平成27年6月19日
金融庁

監査法人の処分について

金融庁は、平成27年3月20日、公認会計士・監査審査会から、同審査会が有限責任クロスティア監査法人に対して行った検査の結果に基づき、公認会計士法第41条の2の規定による当監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるようPDF勧告新しいウィンドウで開きますを受けました。

同勧告を踏まえ、金融庁は本日、下記のとおり、当監査法人に対して公認会計士法第34条の21第2項第3号に基づく処分を行いました。

処分の概要

  • (1)処分の対象

    有限責任クロスティア監査法人(事務所所在地:北海道札幌市中央区)

    • (注)当監査法人は、平成27年5月25日をもって解散し、清算法人に移行している。

  • (2)処分の内容

    1年間の業務の一部の停止(清算業務を除く業務の停止)
       (平成27年6月22日から平成28年6月21日まで)

  • (3)処分理由

    別紙のとおり、運営が著しく不当と認められるため。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企業開示課(内線2767、2762)

(別紙)

有限責任クロスティア監査法人の運営は、下記のとおり著しく不当なものと認められる。

  • 当監査法人においては、法令が監査法人の業務管理体制として具備すべき要件として規定している、社員の総数の過半数が、公認会計士の登録を受けた後、3年以上監査証明業務に従事している者とする要件を満たしていない。

    また、当監査法人は、監査法人として成立するために必要な最低人数である5名で構成されているが、1名の社員については、法人設立時より一般事業会社に常勤しており、また、他の1名の社員については、個人事務所の運営等に専念している。このため、これら2名の社員は、当監査法人の業務への関与割合が極めて低く、社員としての自覚がなく、法人内においてその職責を果たしておらず、当監査法人は実質的に3名の社員で監査業務が行われている。

    さらに、統括代表社員を除く4名の社員は法人の所在地である北海道以外に在住しており、そのうち前述の2名を含む3名は収入のほとんどを自身の個人事務所から得ており、その運営等に注力している。このような状況にあるにもかかわらず、統括代表社員は、組織的監査を実施する態勢を構築するための知識・経験がないことから、監査法人として一体的な業務運営を行うための措置を講じていない。

    このように、当監査法人においては、監査法人としての業務管理体制が不十分であり、組織的監査を実施するための人的資源が不足しており、また、社員の監査法人への帰属意識が低く、一体的な業務運営が行われていない。

  • 統括代表社員及び品質管理担当責任者は、当監査法人に参画するまで監査法人の業務運営に関与した経験がない状況において、自らの知識を向上させる姿勢が不十分であることから、監査の基準で要求される水準に関する理解・知識が不足している。また、定期的な検証担当者は、当監査法人の社員としての職責を自覚していないことから、当監査法人の品質管理のシステムの整備及び運用に積極的に関与しておらず、その必要性を感じていない。

    このため、当監査法人においては、社員会において前任監査人からの引継前に契約締結の承認を行っているほか、業務執行社員が監査調書の査閲において重要な事項について十分な査閲を実施していない。さらに、定期的な検証において、監査チームが実施した監査手続の十分性について批判的な観点から検証を行っておらず、実効性のある検証が行われていないなど、品質管理のシステムに広範に不備が認められる。

    このように、当監査法人においては、品質管理のシステムが機能しておらず、品質管理態勢は著しく不十分である。

  • 個別監査業務の実施について、統括代表社員は、被監査会社の主張を批判的に検討しておらず、監査の基本である投資者及び債権者のための監査を行う意識が希薄である。

    また、統括代表社員を含む業務執行社員及び審査担当者は、当監査法人に参画するまで自ら監査意見を形成した経験がない状況において、自らの知識を向上させる姿勢が不十分であることから、監査の基準で要求される水準に関する理解・知識が不足している。

    このため、特別な検討を必要とするリスクを識別している事項について関連する内部統制を理解するための監査手続を実施していないほか、貸倒引当金や利息返還損失引当金等、重要な会計上の見積り項目に対する監査手続において、債権金額から控除した利息返還損失引当額に対応する貸倒引当金を被監査会社が計上していない事実を見逃しており、また、監査報告書の記載事項である監査の対象や適用される財務報告の枠組みの記載内容を誤っている監査報告書を継続的に被監査会社に提出しているなど、監査の基準に準拠していない監査手続が広範に認められる。

  • 監査業務に係る審査について、審査担当者は、公認会計士の資格取得後、2年程度の監査の実務経験しか有していないことから、審査において対象とすべき事項を理解しておらず、また、監査の基準で要求される水準に関する理解・知識が不足している。

    このため、審査担当者は、一部の重要な項目について審査を実施しておらず、また、重要な項目に係る監査チームの判断に対して、監査調書を形式的に閲覧等をするだけで、監査チームが実施した監査手続を確認することによって十分かつ適切な監査証拠を入手しているかという観点から検討していないなど、実効性のある審査を実施していないことから、監査実施上の重要な問題点を発見できていない。

    このように、当監査法人の審査態勢は、著しく不十分である。

  • 当監査法人は、日本公認会計士協会の品質管理レビューで重大な指摘を受けているにもかかわらず、品質管理担当責任者は、品質管理レビューの指摘事項の趣旨を理解していないことから、リスク評価及び評価したリスクへの対応、監査証拠の項目で指摘事項と同一の不備が継続して生じているほか、品質管理体制では、情報セキュリティ、品質管理のシステムの監視において同様の不備が生じているなど、改善に向けた取組状況は著しく不十分である。

以上