平成22年10月14日
金融庁
株式会社シニアコミュニケーションに係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)シニアコミュニケーションに係る有価証券報告書等の虚偽記載の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成22年9月17日に審判手続開始の決定(平成22年度(判)第20号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法第178条第1項第2号及び第4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金融商品取引法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、本日、下記のとおり決定を行いました。
記
1決定の内容
(1)納付すべき課徴金の額金5049万円
(2)納付期限平成22年12月15日
2課徴金に係る金融商品取引法第178条第1項各号に掲げる事実
(1)被審人(株)シニアコミュニケーションは、関東財務局長に対し、売上の前倒し計上及び架空売上の計上等により、下表のとおり、平成20年法律第65号による改正前の金融商品取引法(以下「旧金融商品取引法」という。)第172条の2第1項及び第2項並びに金融商品取引法(以下「法」という。)第172条の4第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」有価証券報告書等を提出したものである。
(2)被審人(株)シニアコミュニケーションは、関東財務局長に対し、
○重要な事項につき虚偽の記載がある平成18年3月期の連結財務諸表(下表の番号欄1参照)を掲載した有価証券届出書(一般募集)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、平成18年11月1日、5,000株の株券を1,479,250,000円で取得させ、
○重要な事項につき虚偽の記載がある平成18年3月期の連結財務諸表(下表の番号欄1参照)を掲載した有価証券届出書(その他の者に対する割当)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、平成18年11月28日、521株の株券を145,556,980円で取得させた。
同社が行った上記の行為は、旧金融商品取引法第172条第1項第1号に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた行為に該当すると認められる。
番号 | 開示書類 | 虚偽記載 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成18年 6月30日 |
第6期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成18年3月期有価証券報告書) | 平成17年4月1日~平成18年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲127百万円であるところを217百万円と記載 連結当期純損益が▲316百万円であるところを85百万円と記載 |
・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額に相当する「資本合計」欄が568百万円であるところを1,349百万円と記載 | |||||
2 | 平成18年 12月28日 |
第7期事業年度中間連結会計期間に係る半期報告書(平成18年9月半期報告書) | 平成18年4月1日~平成18年9月30日の中間連結会計期間 | 中間連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲128百万円であるところを176百万円と記載 連結中間純損益が▲255百万円であるところを89百万円と記載 |
・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
中間連結 貸借対照表 |
連結純資産が369百万円であるところを1,495百万円と記載 | |||||
3 | 平成19年 6月29日 |
第7期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成19年3月期有価証券報告書) | 平成18年4月1日~平成19年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲228百万円であるところを307百万円と記載 連結当期純損益が▲287百万円であるところを343百万円と記載 |
・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産が1,801百万円であるところを3,252百万円と記載 | |||||
4 | 平成19年 12月27日 |
第8期事業年度中間連結会計期間に係る半期報告書(平成19年9月半期報告書) | 平成19年4月1日~平成19年9月30日の中間連結会計期間 | 中間連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲102百万円であるところを82百万円と記載 連結中間純損益が▲236百万円であるところを▲9百万円と記載 |
・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
中間連結 貸借対照表 |
連結純資産が1,667百万円であるところを3,321百万円と記載 | |||||
5 | 平成20年 6月30日 |
第8期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成20年3月期有価証券報告書) | 平成19年4月1日~平成20年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲263百万円であるところを231百万円と記載 連結当期純損益が▲496百万円であるところを16百万円と記載 |
・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産が1,402百万円であるところを3,344百万円と記載 | |||||
6 | 平成20年 8月14日 |
第9期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成20年6月第1四半期報告書) | 平成20年4月1日~平成20年6月30日の四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が▲96百万円であるところを18百万円と記載 | ・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
平成20年4月1日~平成20年6月30日の四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産が1,225百万円であるところを3,299百万円と記載 | ||||
7 | 平成20年 11月14日 |
第9期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成20年9月第2四半期報告書) | 平成20年4月1日~平成20年9月30日の四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲258百万円であるところを▲54百万円と記載 連結四半期純損益が▲348百万円であるところを▲91百万円と記載 |
・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
平成20年7月1日~平成20年9月30日の四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産が892百万円であるところを3,139百万円と記載 | ||||
8 | 平成21年 2月13日 |
第9期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成20年12月第3四半期報告書) | 平成20年4月1日~平成20年12月31日の四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲385万円であるところを▲163百万円と記載 連結四半期純損益が▲599百万円であるところを▲306百万円と記載 |
・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
平成20年10月1日~平成20年12月31日の四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産が600百万円であるところを2,861百万円と記載 | ||||
9 | 平成21年 6月30日 |
第9期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成21年3月期有価証券報告書) | 平成20年4月1日~平成21年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲721百万円であるところを▲405百万円と記載 連結当期純損益が▲936百万円であるところを▲616百万円と記載 |
・売上の前倒し計上 ・架空売上の計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産が324百万円であるところを2,570百万円と記載 | |||||
10 | 平成21年 8月14日 |
第10期事業年度第1四半期会計期間に係る四半期報告書(平成21年6月第1四半期報告書) | 平成21年4月1日~平成21年6月30日の四半期会計期間 | 四半期 貸借対照表 |
純資産が283百万円であるところを2,385百万円と記載 | ・ソフトウェアの架空計上 等 |
11 | 平成21年 11月13日 |
第10期事業年度第2四半期会計期間に係る四半期報告書(平成21年9月第2四半期報告書) | 平成21年7月1日~平成21年9月30日の四半期会計期間 | 四半期 貸借対照表 |
純資産が175百万円であるところを2,232百万円と記載 | ・ソフトウェアの架空計上 等 |
12 | 平成22年 2月12日 |
第10期事業年度第3四半期会計期間に係る四半期報告書(平成21年12月第3四半期報告書) | 平成21年10月1日~平成21年12月31日の四半期会計期間 | 四半期 貸借対照表 |
純資産が127百万円であるところを2,115百万円と記載 | ・ソフトウェアの架空計上 等 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損益計算書では損失であることを、貸借対照表では債務超過であることを示す。
3課徴金の計算の基礎
(1)旧金融商品取引法第172条の2第1項の規定により、平成18年3月期有価証券報告書に係る課徴金は
○被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(582,602円)
が
○3,000,000円
を超えないことから、3,000,000円となる。
(2)旧金融商品取引法第172条の2第1項及び第2項の規定により、平成18年9月半期報告書及び平成19年3月期有価証券報告書に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
○被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(443,657円)
が
○3,000,000円
を超えないことから、
同半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
同有価証券報告書については、3,000,000円
となる。
ここで、これらの書類が同一事業年度に係るものであることから、法第185条の7第6項の規定により、次のとおり300万円を個別決定ごとの算出額に基づき按分した金額が課徴金の額となる。
平成18年9月半期報告書に係る課徴金の額は
1,000,000円
平成19年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
2,000,000円
(3)旧金融商品取引法第172条の2第1項及び第2項の規定により、平成19年9月半期報告書及び平成20年3月期有価証券報告書に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
○被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(157,344円)
が
○3,000,000円
を超えないことから、
同半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
同有価証券報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
となる。
ここで、これらの書類が同一事業年度に係るものであることから、法第185条の7第6項の規定により、次のとおり300万円を個別決定ごとの算出額に基づき按分した金額が課徴金の額となる。
平成19年9月半期報告書に係る課徴金の額は
1,000,000円
平成20年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
2,000,000円
(4)旧金融商品取引法第172条の2第1項及び第2項の規定により、平成20年6月第1四半期報告書、平成20年9月第2四半期報告書、平成20年12月第3四半期報告書及び平成21年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額について、個別決定ごとの算出額は、
○被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(64,907円)
が
○3,000,000円
を超えないことから、
平成20年6月第1四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
平成20年9月第2四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
平成20年12月第3四半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
平成21年3月期有価証券報告書については、3,000,000円
となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、法第185条の7第6項の規定により、次のとおり300万円を個別決定ごとの算出額に基づき按分した金額が課料金の額となる。
平成20年6月第1四半期報告書に係る課徴金の額は
600,000円
平成20年9月第2四半期報告書に係る課徴金の額は
600,000円
平成20年12月第3四半期報告書に係る課徴金の額は
600,000円
平成21年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円
(5)法第172条の4第2項の規定により、平成21年6月第1四半期報告書、平成21年9月第2四半期報告書及び平成21年12月第3四半期報告書に係る課徴金の額について、個別決定ごとの算出額は、
○被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
(平成21年6月第1四半期報告書 49,127円
平成21年9月第2四半期報告書 50,137円
平成21年12月第3四半期報告書 39,748円)
がそれぞれ
○6,000,000円
を超えないことから、
平成21年6月第1四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成21年9月第2四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成21年12月第3四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、法第185条の7第6項の規定により、600万円を個別決定ごとの算出額に基づき按分した金額が課徴金の額となる。
平成21年6月第1四半期報告書に係る課徴金の額は
2,000,000円
平成21年9月第2四半期報告書に係る課徴金の額は
2,000,000円
平成21年12月第3四半期報告書に係る課徴金の額は
2,000,000円
(6)旧金融商品取引法第172条第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の2に相当する額が課徴金の額となることから、
○平成18年10月10日提出の有価証券届出書(一般募集)に係る課徴金の額は、
1,479,250,000円×2/100=29,585,000円
について、法第176条第2項の規定により1万円未満を切り捨てて29,580,000円
○平成18年10月10日提出の有価証券届出書(その他の者に対する割当)に係る課徴金の額は、
145,556,980円×2/100=2,911,139円
について、法第176条第2項の規定により1万円未満を切り捨てて2,910,000円
となる。
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)