在を明確化すること。

    • (2)東京支店における業務運営(東京金融取引所のマーケットメイク業務の運営を含む。)の適切性を確保するため、グループ本部等から東京支店長への適切な権限付与や、グループ本部等と東京支店長との間の責任分掌の明確化を図ること。その上で、東京支店としての経営管理態勢および業務運営管理態勢(特に、システム管理態勢)の充実・強化に取り組むこと。

    • (3)異常レートの提示・約定等の事態が生じた場合に、状況把握と適切な対応を迅速・適切に行えるよう、必要な態勢を構築すること。

    • (4)上記(1)から(3)までについて、その実施状況を平成22年2月5日(金)までに書面で報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 監督局証券課
Tel:03-3506-6000(代表)(内線3637、3586)

サイトマップ

ページの先頭に戻る