平成28年12月16日
金融庁

株式会社琉球銀行株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の決定について

金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)琉球銀行株式に係る相場操縦の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告新しいウィンドウで開きますを受け、平成27年12月17日に審判手続開始の決定(平成27年度(判)第24号金融商品取引法違反審判事件)を行い、以後審判官3名により審判手続が行われてきましたが、今般、審判官から金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり決定(PDF:128KB)を行いました。

1 決定の内容

被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。

  • (1)納付すべき課徴金の額金224万円

  • (2)納付期限平成29年2月16日

2 事実及び理由の概要

別紙のとおり


(別紙1)

(課徴金に係る金商法第178条第1項各号に掲げる事実(以下「違反事実」という。))

被審人は、東京証券取引所市場第一部に上場されている(株)琉球銀行の株式(以下「本件株式」という。)の売買が繁盛に行われていると他人に誤解させる等その売買の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって、別表1記載のとおり、平成27年1月7日午前9時6分頃から同日午後2時54分頃までの間(以下「本件取引期間」という。)、本件株式合計3万6300株につき、自己及びその親族であるBの計算において、C証券株式会社ほか3社を介し、自己ほか4名の名義を用いて、22回にわたり、自己による売買の注文を対当させ、もって、権利の移転を目的としない仮装の売買をした。

(違反事実認定の補足説明)

  • 争点

    被審人は、金商法第159条第1項所定の「有価証券の売買…が繁盛に行われていると他人に誤解させる等…取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的」(以下「繁盛等誤解目的」という。)が存在しない旨主張するから、この点について補足して説明する(なお、違反事実のうち、その余の点については、被審人が争わない。)。

  • 前提となる事実

    • 被審人の株取引の経験等

      被審人は、30年以上前に証券会社の営業員に勧められて株の売買をした後、株取引を止めていたが、平成20年頃、夫であるBが株取引を始めたのを見て、株取引を再開することとし、同年8月頃、D証券株式会社に証券口座を開設し、現物株の取引を始めた。

      その後、被審人は、平成21年10月頃、C証券株式会社に証券口座を開設し、株取引を専らインターネットで行うようになり、平成23年頃からは、同社の証券口座を用いて、信用取引も行うようになった。

      なお、被審人は、E証券株式会社にも自己名義の証券口座を有している。

    • 本件株式の取引及び証券会社による注意喚起等

      • (1)被審人は、平成24年2月頃から、本件株式につき、従前の株価から値幅を想定して、高値のときに信用取引で売り建て、株価が下がると買い建てて返済するというパターンで取引を行うようになった。

      • (2)一方、被審人は、平成24年5月、C証券株式会社から本件株式に係る空売り規制に違反する可能性があることを理由に注意喚起を受けた。

      また、その後、被審人は、同年9月、同年12月、平成25年3月に、いずれもC証券株式会社から、本件株式に係るBとの馴合取引を理由に注意喚起を受けた。このうち、平成24年9月の注意喚起の際には、同証券会社の担当者から被審人とBとの売買で「クロス取引があったが、間違いなく、本人が発注しているのか」と確認された上、「ザラ場でのクロス取引は、取引所では、単に売り、買い、値段、株数でした(ママ)判断できないので、この日だけ異常に出来高が多いと見られかねず、馴合売買として疑われる」と指摘された。さらに、平成25年3月に注意喚起を受けた際には、同証券会社の担当者から「夫婦間の同値での対当売買を行うのはどのような目的なのか」と確認された上、かかる売買は「課徴金や刑事罰の可能性もある」と指摘され、「次回は取引制限をせざるを得ない」とも指摘された。

    • 他人名義の証券口座の借用

      被審人は、平成24年10月頃から平成26年11月頃にかけて、順次、友人2名、実姉、義理の息子の合計4名から証券口座を借用した。これらの証券口座の借用は、インターネットでの取引が可能な各証券会社の口座について、すでに他人が開設していた口座の借用の承諾を受け、または、承諾を受けて他人の口座を自ら開設し、各口座での取引に必要なIDとパスワードの情報を各入手したものである。

    • 本件各取引の態様

      • (1)被審人は、被審人名義のC証券株式会社及びE証券株式会社の各証券口座並びに上記3の4名名義の各証券口座を用い、被審人及びBの資金を使い、別表2記載のとおり、本件株式の取引を行った。

      • (2)上記(1)の取引の中には、自己の売り注文と買い注文をぶつけて約定させる取引(以下「対当売買」という。)が合計22回含まれており(以下、これらの取引を「本件各取引」という。)、被審人は、本件各取引により、合計3万6300株の売買を行った。

      • (3)本件株式の出来高に占める本件各取引による出来高の割合(以下「市場占有率」という。)は、本件取引期間中、20パーセントを超えていた(全出来高17万1800株のうち3万6300株を占める。)。

  • 争点に対する判断

    • 繁盛等誤解目的の意義

      金商法第159条第1項の定める繁盛等誤解目的は、取引が頻繁かつ広範に行われているとの外観を呈する等、その取引の出来高、売買の回数、価格等の変動及び参加者等の状況に関し、他の投資者に、自然の需給関係によりそのような取引の状況になっているものと誤解されることを認識することをいうと解される。

      そこで、被審人が、本件各取引を行うにあたり、同目的を有していたか否かにつき、検討する。

    • 本件各取引の客観的態様

      対当売買は、実質的な権利帰属主体の変更を伴わず、経済的合理性を見出し難い取引である一方、自然の需給関係によらない取引であるのに、他の投資者に対し、自然の需給関係によって対象銘柄の出来高が増加したなどと誤認させる弊害があるというべきである。

      本件各取引についてみると、本件各取引は、本件取引期間中、22回もの多数回にわたり、上記のような弊害のある対当売買を繰り返す態様のものであり(上記第2の4(2))、その市場占有率も20パーセントを超える低くないものである(同(3))以上、本件株式に係る相場全体に小さくない影響を与えたものというほかなく、他の投資者に対し、自然の需給関係によって本件株式の出来高が増加したなどと誤認させるものというべきである。

      そして、このような一連の取引は、繁盛等誤解目的があってこそ合理的に説明できるものであるから、本件各取引の客観的態様からして、同目的の存在は強く推認される。

    • 被審人の取引経験等

      被審人が平成20年頃からの株取引再開後、本件各取引までには現物株取引に加え信用取引も行うようになっていた上(上記第2の1)、他人に代わって証券口座の開設手続をするなどして証券口座の借用をしていること(上記第2の3)などからすれば、被審人において、一般的な株取引に関する知識を十分に有していたことがうかがえる。

      加えて、被審人は、上記第2の2(2)のとおり、C証券株式会社から、Bとの馴合取引を理由に半年の間に合計3回も注意喚起を受けているところ、かかる注意喚起の経緯において出来高への影響や制裁の可能性まで具体的に指摘されていることからすれば、被審人は、本件各取引を行う以前から、対当売買につき、出来高等について他の投資者に誤解を生じさせる可能性を有する問題ある取引態様に該当することを具体的に把握する機会があったといえる。

      このような証券会社からの注意喚起の経緯を踏まえた被審人の株取引の知識や経験等からすれば、被審人は、対当売買の態様でされた本件各取引を行えば、他の投資者に誤解を生じさせる可能性があることを十分に認識していたことが推認される。

    • まとめ

      以上のとおり、客観的な取引態様から被審人に繁盛等誤解目的があったことが強く推認される上、被審人の株取引の知識や経験等からすれば、被審人は、対当売買の態様でされた本件各取引を行えば、他の投資者に誤解を生じさせる可能性があることは十分に認識していたことが推認されるのであるから、被審人は、本件各取引を行う際、繁盛等誤解目的を有していたと認められる。

(課徴金の計算の基礎)

別紙2のとおりである(課徴金の計算の基礎となる事実については、被審人が積極的には争わず、関係各証拠によって認められる。)。


(別紙2)

(課徴金の計算の基礎)

  • (1)金商法第174条第1項第1号の規定により、当該違反行為に係る課徴金の額は、当該違反行為の開始時から終了時までの間において、当該違反者が当該違反行為に係る有価証券等について自己の計算において行った有価証券の売付け等の数量が、当該違反者が当該違反行為に係る有価証券等について自己の計算において行った有価証券の買付け等の数量を超える場合、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該有価証券等に係る有価証券の買付け等についての金商法第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額として算定。

    別紙1に掲げる事実につき、

    • 当該違反行為の開始時から終了時までの間において、

      当該違反行為に係る有価証券等について自己の計算による有価証券の売付け等の数量は、実際の売付け等の数量69,900株に、金商法第174条第6項及び金融商品取引法施行令第33条の9の4第1号の規定により、違反行為の開始時にその時における価格(1,638円)で有価証券の売付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に当該違反行為に係る有価証券を有しないで売付けをしている当該有価証券の数量113,400株を加えた183,300株であり、

      当該違反行為に係る有価証券等について自己の計算による有価証券の買付け等の数量は、実際の買付け等の数量70,400株に、金商法第174条第7項及び金融商品取引法施行令第33条の9の5第1号の規定により、違反行為の開始時にその時における価格(1,638円)で買付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該違反行為に係る有価証券の数量85,500株を加えた155,900株であり、

      当該違反行為に係る有価証券等について自己の計算による有価証券の売付け等の数量が、自己の計算による買付け等の数量を超えていることから、

    • 当該超える数量27,400株(183,300株-155,900株)に係る売付け等の価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該有価証券等に係る有価証券の買付け等についての金商法第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格(1,555円)に当該超える数量27,400株を乗じて得た額を控除した額。

      (1,630円×200株+1,632円×200株+1,633円×2,800株

      +1,634円×4,600株+1,635円×3,000株+1,636円×1,800株

      +1,637円×4,000株+1,638円×4,700株+1,639円×1,500株

      +1,640円×2,000株+1,641円×1,400株+1,645円×1,200株)

      -(1,555円×27,400株)

      = 2,240,500円

  • (2)金商法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切り捨て、2,240,000円。

(別表1)

通番 売付け 買付け
証券会社 名義 株数(百株) 証券会社 名義 株数(百株)
1 C証券 43 F証券 59
C証券 16
2 C証券 31 F証券 59
C証券 23
H証券 2
C証券 3
3 H証券 8 F証券 62
C証券 18
C証券 24
C証券 12
4 C証券 2 H証券 2
5 H証券 3 C証券 3
6 H証券 2 C証券 10
H証券 6
H証券 1
H証券 1
7 E証券 6 F証券 6
8 E証券 4 F証券 9
E証券 5
9 C証券 17 F証券 17
10 E証券 2 F証券 6
E証券 4
11 E証券 4 C証券 17
E証券 9
E証券 4
12 E証券 2 C証券 14
E証券 5
E証券 3
E証券 3
E証券 1
13 E証券 4 C証券 15
E証券 4
E証券 1
E証券 6
14 E証券 3 C証券 3
15 E証券 12 F証券 12
16 H証券 1 C証券 2
F証券 1
17 F証券 4 C証券 14
F証券 6
H証券 4
18 H証券 3 F証券 19
F証券 7
H証券 5
H証券 4
19 C証券 3 C証券 6
F証券 3
20 F証券 2 C証券 6
E証券 4
21 C証券 2 F証券 2
22 E証券 20 F証券 3
F証券 7
F証券 2
C証券 7
F証券 1
合計 363 合計 363

(注)別表2の添付は省略する。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局総務課審判手続室

(内線2398、2404)

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