平成27年7月2日
金融庁

監査法人の処分について

金融庁は、平成27年1月30日、公認会計士・監査審査会から、同審査会が監査法人セントラルに対して行った検査の結果に基づき、公認会計士法第41条の2の規定による当該監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるようPDF勧告新しいウィンドウで開きますを受けました。

同勧告を踏まえ、金融庁は本日、下記のとおり、当該監査法人に対して公認会計士法第34条の21第2項第3号に基づく処分を行いました。

  • 1.処分の概要

    • (1)処分の対象

      監査法人セントラル(事務所所在地:東京都千代田区)

    • (2)処分の内容

      業務改善命令(業務管理体制の改善)

    • (3)処分理由

      別紙のとおり、運営が著しく不当と認められるため。

  • 2.業務改善命令の内容

    • (1)監査法人として、一体的に監査の品質を向上させ、組織的な監査を実施する態勢を構築すること。

    • (2)品質管理のシステムが有効に機能するよう態勢を整備すること(監査実施者のレベルアップのために必要な研修の指定等、監査実施者の評価、選任等に係る適切性の確認、定期的検証担当者に対する適切な指示を含む。)。

    • (3)監査の基準に準拠した監査手続を実施するための態勢を強化すること(監査リスクに応じた必要な能力、経験を持った監査補助者を選任する態勢、減損の兆候がある固定資産に係る被監査会社の主張の合理性の検討、売掛金の残高確認における差異が生じている場合の適切な調査の実施など、検査において指摘された事項の改善を含む。)。

    • (4)監査の基準に準拠した実効性のある審査を実施し、監査実施上の重要な問題点を指摘できる態勢を整備すること。

    • (5)日本公認会計士協会の品質管理レビューによる指摘事項に関し、形式的な対応にとどまることなく、監査法人全体として実効性のある改善を組織的に行う態勢を整備すること。

    • (6)上記(1)から(5)に関する業務の改善計画について、平成27年7月31日までに提出し、直ちに実行すること。

    • (7)上記(6)の報告後、当該計画の実施完了までの間、平成27年12月末日を第1回目とし、以後、6箇月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企業開示課(内線3861、3806)

(別紙)

監査法人セントラルの運営は、下記のとおり著しく不当なものと認められる。

  • 当該監査法人においては、各社員が、自ら監査責任者として関与する監査業務に係る報酬及び費用を自ら管理するとともに、監査補助者の選任及び報酬についても自ら決定するなど各社員の経済的な独立性が強い状況において、各社員に対して組織的監査の重要性を認識させておらず、他の社員の行う監査業務に関与しない風土が醸成されている。加えて、総括代表社員を持ち回り方式により選任するなど、形式的に選任していることから、総括代表社員がリーダーシップを発揮できていない。

    このようなことから、当該監査法人においては、法人運営に係る社員間の相互牽制が働かないなど法人としての一体的な業務運営が行われていない。

  • 総括代表社員は、品質管理のシステムに関する最終責任者であるにもかかわらず、監査法人として一体的に監査の品質を向上させ、組織的監査を実施する態勢を構築しておらず、また、品質管理担当責任者も、品質管理のシステムを整備し、運用しなければならないにもかかわらず、その重要性を認識していない。

    このため、当該監査法人においては、必要な研修の指定や当該研修を受講させるといった監査実施者のレベルアップのための措置を講じておらず、さらに、監査実施者の評価、選任等については各監査チーム任せとなっており、その適切性についての確認が行われていないほか、定期的な検証担当者に対して重点検証項目や留意点に係る指示が行われていないため、実効性のある検証が行われていないなど、広範に不備が認められる。

    このように、当該監査法人においては、品質管理のシステムが機能しておらず、品質管理態勢は極めて不十分である。

  • 個別監査業務の実施について、当該監査法人においては、監査チームのメンバーが固定化されている中、監査リスクに応じた必要な能力、経験を持った監査補助者を選任する態勢となっていない。

    また、各社員においては、監査の基準で要求される水準を理解せず、被監査会社の作成した財務諸表を批判的に検討していない。

    こうしたことから、社員及び職員は、減損の兆候がある固定資産について被監査会社の主張の合理性を検討せず、また、売掛金の残高確認において差異が生じているにもかかわらず調査を実施しないなど、監査の基準に準拠していない監査手続が広範囲に多数認められる。

  • 監査業務に係る審査については、審査担当者は、監査の品質に関し、監査の基準で要求される水準を理解しておらず、また、重要な項目に係る監査チームの判断に対して、監査チームから提出された定型の審査資料に基づく検討を実施するのみであるほか、一部の審査担当者においては監査責任者との討議を行っていないなど、実効性のある審査を実施していない。

    このため、監査実施上の重要な問題点を発見・抑制できておらず、審査態勢は著しく不十分である。

  • 当該監査法人は、日本公認会計士協会の品質管理レビューで指摘を繰り返し受けている。

    こうした中、当該監査法人は、各社員に対する適切な措置を講じておらず、品質管理レビューの指摘事項について、品質管理担当責任者は、指摘事項の内容や改善策等の周知徹底を図っていない。また、品質管理担当責任者は、当該指摘事項について、監査法人全体としての実効性ある改善が図られているかを検証していない。

    こうしたことから、当該監査法人において、指摘を受けた個別監査業務においても同一の不備が改善されていないなど、改善に向けた取組状況は極めて不十分である。

以上

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