平成15年6月5日
金融庁

証券取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令案に対するパブリックコメントの結果について

金融庁では、証券取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令案について、平成15年5月15日(木)から平成15年5月28日(水)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。ご意見をご提出いただいた皆様には、改正案の検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は以下のとおりです。

また、本件とは直接関連のないご意見もお寄せいただきましたが、これらにつきましては、今後のディスクロージャー制度の整備に当たって参考とさせていただきます。

【内容についての照会先】

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課企業開示参事官室谷口(内線3653)、佐藤(内線3672)


コメントの概要とコメントに対する金融庁の考え方

コメントの概要 コメントに対する考え方
 非居住者は適格機関投資家となるために金融庁長官へ届出が必要とされているが、この要件は不要ではないか。
 居住者である証券会社等には、適格機関投資家となるための届出は不要であり、バランスを失しているのではないか。
 プロ私募により有価証券を発行しようとする発行者、プロ私募により発行された有価証券(以下「プロ私募証券」といいます。)を他の適格機関投資家に転売しようとする適格機関投資家等にとって、当該有価証券を取得させ、又は転売しようとする相手方が適格機関投資家であることが明確にされている必要があると考えられます。
 今回の改正により適格機関投資家の範囲に追加することとしている非居住者の範囲は広く、対象となる非居住者は多数であり、また、国内の証券会社、銀行等とは異なり、その非居住者が適格機関投資家の要件を満たしているか否かを客観的に、かつ、容易に判断することは困難であると考えられるため、国内の事業会社と同様、適格機関投資家になろうとする非居住者からの届出に基づき、官報に公告するものです。
 当該非居住者の有価証券の取得・譲渡に関する一切の行為を行う代理人として本邦内に住所を有する者を定めねばならないという要件は不要ではないか。  今回の改正において、(1)非居住者が適格機関投資家となるため届出に関する代理人及び(2)適格機関投資家向け勧誘を行う場合の告知及び告知内容を記載した書面交付に関する代理人を設置しなければならないこととしています。これは、適格機関投資家となろうとする非居住者に代わって届出手続が確実に行われ、また、プロ私募証券の適格機関投資家向け勧誘を行う場合の告知義務及び告知内容を記載した書面の交付義務が確実に履行されるとともに、届出がされないまま当該有価証券が適格機関投資家以外の投資家に譲渡されることを防止する観点から、本邦内に住所を有する代理人の設置を要件としたものです。従って、代理人の設置を不要とすることは、適格機関投資家以外の投資家を保護する観点から、適切ではないと考えられます。
 有価証券の取得・譲渡に関する一切の行為についての権限を有する代理人を設置した場合には、当該代理人が法人税法上の恒久的施設(代理人PE)に該当することにより課税されるリスクや代理人を通じた間接的取引の弊害が生じることにより、プロ私募証券の取引が活性化されないのではないか。  適格機関投資家である非居住者の代理人(上記(2)の代理人)については、プロ私募証券の適格機関投資家向け勧誘を行う場合の告知義務及び告知内容を記載した書面の交付義務が確実に履行されるとともに、届出がされないまま当該有価証券が適格機関投資家以外の投資家に譲渡されることを防止する観点から設置することとしたものであり、有価証券の取得・譲渡に関する一切の行為についての権限を有する代理人に有価証券の取引を行わせることを意図しているわけではありません。しかしながら、公表した証券取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の改正案では、ご指摘のような誤解を生じさせることになりますので、代理人設置の趣旨・目的が明確となるよう規定振りを変更することとしました。
 本邦内に住所を有する代理人については、有価証券取引に関する代理業務と見なされるため、日本国内で証券業登録を行っている者に限られるのか。
 金融庁長官への届出に関する代理については、証券業務に付随する業務である「有価証券に関する顧客の代理」(証券取引法第34条第1項第5号)に該当するのか。
 本邦内に住所を有する代理人については、非居住者の証券決済等に関して現在本邦で金融機関が行っている常任代理人業務の一つと見なすことができるか。また、どのような届出や報告を行う必要があるのか。  適格機関投資家である非居住者の代理人は、プロ私募証券の適格機関投資家向け勧誘を行う場合の告知義務及び告知内容を記載した書面の交付義務が確実に履行されるとともに、届出がされないまま当該有価証券が適格機関投資家以外の投資家に譲渡されることを防止する観点から設置することとしたものであり、ご指摘の常任代理人業務とは別のものです。
 なお、ご指摘の常任代理人業務を行う者が適格機関投資家である非居住者の代理人を兼ねることは可能であると考えられます。
 非居住者が適格機関投資家として認められる期間を「届出を行った日の属する年の9月1日から1年間を経過する日まで」と限定する必要はないのではないか。  適格機関投資家は「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者」とされており、非居住者については、居住者である適格機関投資家と同様、証券業、銀行業等を行っていること、多額の有価証券投資を行っていること等の要件を満たす者を「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者」とみなして、適格機関投資家の範囲に含めることとしました。
 一方、転売制限や告知義務等の履行を担保する観点からは、適格機関投資家としての資質が維持されていることが必要であると考えられるため、居住者である事業会社と同様に、非居住者である適格機関投資家の指定は1年更新としたものです。従って、適格機関投資家であるための要件を満たす非居住者が、引き続き適格機関投資家となろうとする場合には、1年ごとに届出を行う必要があります。
 非居住者について、投資信託委託業を営む者を適格機関投資家として認めることとしているが、投資法人資産運用業を営む者も含めるべきではないか。  ご指摘のように、居住者の適格機関投資家である「投資信託委託業者(投資信託及び投資法人に関する法律において、投資信託委託業又は投資法人資産運用業を営む者とされている。)」とのバランスを考慮し、外国の法令に準拠して外国において投資法人資産運用業を行う一定の者についても、適格機関投資家の範囲に含めることとします。
 証券取引法の規制は国内投資家保護のためにあるものであり、非居住者である適格機関投資家がプロ私募証券の取引を国外で行う場合にも証券取引法の規制は及ぶのか。  証券取引法におけるプロ私募証券に係る転売制限や告知義務等の規制は、プロ私募証券が情報開示されないまま一般投資家に譲渡されることを禁止することにより、国内の一般投資家の保護を図ろうとするものです。
 今回の改正は、我が国の私募市場の活性化を図る観点から、一定の非居住者を適格機関投資家とすることでプロ私募市場への参加を促進し、プロ私募市場の活性化を図ろうとする一方で、非居住者を適格機関投資家の範囲に含めることにより、適格機関投資家である非居住者により国外に持ち出されたプロ私募証券が国内に持ち込まれた場合でも、プロ私募証券として証券取引法の規制が課されることとなり、これによって国内の一般投資家の保護を図ろうとするものです。
 適格機関投資家の一覧リストを金融庁のホームページで閲覧できるようにすべきではないか。
 また、過去の各時点において適格機関投資家に該当する者の具体名を遡って参照できるようデータベース化できないか。
 適格機関投資家は、証券取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第4条第1項において列挙されています。
 このうち、第15号(農業協同組合等)に掲げる者は金融庁長官が指定する者に限ることとされ、「証券取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第4条第1項ただし書の規定により適格機関投資家に該当する者を指定する件(平成5年3月31日大蔵省告示第69号)」により指定しています(おおむね年1回程度、農業協同組合等を新規に指定するほか、名称変更、合併等の異動に伴う改正のための金融庁告示を出しています〔最近では、平成15年3月31日の金融庁告示第16号〕。)。
 また、第17号(ベンチャーキャピタル会社)、第19号(厚生年金基金のみ)、第21号(内国事業会社)並びに改正後の第22号(外国金融機関等)、第23号(外国政府等)及び第24号(外国事業会社)に掲げる者については、届出を行った者がいる場合には毎年9月1日までに金融庁長官が官報に公告することとされています〔最近では、平成14年8月30日の「適格機関投資家に関する公告」〕。
 いずれにしても、現在の適格機関投資家を一覧することは困難であるため、ご指摘のように、金融庁のホームページへの掲載等について検討しています。

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