平成26年8月22日
金融庁

株式会社ノジマとの契約締結者による内部者取引に対する課徴金納付命令の決定について

金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)ノジマとの契約締結者による内部者取引の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告新しいウィンドウで開きますを受け、平成26年4月22日に審判手続開始の決定(平成26年度(判)第1号金融商品取引法違反審判事件)を行い、以後審判官3名により審判手続が行われてきましたが、今般、審判官から金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり決定(PDF:147KB)を行いました。

決定の内容

被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。

  • (1)納付すべき課徴金の額金39万円

  • (2)納付期限平成26年10月22日

事実及び理由の概要

別紙のとおり


(別紙)

(課徴金に係る金商法第178条第1項各号に掲げる事実(以下「違反事実」という。))

被審人(A)は、神奈川県相模原市中央区横山一丁目1番1号に本店を置き、家庭電気製品等の販売、付帯工事等を目的とし、その発行する株式が東京証券取引所JASDAQ市場に上場されている(株)ノジマ(以下「ノジマ」という。)との間で法律顧問契約を締結していた者であるが、平成25年10月11日、同契約の履行に関し、ノジマの業務執行を決定する機関がノジマの発行する株式(以下「本件株式」という。)を引き受ける者の募集を行うこと(以下「本件公募増資」という。)についての決定をした旨の重要事実を知りながら、法定の除外事由がないのに、上記重要事実の公表がされた同年11月19日より前の同月15日、B証券株式会社を介し、株式会社東京証券取引所において、自己の計算において、本件株式合計2,000株を売付価額合計194万6,900円で売り付けた。

(違反事実認定の補足説明)

  • 争点

    被審人は、違反事実のうち、平成25年10月11日、ノジマとの間の法律顧問契約の履行に関し、ノジマの業務執行を決定する機関が本件公募増資についての決定をした旨の重要事実を知った点について、本件公募増資の実施は同年11月19日の取締役会において決定されたものであり、それ以前に被審人が重要事実を知ったことは否認するなどと主張するから、この点について補足して説明する(なお、違反事実のうち、その余の点については、被審人が争わず、そのとおり認められる。)。

  • 争点に対する判断

    • (1)業務執行を決定する機関が本件公募増資についての決定をした時期について

      • 証拠によれば、次の事実が認められる。

        • (ア)ノジマは、平成25年初頭頃、複合型商業施設事業に係る資金の調達等のため、公募増資を計画し、B証券株式会社から助言を受けるなどして準備を進めていた。

          しかし、同年6月22日の取締役会において、一部の取締役から、公募増資は時期尚早であるなどの反対意見が出されたため、ノジマの役員であるCは、これらの意見を取り入れ、公募増資を中止する決断をした。

        • (イ)ノジマは、その後、第1四半期の決算短信等の公表を行ったところ、市場が好況な業績を好感するなどし、ノジマの株価は上昇し、また、ノジマにおいて、上記反対意見を出した取締役との間で、公募増資の実現に向けて協議が行われるなどした。

          また、ノジマは、平成25年8月、D証券株式会社(以下「D証券」という。)から、新たに、調達額を約30億円とする公募増資に係る提案を受けた。

        • (ウ)ノジマにおいては、各部の担当者が毎週月曜日に、Cに対し、重要案件の説明、報告を行う経営相談という定例の打合せを実施していたところ、ノジマの役員であるE及び同社員であるFは、平成25年9月2日の定例の打合せにおいて、Cに対し、D証券から提案を受けた公募増資の案について説明を行った。そこで、Cは、E及びFに対し、ノジマの業績は上昇基調で、第2四半期の決算短信も好況な業績を公表する見込みであるなどとして、同公募増資の案の検討及び公募増資の実施に向けた準備を指示し、同日、ノジマにおいて、Cの上記指示に基づき、D証券を主幹事証券会社とする本件公募増資の実施に向けた準備が開始された。

        • (エ)ノジマは、本件公募増資を実施するに当たり、主幹事証券会社であるD証券に対し、平成25年11月12日付け報告書を提出し、本件公募増資に関する情報の取扱いについては、厳重に管理している旨、本件公募増資に係る情報を知り得る立場にあるノジマの役職員等が同年9月2日以降にノジマの知り得る範囲で本件株式の売買を行った事実がない旨、本件公募増資の実施の公表まで上記のような売買がないよう今後も厳重に管理する旨等を報告した。

      • 前記認定事実によれば、ノジマにおいて、平成25年初頭頃、複合型商業施設事業に係る資金の調達等のため、公募増資の準備が開始された後、一度、Cの最終判断で公募増資を中止することが決定されたものの、その後、業績が好転したことを公表し、また、当初とは別の証券会社から公募増資の提案を受けるなどしたことから、公募増資の実施が再検討され、同年9月2日のCと担当者との定例の打合せにおいて、Cが本件公募増資の実施の準備を指示し、以後、会社として秘密保持を計りながら本件公募増資の実施に向けた準備をし、さらに、主幹事証券会社に対し、同日に会社として公募増資の準備を開始したことを踏まえた報告をしたことが認められる。

        そして、ノジマの役員であるEは、ノジマでは、重要な資本政策や経営方針について、最終的にはCの判断で決めており、公募増資を行うことについて実質的に決定するのはCであった旨供述する。

        以上によれば、Cは、ノジマの業務執行を決定する機関であること、Cは、同日、その実現を意図して株式を引き受ける者の募集に向けた作業等を会社の業務として行う旨を決定し、本件公募増資についての決定をしたことが認められる。

    • (2)被審人が、本件公募増資についての決定をした旨の重要事実を知ったことについて

      証拠によれば、ノジマの社員であるFは、本件公募増資についての決定がされた後である平成25年10月11日、被審人の所属するG法律事務所の弁護士であるHに対し、本件公募増資に係る有価証券届出書の記載事項について、電話とメールで相談を行ったところ、同人は、同日中に、当時ノジマとの間で法律顧問契約を締結していた被審人を含む同法律事務所の弁護士らに対し、同メールを添付資料とともに転送したこと、同メールの添付資料には、ノジマが公募増資の実施を予定しており、同年11月19日に取締役会決議及び有価証券届出書の提出が行われ、払込期日を同年12月4日とすること等、本件公募増資に係るスケジュール案が記載されていたこと、被審人は、同メール及びその添付資料を確認した上、Fに対し、同メールに係る相談案件を受任する旨電話で伝えたことが認められる。これらの事実によれば、被審人は、同年10月11日、ノジマとの間の法律顧問契約の履行に関し、本件公募増資についての決定がされた旨の重要事実を知ったことが優に認められる。

(課徴金の計算の基礎)

課徴金の計算の基礎となる事実については、被審人が争わず、そのとおり認められる。

  • (1)金商法第175条第1項第1号の規定により、当該有価証券の売付けについて、当該有価証券の売付けをした価格にその数量を乗じて得た額から業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も低い価格に当該有価証券の売付けの数量を乗じて得た額を控除した額。

    (970円×100株+971円×700株+972円×300株+973円×100株

    +975円×200株+977円×500株+978円×100株)

    -(778円×2,000株)

    = 390,900円

  • (2)金商法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て、390,000円となる。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)

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