平成23年6月29日
金融庁

証券決済リスク削減に向けた市場関係者の取組の進捗状況について

「金融・資本市場に係る制度整備について」(平成22年1月21日金融庁、以下「制度整備」)では、今次の金融危機において認識された重要な課題の一つとして、「国債取引・貸株取引等の証券決済・清算態勢の強化」が盛り込まれました。これを受け、市場関係者において、証券決済リスク削減に向けた各取組の実施時期・実行期限等を定めた工程表の作成や、工程表に沿った検討・対応が進められてきたところです。

金融庁としては、市場関係者による、かかる工程表の作成や、工程表に沿った取組は、我が国市場全体の決済リスク削減の進展につながるとともに、ひいては、我が国金融システムの安定に資すると考え、今後も、工程表に沿った取組の実施を支援することとします。

上記に係る本年6月末時点の進捗状況は以下のとおりです。

1.国債取引

  • (1)経緯及び進捗状況

    「制度整備」による要請を踏まえ、昨年6月29日、日本証券業協会、(株)日本国債清算機関(以下JGBCC)及び信託協会により、「国債取引の決済リスク削減に関する工程表」(以下「国債工程表」)が作成・公表されました。その後、上記3者をはじめとする市場関係者において検討が進められ、昨年12月に検討結果が公表されたところです。

    本年1月以降、更に検討を重ねた結果、今般、(2)の通り各種の対応・合意がなされてきたところであり、これを反映して更新された「国債工程表」が、本日公表されました。

  • (2)進捗の概要

    • ○ 決済期間の短縮化

      • 国債売買取引の決済期間(約定日から受渡日までの期間)に累積する未決済約定残高の縮減を目的に、当該決済期間を現行の3日(T+3)から2日(T+2)への移行予定日を平成24年4月23日(約定分)に決定。
      • 決済期間1日(T+1)への短縮化については、現行の約定実務等を大きく変更する必要が生じる可能性があることから、引き続き、検討を行い、本年秋頃、検討結果を取りまとめる。
    • ○ フェイル慣行の定着・普及

      • 昨年11月に導入されたフェイルチャージ等の新たな市場慣行について、平成23年3月に定着状況のフォローアップを行い、現段階では追加的な見直しの必要はないことを確認。
      • 平成23年11月を目途に、再度フォローアップを行う。
    • ○ JGBCCの態勢強化

      • JGBCCのガバナンスを強化すべく、(株)日本証券クリアリング機構(JSCC)との連携を更に推進するため、両社間で業務運営面での具体的施策の検討に着手したほか、JSCCからの出向者増員等により人員体制を強化。
      • 基幹システムの更改を平成23年5月2日に実施。
    • ○ 清算機関の利用拡大

      全国債取引の4割程度に止まっているJGBCC利用率の拡大を図るべく、現在JGBCCに未加入の信託銀行の参加に向け、信託協会とJGBCCは、継続検討となっていた以下の点について、結論を得た。

      • クリアリングファンドの複数ネッティング口座合算計算を可能とする制度整備等
      • 小口(50億円未満)未決済取引の公平性につき問題がないことの確認
      • 破綻時一括清算・差引計算の適用条件等の制度改定

      信託銀行は、投資家等への取組みを継続し、理解・承諾を得た上で、JGBCC及び個別行におけるシステム対応の実情や他の市場インフラのシステム整備の状況を踏まえ、平成26年前半を目途にJGBCCへの参加を目指す。

2.貸株取引

「制度整備」による要請を踏まえ、昨年12月に(株)証券保管振替機構、(株)ほふりクリアリング及び市場関係者(証券会社、日本証券金融、信託銀行)により構成される貸株取引専門部会より、「貸株取引に係る決済リスク削減に関する工程表」(以下、「貸株工程表」)が作成・公表されました。

本年1月以降、更に検討を重ねた結果、以下の通り合意がなされたところであり、これを反映して更新された「貸株工程表」が本日公表されました。

  • 昨年12月に公表された貸株工程表において提示された「同時履行方式案」と「個別取引単位のDVP決済方式案」に関する詳細要件等の検討を重ねた結果、上記2方式が有する長所を融合した「担保指定証券方式案」を新たに策定。今後は当該方式の詳細要件及びフィージビリティ等を検討。
  • 実施時期については、平成26年1月を予定。
  • ※ 「国債工程表」及び「貸株工程表」の本体については、下記の各機関のウェブサイトをご覧ください。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課市場業務参事官室(内線3685、3613)

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