平成29年5月12日
金融庁

株式会社フュートレック役員からの情報受領者による内部者取引及び重要事実に係る伝達に対する課徴金納付命令の決定について

金融庁は、証券取引等監視委員会から(株)フュートレック役員からの情報受領者による内部者取引及び重要事実に係る伝達の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告新しいウィンドウで開きますを受け、平成29年4月3日に審判手続開始の決定(平成29年度(判)第4号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第178条第1項第16号及び第17号に掲げる事実並びに納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり決定(PDF:74KB)を行いました。

1 決定の内容

被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。

  • (1) 納付すべき課徴金の額 金547万円

  • (2) 納付期限 平成29年7月12日

2 課徴金に係る金商法第178条第1項第16号及び第17号に掲げる事実


(1) 被審人(A)は、平成26年7月11日、(株)フュートレック(以下「フュートレック」という。)の役員であるBから、同人がその職務に関し知った、フュートレックの業務執行を決定する機関が、同社と株式会社NTTドコモ及びSYSTRAN INTERNATIONAL CO.,LTDと業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、法定の除外事由がないのに、上記重要事実の公表がされた平成26年9月29日午後3時頃より前の同年7月14日から同年9月29日午後2時29分頃までの間、C証券株式会社及びD証券株式会社を介し、自己の計算において、フュートレック株式合計1万6700株を買付価額合計939万2300円で買い付けた。

(2) 被審人は、フュートレックの役員に就任後、同人がその職務に関し知った、同社の属する企業集団の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度(平成28年3月期)の売上高、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益(以下「当期純利益」という。)の予想値について、平成27年5月8日に公表された直近の予想値(売上高34億3000万円、経常利益マイナス1億4000万円、当期純利益マイナス1億6000万円)に比較して、同社が新たに算出した予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実を、平成28年1月29日から同年2月1日午前9時8分頃までの間に、滋賀県の自宅において、電話で、Eに対し、同社において新たに算出した平成28年3月期の予想値(売上高38億4000万円、経常利益4億1000万円、当期純利益3億円)の公表がされる前にフュートレック株式の買付けをさせることによりEに利益を得させる目的をもって、伝達した。
 Eは、上記重要事実の公表がされた平成28年2月1日午後3時30分頃より前の同日午前9時8分頃から午後2時31分頃までの間、F証券株式会社を介し、自己の計算において、フュートレック株式合計1500株を買付価額合計74万8600円で買い付けた。

(3) 被審人は、上記(2)の重要事実を、平成28年1月29日に、滋賀県の自宅において、携帯電話の電子メールで、Gに対し、上記重要事実の公表がされる前にフュートレック株式の買付けをさせることによりGに利益を得させる目的をもって、伝達した
 Gは、上記重要事実の公表がされた平成28年2月1日午後3時30分頃より前の同日午後0時30分頃、D証券株式会社を介し、自己の計算において、フュートレック株式合計2000株を買付価額合計100万6000円で買い付けた。

3 課徴金の計算の基礎

2に掲げる事実につき

(1) 違反事実(1)に係る課徴金の額
 ア.金商法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。
 (859円×16,700株)
 -(480円×500株+500円×800株+505円×300株+513円×300株+518円×300株+525円×300株+528円×300株+530円×900株+535円×100株+540円×300株+550円×300株+551円×200株+555円×600株+556円×500株+560円×300株+562円×500株+563円×400株+564円×300株+565円×300株+566円×1,000株+567円×800株+570円×100株+572円×400株+575円×600株+580円×300株+581円×1,000株+583円×500株+590円×1,500株+595円×1,000株+600円×1,000株+605円×300株+608円×700株)
= 4,953,000円
 
イ.金商法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て、4,950,000円。
 
(2) 違反事実(2)に係る課徴金の額
 ア.金商法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。
 利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。
 {(804円×1,500株)
 -(495円×500株+497円×100株+499円×500株+504円×100株+505円×300株)}×1/2
=228,700円
 
 イ.金商法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て、220,000円。

 
(3) 違反事実(3)に係る課徴金の額
 ア.金商法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。
 利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。
 {(804円×2,000株)-(503円×2,000株)}×1/2
=301,000円
 
 イ.金商法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て、300,000円。
 
(4) 上記(1)ないし(3)により算定した額の合計
4,950,000円+220,000円+300,000円=5,470,000円

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総務企画局総務課審判手続室

03-3506-6000(代表)(内線2398、2404)

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