平成26年10月29日
金融庁

監査法人の処分について

金融庁は、平成26年7月11日、公認会計士・監査審査会から、同審査会が九段監査法人に対して行った検査の結果に基づき、公認会計士法第41条の2の規定による当該監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるようPDF勧告新しいウィンドウで開きますを受けました。

同勧告を踏まえ、金融庁は本日、下記のとおり、当該監査法人に対して公認会計士法第34条の21第2項第3号に基づく処分を行いました。

1.処分の概要

  • (1)処分の対象

    九段監査法人(住所:東京都千代田区)

  • (2)処分の内容

    業務改善命令(業務管理体制の改善)

  • (3)処分理由

    九段監査法人については、別紙のとおり、運営が著しく不当と認められるため。

2.業務改善命令の内容

  • (1)監査に関する品質管理のシステムが有効に機能するよう態勢を整備すること(監査契約の更新時における被監査会社の適切なリスク評価、監査実施者の選任における社員の能力等を考慮した監査チームの編成及び業務執行社員による監査調書の査閲の適切な実施を含む)

  • (2)監査の基準に準拠した監査手続を実施するための態勢を強化すること(特別な検討を必要とするリスクに対する監査手続、不正による虚偽表示又はその兆候が窺われる際の職業的専門家としての正当な注意、懐疑心の保持など、検査において指摘された事項の改善を含む)

  • (3)監査の基準に準拠した実効的な審査手続を実施するための態勢を強化すること(不正による虚偽表示又はその兆候が窺われる際に、より慎重な審査を実施するための態勢を整備するなど、検査において指摘された事項の改善を含む)

  • (4)日本公認会計士協会の品質管理レビューにおける指摘事項等の改善を組織的に行うとともに、品質管理のシステムの運用状況等の監視態勢を強化すること(指摘事項と同様の問題点が他の監査業務にも生じていないか網羅的に検証することを含む)

  • (5)上記(1)から(4)に関する業務の改善計画について、平成26年12月1日までに提出し、直ちに実行すること

  • (6)上記(5)の報告後、当該計画の実施完了までの間、平成27年3月末日を第1回目とし、以後、6箇月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企業開示課(内線3861、2764)

(別紙)

九段監査法人の運営は、下記のとおり著しく不当なものと認められる。

  • 当該監査法人は、採算管理を明確にするため支部制を採用しており、採算管理、社員の報酬の決定及び監査チームの編成等を支部単位で行っている状況において、理事長が監査法人として一体的な業務運営を行う措置を講じていないことから、当該監査法人においては、他の支部の業務運営には関与しない風土が醸成されている。

    また、監査の品質管理においても、このような風土を背景に品質管理担当責任者が監査法人として一体的に監査の品質の向上に取り組む態勢を構築していないことから、監査契約の更新時における被監査会社の適切なリスク評価や監査実施者の選任における社員の能力等を考慮した監査チームの編成、業務執行社員による監査調書の査閲が適切に行われていない監査業務がみられるなど、品質管理のシステムに広範に不備が認められる。

    このように、当該監査法人は品質管理のシステムが機能しておらず、品質管理態勢は著しく不適切である。

  • 監査業務の実施については、監査チームが、企業及び企業環境を適切に理解しておらず、リスク評価及びリスク対応手続の立案に十分な時間をかけていないことから、特別な検討を必要とするリスクに対する監査手続を十分に実施していない監査業務が広範にみられる。さらに、不正による虚偽表示又はその兆候が窺われるにもかかわらず、職業的専門家としての正当な注意を払っておらず、懐疑心を保持していないことから、監査の基準に準拠した監査手続を実施していない監査業務も認められる。

  • 監査業務に係る審査については、審査担当者が、不正による虚偽表示又はその兆候が窺われるにもかかわらず、批判的な観点から審査を行っていないことから、監査チームから提示された被監査会社の会計処理に関する検討事項について、監査チームの実施した監査手続が不適切かつ不十分であることを指摘できていないなど、実質的な審査を行っていない監査業務が認められ、審査態勢は著しく不適切である。

  • 日本公認会計士協会の品質管理レビューの指摘事項については、理事長及び品質管理担当責任者が、指摘事項と同様の問題点が他の監査業務にも生じていないかを網羅的に検証しておらず、また、指摘事項の発生原因を十分に検討せずに、指摘事項をそのままチェックリストに記載している。このため、監査チーム等による改善状況の確認が形式的となっており、企業及び企業環境の理解並びに重要な虚偽表示リスクの評価等について、改善が不十分な事項が認められ、改善に向けた取組状況は不十分である。

以上