平成27年6月30日
金融庁

監査法人及び公認会計士の懲戒処分について

トラステックスホールディングス株式会社(以下「トラステックス」といいます。)が作成した財務書類について、旧証券取引法に基づく監査証明を行った有限責任監査法人トーマツ(旧法人名 監査法人トーマツ)及び監査法人の業務を執行する社員(以下「業務執行社員」といいます。)として監査証明を行った公認会計士に対し、本日、下記の懲戒処分を行いました。

  • 1.監査法人

    • (1)処分の対象者

      有限責任監査法人トーマツ(旧法人名 監査法人トーマツ)

      (所在地:東京都港区)

    • (2)適用法令

      公認会計士法等の一部を改正する法律(平成19年法律第99号)附則第15条第1項の規定によりなお従前の例によるとされている改正前の公認会計士法(昭和23年法律第103号)第34条の21第2項第2号

    • (3)処分の内容

      戒告

    • (4)処分理由

      有限責任監査法人トーマツ(旧法人名 監査法人トーマツ)については、トラステックスの平成17年3月期から平成18年3月期までの間における財務書類の監査において、下記3名の公認会計士が、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。

  • 2.公認会計士

    • (1)処分の対象者

      • 公認会計士 (登録番号: 事務所所在地:
      • 公認会計士 (登録番号: 事務所所在地:
      • 公認会計士 (登録番号: 事務所所在地:
    • (2)適用法令

      公認会計士法第30条第3項において準用する同条第2項

    • (3)処分の内容

      • 公認会計士 について
        業務停止1月(平成27年7月2日から平成27年8月1日まで)
      • 公認会計士 について
        業務停止3月(平成27年7月2日から平成27年10月1日まで)
      • 公認会計士 について
        業務停止1月(平成27年7月2日から平成27年8月1日まで)
    • (4)処分理由

      • 公認会計士は、トラステックスの平成17年3月期における財務書類の監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。
      • 公認会計士は、トラステックスの平成17年3月期から平成18年3月期までの間における財務書類の監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。
      • 公認会計士は、トラステックスの平成18年3月期における財務書類の監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。
  • 3.事案の概要

    トラステックスは、運送事業を営む法人であるが、運送事業の委託先である個人事業主に対して、軽トラックの販売を行うとともに、当該個人事業主のオートローンを信販会社に対して履行保証していた。

    しかし、運送事業が伸びず、次第にオートローンの返済に窮する個人事業主からの軽トラックの販売に係る契約の解約が増加した。このような状況において、トラステックス社長は、車両代金の分割払の合意書等の証憑の偽造や入金を偽装するなどにより、売上取消の回避、長期未収入金等の不正計上、貸倒引当金の計上回避を指示し、利益を水増しし、純資産額を過大計上していた。

    トラステックスは、このような手口により重大な虚偽の記載のある財務書類を掲載した有価証券報告書等を平成11年3月期から平成18年3月期まで近畿財務局長に提出した。

    本財務書類に関し、業務執行社員の行った旧証券取引法に基づく監査証明については、以下の問題が認められた。

    • (1)業務執行社員の監査手続について

      トラステックスは、合意書偽造等による長期未収入金等の計上額が次第に膨らんだため、平成16年9月に長期未収入金等に架空計上されていた債権を含む、約11億円の債権を債権回収会社に譲渡し、平成17年3月期に約10億円の特別損失を計上している。このことから、遅くとも、これを契機に個人事業主に対する債権のリスクを認識すべきであり、平成17年3月期から平成18年3月期までの間における監査においては、長期未収入金等に係る債権の実在性に関し、慎重な手続をとる必要があったと考えられる。

      しかしながら、業務執行社員の行った手続は以下のとおりであった。

      • ア.業務執行社員は、個人事業主に対して残高確認ではなく、その代替手続きとして、合意書等の監査証拠及び入金の確認によって、債権の実在性の検証を特別損失計上後も継続していた。

      • イ.業務執行社員は、合意書等に関し必要な査閲や指導を行っていなかった。

      • ウ.合意書等には割印が無いコピーが多いなど、外観に偽造を強く疑わせるものであり、さらに、トラステックスによる不正計上で次第に長期未収入金等の件数、金額が膨らみ、債権の実在性の観点から合意書等が重要な監査証拠となっていたにもかかわらず、監査補助者が確認していた合意書等が原本でないことを把握していなかった。

      本件では、上記のとおり、確認した合意書等はトラステックスから入手したコピーであり、証明力の弱いものであったにもかかわらず、より証明力の強い合意書等の原本を確認するなどの、十分かつ適切な監査証拠の入手手続を行わなかった。

      また、本件では、業務執行社員が、監査手続の効率性、実施可能性等を考慮して、残高確認の代替手続として入金確認を行い、債権の実在性を確認したとしている。しかしながら、多額の特別損失の計上を契機に、代替手続を続けるのみではなく長期未収入金の実在性を検討する観点から残高確認をすべきであるところ、実施しなかった。

      上記のとおり、業務執行社員は、職業的専門家としての懐疑心を十分に保持することなく、自己の意見を形成するに足る合理的な基礎を得るために十分かつ適切な監査証拠を入手せずに、トラステックスの平成17年3月期から平成18年3月期までの間における監査証明を行った。

    • (2)監査法人の審査手続について

      平成17年3月期の監査においては、トラステックスが約10億円の特別損失を計上していたにもかかわらず、監査法人は地区審査において、長期未収入金等に係る債権の実在性について監査チームに検討を指示しなかった。

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