平成28年1月22日
金融庁

新日本有限責任監査法人による財務書類の虚偽証明に対する課徴金納付命令の決定について

金融庁は、平成27年12月22日に新日本有限責任監査法人(法人番号 1010005005059)に対する課徴金納付命令に係る審判手続開始の決定(平成27年度(判か)第1号公認会計士法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る公認会計士法第34条の21第2項第2号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から公認会計士法第34条の52の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり決定(PDF:185KB)を行いました。

決定の内容

被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。

  • (1)納付すべき課徴金の額金21億1,100万円

  • (2)納付期限平成28年3月23日

課徴金に係る公認会計士法第34条の21第2項第2号に規定する事実

新日本有限責任監査法人(以下「被審人」という。)は、東京都千代田区内幸町二丁目2番3号日比谷国際ビルに主たる事務所を置き、公認会計士法第34条の24に規定する登録を受けた有限責任監査法人であるが、

第1(株)東芝(以下「東芝」という。)の平成24年3月期における財務書類の監査を実施したところ、被審人の監査証明に係る業務を執行する社員(以下「業務執行社員」という。)が、別紙の1及び2(1)に記載のとおり、相当の注意を怠ったことにより、パソコン事業及び半導体事業の一部において、売上原価の過少計上などが存する平成24年3月期における東芝の下表番号1の財務書類に対して、無限定適正意見を表明し、

第2東芝の平成25年3月期における財務書類の監査を実施したところ、被審人の業務執行社員が、別紙の1、2(2)及び3に記載のとおり、相当の注意を怠ったことにより、パソコン事業及び半導体事業の一部において、売上原価の過少計上などが存するほか、一部の工事進行基準適用案件において、工事損失引当金の過少計上及び売上の過大計上が存する平成25年3月期における東芝の下表番号2の財務書類に対して、無限定適正意見を表明し、

もって重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明したものである。


重大な虚偽のある財務書類
事業年度 財務計算に関する書類 内容(注1)
平成24年3月期 平成24年3月期有価証券報告書に記載の連結損益計算書 連結当期純損益が3,194百万円であるところを70,054百万円(注2)と記載
平成25年3月期 平成25年3月期有価証券報告書に記載の連結損益計算書 連結当期純損益が13,425百万円であるところを77,366百万円(注3)と記載

(注1)金額は百万円未満切捨てである。

(注2)平成25年3月期連結会計期間に係る有価証券報告書に掲載された連結損益計算書記載の遡及修正後の計数である。

(注3)平成26年3月期連結会計期間に係る有価証券報告書に掲載された連結損益計算書記載の遡及修正後の計数である。

課徴金の計算の基礎

2の第1に掲げる事実につき

公認会計士法第34条の21の2第1項第2号の規定により、

東芝の平成24年3月期の財務書類についての虚偽の証明に係る課徴金の額は、

監査報酬相当額(同法第34条の21の2第1項第1号で定義される監査報酬相当額をいう。以下同じ。)である1,068,000,000円

となる。

2の第2に掲げる事実につき

公認会計士法第34条の21の2第1項第2号の規定により、

東芝の平成25年3月期の財務書類についての虚偽の証明に係る課徴金の額は、

監査報酬相当額である1,043,000,000円

となる。

以上より、課徴金の額は、

1,068,000,000円+1,043,000,000円

=2,111,000,000円

となる。


(別紙)

一般に公正妥当と認められる監査に関する基準及び慣行に照らして相当の注意を怠った事実の主な内容

  • パソコン事業について(平成24年3月期及び平成25年3月期)

    被審人の監査補助者は、パソコン事業の毎四半期末月の製造利益が他月に比べ大きくなっている状況や四半期末月の製造原価が非常に低い水準からマイナスとなる異常値を認識し、また、その理由について、東芝から、部品メーカーからの多額のキャッシュバックがあったためである旨の回答まで受けていたにもかかわらず、監査調書に記載する以上に監査チーム(チーム内に業務執行社員を含む。以下同じ。)内で情報共有をしなかった。

    また、被審人の業務執行社員も、監査チーム内において不正の兆候を把握した場合の適切な指示、指導及び監督を十分に行っていなかった結果、必要な監査手続が実施されず、自己の意見を形成するに足る基礎を持たなかった。

  • 半導体事業について(平成24年3月期及び平成25年3月期)

    東芝の半導体事業が採用していた原価計算方法に関し、

    (1)被審人の監査チームは、平成24年3月期の期末監査に際し、東芝から、前工程で発生した原価差額を減額し、後工程の原価差額を同額増額する旨の説明を受け、前工程における原価差額の減額が行われていたことを監査手続において認識していたにもかかわらず、後工程における原価差額の増額が行われているかを、十分かつ適切な監査証拠を入手するなどの裏付けをもって確認せず、後工程における原価差額の増額は当然に行われていると思い込み、その確認を怠った。

    (2)平成25年3月期中に東芝が臨時の標準原価の改訂を実施し、前工程の標準原価のみを増額改訂し、後工程の標準原価の改訂を行っていなかった。これにより後工程において架空の原価差額が発生し、その一部を在庫に割り振ることにより完成品原価に割り振られる原価差額が減少した結果、過大な利益が計上されるに至っていたにもかかわらず、被審人の監査チームは、上記臨時改訂が行われれば、当然に東芝から報告等があるものと思い込み、また、前後工程の標準原価は整合していると思い込み、これらの確認を怠った。

  • 工事進行基準適用事案について(平成25年3月期)

    ETC設備更新工事事案について、被審人の監査チームにおいて工事進行基準売上や受注工事損失引当金を特別な検討を必要とするリスクとして識別していたにもかかわらず、被審人の監査補助者は、東芝からの説明を鵜呑みにし、また、東芝から提出された発番票などの資料を確認するにとどまり、見積工事原価総額の内訳などについての詳細な説明や資料の提出を受けておらず、また、業務執行社員自身も、見積工事原価総額の内訳などについての詳細な説明や資料の提出を受けておらず、経営者が使用した重要な仮定の合理性や見積りの不確実性の検討過程を評価していないなど、特別な検討を必要とするリスクに対応した十分かつ適切な監査証拠の入手ができていなかった。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局総務課審判手続室

(内線2398、2404)

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