平成23年6月23日
金融庁

「新興市場等の信頼性回復・活性化に向けた工程表」の公表について

「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」(平成22年12月24日金融庁)においては、新興企業に対する適切な成長資金を供給する観点から、新興市場等の信頼性回復・活性化のために実施すべき事項が掲げられたところです。

また、その内容の具体化に向けては、金融庁に限らず、各取引所、日本証券業協会(以下、「日証協」)、日本公認会計士協会(以下、「会計士協会」)等の市場関係者が主体となって検討を行い、具体的な取組の実施期限を明確にした工程表を平成23年前半を目途に作成・公表することが求められていました。

これを受け、金融庁及び市場関係者による「新興市場等の信頼性回復・活性化策に係る協議会」において、工程表が作成され、本日、公表されました。

今後、市場関係者等が工程表に沿った取組を進めていくこととなりますが、金融庁としては、市場関係者等による取組に必要な協力を行うとともに、協議会の場を通して工程表の各取組の進捗状況につき必要なフォローアップを実施することとしています。

工程表のポイントは以下のとおりです。

(工程表のポイント)

1.上場前の企業の新興市場への上場促進

  • (1) グリーンシートの活用促進

    日証協は、グリーンシートの役割・あり方について、非上場企業の資金調達機能を担ってきた経緯、本工程表に基づく新興市場に関する取組の状況を踏まえ、抜本的な見直しを行う。〔平成24年3月までを目途〕

  • (2) 一定の質が確保された上場前の企業のリスト化

    経済産業省では、中小企業基盤整備機構との連携により、ベンチャーキャピタルが運営するファンドや投資先企業情報等のリストの作成、公表の準備が進められており、当該リストを活用する。今後の活用状況を踏まえ、市場関係者において、意見交換を行う。

2.上場審査等の信頼性回復・負担軽減等

  • (3) 有価証券報告書等の虚偽記載の防止に向けた密度の高い情報共有

    日証協は、会計士協会の協力を得て「連絡会」を設置し、今後、同連絡会において、主幹事証券会社、監査人及び取引所の間で有価証券報告書等の虚偽記載の防止に向けた密度の高い情報共有を図るための意見交換を進める。〔平成23年9月までを目途〕

  • (4) 引受審査等における審査の適正化・明確化等

    • 日証協は、取引所及び証券会社等の協力を得て、反社会的勢力データベースの構築・照会等に関する検討の終了後、速やかに、反社会的勢力以外の者で市場において市場の透明性・公正性の確保の観点から問題があるとされる者(いわゆる「反市場的勢力」)の取扱いを検討すべきではないかとの指摘等を踏まえ、市場関係者の認識の共有を図りつつ、必要な検討を進める。
    • 日証協は、上場に向けた必要な準備事項の概要(参考モデル)を策定する。合せて、日証協及び取引所において、同準備事項の概要(参考モデル)及び上場審査スケジュールの概要(参考モデル)について、それぞれのホームページ等により周知を行う。〔平成24年3月までを目途〕
    • 上場準備会社の初年度監査の「遡及的監査」に関して、次の環境整備に取組む。
      • i)「遡及的監査」では、監査範囲の制約により「無限定適正意見」以外の意見が付される可能性があることから、上場準備会社において、事前に社内管理体制の整備が進められるよう、会計士協会・監査法人において、上場に向けた必要な準備事項(監査スケジュールの概要を含めた参考モデル)等を整理する。合せて、会計士協会・監査法人、取引所及び証券会社等において、その周知を行う。〔平成24年3月までを目途〕

      • ii) 現状、直前々期が「限定付適正意見」での上場が非常に少なく、「無限定適正意見」でないと上場承認が得にくいといった誤解が多いと考えられることから、取引所において、直前々期の「限定付適正意見」が許容可能であることの周知を図る。〔平成23年12月までを目途〕

      • iii) 直前々期の意見不表明の可否については、遡及的監査の実施状況を踏まえつつ、いかにして投資者保護上の問題等を解決できるかについて、引き続き、金融庁及び市場関係者において意見交換を行う。

3.上場企業に対する負担の軽減及び適切な上場管理の実施

  • (5) 内部統制報告制度の見直し

    • 監査法人及び取引所において、今回の内部統制報告制度の見直し内容及び「内部統制報告制度に関する事例集」について、引き続き、上場会社及び上場準備会社に周知を図る。
    • 今後、開示企業及び市場関係者から、具体的な事例についての意見があれば、それを集め、金融庁において、「内部統制報告制度に関する事例集」の充実を図る。
  • (6) 成功例を積極的に生み出すための支援の重点化

    各市場関係者のこれまでの取組状況等について紹介。

  • (7) リスク情報を含めた継続的な情報発信・開示の促進

    取引所は、今後段階的に、新興市場の上場企業の大まかな業種や特性に応じたリスク情報の類型化に必要な基礎データの整理等を行い、公表する。

4.新興市場からの他の市場等への移行等

  • (8) 新興市場の位置づけの明確化

    各取引所において、新興市場の位置づけについて検討を行い、その明確化を図るため、各取引所・市場の実情を踏まえ、必要な措置を講じる。〔平成24年3月までを目途〕

  • (9) 上場廃止銘柄の受皿の整備

    日証協において、次の事項について検討を行う。〔平成24年3月までを目途〕

    • フェニックス銘柄の指定基準、取扱期間
    • 仮に上場廃止となる銘柄が増加する場合に備えて、既存の取引所のシステムやPTSの利用、清算体制の整備、開示・売買管理体制等

※ 上記の工程表については、下記の各機関のウェブサイトに掲載されています。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線2643、3618)

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