平成15年12月18日
金融庁

公認会計士法施行令の一部を改正する政令(案)、公認会計士等に係る利害関係に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)及び財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)に対するパブリックコメントの結果について

金融庁では、公認会計士法施行令の一部を改正する政令(案)、公認会計士等に係る利害関係に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)及び財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)について、平成15年11月17日(月)から平成15年12月5日(金)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。ご意見をご提出いただいた皆様には、改正案の検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は以下のとおりです。

また、本件とは直接関係しないご意見も多くお寄せいただきましたが、これらにつきましては、今後の制度整備に当たって参考とさせていただきます。

【内容についての照会先】

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課企業開示参事官室
[政令案]井上(内線3651)、野村(内線3654)
[利害関係府令案]田口(内線2784)、中家(内線2787)
[監査証明府令案]多賀谷(内線3657)


コメントの概要とコメントに対する金融庁の考え方

公認会計士等に係る著しい利害関係について

コメントの概要 コメントに対する考え方
 著しい利害関係として、公認会計士又はその配偶者が、被監査会社等の「債権者又は債務者」である場合を定めているが、このうち「債権者」は不要ではないか。
(施行令第7条第1項第4号関係)
 従来より、公認会計士又はその配偶者が被監査会社等の債権者である場合には、監査人の独立性確保の観点から、株主、出資者又は債務者と同様に、少額の場合を除き、監査証明業務を行うことを禁止しています。今般の施行令改正においては、監査人の独立性強化の観点から、株主又は出資者である場合には原則として監査証明業務を禁止する等の措置を講じたものであり、債権者についても、これを損なうおそれがないと考えられる特別の事情を有する場合を除き、従来どおり監査証明業務を禁止の対象とすることが適切であると考えられます。
 著しい利害関係から除くこととなる特別の事情を有する債権又は債務のうち、自己の業務の用に供する事務所等に係る賃料等に係る債務につき、監査証明業務を行う前から賃借しているものに限る必要はないのではないか。
 当該制限が必要であるとしても、重要性の基準を導入する等緩和措置を検討すべきではないか。
(利害関係府令第1条第14号関係)
 法第2条第1項業務を行う以前からの賃借契約につき規制の対象から除いているのは、通常、監査証明業務を行う以前からの事務所の賃借契約は、通常の取引条件で決定しており、外観的独立性を損なう重要な疑念を呈するものとは考えにくいこと及び著しい利害関係の対象となる者に該当する監査法人がその事務所の賃貸人を監査する他の監査法人と合併するような場合に、監査契約か賃貸借契約のいずれかの解除の選択を迫られることは、過度の規制と考えられることによります。
 しかし、監査証明業務に係る契約の締結後に新たに事務所の賃借契約を締結する場合であれば、一般的には複数の物件から比較し選択することが可能であるため、当該規制から除外する範囲の拡大には特段の経済的合理性が認められません。したがって、このような例外や重要性の基準を導入して緩和措置を図ることは適切ではないと考えられます。
 なお、米国SECの独立性規則でも、同様の条件を規定しています。
 著しい利害関係から除くこととなる特別の事情を有する債権又は債務のうち、業務の遂行に通常必要な物又は役務の提供につき、例示列挙する等具体的に規定すべきではないか。
(利害関係府令第1条第17号関係)
 利害関係府令第1条に規定する債務については、同条第13号から第16号の各号に個別列挙した内容の他にも、地域によっては業務に関して代替困難な各種の役務等が生じる可能性を必ずしも否定できず、これらを全て規定することは不可能なことから、業務の遂行に通常必要と考えられる範囲での物又は役務の提供に係る債務についての包括条項として第17号を規定することとしました。

大会社等に係る非監査証明業務の制限について

コメントの概要 コメントに対する考え方
 商法特例法監査対象会社のうち資本金100億円未満の法人が除外されているが、そのような法人といえども監査は徹底すべきではないか。
(施行令第7条の2関係)
 法第24条の2の規定により「大会社等」に適用される監査証明業務と非監査証明業務の同時提供の禁止は、多数の投資者や債権者が存在し、その取引等の規模の大きさから経済活動に対する影響が大きいと考えられるものを対象とするとの基本的な考え方に立っております。
 しかしながら、現在のところ商法特例法監査対象会社のうち例えば未公開の中小企業は、財務書類の調製等について公認会計士の指導を要することが多いのが実情であり、公認会計士の地域的偏在を考慮すると、このような会社まで規制することは、多大な社会的コストをもたらすおそれがあり、また、中小の監査法人や個人の公認会計士が行う監査への負担も考慮して、当面は資本金100億円未満かつ負債総額1,000億円未満の株式会社については、「大会社等」の対象から除外することとしたものです。なお、当然のことながら、そのような対象除外会社であっても、商法特例法第2条の規定に基づく法定監査として適切な監査業務の遂行が要求されているものであります。
 監査法人等のいわゆるグループ会社のうち、出資、人事、資金等の関係を有しない会社等は、当該監査法人等の子会社等・関連会社等に該当しないと考えるが、如何か。
 また、海外の提携メンバーファームは該当しないか。
(利害関係府令第4条関係)
 法第24条の2の規定により、公認会計士は、当該公認会計士、その配偶者又は当該公認会計士若しくはその配偶者が実質的に支配していると認められる関係を有する法人その他の団体が「大会社等」から利害関係府令第5条に規定する非監査証明業務により継続的な報酬を受けている場合には、監査証明業務を行ってはならないとされています。上記の公認会計士等(監査法人についても準用)が実質的に支配している法人その他の団体とは、利害関係府令第4条の規定により、財務諸表等規則における規定と同様に実質基準により判断される子会社等及び関連会社等が対象となります。
 したがって、監査法人等のグループ会社あるいは当該監査法人等と業務提携している海外のメンバーファームが、子会社等あるいは関連会社等に該当するか否かについては、個々の事例に即して、あくまで利害関係府令の規定に基づく実質基準により判定されることになります。
 「継続的な報酬を受けている場合」の概念を明確にしてほしい。
(利害関係府令第5条、法第24条の2関係)
 法第24条の2に規定する「継続的な報酬を受けている場合」の考え方については、基本的に株式会社等の監査等に関する商法特例法第4条第2項第2号の規定における「継続的な報酬」と同様の考え方です。例えば、何らかの非監査証明業務をたまたま臨時に1回だけ行ったという場合は「継続的な報酬」には原則として当たらないと考えられますが、1年に1回だけ報酬を受けるという契約でも、反復・継続して提供される法第2条第2項業務の対価として受け取るような場合には、「継続的な報酬」に該当すると考えられます。
 なお、個々の業務形態を踏まえた実務面における対応等については、今後日本公認会計士協会等の関係者と検討を行う予定です。
 同時提供が制限される非監査証明業務につき、解釈指針を示す等の対応を検討すべきではないか。
 また、監査人の独立性を損なわない単なる助言業務等重要性の乏しい業務は除外することを明確にすべきではないか。
(利害関係府令第5条関係)
 法令上の規制として利害関係府令第5条各号の列記により、制限される業務の内容について可能な限り明確化を図ったものです。
 なお、個々の業務形態を踏まえた実務面における対応等については、今後日本公認会計士協会等の関係者と検討を行う予定です。
 被監査会社等の決算書作成までの作業を行えば独立性が損なわれることは当然であるが、財務諸表等規則等に則した表示へ組替えたりする等の助言・指導業務は監査人の業務として認められることを明確に規定するべきである。
(利害関係府令第5条第1号、第8号関係)
 一般に公正妥当と認められる監査基準に基づき監査人が実施しなければならない過程であると認められる業務は、法第2条第1項の監査証明業務の一環であり、利害関係府令第5条第1号及び第8号の会計帳簿の記帳代行や財務書類を調製する業務にはあたらないと考えております。このような監査の過程には、被監査会社等の会計方針や財務諸表の適切な表示に関する支援又は助言、見解が相違する会計問題の解決、規制による報告のための情報の分析及び集計、修正仕訳の提案等が含まれます。
 なお、個々の業務形態を踏まえた実務面における対応等については、今後日本公認会計士協会等の関係者と検討を行う予定です。
 財務又は会計に係る情報システムの導入時における計画の妥当性及び内部統制または被監査会社等が整備又は管理しているシステムに係る第三者的立場からの検証、評価あるいは助言業務については、制限対象から除外すべきではないか。
(利害関係府令第5条第2号関係)
 利害関係府令第5条第2号は、財務諸表の基礎となる原始データを集計し、又は被監査会社等の財務諸表全体として重要となる情報を生成するハードウェア又はソフトウェア・システムの設計及び導入、構築、運用及び監視を行うことといった業務を想定しています。
 したがって、同号での「整備及び管理」とは、設計及び導入、構築、運用及び監視等を行う業務であって、財務情報に関して本来経営者の機能である内部統制を構築し維持する役割を担う業務や「整備及び管理」の結果が監査人の監査実施対象または内部統制の有効性を検証する対象として帰結することが合理的に推測される場合の業務を指しています。
 同号は、監査人が内部統制の有効性を評価する監査の過程として内部統制システムの整備・運用状況を評価するものや経営者に改善提案としての助言を行うものまでも規制しようとするものではありません。また、監査証明業務に付随する海外等の法規制により内部統制の証明業務を監査人が提供することが義務付けられている場合、当該業務に係る基準に準拠して適切に実施しなければならない過程としての業務を行うことは差し支えないと考えています。
 なお、個々の業務形態を踏まえた実務面における対応等については、今後日本公認会計士協会等の関係者と検討を行う予定です。
 被監査会社等又は被監査会社等が雇用した第三者が行う鑑定又は評価について、監査人が助言をする場合や、財務書類に影響を与えない項目(例:知的財産権の評価)の評価業務は禁止業務から外すべきである。また、「鑑定評価に関する業務」が掲記されているがその範囲も明確にしてほしい。
(利害関係府令第5条第3号関係)
 ご指摘のとおり、被監査会社等または被監査会社等が雇用した第三者である専門家が実施した作業に対する助言(書面による指導も含む)に過ぎない業務については、当該被監査会社等又は当該専門家が提供した財務情報の基礎資料を基にこれを行うことから自己監査に該当するものとは認められません。したがって、このような業務は禁止の対象から除かれるものと考えます。
 ご質問の知的財産権の評価については、財務情報に関連して行われる場合には、制限される業務の対象となり得る場合もあると考えられます。
 一方、非財務情報に関する評価サービスについては、原則として禁止の対象から除かれるものと考えています。
 なお、個々の業務形態を踏まえた実務面における対応等については、今後日本公認会計士協会等の関係者と検討を行う予定です。
 被監査会社等または被監査会社等が雇用した第三者が行う保険数理業務について、監査人が助言をなすことは自己監査になるとは思われず、したがって禁止する必要はないと考える。
(利害関係府令第5条第4号関係)
 ご指摘のとおり、被監査会社等または被監査会社等が雇用した第三者である保険数理人が実施した作業に対する助言(書面による場合も含む)に過ぎない業務については、当該被監査会社等又は当該数理人が提供した財務情報の基礎資料を基にこれを行うことから自己監査に該当するものとは認められません。したがって、このような業務は禁止の対象から除かれるものと考えます。
 また同様の理由により、被監査会社等又は被監査会社等が雇用した第三者である保険数理人が経営者に提供している保険数理業務の結果に対し、監査人がその使用人である保険数理人を配して監査手続を実施することも禁止の対象から除かれると考えています。
 なお、個々の業務形態を踏まえた実務面における対応等については、今後日本公認会計士協会等の関係者と検討を行う予定です。
 内部監査制度の整備や内部監査業務に関する助言業務は、たとえ監査契約と別契約で行われていたとしても制限する必要はないと思われる。
(利害関係府令第5条第5号関係)
 利害関係府令第5条第5号の業務は、内部監査の外部委託を受嘱した監査人が被監査会社等の内部統制システムを評価し監視する重要な役割を担うことにより、結果として、被監査会社等の内部統制システムの一部としての位置付けをもつと認められる業務や、本来経営者の機能である内部統制を構築し維持する役割を果たすこととなる業務を禁止対象とするものです。
 同号は上述した府令第5条第2号関係と同様に、監査人が一般に公正妥当と認められる監査基準に準拠して監査業務を遂行した結果、経営者に内部統制の改善のための助言勧告を行うことまでも禁止するものではありません。
 また、監査証明業務に付随する海外等の法規制により内部統制の証明業務を監査人が提供することが義務付けられている場合、当該業務に係る基準に準拠して適切に実施しなければならない過程の業務を行うことは差し支えないと考えています。
 なお、個々の業務形態を踏まえた実務面における対応等については、今後日本公認会計士協会等の関係者と検討を行う予定です。
 業務の制限をするか否かの判断について被監査会社等の監査役会又は監査委員会若しくは公認会計士・監査審査会に委ねる旨を規定してほしい。
(利害関係府令第5条第8号関係)
 法第24条の2の規定が内閣府令に委ねている事項は、同時提供が禁止される非監査証明業務の内容であって、利害関係府令第5条第8号の業務と監査証明業務との同時提供の可否について、被監査会社等の監査役会等もしくは公認会計士・監査審査会といった特定の機関による事前承認にかからしめることまでを想定しているものではありません。

継続的監査の制限について

コメントの概要 コメントに対する考え方
 関与社員として7年間監査を担当していた「大会社等」の連結子会社や関連会社の監査を禁止期間中この関与社員だった者が行うことは、この規定に違反となるのか。
(施行令第7条の5、第7条の6、第8条の2、第8条の3関係)
 継続的監査の制限の対象となる「大会社等」については、多数の投資者や債権者が存在し、その取引等の規模の大きさから経済活動全体に対する影響が大きいと考えられるものをその対象にするとの観点から法第24条の2各号のいずれかに該当する法人等の単体を「大会社等」と規定したものです。
 したがって、当該「大会社等」の子会社等や関連会社等そのものが同条に規定する「大会社等」に該当しないのであれば、監査関連業務の禁止期間中におけるこのような会社等への監査は同条の規定に直ちに違反することにはなりませんが、明らかに「大会社等」への継続的監査を制限した法の規制を逃れる目的をもって、一時的に子会社等や関連会社等の監査証明業務を行うことは法の規定の趣旨に鑑みれば必ずしも適切であるとはいえないことに留意する必要があると考えられます。
 監査法人と実質的支配提携関係にある税理士法人が会社等から継続的に報酬を受けている場合、当該監査法人は当該会社等の監査証明業務を行うことができないものとすべきではないか。
(施行令第7条第1項第6号、第8条第5号及び第6号関係)
 税理士法人が行う業務については、利害関係府令第5条各号に規定する業務にも該当する場合もあると考えられます。税理士法人が、監査法人と利害関係府令第4条に規定する実質的支配関係にある場合において、「大会社等」から利害関係府令第5条に規定する業務により継続的な報酬を受けている場合には、当該監査法人は法第24条の2、利害関係府令第4条及び第5条の規定により、当該会社に対して監査証明業務を行うことはできません。
 監査関連業務の禁止における連続する会計期間の上限を7会計期間としているが、5会計期間とすべきではないか。
(施行令第7条の5、第8条の2関係)
 監査関連業務の制限における連続する会計期間の上限については、公認会計士監査の実状や国際的な動向を踏まえ、本政令では7会計期間と定めたところです。公認会計士の不足及び地域的偏在の解消等の状況を見据えて、7年後に5会計期間に見直すことにしたいと考えております。
 監査法人の監査証明業務に補助者として従事しているにもかかわらず、監査証明業務を執行した社員と同程度以上に実質的な関与をしていると認められる業務を「監査関連業務」として規定しているが、これを削除するか、または対象者を「社員たる補助者」に限定すべきである。
(利害関係府令第6条第1項第3号関係)
 今回の法改正では、公認会計士と被監査会社等の癒着を排し、監査証明業務に対する信頼を確保するため、特に、投資家、債権者等が多く存在し、その社会的影響も大きい「大会社等」については、原則として、一定期間ごとに監査担当者を交替することとし、法第24条の3は「監査関連業務」という概念を導入して、一定期間を超えて当該業務を行うことを禁止することとし、監査関連業務のうち法第2条第1項業務及び監査法人の行う同業務にその社員として関与することに準ずる業務について内閣府令に委任することとなったところです。
 そこで、内閣府令で規定すべき業務は、いわゆる「渡り歩き」(関与社員が使用人の立場と交替すること等によって、同じ会社の監査を続けようとすること)の行為は、一人の公認会計士について、その役割や職制に応じカウント年限を変えて計算することが困難なこともあり、監査法人の社員であるか個人で監査を行うかに問わず、監査証明業務の判断を実質的に行っていると考えられる交替逃れの懸念のある業務について、これを規定することが必要と考えられます。
 このような観点から、利害関係府令第6条第1項第3号においては、監査関連業務として、監査証明を行う監査法人の社員が、監査証明の署名を行わず、形式上は監査法人の補助者としての位置付けをとりながら、実質的に監査証明業務を取り仕切ることにより半永久的に同一の被監査会社等を担当することを禁止するものであります。このため、「社員たる補助者」が従事している業務に限定することは適切ではないと考えられます。
 政令で定める上限を超えて行う承認を受けた監査関連業務に関して、公認会計士・監査審査会が「法に規定する必要な措置」を行うことができる場合につき、過度な行政介入が行われないことを確認するため、「公益又は投資者保護のため必要かつ適当と認められる場合」と限定的に規定すべきではないか。
(利害関係府令第6条第4項関係)
 ご指摘を踏まえ、利害関係府令の当初案における「法に規定する必要な措置」との規定については、「法第四十一条の二の規定による権限又は法第四十九条の四条第二項の規定により委任された法第四十九条の三第一項若しくは第二項による権限を行使」と具体的な法律の条文名を明示することとしました。

監査証明書の追加記載事項について

コメントの概要 コメントに対する考え方
 非監査証明業務を行っている場合には、その内容及び独立性確保の旨を記載することとされているが、当該記載は不要とすべきではないか。
 例えば、監査概要書への記載事項とし、行政によるチェックを行えば足りるのではないか。
 記載が必要であるとしても、重要性の乏しい業務については除外する等の対応を検討すべき。
(利害関係府令第8条第3号関係)
 今回の法改正では、公認会計士等による「大会社等」に対する監査証明業務と一定の非監査証明業務の同時提供を行うことが禁止されることとなりました。一方、法第25条第2項では公認会計士が利害関係を有するときはその内容その他の内閣府令で定める事項を監査証明書に明示することとされたのを受けて、その委任の趣旨を府令で定める必要があり、今回の法改正で禁止対象とされていない非監査証明業務の同時提供について、これが監査証明業務の独立性に影響を与えていない旨を明らかにすることは基本的には必要と考えられます。
 利害関係府令第8条3号の規定については、重要性の原則及び国際的な動向に関してのご意見を踏まえ、また、今回の法改正では「大会社等」に対する監査証明業務と非監査証明業務の同時提供が禁止されたという趣旨も勘案し、被監査会社等が「大会社等」である場合に、公認会計士等が同時提供の禁止されていない非監査証明業務を当該「大会社等」に対して行うことにより継続的な報酬を受けている場合には、その旨を記載することとしました。

公認会計士等の就職の制限について

コメントの概要 コメントに対する考え方
 公認会計士等が就職制限を受ける被監査会社等の「役員又はこれに準ずるもの」の「準ずるもの」につき、府令で具体的に規定すべきではないか。
 例えば、委員会等設置会社の執行役や、いわゆる執行役員制度の執行役員は含まれるのか。
(利害関係府令第9条関係)
 就職制限に係る規定は、近い将来に関与先に招聘された後の金銭的対価又は高い社会的地位を見込むことによって現在の監査証明が不当に歪められることを排除するためのものであります。
 本規定における「役員又はこれに準ずるもの」については、各種団体、機関の多様化等を勘案すると、就職制限対象となる役職を限定的に列挙することは困難ですが、現在の監査証明に影響を与えるに足る役職としては、名称・呼称の如何を問わず法人その他団体においてその業務執行、業務・会計の監査などの権限を商法、民法等の法令により有する幹部たる役職等が該当すると考えられ、例えば、取締役、執行役、監査役、理事、監事、合名会社等における業務を執行する社員、労働組合法監査における当該労働組合の執行委員長等が含まれると考えられます。なお、ご指摘の商法上の制度ではなく法令上の権限を有しない幹部としての執行役員については、代表取締役の業務執行を補助する重要な使用人と一般に位置付けられていることから、「これに準ずるもの」には含まれないと考えられます。

公認会計士試験について

コメントの概要 コメントに対する考え方
 特定の学位による短答式試験科目の一部免除につき、専門職大学院課程修了者だけでなく、従来の大学院の修士号取得者に対しても一部免除を認めるべきではないか。
(施行令第1条関係)
 今回の公認会計士試験制度の改正の趣旨の一つとして、監査証明業務に従事するにふさわしい一定水準の能力を有する監査と会計の専門家を今後とも確保していくこととしており、専門性や実務を重視した教育を通じた取組みも重要であるとされたところであります。したがって、公認会計士として備えるべき資質・能力の養成という視点からは、学部教育の中で補いきれなかったものを高度な専門的職業人材の養成に特化した教育課程である「専門職大学院」が担うことによって、監査と会計の専門家としての資質を大学教育において修得することを期待するものです。
 よって、専門性や実務を重視した高度な専門的職業人材の養成に特化した教育課程である「専門職大学院」のうち会計分野を中心に展開するもののうち一定の要件を満たしたものについて短答式試験の試験科目の一部免除を行うこととしたものです。
 特定の学位による短答式試験科目の一部免除につき、3科目は多すぎるのではないか。
 財務会計論は免除すべきではないのではないか。
(施行令第1条関係)
 短答式試験の一部科目免除との関連において、会計分野を中心に展開する専門職大学院において、財務会計に関する科目、管理会計に関する科目、監査に関する科目を一定の単位以上履修した上で、当該専門職大学院の学位を授与されることを要件とすることを予定していることから、財務会計論、管理会計論、監査論の3科目を免除することとしたものであり、法律科目である企業法は免除しないこととしています。
 専門職大学院課程修了者に対する短答式試験の免除を一切認めるべきではないのではないか。
(施行令第1条関係)
 短答式試験の一部科目免除との関連において、会計分野を中心に展開する専門職大学院において、財務会計に関する科目、管理会計に関する科目、監査に関する科目を一定の単位以上履修した上で、当該専門職大学院の学位を授与されることを要件とすることを予定しています。
 短答式試験は公認会計士となろうとする者が論文式試験を受験するために必要な基本的知識を体系的に理解しているかどうかを客観的に確認するための試験として実施することを基本としており、当該専門職大学院課程修了者は、その専門的教育課程の中で、免除の対象となる科目等について、必要な知識等を体系的に理解することになるものと考えています。
 実務経験による短答式試験科目の一部免除につき、実務家の受験機会を確保するために免除規定をより広くすべきではないか。
(施行令第1条の2関係)
 今回の改正法に伴う公認会計士試験制度の見直しに当たっては、試験合格者の資質を確保しつつ、社会人を含めた多様な人材にとっても受験しやすい制度にすることなどにより、受験者層の多様化と受験者数の増加を図ることとしたものです。
 具体的には、一定の厳格な要件の下で、企業などにおける実務経験を通じて専門資格者と同等の能力を有すると認められる者などに対する試験科目の一部免除を導入したものであり、企業等で会計又は監査に関する事務又は業務に従事する場合、財務会計に関する事務又は業務に従事したり知識を習得することが一般的であると考えられることから、財務会計論のみを免除することとしたものです。
 実務経験による短答式試験科目の一部免除につき、実務に従事した法人等の規模を当該実務経験の要件とするのではなく、経験年数のみを要件とすべきではないか。
 また、(年数に応じた)斟酌点を付与する方法や1科目免除する制度を検討すべきで、特定の免除科目(「財務会計論」)を定めるべきではないのではないか。
(施行令第1条の2関係)
 実務経験による短答式試験科目の一部免除は、上場会社等、商法特例法上の「大会社等」において法定監査を受ける対象とされる財務書類の作成や財務書類に係る内部監査等の会計又は監査に関する事務に通算して7年以上従事することとしたものです。
 これは、財務会計論の免除の対象とするための一定の厳格な要件として、公認会計士の監査を受けなければならない上場会社等の財務書類の作成や関連する内部監査の事務又は業務に従事することを求めたものであり、これらの企業は企業会計原則に則った財務書類を組織的に作成していることなどが考えられます。
 また、当該事務又は業務に7年以上従事したことにより、財務会計論の免除に相当する能力を有したと認められるものであり、7年に満たない場合に、従事した年数に応じて斟酌点を付与するということは想定しておりません。
 実務経験による短答式試験科目の一部免除につき、農業協同組合法に定める農業協同組合中央会の農業協同組合監査士で農業協同組合監査に従事した場合も、免除対象の実務経験に従事したものとすべきではないか。
(施行令第1条の2関係)
 実務経験による短答式試験の免除は、上場会社等のほか、国又は地方公共団体その他の内閣府令で定める法人において、会計又は監査に関する事務又は業務のうち内閣府令で定めるものに従事した期間が7年以上である者を対象としています。この内閣府令で定める法人には、これらの法人に準じるような規模の内部組織を備えており、公認会計士の法定監査を受ける対象となっているような法人を想定しております。
 ご指摘のケースは、免除の対象となる要件を満たすことになるものと考えられます。
 実務経験による短答式試験科目の一部免除につき、税理士業務に従事した者にも認めるべきではないか。
(財務会計論に加え、管理会計論及び企業法を免除すべき。)
(施行令第1条の2関係)
 実務経験による短答式試験科目の一部免除は、上場会社等、商法特例法上の「大会社等」において法定監査を受ける対象とされる財務書類の作成や財務書類に係る内部監査等の会計又は監査に関する事務に通算して7年以上従事することとしたものです。
 これは、財務会計論の免除の対象とするための一定の厳格な要件として、公認会計士の監査を受けなければならない上場会社等の財務書類の作成や関連する内部監査の事務に従事することを求めたものであり、これらの企業は企業会計原則に則った財務書類を組織的に作成していることなどが考えられます。
 また、管理会計部門や企業法務に精通している実務経験者も考えられますが、免除という観点からは、上述のとおり、実務経験を有する者に共通する科目である財務会計論に限定したものです。
 なお、税理士となる資格を有する者又は税理士試験の試験科目のうち、簿記論及び財務諸表論の二科目につき、税理士法施行令で定める基準以上の成績を得た者についても、その申請により財務会計論を免除することになっています。
 論文式試験科目の一部免除につき、税理士業務に従事した者にも認めるべきではないか。
(租税法に加え、会計学及び企業法を免除すべき。)
(施行令第1条の3関係)
 改正法による論文式試験は、短答式試験の合格者又は免除者のみが受験し、かつ、短答式試験が択一式で実施し、基本的知識が体系的に理解されているかを判定することを主眼としているのに対し、論文式試験は、記述式を中心に実施し、公認会計士となろうとする者に必要な知識を有しているかどうかだけでなく、実践的な思考力や判断力が備わっているかどうかをより適確に判定することを想定しております。
 したがって、論文式試験の免除については、より厳格な要件が必要であり、実務経験による免除については、会計基準や監査基準の設定など企業会計制度や監査制度などの改善整備に従事した者で、かつ、公認会計士となろうとする者に必要な学識及び専門能力を有する者として公認会計士・監査審査会の認定を受けた者に限定したものです。
 なお、税理士となる資格を有する者については、その申請により論文式試験の試験科目のうち租税法を免除することになっています。
 弁護士や国家一種試験合格者に対して簡単な講習の後、監査人の資格を与えるべきではないか。
(施行令第1条の3関係)
 監査及び会計の専門家としての公認会計士となる資格を有するためには、公認会計士になろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する公認会計士試験に合格し、かつ、2年間の業務補助等を行い、試験合格後に実務補習を修了することが必要です。
 したがって、公認会計士試験に合格することなく、弁護士や国家一種試験合格者に対して簡単な講習のみで監査人である公認会計士となる資格を与えることは適切でないと考えます。
 なお、司法試験の合格者については、その申請により、短答式試験並びに論文式試験の企業法及び民法を免除することになっています。
 論文式試験については、試験科目の免除を一切認めるべきではないのではないか。
(施行令第1条の3関係)
 改正法による論文式試験は、短答式試験の合格者又は免除者のみが受験し、かつ、短答式試験が択一式で実施し、基本的知識が体系的に理解されているかを判定することを主眼としているのに対し、論文式試験は、記述式を中心に実施し、公認会計士となろうとする者に必要な知識を有しているかどうかだけでなく、実践的な思考力や判断力が備わっているかどうかをより適確に判定することを想定しております。
 したがって、論文式試験の一部科目の免除については、より厳格な要件が必要であり、大学等において研究により博士の学位を取得した者、大学等において3年以上教授・助教授の職にあった者、司法試験に合格した者、税理士となる資格を有する者などの一定の資格を有する者等や上述の特定の実務経験を有する者について、その申請により当該関連の科目を免除することにしているものです。

監査証明府令関係

コメントの概要 コメントに対する考え方
 指定社員には、指定証明に係る業務を執行する社員だけでなく審査担当社員も含まれると解されるが、如何か。
 含まれるとすれば、当該審査担当社員も監査報告書の自署・押印義務者になると解されるが、当該自署・押印義務者は指定証明に係る業務を執行する社員に限定すべきではないか。
(監査証明府令第4条第1項ただし書、第1号様式記載上の注意(5)b、同(7)a関係)
 公認会計士法34条の10の4において、特定の証明について業務を担当する社員を指定することができるとされており、業務を執行する社員以外の社員も、業務を担当する者として指定社員に指定することができます。
 また、指定証明の場合には指定社員のみが法人を代表することから、指定証明以外の監査報告書で求められる監査法人の代表者の自書・押印はできないこととなります。
 このため、改正案では指定社員全員の自書・押印を求めることとしていましたが、業務執行社員のみの自書・押印に限定すべきとの意見を受けました。
 監査報告書においては業務執行社員のみの自書・押印で、その効果に特に問題は生じないと考えられることから、指定証明の場合には、監査法人の代表者の自書・押印はせずに、業務を執行した指定社員のみの自書・押印をすることとしました。
 監査概要書は、被監査会社のみの監査に関する記載であるため、子会社の監査を別契約により行っている場合などは、監査時間が極端に短く記載されるなど、実態と相違するのではないか。  持株会社制度を採用している企業集団などにおいては、親会社である持株会社の監査の状況だけでは、連結ベースの監査の実態を表さないことはご意見のとおりであると考えます。
 ただし、全ての子会社の監査の状況を記載することは過度の負担となりかねないことも考慮し、持株会社の下にある実質的な中核企業など特に重要な連結子会社の監査を同一の監査人が行っている場合には、それらの連結子会社に関する監査時間や監査報酬についても監査概要書に付記していただくこととしました。